2012年7月31日から8月9日までニューヨークの国連本部で開催された第10回国連地名標準化会議において,日本海呼称問題に関するやり取りがありました。やり取りの概略は以下のとおりです。
- 北朝鮮から,「日本海呼称は日本植民地主義の残滓である」旨の発言がありました。また,韓国及び北朝鮮から,国連地名標準化会議III/20及びIHO技術決議H4.2.6に従ってIHO等において日本海「東海」呼称は併記されるべきである,また,日本海「東海」併記の使用は世界的に普及している旨述べました。
- これに対し,我が国より,そもそも国連地名標準化会議は日本海呼称問題を含む個別の名称について判断する場ではない旨述べるとともに,日本海呼称が国際的に確立された唯一の呼称である旨,「日本海呼称は日本植民地主義の残滓」という主張は事実無根である旨,韓国や北朝鮮がコンセンサスの支持が全くないにも関わらずかかる呼称の変更を押し付けることは許されない旨述べました。さらに,国連地名標準化会議III/20及びIHO技術決議A4.2.6.については,明文上,適用対象から,海洋や大洋は除かれている旨述べました。
- また,フランスから,フランス政府の方針は,フランスが使用する呼称としてはMer du Japon(日本海)の呼称のみを使用するというものであり,これは19世紀に遡る古い国際的慣行に従った決定である旨述べるとともに,当該海域の国際的な呼称については,仏政府としては,引き続き関係国間で解決が図られることを期待している旨の発言がありました。
- これらを受け,議長は,本会議は特定名称について決定するマンデートはない旨を強調するとともに,当事国同士の対話を通じた解決を期待する旨述べて,議論を終了させました。
(注) 国連地名標準化会議(UNCSGN:UN Conference on the Standardization of Geographical Names)
各国の地図作成当局の専門家らが,地名に関する用語の定義,地名の表記方法等について技術的観点から議論を行う会議。1967年以降,原則として5年ごとに開催されている。同会議は個別の名称を決定する権限は有していない。