ナイジェリア連邦共和国
ナイジェリア連邦共和国(Federal Republic of Nigeria)
基礎データ


一般事情
1 面積
923,773平方キロメートル(日本の約2.5倍)
2 人口
2億2,380万人(2023年:世銀)
3 首都
アブジャ(Abuja)(1991年12月ラゴスより遷都)
4 民族
ハウサ、ヨルバ、イボ等(民族数は250以上と推定)
5 言語
英語(公用語)、各民族語(ハウサ語、ヨルバ語、イボ語等)
6 宗教
イスラム教 北部中心、キリスト教 南部中心、伝統宗教 全域
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
11世紀頃から | カネム、ボルノ、ベニン、オヨ等の諸王国、並びにハウサ都市国家群が建設される。 |
12世紀頃から | ヨーロッパや北アフリカ地域とのサハラ交易が、現在のナイジェリア北部地域を中心に盛んとなる。イスラム教が伝わる。 |
15世紀頃から | ナイジェリア南部地域を含むギニア湾岸沿いにおいて、ヨーロッパ諸国との交易が始まる。 |
1861年 | ラゴスが英国により植民地に併合される。 |
1900年 | 英国により北部ナイジェリア保護領と南部ナイジェリア保護領が設立される。 |
1906年 | 英国によりラゴス植民地と南部ナイジェリア保護領が統合される。 |
1914年 | 英国により南北ナイジェリア植民地が統合され英領ナイジェリアが設立される。 |
1960年10月 | 英国から独立 |
1963年10月 | 共和制移行 |
1966~1993年 | 軍事クーデター(7回)、ビアフラ内戦(1967~1970年)、第二共和政(1979~1983年) |
1993年11月 | アバチャ軍事政権成立 |
1998年6月 | アバチャ元首急死、アブバカール軍事政権成立 |
1999年5月 | 大統領選挙、オバサンジョ大統領選出 |
2003年5月 | 大統領選挙、オバサンジョ大統領再選 |
2007年5月 | 大統領選挙、ヤラドゥア大統領選出 |
2010年5月 | ヤラドゥア大統領の逝去に伴い、ジョナサン副大統領が大統領に就任 |
2011年4月 | 大統領選挙、ジョナサン大統領選出 |
2015年3月 | 大統領選挙、ブハリ大統領選出 |
2019年2月 | 大統領選挙、ブハリ大統領再選 |
2023年2月 | 大統領選挙、ティヌブ大統領選出 |
政治体制・内政
1 政体
連邦共和制(大統領制)
2 元首
ボラ・ティヌブ(H.E. Mr. Bola TINUBU)大統領(2023年5月就任、任期4年)
3 議会
二院制(国民議会(360議席、任期4年)、上院(109議席、任期4年))
4 政府
- (1)首相 なし
- (2)外相 ユスフ・トゥガー外務大臣
5 内政
1960年の独立以降、共和制と軍事政権が繰り返され、政情は安定しなかった。その後、1998年12月より地方、州、連邦議会の各選挙が実施され、1999年2月には、大統領選挙も平穏に実施された。同選挙で当選したオバサンジョ元国家元首(国民民主党(PDP)候補)が同年5月、新大統領に就任し、文民政府が発足。また、オバサンジョ大統領は2003年4月に実施された大統領選挙で再選された。
オバサンジョ大統領は、就任以降、腐敗の撲滅等を目標に政治・経済改革を積極的に推進したが、民族・宗教の対立、治安悪化等克服すべき課題は多く、特に2005年9月以降は、産油地帯であるナイジャー・デルタ地域にて石油プラントの爆破、外国人労働者の誘拐等が相次ぎ、治安情勢は不安定化した。
2007年4月、国民議会選挙、州知事選挙及び大統領選挙が相次いで実施され、ウマル・ヤラドゥアPDP候補が当選、新大統領に就任した。
ヤラドゥア大統領は2010年5月に逝去し、憲法の規定に基づき、ジョナサン大統領代行(ヤラドゥア政権における副大統領)が大統領に就任した。
2011年4月、国民議会選挙及び大統領選挙が実施され、ジョナサン大統領(与党(当時)PDP候補)が当選した。同大統領は、慢性的な電力不足問題に取り組むとともに2020年までに経済規模を世界20位内とする“Nigeria Vision 2020”を掲げ、積極的な経済政策を推進。他方、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」によるテロ行為が北東部を中心に活発化する中で、治安対策が追い付いていないとの批判もあった。
2015年3月、国民議会選挙及び大統領選挙が実施され、当時の最大野党であった全進歩会議(APC)のブハリ候補が、大統領に選出された。また国民議会選挙においても、APCが上院、下院ともに過半数を占め、ナイジェリア史上初めて、民主的手続きによって政権交代が実現した。ブハリ大統領は、ボコ・ハラム対策を始めとした治安対策や汚職対策を優先的に推進。また、石油に依存する経済の多角化を始めとした経済対策が喫緊の課題となった。
2019年2月、大統領選挙が実施され、現職のブハリ大統領が再選を果たした。ブハリ大統領は、ナイジェリアを「次なる段階」への導くための取組として、引き続き治安対策、汚職対策及び経済対策を優先課題として位置づけた。
2023年2月の大統領選挙では、与党APC候補で元ラゴス知事であるティヌブ候補が当選し、同年5月に就任した。この政権の優先政策として、国内の経済発展と治安維持の両立を挙げている。また、長年に渡り国内財政を圧迫してきた燃料補助金の廃止や電力事業の自由化を含む経済改革の迅速な実施を目指している。
外交・国防
1 外交基本方針
アフリカ、特に西アフリカ地域での指導的役割を果たすべく(リベリア、シエラレオネ和平の実現に指導力を発揮)し、アフリカ連合(AU)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)等を通じて積極的なアフリカ外交を展開してきた(ECOWASの本部はアブジャに所在)。2023年7月、第63回ECOWAS首脳会合にてティヌブ大統領がECOWAS議長に任命された。翌2024年7月、第65回同首脳会合にて、同大統領が更に1年間の任期で再選した。
これまで国連安保理非常任理事国を5回にわたり務めており、国連PKOにも積極的に貢献している。自他共に認めるアフリカのリーダー国の1つであり、G7諸国のみならず新興諸国との関係が強い。
2 軍事力(2024年版ミリタリーバランス)
- (1)予算 19.9億ドル(2023年)
- (2)兵役 志願制
- (3)兵力 正規143,000人(陸100,000、海25,000、空18,000)
経済(単位 米ドル)
1 主要産業
農業、原油、天然ガス、通信等
2 GDP
3,628億米ドル(2023年:世銀)
3 一人当たりGNI
1,930米ドル(2023年:世銀)
4 経済成長率
2.9%(2023年:世銀)
5 物価上昇率
12.6%(2023年:世銀)
6 失業率
3.1%(2023年:世銀 ILO推定値)
7 総貿易額(2023年:ITC)
- (1)輸出 606.50億米ドル
- (2)輸入 605.75億米ドル
8 主要貿易品目(2023年:ITC)
- (1)輸出 鉱物燃料、肥料、採油用種子
- (2)輸入 鉱物燃料、自動車・自動車部品、原子炉・ボイラー・機械・器具
9 主要貿易相手国(2023年:ITC)
- (1)輸出 オランダ、スペイン、インド、米国
- (2)輸入 中国、シンガポール、ベルギー、インド
10 通貨
ナイラ
11 為替レート
1ドル=1582ナイラ(2024年第三4半期平均:ナイジェリア中央銀行)
12 経済概況
人口がアフリカ第1位であり(GDP規模はアフリカ第3位(2023年))、近年ではサービス産業の成長が顕著であるなど、市場の潜在性が高い。他方、国家歳入の約7割、総輸出額の約8割を原油に依存しており、経済の多角化が課題となっている。欧米諸国とは活発な経済関係を維持しているものの、昨今のシェールガス革命によって、特に対米輸出が減少傾向にある。コロナ禍に伴う原油価格下落等の影響を受け、2020年に経済はマイナス成長するも、2021年以降は回復の傾向が見られる。また、政府は海外投資の誘致の積極的な推進を掲げているが、不安定な電力供給、行政手続の遅延、インフレ、外貨不足・ナイラ安、治安問題等、外国企業進出に当たっての課題も存在する。
経済協力
1 日本の援助累計(2022年までの累計)
- (1)有償資金協力(借款契約ベース) 895.8億円
- (2)無償資金協力(E/N(交換公文)ベース) 597.9億
- (3)技術協力実績 241.1億円
2 主要援助国(2021-2022年:OECD/DAC)(百万米ドル、支出総額)
- (1)米国(772)
- (2)フランス(146)
- (3)英国(136)
- (4)ドイツ(106)
- (5)カナダ(82)
二国間関係
1 政治関係
- 1960年10月、日本はナイジェリア独立と同時に同国を承認した。同年12月、日本は在ナイジェリア大使館を開設した。ナイジェリアは、1964年7月に東京に大使館を開設した。
2 経済関係
(1)対日貿易(2023年:日本財務省統計)
- (ア)貿易額
- 対日輸出 約708.42億円
- 対日輸入 約417.91億円
- (イ)主要品目
- 対日輸出 液化天然ガス、アルミニウム・同合金、採油用種子(ごま)等
- 対日輸入 自動車、人造繊維、原動機等、鉄鋼製品
(2)進出日本企業(2023年10月時点)
51社(商社、製造、プラント等)
3 文化関係
相互文化紹介等の文化交流を通じ、近年日本に対する関心が高まりつつある。
4 在留邦人数
146人(2023年10月時点)
5 在日当該国人数
3,954人(2023年12月時点:出入国在留管理庁)
6 要人往来(肩書きは、いずれも当時)
年月 | 要人名 |
---|---|
1974年11月 | 木村外務大臣 |
1978年2月 | 政府派遣アフリカ経済使節団(河野ミッション) |
1979年7月 | 園田外務大臣 |
1984年4月 | 政府派遣アフリカ経済使節団(金森ミッション) |
1988年11月 | 政府派遣アフリカ経済使節団(牧ミッション) |
1999年5月 | 橋本外交最高顧問(大統領就任式出席) |
2001年1月 | 森総理大臣 |
2005年12月 | 日・AU議連西部アフリカ訪問団 |
2008年9月 | 貿易投資促進官民合同ミッション(西村外務大臣政務官) |
2014年5月 | 牧原環境大臣政務官(WEFアフリカ会合出席) |
2015年5月 | 逢沢一郎衆議院議員・総理特使(大統領就任式出席) |
2016年3月 | 木原誠二外務副大臣 |
2017年5月 | 貿易投資促進官民合同ミッション(武井外務大臣政務官) |
2018年1月 | 参議院ODA調査団(団長:江島潔参議院議員) |
2018年9月 | 秋元国土交通副大臣 |
2019年6月 | 武井俊輔衆議院議員・総理特使(民主化記念日式典) |
2023年5月 | 田中和徳衆議院議員・総理特使(ティヌブ大統領就任式) |
2024年4月 | 上川外務大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1981年10月 | マシ蔵相 |
1981年12月 | オバサンジョ前国家元首 |
1983年3月 | アウドゥ外相 |
1987年9月 | オコング蔵相 |
1988年10月 | ヌワチュクウ外相 |
1989年2月 | ババンギダ大統領(大喪の礼への参列) |
1989年10月 | ヌワチュクウ外相 |
1989年11月 | ウクパナ貿易相(ガット) |
1990年8月 | ファラエ蔵相 |
1990年11月 | ゴウオン元国家元首(即位の礼への参列) |
1991年9月 | イブラヒム外務担当国務相 |
1992年10月 | アブバカール蔵相 |
1993年10月 | サレ蔵相(TICAD(アフリカ開発会議)) |
1999年4月 | オバサンジョ次期大統領 |
2000年3月 | アシオドゥ経済問題担当大統領特別顧問 |
2000年7月 | ラミド外相 |
2000年7月 | オバサンジョ大統領 |
2001年5月 | オバサンジョ大統領(公実賓ラミド外相他同行) |
2003年9月 | オバサンジョ大統領(TICAD III(第3回アフリカ開発会議)) |
2004年11月 | オバサンジョ大統領(TICADアジア・アフリカ貿易投資会議(AATIC)) |
2005年3月 | アデニジ外相(外務省賓客) |
2005年8月 | ワジリ商務相(愛・地球博出席) |
2006年9月 | オバサンジョ大統領 |
2007年4月 | イソウン科学技術相 |
2008年5月 | ジョナサン副大統領(TICAD IV(第4回アフリカ開発会議)) |
2008年7月 | ヤラドゥア大統領(北海道洞爺湖サミット) |
2009年6月 | マドゥエケ外相(外務省賓客) |
2012年7月 | アシル外相(世界防災閣僚会議 in 東北) |
2012年10月 | オコンジョ財務相・アガンガ貿易投資相・サヌシ中央銀行総裁(IMF世銀総会) タンブワール国民議会下院議長(衆議院議長招聘) |
2013年6月 | サンボ副大統領(TICAD V(第5回アフリカ開発会議)) |
2014年2月 | エクェレマドゥ国民議会上院副議長 |
2016年11月 | カチク石油資源担当国務相 |
2017年10月 | オヌ科学技術相 |
2017年12月 | アデウォレ保健相 |
2018年5月 | カチク石油資源担当国務相 |
2018年8月 | ダン=アリ国防相 |
2018年11月 | エメフィレ中央銀行総裁 |
2018年11月 | ダロン青年・スポーツ相 |
2019年8月 | ブハリ大統領、オンエアマ外相、エハニレ保健相(TICAD7(第7回アフリカ開発会議)) |
2019年10月 | ムスタファ連邦政府官房長官(即位の礼参列) |
2019年11月 | グバジャビアミラ国民議会下院議長(衆議院議長招聘) |
2019年11月 | アレベソラ内務相 |
2019年12月 | モハメド情報・文化相(国連観光・文化京都会議2019) |
2023年2月 | マガシ国防相(DSEI JAPAN(国際防衛装備展)) |
2024年8月 | トゥガー外相(TICAD閣僚会合) |
7 二国間条約・取極
なし