モロッコ王国
モロッコ王国(Kingdom of Morocco)
基礎データ


一般事情
1 面積
44.6万平方キロメートル(日本の約1.2倍、西サハラ除く)
2 人口
3,746万人(2022年 世銀)
3 首都
ラバト
4 民族
アラブ人(65%)、ベルベル人(30%)
5 言語
アラビア語(公用語)、ベルベル語(公用語)、フランス語
6 宗教
イスラム教(国教)スンニ派がほとんど
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
7世紀 | アラブ人の進出 |
1912年3月 | フェズ条約によりフランスの保護領となる。 |
1956年3月 | フランスより独立 |
1961年2月 | モハメッド5世逝去、ハッサン2世国王即位。 |
1962年12月 | 憲法発布 |
1970年7月 | 憲法改正。二院制廃止。 |
1972年3月 | 憲法改正 |
1975年11月 | 西サハラ非武装越境大行進(緑の行進) |
1989年2月 | アラブ・マグレブ連合条約調印 |
1991年9月 | 西サハラ「停戦」成立 |
1992年9月 | 憲法改正 |
1994年6月 | フィラリ内閣発足 |
1996年9月 | 憲法改正。二院制を導入。 |
1998年3月 | ユスフィ内閣発足 |
1999年7月 | ハッサン2世逝去、モハメッド6世国王即位。 |
2002年11月 | ジェットゥ内閣発足 |
2003年5月 | ムーレイ・アル・ハッサン皇太子誕生 |
2007年10月 | エル・ファシ内閣発足 |
2011年7月 | 憲法改正 |
2011年11月 | 衆議院選挙実施。公正・発展党(PJD)が勝利し、ベンキラン党首が首相に任命。 |
2012年1月 | ベンキラン内閣発足 |
2016年10月 | 衆議院選挙実施。 |
2017年4月 | エル・オトマニ内閣発足 |
2019年10月 | エル・オトマニ改造内閣発足 |
2021年9月 | 衆議院選挙実施。「独立国民連合(RNI)」が勝利し、アズィズ・アハヌーシュ党首が首相に任命。 |
2021年10月 | アハヌーシュ内閣発足 |
政治体制・内政
1 政体
立憲君主制
2 元首
モハメッド6世国王(His Majesty the King Mohammed VI)(1999年7月即位)
3 議会
- 二院制(1996年9月の憲法改正により一院制から移行)
- 衆議院: 任期5年 直接選挙
- 参議院: 任期6年 間接選挙
4 政府
- 首相:
- アズィズ・アハヌーシュ(His Excellency Mr. Aziz AKHANNOUCH)(2021年10月~)
- 外相:
- ナッセール・ブリタ(His Excellency Mr. Nasser BOURITA)(2017年4月~)
5 内政
- (1)1999年7月に即位したモハメッド6世国王は、基本的に前国王の政策を継承する一方、大胆な人事刷新を行い、新体制を固めた。現国王は、貧困撲滅、失業・雇用等の社会問題及び教育問題といった国民に軸足を置いた政策を重視。
- (2)2003年5月16日、カサブランカで同時爆弾テロ事件が発生し、外国人9名を含む45名(うち実行犯12名)の死者が発生。国内イスラム過激主義「サラフィア・ジハディア」系組織のメンバーが逮捕された。2007年3月にはカサブランカ市内のインターネット・カフェで自爆事件(市民4名が負傷)が発生。同年4月には同市内で治安当局による捜査中、3人の容疑者が自爆する事件(警察1名が死亡)、及び同市中心街の米国文化センター前で、2件の連続自爆テロ事件(市民1名が負傷)が発生した。また、2011年4月28日、マラケシュの中心、フナ広場に面するカフェで爆破テロ事件が発生。13名の外国人観光客を含む死者16名を出した。アル・カーイダの思想に傾倒していた実行犯1名及び協力者4名が逮捕された。
- (3)2011年初頭から、チュニジアやエジプトで起こった政変の影響を受け、モロッコでも民主化を求める抗議行動が活発化。フェイスブックで集まった若者を中心とした「2月20日運動」が定期的に全国一斉デモを組織するなどした。これを受けて、国王は憲法改正を提案。2011年7月、国民投票を経て、国王の権限を縮小し首相の権限を強化する内容の新憲法が発布された。
- (4)2011年11月25日、憲法改正を受けて総選挙が行われ、穏健イスラム派と言われている「公正・発展党(PJD)」が勝利。国王は同党党首のベンキラン氏を首相に任命し、2012年1月3日、新内閣が発足した。
- (5)財政赤字、雇用問題、教育問題等の課題が山積する中、2013年7月、イスティクラル党が政権から離脱。モハメッド6世国王は、ベンキラン首相に対して、新たな政府与党を構成すべく協議を始めるよう指示。ベンキラン首相は、独立国民連合(RNI)を新たに連立与党に加え、10月10日、ベンキラン改造内閣が発足した。
- (6)2016年10月7日、衆議院選挙実施。「公正・発展党(PJD)」が議席数を伸ばして勝利。
- (7)衆議院選挙後組閣が難航していたが、ベンキランPJD党首に代わり、国王から組閣を任じられたエル・オトマニPJD全国評議会議長(当時。後にPJD党首に就任。)が、2017年4月5日に新内閣を組閣。
- (8)2019年10月にエル・オトマニ内閣の大幅な内閣改造を実施。「閣外大臣」(副大臣級)の廃止等により閣僚ポストを39から24に再編。それまで、PDJ、RNI、人民運動(MP)、人民勢力社会主義同盟(USFP)、立憲同盟(UC)、進歩社会主義党(PPS)の6党で連立を組んでいたが、内閣改造を経てPPSが離脱。
- (9)2021年9月8日、衆議院選挙実施。連立与党を率いてきた穏健イスラム主義政党の「公正と発展党(PJD)」が議席数を125から13に大きく落として大敗した。その一方で、連立政権で第2党の自由主義政党「独立国民連合(RNI)」が議席を102と改選前の37から大きく躍進し、最大議席を獲得。モハメッド6世国王は10日、第1党となったRNIのアズィズ・アハヌーシュ党首(前農水相)を首相に指名。同年10月、アハヌーシュ首相が24名の閣僚を率いる新政権が発足。新政権は、前政権下で最大野党だった中道左派リベラル・王党派の「真正と現代党(PAM)」と王党派で中道右派・民族政党の「イスティクラル党(PI)」との連立政権。
外交・国防
1 外交基本方針
- (1)アフリカ北西部に位置するモロッコは、同じアラブ・イスラム諸国との関係に加え、アフリカ、地中海諸国の一員として、これらの国との密接な関係を有している。また、地理的に隣接する欧州や歴史的に関係の深い米国とも良好な関係を有するなど、柔軟で多角的な外交を行っている。
- (2)モロッコにとっての最大の外交課題は、西サハラ(旧スペイン領)問題である。同地域の大部分は、現在はモロッコの実効支配下にあるが、これに抵抗するポリサリオ戦線は、「サハラ・アラブ民主共和国(S.A.D.R)」の樹立を宣言しており、1984年にはS.A.D.Rのアフリカ統一機構(OAU、アフリカ連合(AU)の前身)への加盟が認められたため、モロッコはOAUを脱退した。国連は、同地域の帰属を問う住民投票を提案し、これに基づいて、1991年以降「国連西サハラ住民投票監視団(MINURSO)」を派遣しているが、有権者認定手続を巡るモロッコとポリサリオ戦線側の対立から、これまで住民投票は実施されていない。
モロッコは、2007年4月、住民投票の代替案として、モロッコの主権下で西サハラ地域に自治権を付与するとの案を国連に提出。これを受け、国連安保理は西サハラ問題の解決のため、当事者(モロッコとポリサリオ戦線)に前提条件なしで交渉に入るよう要請することを主旨とする決議1754を全会一致で採択。同決議に基づき、2007年6月から2008年3月にかけて、国連事務総長特使の仲介の下、モロッコ、ポリサリオ戦線及び近隣国(アルジェリア、モーリタニア)の参加を得た直接交渉が計4回開催されたが、事態は膠着。2009年1月、ロス国連事務総長特使が任命され、同年8月以降、累次非公式会合が実施されてきたが、議論は進展しなかった。2017年4月、ケーラー国連事務総長特使が任命され、2018年12月及び2019年3月にはジュネーブにおいて、モロッコ、アルジェリア、モーリタニア、ポリサリオ戦線の参加の下、ラウンドテーブルを開催。次回開催時期未定。2019年5月には同特使が健康上の問題を理由に辞任。2021年9月、スタファン・デ・ミストゥラ氏(元国連シリア特使)が「西サハラ」国連事務総長特使に就任。同月、ポリサリオ戦線が緩衝地帯のゲルゲラッドを封鎖。モロッコ軍が打開し、掌握。ポリサリオ戦線は停戦破棄を宣言。 - (3)2016年10月、モロッコは、国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)をホスト。今後2030年までに、総発電力の52%を再生可能エネルギーで賄うとの目標を掲げるなど、環境問題に積極的に取り組んでいる。
- (4)2017年1月、モロッコはアフリカ連合(AU)に加盟(AUの前身であるアフリカ統一機構(OAU)脱退以来の復帰)。サブサハラ諸国との政治・経済関係強化政策を推進。
2 軍事力(ミリタリーバランス2022)
- (1)予算
- 約63億ドル(2021年度予算)
- (2)兵役
- 志願制(2006年に徴兵制を廃止後、2019年1月、徴兵制を再導入する法案を両院で可決)
- (3)兵力
- 19.58万人(陸軍 17.5万人、海軍 7,800人(海兵隊1500人を含む)、空軍 1.3万人)予備役15万人
3 その他主要外交問題等
(1)対欧米諸国との関係
モロッコは、2008年、EUから包括的なパートナーシップである「前進的地位」を付与されており、欧州との市場統合など欧州諸国との関係強化に力を入れている。
フランスは、かつて宗主国であったという歴史的な関わりとともに、モロッコにとって最大の貿易相手国であり、経済・技術協力、人的交流等極めて緊密な関係にある。
ジブラルタル海峡を挟んで隣接するスペインとも、歴史的、経済的に結びつきが強い。移民問題や漁業・農業問題等で関係が緊張することも時折見られるが、全般的に関係は良好。
また、米国の独立を正式に認めた最初の国と自負するモロッコは、中東問題や西サハラ問題の解決に欠かせない国として、対米政策を重視。
(2)アラブ・マグレブ連合(AMU)
1989年に発足したAMUは、外交、経済、文化、安全保障面における域内協力の促進と、アラブ・イスラムの連携強化を目的とした地域経済協力機構(事務局はモロッコの首都ラバト)。モロッコの他にアルジェリア、チュニジア、モーリタニア、リビアが参加している。モロッコ・アルジェリア間の問題(西サハラ問題、国境閉鎖等)が原因で、1990年代半ばから活動は低迷。両国間の問題が解決されないため、現在でも、首脳会合の再開など、AMUの再活性化が実現していない。現在、AMUは、まずは経済面を中心とした統合を進めていくべく模索中。
(3)中東和平問題
中東和平問題に関して、モロッコは、アラブ諸国の中でもイスラエルに対して現実的かつ柔軟な対応をとってきており、故ハッサン2世前国王の時代には、相互に貿易事務所を有していた。イスラム諸国会議機構(OIC)では、故ハッサン2世前国王がアル・コッズ(エルサレム)委員会を発足させ、パレスチナ支援を行った。モハメッド6世現国王も引き続き委員長として活動している。
経済
1 主要産業
農業(麦類、ジャガイモ、トマト、オリーブ、柑橘類、メロン)、水産業(タコ、イカ、鰯)、鉱業(燐鉱石)、工業(繊維、皮革製品、食品加工、自動車、自動車部品、電子部品、航空部品)、観光業
2 GDP
約1,341.8億米ドル(2022年 世銀)
3 一人当たり国民所得(GNI per capita)
3,526米ドル(2022年 世銀)
4 経済成長率
1.1%(2022年 世銀)
- (注)過去5年間
- 2017年 5.1%
- 2018年 3.1%
- 2019年 2.9%
- 2020年 -7.2%
- 2021年 7.9%
5 物価上昇率
6.7%(2022年 世銀)
- (注)過去5年間
- 2017年 0.8%
- 2018年 1.8%
- 2019年 0.3%
- 2020年 0.7%
- 2021年 1.4%
6 失業率
10.5%(2022年 世銀)
7 総貿易額・主要貿易品目(2022年 モロッコ為替局)
- (1)輸出(F.O.B)
- 2,768億モロッコ・ディルハム(約271億米ドル) リン酸、自動車、農産品、繊維、皮革
- (2)輸入(C.I.F)
- 4,916億モロッコ・ディルハム(約482億米ドル) エネルギー、農業・産業用機械・設備類、消費財
8 主要貿易相手国(2022年 ITC貿易データーベース)
- (輸出)
- (1)スペイン (2)フランス (3)ブラジル (4)インド (5)イタリア
- (輸入)
- (1)スペイン (2)中国 (3)フランス (4)米国 (5)トルコ
9 通貨
モロッコ・ディルハム(MAD)
10 為替レート
1米ドル=10.1MAD(2023年8月平均 モロッコ中央銀行)
2022年には1米ドル10.59ディルハムとなり、過去20年で最大のドル高ディルハム安。
(注)通過バスケット制(ユーロ60%、米ドル40%)を採用
11 外貨準備高
約356億米ドル(2021年末時点 モロッコ中央銀行)
12 経済概況
- (1)モロッコは農業を基盤(国内のGDPの約12%)とし、漸進的に工業化を進めていくという基本政策を採っている。また、自由市場経済を採用している。2022年現在、過去10年間でサービス業の雇用が農業を上回り、引き続き製造業におけるGDP比増加を目標とし、外資企業投資融資に注力(経済特区の設立、税制優遇、各種補助金交付など)。2022年の経済成長率は、コロナ禍やウクライナ情勢の影響を受け、1.1%と低迷。
- (2)経済のグローバル化に対処するため、経済の自由化、一部公的企業の民営化、海外投資誘致政策を推進し、外国企業の誘致に積極的。フリーゾーンを整備し、各種投資・税制優遇措置をとるなどして投資環境を整備しつつある。また、高速道路、鉄道、港湾、社会住宅など公共事業に投資し、インフラ整備・内需拡大を図っている。
- (3)1996年2月、EUとの間で、2010年までに自由貿易圏を設立する趣旨のパートナーシップ協定を締結し(2000年3月発効)、2004年6月には米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結した(2006年1月発効)。また、チュニジア、エジプト及びヨルダンとのFTAであるアガディール協定(2007年4月発効)のほか、対トルコFTAを締結している(2006年1月発効)。
- (4)2005年5月、モハメッド6世国王は、2005年から2010年までの間を対象期間とした「人間開発に係る国家イニシアティブ(INDH)」を発表し、人間開発を中心に据えた貧困削減と社会・地域間格差是正のためのイニシアティブをとっている。2010年以降も、引き続きINDHの第二フェーズが2011年から実施され、子どもや女性を含めた多くの失業者に新たな雇用を創出することを視野に入れた取り組みを実施してきた。
- (5)近年、様々な分野別開発戦略を発表し、積極的に国家開発を進めており、自給自足率向上及び農産物輸出高増加を目標とする農業近代化計画(Plan Maroc Vert)、長期的な輸出総額増加を目標とする輸出促進計画(Maroc Export Plus)、持続的漁業運営、品質等パフォーマンス向上、付加価値付与による競争力増強等を目標とするモロッコ漁業戦略(Plan Halieutis)、官公庁への手続の電子化や、インターネットの普及を目指す国家情報技術開発計画(Maroc Numeric 2013)、工業部門がGDP全体に占める割合を23%に引き上げることを目標とした「産業化促進戦略」(Plan d'Accélération Industrielle)、観光地開発、人材育成などを含めた観光開発包括プラン「Vision2020」等が発表されている。
- (6)また、再生可能エネルギーの利用促進も目指しており、2020年における発電容量のうち、再生可能エネルギーが占める割合を42%(うち太陽エネルギー14%、風力14%、水力14%)とし、2030年までに同割合を52%(うち太陽エネルギー20%、風力20%、水力12%)へ引き上げることを目指している。
- (7)モロッコにおける日系企業の進出・増加及びアフリカ経済成長に伴う投資機会増加の見込みから、2020年1月に日モロッコ投資協定・租税条約への署名が行われ、2022年4月に発効した。
経済協力
1 主要援助国(2020年 単位:百万ドル(OECD/DAC)、支出純額ベース)
- (1)ドイツ(617.93)
- (2)フランス(587.85)
- (3)米国(80.57)
- (4)日本(61.09)
- (5)スペイン(35.23)
2 日本の援助(2021年度までの累積)
- (1)有償資金協力 3324.49億円(借款契約ベース)
- (2)無償資金協力 379.22億円(交換公文ベース)
- (3)技術協力 413.82億円(予算年度の経費実績ベース)
3 経済協力概況
- 日本は、「質の高い成長の促進及び中東・アフリカ地域の安定化への貢献」を基本方針とし、ア 経済競争力の強化、イ 包摂性及び持続性に配慮した社会開発の促進、ウ 南南協力の促進を重点分野とし、円借款供与、無償資金協力及び研修や専門家派遣、技術協力プロジェクト、第三国研修の技術協力を実施している。青年海外協力隊派遣は1967年から実施している。
4 最近の主要案件
二国間関係
1 政治関係
- (1)1956年6月19日に日本はモロッコの独立を承認し、1961年10月1日に在モロッコ大使館を開設した。モロッコは1965年11月5日に在本邦大使館を開設。
- (2)日本とモロッコは、1956年の外交関係樹立以来、伝統的に良好な関係にある。今後も一層の相互理解と交流によって率直な政治対話関係を構築し、経済協力・交流関係の促進を目指す。
- (3)2009年以来、「日・モロッコ合同委員会」が、日本、モロッコで開催され、二国間関係全般、地域情勢等について幅広い意見交換が行われている。
- 2009年10月 第1回日・モロッコ合同委員会(於:東京)
- 2011年3月 第2回日・モロッコ合同委員会(於:ラバト)
- 2014年3月 第3回日・モロッコ合同委員会(於:ラバト)
- 2018年4月 第4回日・モロッコ合同委員会(於:東京)
- 2020年1月 第5回日・モロッコ合同委員会(於:ラバト)
- (4)2011年3月の東日本大震災につき、在京モロッコ大使館のイニシアティブで会津若松市に支援ミッションが派遣され、食料や物資の提供が行われた。
- (5)2023年9月、日本は、モロッコ中部において発生した地震により、甚大な被害が発生していることを受け、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じて、一時的避難施設や食料等、現地のニーズを踏まえた支援活動として200万ドルの緊急無償資金協力の実施を決定。また、これに加えて、ジャパン・プラットフォーム(JPF)を通じ、日本のNGOによる100万ドルの支援を行うことも決定。
2 経済関係
- (1)貿易額・主要貿易品目(2022年、財務省貿易統計)
- 対日輸出 約601億円 魚介類(タコ、マグロ、イカ等)、衣類、肥料、燐鉱石関連
- 対日輸入 約310億円 自動車、電気回路等機器・半導体等電子部品
- (2)日本からの直接投資額(単位:万ドル) (2018年、モロッコ為替局)
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 170 334 4 110 43 845 1230 73 16436 - (3)駐日モロッコ大使館は、JICA、JETRO、UNIDO及び中東協力センターの協力を得て、ほぼ毎年東京や地方各都市でモロッコ経済投資セミナーを開催して好評を博している。
また、2009年12月に東京で開催された第1回日・アラブ経済フォーラムには、エネルギー担当大臣を団長とするモロッコ代表団が参加し、太陽エネルギー利用による発電の利用促進等に関して日本との協力を呼びかけた。その後2010年9月には、官民合同太陽エネルギーミッションが来訪し、太陽エネルギー発電技術についてのワークショップ等を実施。2010年12月にチュニジアで開催された第2回同フォーラムのマージンでは、「二国間太陽エネルギー協力包括協定」が締結された。
2020年1月、鈴木馨祐外務副大臣とジャズリ外務・アフリカ協力・在外モロッコ人大臣付在外モロッコ人担当特命大臣との間で、日・モロッコ投資協定及び日・モロッコ租税条約に署名、2022年4月発効。
2020年2月には、中谷真一外務大臣政務官を団長とする「アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション」を派遣。モロッコに対しては2017年に続き2回目の派遣となり、民間企業25社(商社、メーカー、銀行等)、独立行政法人等から、約30名が参加。
2023年2月28日、ジェトロは、モロッコのカサブランカにおいて、「日・モロッコ ビジネスフォーラム」を開催。投資・公共政策統合・評価省、モロッコ投資貿易開発庁(AMDIE)、モロッコ経団連(CGEM)との共催で実施し、両国の官民関係者ら約200人が参加した。 - (4)日系企業数は順調に増加しており、現時点で70社が進出。日系企業全体で5万人雇用創出。
- (5)日本の観光客数は、欧米における大規模テロ事件の影響を受けた2011年や2015年を除き、約2~3万人前後の水準を推移していた。主な邦人旅行者は、団体ツアー客及び若者の個人旅行者であったが、冬季を中心に欧州在住の邦人観光客も増えていた。しかし2020年3月以降は、新型コロナウイルス感染拡大により大幅に観光客の往来は低迷し、2022年4月以降は徐々に増加傾向となっている。
3 文化関係
- (1)毎年、国費留学生の受入れの他、文化人招聘及び派遣等を実施。
- (2)モハメッド5世大学を始めとする4機関で日本語講座が開かれており、民間においても7機関で日本語講座が開設されている。
- (3)大使館の事業として各種文化事業を実施。2016年は日モロッコ外交関係樹立60周年を記念した各種文化人招へいや展示会など様々な文化事業を実施した。
4 在留邦人数
352名(2022年10月、海外在留邦人人数調査統計)
5 在日当該国人数
694名(2022年12月、在留外国人統計)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1987年6月 | 倉成正外務大臣(二国間訪問) |
1991年9月 | 皇太子殿下(モロッコ招待で訪問) |
1994年4月 1995年10月 |
羽田孜外務大臣(GATT閣僚級会合出席) 福田外務政務次官(中東・北アフリカ・サミット出席) |
1996年5月 | 高円宮同妃両殿下 |
1997年3月 | 南原日本輸出入銀行副総裁 |
1997年4月 | 西垣海外経済協力基金(OECF)総裁 |
1997年7月 | 衆議院代表団(団長:渡辺恒三副議長) 小杉隆文部大臣 |
1998年8月 | 高村正彦外務政務次官 長瀬海外経済協力基金(OECF)副総裁 |
1999年1月 | 中川昭一農林水産大臣 藤田公郎JICA総裁 |
1999年7月 | 高円宮殿下、橋本龍太郎前総理大臣(故ハッサン2世国王葬儀参列) |
1999年8月 | 衆議院議運委員会議員団(団長:中川秀直委員長) |
2000年6月 | 高円宮同妃両殿下 |
2000年7月 | 東JICA副総裁 |
2000年9月 | 石破茂農林水産政務次官 参議院議員団(団長:菅野久光参議院副議長) |
2000年10月 | 保田博JBIC総裁 |
2001年11月 | 川口順子環境大臣、植竹繁雄外務副大臣(COP7マラケシュ会合出席) |
2002年3月 | 瓦力衆議院議員他(列国議会同盟(IPU)マラケシュ会合出席) 広海JICA副総裁 |
2002年4月 | 畠山襄JETRO理事長 |
2002年5月 | 片山善博総務大臣 松浪健四郎外務大臣政務官 |
2002年9月 | 小坂憲次衆議院議員、小此木八郎衆議院議員 片山善博総務大臣(国際電気通信連合(ITU)全権委員会議出席) |
2003年6月 | 太田豊秋農林水産副大臣 |
2004年5月 | 森義朗前総理大臣、杉浦正健衆議院議員、山本明彦衆議院議員 |
2004年8月 | 町村信孝衆議院議員、渡海紀三朗衆議院議員 |
2004年12月 | 逢沢一郎外務副大臣、上田勇財務副大臣(未来のためのフォーラム出席) |
2005年4月 | 河井克之外務大臣政務官 |
2006年8月 | 金田勝年外務副大臣 |
2007年5月 | 矢野哲朗参議院国会対策委員長、山内俊夫参議院議員、二之湯智参議院議員 |
2007年8月 | 西村康稔衆議院議員、山際大志郎衆議院議員 古田肇岐阜県知事 |
2008年2月 | 中山泰秀外務大臣政務官 |
2009年1月 | 矢野哲朗参議院議員 |
2009年11月 | 武正公一外務副大臣(拡大中東・北アフリカ(BMENA)構想「未来のためのフォーラム」第6回閣僚級会合出席) |
2009年12月 | 参議院議員団(団長:山東昭子参議院副議長)(モロッコ参議院招待) |
2010年6月 | 舟山康江農林水産大臣政務官(国際捕鯨委員会(IWC)年次会合出席) |
2010年12月 | 林康夫JETRO理事長 |
2012年5月 | 玄葉光一郎外務大臣(二国間会談、第四回TICAD閣僚級フォローアップ会合共同議長) |
2012年12月 | 浜田和幸外務大臣政務官(シリア・フレンズ閣僚会合出席) 石毛博行JETRO理事長 |
2013年5月 | 小坂憲次・日モロッコ友好議連会長 山口俊一財務副大臣 |
2014年3月 | 岸信夫外務副大臣(第3回日・モロッコ合同委員会) |
2014年7月 | 田中明彦JICA理事長 |
2014年8月 | 松山政司参議院議員、大野元裕参議院議員、大沼みずほ参議院議員 |
2014年9月 | 鶴保庸介参議院議員(大西洋岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会合(COMHAFAT)第9回閣僚会合出席) |
2015年8月 | 薗浦健太郎外務大臣政務官 |
2016年5月 | 林幹雄経済産業大臣、武藤容治外務副大臣(第4回日本アラブ経済フォーラム出席) |
2016年8月 | 滝沢求外務大臣政務官 |
2016年8月 | 佐藤勉党国会対策委員長 |
2016年11月 | 山本公一環境大臣(国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)出席) |
2016年11月 | 北川衆議院議員、田島衆議院議員、酒井参議院議員、武田参議院議員(IPU出席) |
2017年1月 | 伊達忠一参議院議長 |
2017年1月 | 北岡伸一JICA理事長 |
2017年5月 | 武井俊輔外務大臣政務官(アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション) |
2017年8月 | 中曽根弘文・日モロッコ友好議連会長 |
2017年9月 | 金子原二郎参議院議員、髙階恵美子参議院議員、青山繁晴議員参議院議員、森本真治参議院議員、浅田均参議院議員(参議院重要事項調査第2班) |
2017年11月 | 北岡伸一JICA理事長 |
2017年12月 | 佐藤正久外務副大臣 |
2018年1月 | 牧野たかお国土交通副大臣 |
2018年6月 | 伊藤忠彦環境副大臣(「アフリカきれいな街プラットフォーム」第1回年次総会) |
2018年10月 | 濱村進農林水産大臣政務官(第2回国際獣疫事務局(OIE)薬剤耐性及び動物における抗菌剤の慎重使用に係る世界会議) |
2018年12月 | 鈴木憲和外務大臣政務官(国連移住グローバル・コンパクト採択会合) |
2018年12月 | 河野太郎外務大臣 |
2019年9月 | 日・モロッコ友好議員連盟(中曽根弘文参議院議員(会長)、羽田雄一郎参議院議員(事務局長)、鶴保庸介参議院議員、森まさこ参議院議員、渡辺猛之参議院議員)(モロッコ参議院招待) |
2019年9月 | 増子輝彦参議院議員、末松義規参議院議員(人口・開発アジア・アラブ議員会議) |
2020年1月 | 鈴木馨祐外務副大臣(第5回日・モロッコ合同委員会) |
2020年2月 | 中谷真一外務大臣政務官(アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション) |
2022年5月 | 武部新農林水産副大臣 |
2022年6月 | 大家敏志財務副大臣(第31回欧州復興開発銀行年次総会) |
2022年12月 | 山田賢司外務副大臣 |
2022年2月 | 佐々木伸彦JETRO理事長 |
2023年10月 | 鈴木俊一財務大臣(第78回世界銀行・IMF年次総会) |
年月 | 要人名 |
---|---|
1987年3月 | シディ・モハメッド皇太子(現国王)(公式訪問賓客) |
1989年2月 | シディ・モハメッド皇太子(大喪の礼) |
1990年11月 | ムーレイ・ラシッド王子(即位の礼) |
1995年10月 | サヘル漁業・海運相 |
1995年12月 | ファシ・フィフリ外務・協力長官(外務省賓客) |
1997年10月 | ムーサッダク大蔵相付商・工・手工業担当(TICAD・準備会合出席) |
1998年6月 | タグーアン設備相 |
1998年9月 | カイアリ農業・農村・漁業開発相付漁業担当特命相 |
1998年10月 | タイブ外務・協力省事務次官(TICAD II) |
1999年2月 | ラディ衆議院議長(我が方衆議院議長招待) |
2000年2月 | エッサイド参議院議長(我が方参議院議長招待) |
2001年9月 | シバートゥ漁業相 |
2001年12月 | ファシ・フィフリ外務国務長官(TICAD閣僚レベル会合出席) シュクルーニ女性・家族・児童・障害者担当特命相 (第2回児童の商業的搾取に反対する世界会議出席) |
2002年1月 | ベナイッサ外務・協力相(アフガニスタン復興閣僚会議出席) |
2002年4月 | ラフリミ・アラミ社会経済・中小企業・手工業相 |
2002年6月 | ハッジ郵政・通信技術・情報担当国務長官 |
2003年3月 | ムーレイ・ラシッド王子(第3回世界水フォーラム) |
2003年3月 | ラエンセル農業・農村開発相 |
2003年9月 | ブフラル外務事務次官(TICAD III) |
2004年11月 | メシャホリ貿易相(TICAD IIIアジア・アフリカ貿易投資会議出席) |
2005年2月 | ララ・サルマ王妃及びムーレイ・アル・ハッサン皇太子(非公式) |
2005年3月 | ララ・アミナ王女(長野スペシャル・オリンピックス) |
2005年6月 | ララ・サルマ王妃(愛・地球博賓客、モロッコ・ナショナルデー(7月1日)に参加) アシャアリ文化相 |
2005年11月 | モハメッド六世国王(国賓)(ベナイッサ外務・協力相他閣僚同行) |
2006年4月 | ラエンセル農業・農村開発相 |
2006年6月 | ベナイッサ外務・協力相(日・モロッコ政策協議出席) |
2006年7月 | ブサイド公共部門近代化担当相 |
2008年5月 | エル・ファシ首相(TICAD IV出席) |
2008年10月 | シャミ商工業・新技術相(我が国招待) |
2009年12月 | ベンハドラ・エネルギー・鉱山・水利・環境相(第1回日・アラブ経済フォーラム出席) |
2010年3月-4月 | アハヌッシュ農業・海洋漁業相(我が国招待) |
2012年3月 | エル・オトマニ外務・協力相(外務省賓客) |
2012年10月 | バラカ経済・財務相 |
2013年6月 | エル・オトマニ外務・協力相(TICAD V) |
2013年6月 | アマラ産業・商業・新技術相 |
2013年12月 | ブーアイダ外務・協力相付特命相、ブーハドゥード商工業・投資・デジタル経済相付商工業担当特命相(第3回日・アラブ経済フォーラム) |
2014年8月 | ラバハ設備・運輸・ロジスティクス相 |
2014年9月 | ビアディラ参議院議長 アハヌッシュ農業・海洋漁業相 |
2014年11月 | ララ・ハスナ王女(ESDに関するユネスコ世界会議2014) |
2016年5月 | エル・アラミ産業・貿易・投資・デジタル経済相 |
2016年9月 | アブドゥルカデル・アマラ・エネルギー・鉱山・水利・環境相 |
2017年5月 | べンシャマシュ参議院議長 |
2017年10月 | エル・アラミ産業・貿易・投資・デジタル経済相 エル・フェルダウス産業・貿易・投資・デジタル経済大臣付投資担当閣外相 |
2018年2月 | ブーアイダ農業・海洋漁業・地方開発・水・森林大臣付海洋漁業担当閣外相 |
2018年4月 | ブセッタ外務・国際協力大臣付閣外相 |
2018年5月 | エル・フェルダウス産業・貿易・投資・デジタル経済大臣付投資担当閣外相 |
2018年10月 | ジャズリ外務・国際協力大臣付アフリカ協力特命相(TICAD閣僚会合) |
2018年11月 | ララ・ハスナ王女(2018年度五井平和賞受賞式) |
2019年6月 | エル・アラミ産業・貿易・投資・デジタル経済相 エル・フェルダウス産業・貿易・投資・デジタル経済大臣付投資担当閣外相 |
2019年8月 | ブリタ外務・国際協力相、ジャズリ外務・国際協力大臣付アフリカ協力特命相(TICAD7) |
2019年10月 | ムーレイ・ラシッド王子(即位の礼) |
2019年12月 | アブダラ・ジャナティ・モロッコ食品衛生規制庁長官 |
2022年6月 | モフシン・ジャスリ首相付投資・公共政策統合評価担当特命大臣 |
2022年9月 | アズィズ・アハヌーシュ首相(故安倍元総理国葬出席) |
2022年10月 | ファティマ・ザハラ・アンムール観光・手工芸・社会連帯経済大臣(ぎふワールド・ローズガーデン開園式典) |
2023年3月 | ラシード・ダールビー・エル・アラミー衆議院議長 |
2023年4月 | リアド・ムッズール産業貿易大臣 |
2023年9月 | アブドゥッラティーフ・ミーラーウィー高等教育・科学研究・イノベーション大臣(STSフォーラム・科学技術大臣会合) |
7 二国間条約・取極
- 1960年 貿易取極
- 1967年 青年海外協力隊派遣取極
- 1985年 漁業協定
- 2020年 日モロッコ投資協定・租税条約
8 二国間交流
- 日本・モロッコ友好議員連盟(会長 中曽根弘文参議院議員)
- モロッコ・日本友好議員連盟(会長 ラフスィン・アズーガーグ衆議院議員)
- 日本・モロッコ協会(会長 広瀬晴子元駐モロッコ大使)
- モロッコ・日本友好協会(会長 ゲラウイ元エネルギー・鉱山相)