モルドバ共和国

基礎データ

令和5年4月12日
モルドバ共和国国旗

一般事情

1 面積

3万3,843平方キロメートル(九州よりやや小さい)

2 人口

259.7万人(2021年:モルドバ国家統計局。トランスニストリア地域の住民を除く)

3 首都

キシナウ

4 民族

モルドバ(ルーマニア系)人(75.1%)、ウクライナ人(6.6%)、ロシア人(4.1%)、ガガウス(トルコ系)人(4.6%)等(2014年:モルドバ国勢調査)

5 言語

ルーマニア語。ロシア語も一般に通用。

6 宗教

キリスト教(正教)等

7 略史

年月 略史
1349年 ボグダニア公国建国(後のモルダヴィア公国)
1457年 シュテファン大公即位(~1504年)、モルダヴィア公国の最盛期
1512年 オスマン帝国の宗主権下に
1792年 ヤシ条約(現在のトランスニストリア地域がオスマン帝国からロシアに割譲)
1806年 露土戦争(1812年、ブカレスト条約によりベッサラビア(現在のモルドバ共和国に概ね相当)がロシア領に編入)
1917年 ロシア革命、人民投票によりソヴィエトへの併合を決議
1918年 ルーマニアがベッサラビアを占領(1920年、パリ条約によりルーマニアの領有を承認)
1940年 ソ連がベッサラビアを占領し、モルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国を創設(1947年、パリ条約によりベッサラビアのソ連への委譲を承認)
1991年8月27日 モルドバ共和国独立宣言
1991年12月21日 独立国家共同体創設協定議定書に署名
1992年 トランスニストリア紛争

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

マイア・サンドゥ大統領(任期4年)(Maia Sandu

3 議会

一院制(定数101名、任期4年)

4 政府

  • (1)首相 ドリン・レチェアン(Dorin Recean
  • (2)外務 ニク・ポペスク副首相兼外務・欧州統合相(Nicu Popescu

5 内政

(1)政治情勢
 2001年から2期連続で親露の共産党が政権を担った後、2009年7月以降は、欧州統合路線を目指す政党が政権を握ってきた。2019年2月の議会選挙の後には、これまでの既得権益を排除する目的で親欧州の選挙ブロックACUMと親露の社会党が連立交渉を妥結させ、サンドゥACUM共同議長を首班とする内閣が発足した。しかし、政権運営を巡ってACUMと社会党の対立が顕在化。2019年11月、連立与党の社会党が野党と協力してサンドゥ内閣に対する内閣不信任決議案を採択。同月、社会党が中心となって、キク内閣を発足させた。2020年11月、大統領選挙において、モルドバ社会に根付く汚職体質や長引く経済的困難など現状からの「変革」を訴えたサンドゥ元首相が現職のドドン大統領を破り当選。大統領選挙で示された民意を背景にサンドゥ大統領は議会を解散に追い込み、前倒し議会選挙を実施。その結果、サンドゥ大統領が実質的に率いる「行動と連帯党」(PAS)が単独過半数を獲得した。
(2)トランスニストリア問題
 ロシア系住民が入植し、ロシア軍の駐留するトランスニストリア地域が1990年9月に「独立」を宣言し、1992年には本格的な武力紛争に発展(トランスニストリア紛争)。現在は停戦状態にあるが、モルドバ政府の実効支配が及んでいない。問題解決に向けた枠組として、当事者・仲介者であるモルドバ、トランスニストリア地域、ロシア、ウクライナ、OSCEに、オブザーバーの米国、EUを加えた「5+2」協議があり、教育、運輸、電話通信、環境等の分野での協力に関する合意文書が署名され、日常的に生じる問題解決に取り組んでいるが、根本的な問題解決の目処は立っていない。

外交・国防

1 外交基本方針

 憲法に中立主義が明記されている。ロシアによるウクライナ侵攻後、2022年6月にEU加盟候補国に認定された。歴史的につながりの深いルーマニアやその他EU諸国及び米国との関係を重視。エネルギー分野では従来、ロシアに大きく依存していたが、2022年のロシアによるウクライナ侵略を契機として明確にEU加盟を目指す方針を示すことでロシアとの関係が緊張し、ロシアがモルドバに対するガス供給を大幅に削減している。

2 軍事力

 地上軍と空軍で構成。地上軍は歩兵部隊を中心に約3,250名。空軍は約600名で輸送機、ヘリコプターを保有。徴兵制を維持。(出典:ミリタリー・バランス2022)
 なお、トランスニストリア地域は、「政府軍」として「陸軍」を保有。同地域には共同平和維持部隊要員を含め約1,500名のロシア軍部隊が駐留。ロシア軍部隊とは別に数千名と言われるトランスニストリア軍も存在する。

経済

1 主要産業(産業別構造比)

卸・小売業(14.9%)、農林水産業(10.4%)、製造業(9.4%)、建設業(8.2%)、不動産(7.0%)情報通信(5.5%)(2021年:モルドバ国家統計局)

2 GDP

137億ドル(2021年:IMF)

3 一人当たりGDP

5,280ドル(2021年:IMF)

4 経済成長率

+13.9%(2021年:IMF)

5 物価上昇率

5.1%(2021年:IMF)

6 失業率

3.5%(2021年:IMF)

7  総貿易額(2021年:モルドバ国家統計局)

(1)輸出
31.4億ドル
(2)輸入
71.8億ドル

8 主要貿易品目(2021年:モルドバ国家統計局)

(1)輸出
食品・家畜、機械・設備、繊維製品、原材料(脂肪種子、油性果実等)、加工品、酒・タバコ
(2)輸入
機械・設備、加工品(金属、非金属、ゴム等)、原料(石炭、石油、天然ガス等)、化学品(製薬品等)、繊維製品、食品・家畜

9 主要貿易相手国(2021年:モルドバ国家統計局)

(1)輸出
ルーマニア(26.5%)、トルコ(10.0%)、ロシア(8.8%)
(2)輸入
ロシア(14.7%)、中国(11.7%)、ルーマニア(11.6%)

10 通貨

モルドバ・レイ(MDL)

11 為替レート

1米ドル=19.38レイ(2022年12月現在:モルドバ中央銀行)

12 経済概況

 農業・食品加工業以外の基幹産業に乏しい。産業の国際競争力強化に取り組んでいる。

経済協力

1 主要ドナーの対モルドバ経済協力実績(2019年 支出総額ベース 単位百万ドル)

  • (1)米国(39.11)
  • (2)スウェーデン(16.37)
  • (3)スイス(15.98)
  • (4)ドイツ(13.96)
  • (5)チェコ(4.53)
  • (6)日本(0.96)

2 日本の援助(2020年までの累計)

(1)有償資金協力 79.85億円(借款契約ベース)
(2)無償資金協力 85.91億円(交換公文ベース)
(3)技術協力 25.93億円(予算年度の経費実績ベース)

3 最近の主要案件

二国間関係

1 政治関係

 ロシアによるウクライナ侵略を受け、モルドバが人口比で特に多くのウクライナ避難民を受け入れていることに鑑み、基本的価値を共有するモルドバと引き続き緊密に連携し、日本としてモルドバを継続的に支援している。2022年には、ガブリリツァ首相(9月、故安倍晋三国葬儀出席)及びサンドゥ大統領(12月、WAW!出席)が来日する等、人的交流が拡大した。

  • (1)国家承認日 1991年12月28日
  • (2)外交関係開設日 1992年3月16日
  • (3)在モルドバ日本大使館開館日 2016年1月1日

(在日モルドバ大使館は2015年12月8日に開館)

2 経済関係

(1)我が国の対モルドバ貿易(2021年:財務省貿易統計)
(ア)輸出
6.4億円
(イ)輸入
21.8億円
(2)主要品目(2021年:財務省貿易統計)
(ア)輸出
機械類及び輸送用機器、一般機械、鉱物性燃料、農業用機械
(イ)輸入
衣類、履き物、食料品(ぶどう酒等)

3 在留邦人数

33名(2022年11月)

4 在日当該国人数

173名(2019年12月)

5 要人往来

(1)往(1996年以降)
年月 要人名
1996年6月 枝村外務省参与
2014年8月 牧野外務大臣政務官
2015年9月 木村太郎内閣総理大臣補佐官
2016年9月 滝沢外務大臣政務官
(2)来(1992年以降)
年月 要人名
1992年10月 ツユ外相(旧ソ連支援東京会議出席のため)
1997年10月 マグデイ保健相、ブラギシ経済改革次官(民間招待)
1997年12月 グツ副首相兼経済改革相
1999年1月 タバカル外相(公式訪問)
2001年1月 ブマコフ農業次官
2001年6月 ゲルマン保健相(無償資金協力条件の入札参加のため)
2002年3月 ミロネスク農業食品産業省第一次官
2003年2月 イアシンスチ農業食品産業省次官
2004年5月 スピヴァチェンコ農業第一次官
2006年3月 キストゥルーガ外務欧州統合省次官
2006年12月 ドドン経済貿易相
2008年1月 ストラタン副首相兼外務・欧州統合相
2012年3月 ポポフ外務・欧州統合省次官
2013年1月 ウサトゥイ保健相
2014年3月 ブマコフ農業・食品産業相
2015年8月 スラ農業・食品産業相
2018年7月 ウリアノブスキ外務・欧州統合相
2018年10月 バブク教育・文化・研究相
2019年10月 ドドン大統領(即位の礼正殿の儀参列)
2022年9月 ガブリリツァ首相及びブディアンスキ財務大臣(故安倍晋三国葬儀参列)
2022年12月 サンドゥ大統領(WAW!出席)

6 二国間の条約・取極等

1998年6月
日ソ間で結んだ条約の承継を確認
2008年5月
技術協力協定
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