モーリタニア・イスラム共和国
モーリタニア・イスラム共和国(Islamic Republic of Mauritania)
基礎データ


一般事情
1 面積
103万平方キロメートル(日本の約2.7倍)
2 人口
517万人(2024年 世銀)
3 首都
ヌアクショット
4 民族
モール人、アフリカ系
5 言語
アラビア語(公用語、国語)、プラール語、ソニンケ語、ウォロフ語(いずれも国語)
なお、実務言語としてフランス語が広く使われている。
6 宗教
イスラム教(国教)
7 国祭日
11月28日(独立記念日)
8 略史
年月 | 略史 |
---|---|
15世紀- | アラブ系民族による支配 |
1902年 | フランスによる支配の開始 |
1904年 | フランス領 |
1945年 | フランス連合植民地 |
1958年 | 自治宣言 |
1960年 | フランスより独立(ダダ初代大統領) |
1978年 | クーデター、特別軍事政権成立 |
1984年 | クーデター、タヤ参謀総長政権掌握 |
1992年 | タヤ大統領選出 |
1997年 | タヤ大統領再選 |
2003年11月 | タヤ大統領三選 |
2005年8月 | タヤ大統領不在時に軍事クーデター 軍部暫定政権発足 |
2007年3月 | アブダライ大統領選出 |
2008年8月 | クーデター、軍事政権発足、アブデル・アジズ将軍が政権掌握 |
2009年7月 | 大統領選挙、アブデル・アジズ大統領選出 |
2014年6月 | 大統領選挙、アブデル・アジズ大統領再選 |
2017年8月 | 憲法改正のための国民投票実施 |
2019年6月 | 大統領選挙、ガズワニ大統領選出 |
2024年6月 | 大統領選挙、ガズワニ大統領再選 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
モハメド・ウルド・シェイク・エル・ガズワニ(Mohamed Ould CHEIKH EL GHAZOUANI)大統領(2024年6月の大統領選挙により再選、任期5年)
3 議会
一院制(国民議会)
4 政府
- (1)首相 エル・モクタール・ウルド・ジャイ(El Moctar Ould DJAY)
- (2)外相 モハメド・サレム・ウルド・メルズーグ(Mohamed Salem Ould MERZOUG)
5 内政
2005年8月の軍事クーデター後、19か月に亘る民政移管プロセスを経て、アブダライ政権が発足。しかし、2008年8月、クーデターが発生し、アブデル・アジズ将軍が国家高等評議会議長に就任。国際社会の仲介により、あらゆる政党が参加する大統領選挙が実施され、アブデル・アジズ大統領が選出された。2014年6月の大統領選挙においても平和裡かつ透明性のある選挙が実施され、同大統領が82%の得票率で再選された。
2019年6月の大統領選挙では、当時国防大臣であったガズワニ大統領が選出。2024年6月の大統領選挙でも現職の同大統領が再選され、現在2期目(任期5年)。
2019年以降、民主主義に基づいた安定した国家運営を続けており、2011年を最後に国内でのテロ攻撃は発生しておらず安定。引き続き、長大な国境線を有する当国の国防や国内治安の安定維持は、ガズワニ政権でも優先課題のひとつである。
なお現在のガズワニ政権2期目では、特に若者の職業訓練や雇用創出の促進等人的資本の育成に力を入れている。また、情勢が不安定な周辺国からの大量の移民や難民の流入が近年急速に増加しており、社会問題となっている。これに対しモーリタニア政府は、移民・難民に対して、国内での社会統合を重視するなどの政策をとってきているが、こうした政策方針が長期的には公的財政に負荷を与え得るとの指摘もある。
外交・国防
1 外交方針
非同盟を軸として穏健中立を貫くとともに、全方位外交を掲げ、欧米諸国や中露、またアラブ連盟やマグレブ連盟(AMU)のメンバーとしてイスラム諸国との域内協力に積極姿勢を示す等友好関係を築いている。サヘル諸国の不安定化に対しては、2014年、G5サヘル事務局をヌアクショットに設置し、地域のテロ脅威に対する合同軍を主導。2024年にはアフリカ連合(AU)議長国を務めた。
2 軍事力(2023年、出典:ミリタリー・バランス2024)
- (1)予算 2.44億ドル
- (2)兵役 志願制(2年間)
- (3)兵力 15,850人(陸軍15,000、海軍600、空軍250)
経済
1 主要産業
水産業、鉱業(鉄鉱石、貴金属等)、農業
2 GDP
108億ドル(2024年、世銀)
3 一人当たりGNI
2,090ドル(2024年、世銀)
4 経済成長率
5.2%(2024年、世銀)
5 物価上昇率
2.49%(2024年、世銀)
6 失業率
10.4%(2024年、世銀)
7 総貿易額(2024年、ITC)
- (1)輸出 41.50億ドル
- (2)輸入 48.18億ドル
8 主要貿易品目(2024年、ITC)
- (1)輸出 鉄鉱石、貴金属、魚介類
- (2)輸入 鉱物性燃料、機械類、糖類、車両部品等
9 主要貿易相手国(2024年、ITC)
- (1)輸出 カナダ、中国、スイス
- (2)輸入 アラブ首長国連邦、スペイン、中国
10 通貨
ウギア(MRU)
11 為替レート
1ドル=39.97ウギア(2024年8月27日、モーリタニア中央銀行)
12 経済状況
経済は、農業、漁業及び牧畜を基盤とし、外貨収入は水産物(タコ及びイカ)及び鉄鉱石の輸出に依存。
2006年にシンゲッティ油田で石油生産を開始するも国家予算に占める石油の割合は、1.2%に過ぎない(2010年)。2018年1月より通貨ウギアを一桁切り下げるデノミネーションが行われた。
2025年よりモーリタニアとセネガルの両海域をまたぐ海底ガス田「グラン・トルチュー・アハメイム(GTA)」の液化天然ガス(LNG)の生産が開始された。同プロジェクトは、BPとコスモス・エナジーに加え、セネガル石油公社ペトロセンとモーリタニア炭化水素会社(SMH)によって開発されており、年間約230万トンのLNGの生産が見込まれている。
経済協力
1 日本の援助実績(単位:億円)(2022年度までの累積)
- (ア)有償資金協力(借款契約ベース) 110.84
- (イ)無償資金協力(E/N(交換公文)ベース) 592.36
- (ウ)技術協力(JICAベース) 75.09
2 主要援助国(2021年)(支出総額ベース、百万ドル単位)
- 1 フランス(26.54)、
- 2 ドイツ(22.03)、
- 3 米国(20.64)、
- 4 スペイン(16.14)、
- 5 日本(8.13)
二国間関係
1 政治関係
1960年にモーリタニアがフランスから独立したことを受け、同年11月29日、日本は同国との国交開始。モーリタニアは1989年7月、在京大使館開設。日本は、2009年7月の大統領選挙の実施を踏まえ、同年8月に政府承認を行ったことにより、同年12月1日に在モーリタニア日本国大使館を開館。
2 経済関係
(1)対日貿易
- (ア)貿易額(2024年)(日本財務省貿易統計)
- 対日輸出 196.7億円
- 対日輸入 37.8億円
- (イ)主要品目
- 対日輸出 水産物(たこ等)、鉄鉱石等
- 対日輸入 ゴム製品、原動機(船舶、自動車)、建機
(2)進出日系企業
2社(2024年4月)
3 文化関係
ヌアクショット国立博物館に文化遺産保護・展示体制強化のため機材供与(文化無償)
4 在留邦人数
26名(2024年10月現在)
5 在日当該国人数
28名(2024年12月現在)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
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2004年8月 | 村田吉隆衆議院議員、北村誠吾衆議院議員(日・AU議連訪問団) |
2006年8月 | 伊藤外務大臣政務官 |
2007年4月 | 浜田外務大臣政務官(総理大臣特使)(大統領就任式) |
2011年1月 | 菊田外務大臣政務官 |
2014年8月 | 北村誠吾衆議院議員(総理大臣特使)(大統領就任式) |
2019年2月 | 佐藤外務副大臣 |
2024年1月 | 山際大志郎衆議院議員、牧原秀樹衆議院議員(日・AU議連訪問団) |
年月 | 要人名 |
---|---|
1989年2月 | シディヤ外務・協力相(大喪の礼) |
1990年11月 | ディディ外務・協力相(即位の礼) |
1993年10月 | シディ計画相(第1回アフリカ開発会議(TICAD)) |
1993年11月 | ダー漁業海洋経済相 |
1995年9月 | ヴァル労働青年スポーツ相(福田元総理葬儀参列) |
1997年1月 | シディア計画相、ネム漁業海洋経済相(水産調査船引渡式) |
1998年10月 | ナジ経済開発相(TICAD II) |
2001年2月 | ザメル漁業相 |
2001年12月 | フメイド経済財政相(TICAD閣僚レベル会合) |
2003年3月 | メルズグ・セネガル川開発機構(OMVS)事務局長(元モーリタニア水利相)(世界水フォーラム) |
2003年9月 | モハメッド・ウルド・マーウヤ経済・開発省次官(TICAD III) |
2004年6月 | ムンバレ漁業・海洋経済相 |
2005年7月 | ベラル外務・協力相 |
2006年7月 | モハメド・アリ・エネルギー・石油相 |
2007年8月 | レミン外務・協力相 |
2007年9月 | スマレ漁業相 |
2008年5月 | アブダライ大統領、フナ外務・協力相、ヴェザス経済・財政相(TICAD IV) |
2009年12月 | ヴダー産業鉱業相、ハンマーディー投資促進庁長官(第1回日・アラブ経済フォーラム) |
2010年10月 | フッセイヌー環境相(生物多様性条約 COP10) |
2010年12月 | エイー漁業相(海外漁業協力財団) |
2011年11月 | ハマディ外相(外務省賓客) |
2011年11月 | バー保健相 |
2012年10月 | ターハ経済・開発相(IMF・世銀総会) |
2013年6月 | ハマディ外務・協力大臣、ターハ経済・開発相(TICAD V) |
2014年3月 | アメディ・カマラ環境・持続可能な開発相 |
2018年10月 | イスマイール外務・協力相(TICAD閣僚会合) |
2019年8月 | シェイク・シディヤ首相(TICAD7) |
2022年12月 | ラム投資促進庁長官(国際女性会議WAW !2022) |
2023年1月 | マイーフ漁業・海洋経済相 |
2023年1月 | カーン経済・産業部門促進相 |
2024年7月 | ラム漁業・海洋経済相(日・アラブ経済フォーラム) |
2024年8月 | メルズーグ外相(TICAD閣僚会合) |
2025年4月 | ブー経済・財務相 |
2025年8月 | ガズワニ大統領、シュルーカ大統領官房長大臣、ブー経済・財務相、アフメド・ルーリー漁業・海洋インフラ・港湾インフラ相、マウルード水利・衛生相(TICAD 9) |
7 二国間条約・取極
- 技術協力協定(2007年12月)