モルディブ共和国

基礎データ

令和7年4月18日
モルディブ共和国国旗

一般事情

1 面積

298平方キロメートル(全島総計。東京23区の約半分)。1192の島々より成る。

2 人口

51.5万人(2022年モルディブ政府資料)
(内訳は、モルディブ人38.3万人、外国人13.2万人。いずれもモルディブ在住の人口)

3 首都

マレ

4 民族

モルディブ人

5 言語

ディベヒ語

6 宗教

イスラム教

7 国祭日

7月26日(独立記念日)

8 略史

年月 略史
12世紀 イスラム化の進展
1558~1573年 ポルトガルの支配
17世紀 オランダ東インド会社の間接統治下に
1887年 英国保護領に
1965年 英国保護領から独立、国連加盟
1967年 日・モルディブ外交関係樹立
1968年 スルタン制を廃止し、共和制に
1985年 英連邦加盟
2005年 複数政党制を導入
2008年 新憲法制定
2016年 英連邦離脱を宣言
2020年 英連邦復帰

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

モハメド・ムイズ(H. E. Dr. Mohamed Muizzu)大統領

3 議会

  • 一院制(議席87:小選挙区制)

4 政府

  • (1)首相 なし
  • (2)外相 アブドゥッラ・カリール(H.E. Dr. Abdulla Khaleel)

5 略史

 約2000年前にスリランカと南インドからモルディブに移住した住民は仏教の影響下にあったが、1153年、イスラム教に改宗した。その後スルタン(イスラム国家の君主)が治めてきたが、16世紀にポルトガル、17世紀にオランダの支配下となった。1887年にイギリスの保護領となり、スリランカのコロンボにあった総督府から間接的に支配された。1965年7月26日に主権国家として独立し国連に加盟した。1968年にはスルタンによる世襲王制を廃止し、共和国となった。

 初代大統領イブラヒム・ナシールに代わり、1978年11月11日、マウムーン・アブドゥル・ガユーム大統領が就任。以降6期30年の間にモルディブは観光立国として成長する一方、その独裁的体制に批判が高まり、2004年以降の民主化改革の結果、2008年に民主的な新憲法が制定された。同年の大統領選挙では、ガユーム大統領との決選投票を制したナシード・モルディブ民主党(MDP)会長が大統領に選出された。

 2012年2月には、刑事裁判所裁判長の逮捕・拘束を発端とする与野党間対立の結果、ナシード大統領が辞任を表明し、憲法に従いワヒード副大統領が大統領に就任。大統領の任期満了に伴い、2013年11月に大統領選挙が実施され、アブドッラ・ヤーミン・アブドゥル・ガユーム大統領(モルディブ進歩党(PPM))が選出された。2014年3月に行われた議会選挙の結果、PPMが第1党となり、同党を中心に連立与党が成立した。

 2018年9月、ヤーミン大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施され、野党統一候補のイブラヒム・モハメド・ソーリフ大統領(モルディブ民主党(MDP))が選出された。2019年4月に実施された議会選挙の結果、MDPが大勝した。

 2023年9月、ソーリフ大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施され、PPMを始めとする野党連合のモハメド・ムイズ大統領(人民国民会議(PNC))が選出された。

外交・国防

1 外交基本方針

 独立以来非同盟中立政策を外交の基本方針とし、全ての国との良好な関係維持に努めている。

2 軍事力

  • (1)国防費 1.2億米ドル(2023年)
  • (2)兵役 志願制
  • (3)兵力 約4,000人、湾岸警備隊、海兵隊、消防救助隊等から成る国防軍を有する。

(出典:モルディブ政府資料)

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

漁業及び観光

2 名目GDP

65.9億米ドル(2023年世銀資料)

3 一人当たり名目GDP

12,530米ドル(2023年世銀資料)

4 GDP成長率

4.7%(2023年世銀資料)

5 消費者物価上昇率

2.9%(2023年世銀資料)

6 失業率

4.2%(2023年世銀資料)

7 総貿易額

  • (1)輸出 421百万米ドル(2023年世銀資料)
  • (2)輸入 3,497百万米ドル(2023年世銀資料)

8 主要貿易品目

  • (1)輸出 魚介類、水産加工物(2021年世銀資料)
  • (2)輸入 石油製品、通信機材、輸送用機械、建設資材(2021年世銀資料)

9 主要貿易相手国

  • (1)輸出 タイ、ドイツ、英国、インド、フランス(2022年モルディブ統計局)
  • (2)輸入 オマーン、インド、UAE、中国、シンガポール(2022年モルディブ統計局)

10 通貨

ルフィア

11 為替レート

  • 1米ドル=15.4ルフィア(2023年平均、モルディブ統計局)

12 経済概況

 経済の基盤は観光と水産業である。観光はGDPの21.5%(2023年)を占める主な外貨獲得源。1島1リゾート計画に基づき、全国1192島のうち159島がリゾート島となっている。

 2024年の観光客は205万人で、多い順に中国(26.3万人)、ロシア(22.5万人)、英国(18.2万人)である(日本は3.1万人)。
 水産業はGDPの3.8%(2023年)であるが、輸出産品の87%を占めている(2023年)。主な魚種はカツオ(水揚げ量の81%)及びマグロ(同18%)であり(2022年)、特産品としてかつお節も生産されている。

(出典)モルディブ統計局。

経済協力

援助の目的と意義
 モルディブは伝統的な親日国であり、我が国は国際場裡における協力などを通じて友好・協力関係を維持している。また、同国は我が国シーレーン上の要衝に位置し地政学的な重要性を有することから、モルディブとの良好な関係を維持することは意義がある。モルディブが、ODAの効果的・効率的な活用を通じて、小島嶼国である同国の有する開発上の課題を克服しながら、持続的に経済を発展させ、更なる社会経済発展を実現できるよう支援することが期待されている。
日本の援助の重点分野
 我が国は、対モルディブ国別援助方針において、「脆弱性への対応と持続可能な経済成長への支援」を援助の基本方針に掲げ、「地場産業の育成」と「環境・気候変動対策・防災」を重点分野としている。

1 日本の援助実績(DAC加盟国に限る)

(1)1985年以来、日本はモルディブにとって最大規模の二国間援助供与国。
(2)日本の援助実績(単位:億円)
  • ア 有償資金協力実績(2021年度まで、借款契約ベース) 77.33億円
  • イ 無償資金協力実績(2021年度まで、ENベース) 362.96億円
  • ウ 技術協力実績(2021年度まで、経費実績ベース) 82.82億円
(3)モルディブでは2004年12月のインド洋津波の際、日本が無償資金協力で建設したマレ島の防波堤がマレ島を津波による深刻な被害から守ったことが各メディアで取り上げられ、2006年6月にはモルディブ政府より日本国民に対し、同支援への感謝の意を示すべく「グリーン・リーフ賞」が授与された。
(4)日本は2006年6月26日、モルディブ政府との間で「モルディブ津波復興計画」に関する円借款(27.33億円)の供与に関する交換公文の署名を行った。これは津波による被害を受けた多数の小規模インフラ(港湾・下水道)の復旧を行うもので、モルディブに対する初の円借款である。

2 主要援助国(DAC加盟国に限る)

  • (1)日本 16.8
  • (2)米国 4.5
  • (3)オーストラリア 1.6

(2022年OECD/DAC資料)
(単位:百万米ドル)

二国間関係

1 政治関係

 1967年11月の外交関係樹立以来、日本とモルディブは良好な関係を維持してきている。外交関係樹立40周年にあたる2007年には、モルディブにとって東アジア初となる駐日モルディブ大使館が開設された。また、2016年1月には、在モルディブ日本国大使館が開設された。

 2014年4月、ヤーミン大統領が同国大統領として初めて日本を公式訪問し、安倍総理との間で日・モルディブ首脳会談が行われた。会談後には「40年以上にわたる友情と信頼に基づく協力の新たな段階に向けて」と題する日・モルディブ共同声明が発出された。

 2018年11月にソーリフ政権が発足。ソーリフ大統領就任直後の2018年12月にはシャーヒド外相、アミール財務相、イスマイル経済開発相の3閣僚が訪日。2019年10月の即位の礼に際してソーリフ大統領及びシャーヒド外相が訪日し、安倍総理との首脳会談、茂木外相との外相会談をそれぞれ実施した。2022年9月にはシャーヒド外相が安倍元総理国葬儀参列のために大統領特使として訪日し、林大臣と外相会談を行った。

 2023年11月にムイズ政権が発足。2025年2月にはインド洋会議(オマーン)において宮路外務副大臣とカリール外相が会談を行った。

2 経済関係

(1)対日貿易(日本国財務省貿易統計)
(ア)貿易額
モルディブへの輸出 約45.0億円(2022年)
モルディブから輸入  約4.3億円(2022年)
(イ)主要品目
モルディブへの輸出 機械類及び輸送用機器(船舶用エンジン等)
モルディブから輸入  食料品及び動物(まぐろ、かつお等)
(2)モルディブへの邦人観光客数(モルディブ観光省資料)
31,074人(2024年モルディブ政府資料)

3 文化関係

文化無償協力(1979年度から2017年までの累計8件、246.1百万円)、青少年交流事業の実施。

4 在留邦人数

123人(2022年10月、外務省)

5 在日当該国人数

76人(2022年12月、法務省)

6 要人往来

(1)往(1980年以降)
年月 要人名
1980年12月 愛知外務政務次官
1981年8月 奥田衆議院外務委員長
1981年12月 小渕日本・モルディブ友好議連会長
1985年7月 小渕日本・モルディブ友好議連会長
1993年11月 小渕特派大使(大統領就任式参列)
2005年1月 谷川外務副大臣
2008年6月 野呂田日本・モルディブ友好議連会長
2008年11月 御法川外務大臣政務官(大統領就任式参列)
2011年11月 中野外務大臣政務官(第17回南アジア地域協定連合(SAARC)首脳会合出席)
2013年6月 新藤総務大臣
2014年7月 高村日本・モルディブ友好議連会長
2015年7月 中根外務大臣政務官(モルディブ独立50周年式典出席)
2016年2月 濵地外務大臣政務官(在モルディブ日本国大使館開館式典出席)
2017年11月 堀井巌外務大臣政務官(日・モルディブ外交関係樹立50周年記念式典出席)
2018年1月 河野外務大臣
2018年11月 竹下総理特使(日本・モルディブ友好議連会長)(大統領就任式参列)
2018年12月 園浦内閣総理大臣補佐官
2019年4月 鈴木外務大臣政務官(選挙監視団)
2019年6月 園浦内閣総理大臣補佐官(モルディブ・パートナーシップ・フォーラム出席)
2019年9月 阿部外務副大臣(インド洋会議出席)
2022年12月 武井外務副大臣
2023年7月 林外務大臣
2023年9月 武井副大臣(選挙監視団)
2023年11月 高村政務官(大統領就任式参列)
(2)来(1980年以降)
年月 要人名
1980年5月 ジャミール外相(非公式)
1980年10月 ジャミール外相(外務省賓客)
1984年10月 ガユーム大統領(非公式)
1988年6月 イリヤス・イブラヒム貿易工業相(外務省賓客)
1989年2月 ガユーム大統領、ジャミール外相(大喪の礼参列)
1989年3月 カマルディーン公共事業・労働相(UNDPラウンド・テーブル会合事前協議)
1990年11月 ガユーム大統領(即位の礼参列)
1991年9月 シャフィーユ計画・環境相(UNDPラウンド・テーブル会合事前協議)
1992年5月 ジャミール外相(非公式)
1993年11月 ジャミール内相(日本国際観光会議出席)
1994年11月 ザキ観光相(大阪ワールド・ツーリズム・フォーラム'94)
1995年9月 ハミード国民議会議長(福田元総理合同葬参列)
1995年11月 ザキ観光相(第10回日本国際観光会議)
1996年3月 ザキ観光相(WTOアジア太平洋地域委員会)
1997年11月 ザキ観光相(日本国際観光会議)
1998年2月 ジャミール外相(非公式)
2000年6月 ジャミール外相(小渕前総理合同葬参列)
2001年9月 ガユーム大統領(WTOミレニアム観光会合)、小泉総理と会談
2004年5月 ザヒール建設・公共事業相
2004年8月 ヤミーン・モルディブ貿易・工業相
2005年9月 シャウギー観光相
2006年7月 シャヒード外相
2006年8月 シャヒード外相(橋本元総理葬儀参列)
2007年4月 シャウギー観光・民間航空相
2007年8月 シャーヒド外相(宮澤元総理葬儀参列)
2007年9月 シャウギー観光・民間航空相
2009年1月 シャヒード外相
2010年3月 ザキ大統領特使
2012年1月 ナシーム外相
2012年10月 ジハド財相(IMF/世銀総会出席)
2013年7月 シャキーラ環境エネルギー相(地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議)
2014年4月 ヤーミン大統領(初の公式訪問)
2015年8月 マウムーン外相(WAW!2015)
2016年4月 マシーハ国会議長(世界人口開発議員会議)
2016年10月 アーダム青年・スポーツ相(スポーツ・文化・ワールド・フォーラム)
2017年11月 アーシム外相
2018年6月 アーシム外相
2018年12月 シャーヒド外相、アミール財務相、イスマイル経済開発相
2019年10月 ソーリフ大統領、シャーヒド外相(即位礼正殿の儀)
2021年8月 シャーヒド外相(国連総会議長としての訪日)
2022年9月 シャーヒド外相(大統領特使として安倍元総理国葬儀参列)
2022年10月 アスラム国家計画・インフラ大臣
2023年5月 シャーヒド外相

7 二国間条約・取極

  • 青年海外協力隊派遣取極(1981年12月6日)
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