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平成17年度大使会議 中南米分科会 概要
平成17年5月20日
平成17年度大使会議の中南米分科会(5月16日-18日開催)の概要は以下のとおり。
I. 主要論点
「中南米経済の動向と日本の対応」について議論。その主要論点は以下のとおり。
1.中南米地域における経済統合・地域統合の現状と今後の展開
- 中南米経済は最近回復・安定化。中南米全体のGDPは、全世界の4.8%(中国3.6%、印1.6%、これら2カ国を除くアジア2.1%)を占める。また、中南米は重要な資源供給地。
- 中南米内の各地域における統合の進展に加え、各地域の統合体同士、更には域外ともFTA等を通じて経済的に結合。このような自由貿易圏の拡大は、グローバルに活動する日本企業にも影響。
- 中南米における中国の存在感の高まりにも注目。中国の対中南米貿易額は日本を凌ぐ。特に、資源確保の動きの更なる積極化が予想され、価格の上昇、資源の需給逼迫化等は日本経済・企業に悪影響を及ぼすおそれもある。しかし、中国に進出する日系企業の対中南米向け輸出のケースなど、中国ファクターは日本と中南米の経済関係に複雑に絡む。
2.日本と中南米のビジネス関係強化のための方策
- 日本企業(特に本社サイド)には、中南米に対し、依然として80年代の累積債務危機等の負のイメージがあり、日本企業の対中南米ビジネスは必ずしも活発な状況にはない。他方、中南米経済の潜在的重要性、中国経済の拡大に伴うエネルギー・資源(食糧を含む)需給の逼迫を踏まえ、日本として戦略的アプローチが必要。
- 対中南米ビジネス関係を強化するためには、多様化する個々の企業のニーズを踏まえて支援していく方策が必要。
1)日・中南米の直接の関係のみならず、在米日系企業による対中南米地域ビジネスにも注目。
2)民間金融機関が未発達な中南米地域(除くチリ)では、JBIC、NEXI等のファイナンスに対する期待感は強い。インフラ、裾野産業、資源分野で協力。
3)ビジネス環境の整備は引き続き課題。個別案件支援のみならず、EPA/FTA等の法的枠組みによる包括的な取り組みを検討する必要性あり。
4)対日輸出振興等もビジネス関係強化の一手段。特に、中小国では、視察ミッション、ビジネス・フォーラムの開催、ODAの活用等も重要。
II. 中南米諸国駐在大使の提言
上記の議論を踏まえて、中南米諸国駐在大使から別添のとおり5項目の提言があった。
提言1:首脳レベルを含む対話の強化
提言2:官民一体型のアプローチの強化
提言3:経済関係活性化に資する枠組み(EPA等)作り
提言4:ビジネス機会拡大のための取組の強化
提言5:国際社会及び地域機関との連携強化