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平成23年8月25日
ティメルマン外務大臣,そして御列席の皆様,
まず,地域調整国として素晴らしい活躍をされたアルゼンチンとインドネシアに感謝の意を表します。
FEALAC外相会合も今回で5回目の開催となり,昨年東京にて開かれた第4回会合においては,加盟国の協力により,非常に有意義な議論ができました。この場を借りて,全ての加盟国に改めて御礼申し上げたいと思います。残念ながら,国内の政治状況もあり,松本外務大臣は今回の会合に来ることができなかったため,私が日本政府を代表して会合に臨むこととなりました。
アジアと中南米という世界経済の2大成長センターである両地域を結ぶFEALACの重要性は年を追うごとに高まっております。FEALAC加盟国のGDP総額は現在,世界全体の約3割を占めるに至っており,両地域間の貿易総額はFEALAC発足後の10年で約4倍に増えました。
我が国は,地理的に離れている両地域の国々が一同に会する場を提供するFEALACの枠組みを重視しております。アジアと中南米の数多くの国と長年にわたり友好関係を育んできた国として,我が国は両地域の架け橋となれるよう,今後ともFEALACへの関与を深める考えです。
ここで,我が国のFEALACにおける具体的な取り組みを紹介したいと思います。
前回の外相会合にて我が国は,「FROGイニシアティブ」という環境と防災分野におけるFEALAC加盟国への協力を発表しました。
このイニシアティブに基づき,我が国は再生可能エネルギーに関わる無償資金協力をアジア4か国と中南米7か国に対して行ったほか,省エネルギー技術の普及に関わる技術協力をアジア8か国,中南米12か国に対して行っています。
防災の分野では,ジャカルタやプノンペンにおいて,気候変動の影響による洪水被害を防止,低減することを目的として,排水機場の改修,排水管の敷設等の支援を行っているほか,巨大地震の被害を受けたチリに対する建築の耐震性強化や災害早期警報システム構築に向けた支援,エルサルバドルに対する災害リスク軽減に向けた支援などを行っています。
さらに,我が国は,人と人との繋がりを重視し,今年度,FEALACメンバー国のハイレベル及び若手の行政官を日本に招き,環境と防災に関するセミナーを開催する予定です。
我が国は3月11日に,巨大地震・津波・原発事故という未曾有の災害に見舞われました。震災後は各国から温かいお見舞いを頂き,多くの救援物資や義捐金を頂きました。日本政府及び国民を代表し,改めて深く感謝申し上げます。
また,東京電力福島第一原発事故については,状況は予断を許しませんが,徐々に着実に収束に向かっています。我が国は,引き続き様々な措置を全力で講じていくとともに,今後とも,国際社会に対して,透明性をもって迅速かつ十分な情報提供を行っていきます。事故の教訓を検証し,国際的な原子力安全の向上にも積極的に貢献していく考えです。このような考え方の下,来年,日本においてIAEAと共催して原子力安全に関する閣僚級の国際会議を開催する予定です。
今回の震災で我々は,日本の経済がいかに世界と結びついているかが実感しました。世界との絆なくして日本の再生はあり得ません。政府としては,有識者会議の提言を受けて先月定められた復興基本方針を具体化する中で,各国の活力も取り込みながら,「開かれた復興」を更に本格化させて行きます。我が国は,今回の震災から学んだ経験を共有すべく,来年に大規模自然災害に関するハイレベル国際会議を,2015年に第3回国連防災世界会議を開催したいと考えています。
日本の多くの地域は大震災の影響は全くなく,日本は「Open for business and travel」であり続けています。サプライチェーンも7月初頭時点で被災した拠点の80%が以前の生産レベルと同等かそれ以上に回復しています。我が国とのビジネスや観光,留学を推し進めて頂くことが重要であり,最後にFEALACにおける様々な取組を通じ我が国への来訪がますます増えていくことを祈念してご挨拶の言葉とさせて頂きます。
ご静聴ありがとうございました。