中南米

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FEALAC外相会合において岡田外務大臣から発言した新たな施策概要(補足資料)

平成22年1月16日

<Ⅰ.環境協力(FEALAC岡田グリーン・イニシアティブ)>

1.日本の観測技術衛星「だいち」を活用した熱帯雨林保全対策

<現状>
2007年以降、我が国(宇宙航空研究開発機構(JAXA))は、「だいち」の画像をブラジル等に提供し、アマゾンにおける熱帯雨林等の違法伐採の監視に協力。 また、我が国(JICA)は、衛星画像データの判読・活用には高い技術が必要なため、データの判読・解析に関する技術協力を行ってきた。

【参考】「だいち」:JAXAによって2006年1月に打ち上げられた陸域観測技術衛星。カラー画像と白黒画像を撮影するセンサーと、昼夜・天候に関係なく地表の観測が可能なレーダーを搭載しており、同衛星が地表を観測した画像を利用することで、森林域の正確な監視が可能。

<今後の取組>

  • 上記協力の経験をもとに、我が国(国際協力機構(JICA))とブラジル共同でアジア、中南米諸国等から研修生をブラジルに招き、違法伐採監視に関する人材育成事業を実施していく(来年度から3年間、年3回12名ずつ研修を実施予定)。
  • 「だいち」等の衛星データ活用に関する国際協力を実施する。
  • 来年以降、我が国において「だいち」後継機を含む新たな観測技術衛星を順次打ち上げる予定。より精緻な衛星画像の作成が可能となる。
2.森林を守る農業(アグロフォレストリー)の普及支援

<現状>
我が国は、これまで、アマゾン地域におけるアグロフォレストリーの普及のほか、広く中南米、東南アジア等において、地元住民の生計向上に資する農林業を組み合わせた持続的な森林保全プロジェクトを積極的に実施(現在、JICAがFEALAC8ヶ国で実施中)。焼畑や農地開発による森林消失の回避、現地政府の森林保全政策の実効性向上等に寄与してきた。

【参考】アグロフォレストリー:森林を保全しつつ持続的な農林業を行うため、一つの土地で農作物と樹木を組み合わせて育成する土地利用の一形態。農地造成のため森林を切り開いた場合、生物多様性、土壌保全等の森林の持つ機能が失われてしまうが、アグロフォレストリーでは、これらの特性を維持することが可能。ブラジルのトメアスーで日系人が行ってきたアグロフォレストリーは典型的な成功例として知られている。

<今後の取組>

  • 今後も、アグロフォレストリーの普及、森林保全と農業経営の両立、持続可能な森林経営などに関する人材育成のための研修等を実施(新規案件を予定)。
  • これまでの経験を活かし、環境保護と経済成長を両立させる環境ビジネスとして、FEALACメンバー国との間で成功例を相互学習していくとともに、新たな活用法・応用例を検討していく(以下3.参照)。
3.環境ビジネス・ハイレベル会合の開催

<現状>
我が国は、近年毎年、FEALACメンバー国から環境分野における若手指導者を訪日招聘し、環境ビジネスに関する研修、意見交換等を行う事業を実施してきた。

<今後の取組>

  • 来年度以降、これまでの若手指導者招聘を格上げする形で、環境ビジネス分野のハイレベルの政府関係者、有識者等を日本に招待し、環境ビジネス・ハイレベル会合を開催していく。日本の先進的な技術や取組を紹介しつつ、各国関係者との間で経験・知見を共有し、各国において実施可能な環境ビジネスの可能性を探るとともに、被招聘者間でのネットワーキングを促進する。
4.新エネルギーの導入支援

<現状>
日本はこれまでFEALACメンバー国に対し、各種調査、発電設備の供与、発電所の建設等の経済協力を通じて、クリーンエネルギー(太陽光、水力、風力、バイオマス、地熱)の導入支援を実施。(インドネシア、ウルグアイ、カンボジア、グアテマラ、中国、パラグアイ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、メキシコ、モンゴル、ラオス)

<今後の予定案件>
病院、学校、官公庁等の公共施設への太陽光パネル設置のための資金供与。

5.省エネルギー技術の普及支援

<現状>
日本はこれまでFEALACメンバー国に対し、省エネや3Rを促進するための政策策定支援や人材育成等を実施。

  • 省エネ技術の普及(インドネシア、タイ、中国、ベトナム)
  • 3Rの普及(メキシコ)

<今後の予定案件>

  • 省エネ政策策定を支援するための調査団、政策アドバイザーの派遣等。
6.自然災害の予防・復旧に関する経験の共有

<現状>
日本はこれまで、FEALACメンバー国における自然災害の発生や感染症の流行等に対して、国際緊急援助隊派遣、緊急援助物資供与等の緊急支援を実施。

  • 洪水(エクアドル、コロンビア、パナマ、フィリピン、ベトナム、ボリビア、メキシコ、ラオス)
  • サイクロン、ハリケーン、台風等(キューバ、ドミニカ共和国、ニカラグア、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
  • 集中豪雨、大雪(エルサルバドル、中国、パナマ)
  • 地震(インドネシア、中国、ペルー)
  • 感染症(ボリビア、メキシコ)
  • 事故(韓国)

また、防災・復興支援に関するインフラ整備、災害予報システム整備等を支援。(インドネシア、エクアドル、カンボジア、グアテマラ、中国、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、ラオス)

<今後の予定案件>

  • 西スマトラ・パダン沖地震の被害を受けたインドネシアにおいて、耐震性を備えた学校を再建。

<Ⅱ.経済危機への対応と包摂的な成長の実現>

1.アジアでの経験を踏まえた中南米における中小企業支援

<現状>
我が国は、これまで国内及びアジア諸国において中小企業支援のノウハウを蓄積。

<今後の取組>

  • 米州開発銀行(IDB)と連携し、IDBの下部組織である多数国間投資基金(MIF)関係者及び中南米14か国の中小企業育成支援事業関係者等50人を対象に、日本とタイにおいて研修を実施し、アジアで蓄積してきた中小企業育成・振興に関するグッドプラクティス等を共有(2月14~28日。14日に日本着、23日にタイに移動)。研修者が帰国後、JICA及びIDBと連携しつつ、中小企業支援策を企画・導入していくことを目指す。

    【参考】MIF:中南米諸国において技術援助、人的資源開発、中小零細企業育成等を行うことにより、民間投資を促進することを目的として、IDBの中に設立された基金。

2.脆弱な貧困層に対する貧困削減・格差是正支援

<現状>
我が国は、これまで、アジア・中南米の国々に対し、教育、保健・医療、地方開発、インフラ等に関する各種の社会開発支援を実施。

<今後の取組>

  • 引き続き、人間の安全保障の視点も交えながら、貧困削減・格差是正のための支援を実施(新規案件を予定)。
3.アジアと中南米の感染症対策に関する経験共有支援

<現状>
我が国は、これまで、アジア・中南米の国々に対し、新型インフルエンザ等の感染症対策で支援を実施。

<今後の取組>

  • 今後、アジア・中南米のFEALACメンバー国からインフルエンザ対策に関するハイレベルの実務者を日本に招待し、セミナーを開催。鳥インフルエンザやSARSを経験したアジア諸国と新型インフルエンザ対策に取り組む中南米諸国の経験共有を促進する(実施時期は3月を想定)。

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