中南米

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第4回FEALAC(アジア中南米協力フォーラム)外相会合
(概要と評価)

平成22年1月

1.概要

  1. (1)1月16日-17日、東京において第4回FEALAC(アジア中南米協力フォーラム)外相会合がアジア(日本を含め16ヶ国)、中南米(18ヶ国)の34ヶ国(うち外相出席は19ヶ国)の参加を得て開催された。

  2. (2)開会式には鳩山総理が出席して挨拶を行った。冒頭、ハイチで起きた大地震に対し、FEALAC諸国として出来る限りの協力をしていくことを呼びかけた。引き続いて、共に今後の成長の中核を占めるアジアと中南米が協力を深めることには大きな意義があると述べた上で、環境・気候変動については、各国の立場を超え全人類的な課題として協力していくこと、経済については依然として経済回復の光が当たっていない中小企業を支援することが重要であると述べた。また、今回の外相会合の成果を本年日本で開催するAPECへとつなげ、更に大きな世界への貢献をしていきたいと述べた。

  3. (3)会合は、岡田外務大臣とアルゼンチンのタイアナ外務大臣が共同議長となって進められた。ここでも冒頭、ハイチの大地震に対して黙祷を捧げるとともに、「ハイチの状況に関するFEALAC外相声明」が発出された。その後は、創設から10年が経過したFEALACの将来の方向性について各国から意見表明が行われると共に、両地域が直面する共通課題である環境・持続可能な発展、金融・経済危機の克服、社会的包摂をテーマに活発な議論が行われた。

  4. (4)また、17日には、アジア開発銀行(ADB)、米州開発銀行(IDB)及び世界銀行からの代表の出席を得て、「国際金融機関との対話」セッションが行われた。

  5. (5)会合の成果文書として、「東京宣言」が採択された。

  6. (6)外相会合と並行して、岡田外務大臣は、12ヶ国(タイ、アルゼンチン、韓国、中国、メキシコ、ミャンマー、パナマ、インドネシア、コロンビア、フィリピン、ベトナム、パラグアイ)と二国間外相会談を行った。また、中米6ヶ国との間で日・中米外相会合も開催された。更に、武正副大臣、吉良大臣政務官も多くの国々と個別会談を行った。

2.評価

  1. (1)日本は、今次会合のホスト国として、FEALACの更なる発展に積極的に貢献し、アジアと中南米の「架け橋」としての役割を果たしたいとの姿勢で臨んだ。特に、外相会談の機会が少ない中南米諸国の外相と、この機会に活発な意見交換を行えたことは有意義であった。

  2. (2)環境・持続可能な発展については、気候変動に関するCOP15後行われた最初の大きな国際会議である今次会合において、各国からこれまでの議論の結果を踏まえて本年メキシコで開催されるCOP16の成功に向けて協力していくとの姿勢が示された。

  3. (3)また、各国より環境分野における協力のための具体的なアイデアやプロジェクトが示されるなど、今後の活動の更なる活発化が確認された。特に我が国は、熱帯雨林の保全、環境ビジネスの促進、クリーンエネルギーの導入、省エネ技術の普及、自然災害の予防・復旧に関する支援等を柱とする「FEALAC岡田グリーン・イニシアティブ」(FROGイニシアティブ)を提示し、各国から高い評価を得た。

  4. (4)金融・経済危機の克服及び社会的包摂については、経済危機後依然予断を許さない情勢であるが、現在現れてきている回復基調をより確実なものにするため、アジアと中南米両地域が貿易・投資等の分野で更に関係を強化する必要性が確認された。また、特に経済危機の影響を最も受けているのは中小企業や貧困層であり、「あまねく広がる成長」(inclusive growth)を実現するためには、こうした脆弱な経済主体の底上げを行うことが重要との認識を共有できた。

  5. (5)日本はこの分野においても、中小企業支援、貧困削減、感染症対策の3つの柱とした支援策を提案した。

  6. (6)創設されてから10年たったFEALACがアジアと中南米を結びつけるユニークな枠組であり、今後とも相互に経験を共有し、交流を通じて利益を拡大していく場として、また、地球規模課題の解決のために、地に足のついた議論をする場として有効であることが確認された。

  7. (7)この関連で、今後のFEALACの優先活動分野の特定やサイバー事務局創設を含む運営体制の効率化についても合意された。
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