中南米

世界地図 アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

FEALAC - 第3回外相会合(平成19年8月22~23日)

(英語版はこちら)

ブラジリア閣僚宣言及び行動計画(仮訳)


  1. 我々、東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)の加盟国の外相は、東アジア及びラテンアメリカ両地域間の絆の強化、協力分野の拡大及び加盟国の拡大のため、2007年8月22日及び23日、ブラジリアにおいて会合した。これに関連して、我々は、ドミニカ共和国が同フォーラムの新メンバーとして加盟することを歓迎した。
  2. FEALACの基礎を確立した2001年のサンティアゴでの第一回外相会合、及び「マニラ行動計画」を採択した2004年のマニラでの第二回外相会合の成果を想起し、両地域間の協力を更に強化するとの観点から、フォーラムの目標及び目的を再確認しつつ、これまでの成果の上に、我々は、このブラジリア閣僚宣言を全会一致で採択した。
  3. 二日間にわたる活発かつ友好的な議論を通じ、我々は様々な点について基本的なコンセンサスに達した。このことは、将来の共同でかつ協力して行う行動のための更なる指針となるであろう。
  4. 我々は、前回のFEALAC閣僚会合が開催された時点で存在していた課題が、絶え間なく拡大していることに、懸念をもって留意した。そのような課題としては、先進国と途上国の間の所得格差の拡大、増え続ける貧困と飢餓、エネルギー需要を適切に満たす上で多くの国が直面している困難、気候変動、生物多様性の喪失及び非持続的な消費・生産パターンといった環境に対する脅威、並びにそれらの持続可能な開発に対する悪影響、基礎的ニーズを満たし、次世代に教育と医療サービスを提供する上で多くのコミュニティーが直面している困難、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散について高まる脅威、依然として残るテロ行為、麻薬の不正取引やその他の国境を越える組織犯罪の増加、新たな感染症の不吉な脅威とその事態悪化に抵抗するために必要な資金手当を得る上での制限等が挙げられるであろう。
  5. 世界の麻薬問題は我々の国民の安全に対する脅威であること、及び薬物乱用の問題は社会全体に影響を与える公衆衛生問題であることを認識し、我々は、保健医療システムの不可欠な要素として薬物乱用者に対する予防、治療及びリハビリを重視する。我々は、また、不正な薬物の生産、取引並びに資金の洗浄や武器及び兵器の不正取引、医薬品及び化学物質の不正流用といった関連犯罪との闘いにおいて引き続き成果を挙げていくことの必要性を認識し、あらゆる形態の国境を越える組織犯罪と闘うための国際協力を強化する重要性を認めた。特に、生産国と消費国との間で共有される責任の原則に基づき、各国の関連国内法及び関連する国際約束の枠組みの中で行われる麻薬の不正取引との闘いに際しての国際協力の強化が重要であることを認めた。我々はまた、人身売買及び密入国に対する闘いの重要性について認識した。
  6. 国際的な移住の現象を総合的に調査する必要性について認識した。
  7. それと同時に、我々は、ナノテクノロジーやバイオテクノロジー、情報技術、宇宙関連技術及び新エネルギー資源や再生可能エネルギー資源といった新しい分野で達成された科学の進歩は非常に有望であり、可能な限り世界中で共有されるべきであるとの点にも留意した。そのため、我々は、この新たなイニシアティブにおいて確認されたこれらの挑戦に応えていくことを誓約した。
  8. 我々は、多数国間の気候変動体制の強化に向けたコミットメントを再確認するとともに、気候変動が地球的規模の性格を有することから、すべての国による可能な限り幅広い協力と効果的かつ適切な国際的対応への参画が必要であり、かかる協力及び参画は、社会的及び経済的開発と調和した形で、かつ、各国が共通に有しているが差異のある責任原則の枠組みの中で、及び各国の能力と社会的及び経済的状況に従って行われるべきとの気候変動枠組条約の規定を想起する。我々は、気候変動枠組条約の中での気候変動問題対策と、2007年12月にインドネシアのバリ島で開催予定の第13回気候変動枠組条約締約国会議及び第3回京都議定書締約国会合に期待している。加えて、2007年9月24日にニューヨークで行われる気候変動に関する国連事務総長ハイレベル会合にも期待している。
  9. 我々は、3つのFEALAC作業部会の仕事を高く評価し、これら作業部会がFEALACの活動におけるコア・プログラムとして特定した個々の優先分野について協力を促進していくことを決定した。すなわち、政治・文化・教育作業部会においては、「学術的交流」「薬物問題、麻薬問題及び麻薬の不正取引に対する取組についての専門知識の交換」「議員、ジャーナリスト、若手指導者間の交流」、経済・社会作業部会においては、「持続可能な開発(特にクリーン開発メカニズム(CDM))」「情報通信技術(ICT)の活用」「中小企業(SMEs)支援」「貧困削減」、科学技術作業部会においては、「再生可能なエネルギー」「防災」「感染症」である。
  10. 我々は、国連のミレニアム開発目標(MDGs)を含む、国際的に合意された開発目標の達成に向けた進捗が遅く一様でないことに対する懸念を表明した。この点に関し、我々は、残存する貧困を克服するため国際社会の支援を必要としている世界の最貧国及び中所得国のニーズに対応し、全ての最貧国及び中所得国で持続可能な開発が促進されるには、各国及び国際社会による早急な行動が肝要であるとの見解を共有した。我々は、2015年までにミレニアム開発目標を達成することの重要性を改めて表明する。また、政府開発援助(ODA)の意味ある補完としての資金メカニズム及び他の革新的な資金メカニズムを自発的な意志に基づいて開発することの価値を認めた。この関連で、我々は関心国が、プロジェクトや行動、革新的な資金メカニズムを開拓することを奨励した。
  11. 我々は、ドーハ閣僚宣言において表明された、開放的で差別的でない多角的貿易体制を支え維持するという目標を再確認した。そして、2001年11月のドーハ開発アジェンダに関する閣僚宣言に従い、WTOのドーハラウンド交渉が満足のいく合意に達するよう協力するとの意図を共有した。ドーハ開発アジェンダは、多角的貿易体制が創出する福祉の増進及び機会の増大により、すべての人々が利益を得る必要性を明らかに認めている。我々は、ドーハラウンドが、時宜にかない、バランスのとれた形で、成功裡に妥結することへの全面的な支持を表明した。
  12. 今日の複雑かつ多面的な世界秩序においては、国際社会が直面する相互に関連する脅威に、一国または、一グループだけで立ち向かうことはできない。ゆえに国家間の協力は、より広く、深く、持続可能なものでなければならず、これには異なる地域の国家との協力の強化も含まれる。その一つの方法が三角協力を醸成することにある。
  13. 我々は国連を中心に据えた多国間主義に対する強い信頼を再確認する。我々は、国連をより効果的で、説明責任を有する、効率的かつ透明性のあるものとするため、包括的な国連改革の必要性を強調するとともに、本件に関し、ニューヨークにある我々の国連代表部間の取組を調整するとの意図を共有した。これに関して、総会の強化、経済社会理事会の再活性化、平和構築委員会の前進及び「安保理の代表性、効率性及び透明性をより向上させ、またその実効性、正当性及び安保理の決定の実行を強化させるため、国連を改革するための全般的な努力における不可欠な要素である早期の安保理改革」を求める2005年10月の国連総会で採択された決議(A/RES/60/1-2005年国連首脳会合成果文書)へのコミットメントを再確認した。
  14. 我々は、両地域が、特に、国際法の諸原則、国連憲章、国家主権、相互利益及び基本的人権の尊重、持続可能な開発の促進及び多国間主義の強化に基づく民主的な国際秩序を重視していることを想起した。
  15. 我々は、国際場裡において、我々の共通の利益を守るために共働することを目的として、協力の潜在性を十分に開拓し、団結とコミットメントを高めるために、相互理解、尊重、信頼及び対話を促進し続けていくことを誓約した。
  16. 我々は、二つの非常に多様な地域の国々を、対話と協力のために一つにまとめるためFEALACが非常に価値のある役割を果たしているということを認識した。その意味で、両地域の相互理解を醸成し、両地域の国民にとって具体的な成果をもたらす共同プロジェクトに携わることへの関心を再確認した。FEALACメンバー国間で相互に利益となる分野においてより良く理解し合うことは、関連の多数国間フォーラムにおいて課題に対処するにあたり、特に、我々の見解が収束する場合は、これをより良く調整していく上で有用であることを認識した。また、FEALACが他の国際的フォーラムの活動の重要な補完的役割を果たしている一方で、既存の努力との重複は避けるべきであるとの点を認識した。
  17. この関連で、国連事務総長により提唱された、社会の間に橋をかけ、対話と理解を促進し、世界の不均衡に取り組むとの集団的な政治的意志を醸成するための文明間の同盟イニシアティブを歓迎し、両地域の代表者を含む国連のハイレベルグループの報告書を賞賛した。
  18. 我々は、東アジアとラテンアメリカとの関係が、政治的な接近によって特色づけられるものから、経済的、技術的、文化的接近という次元の伸張をもその特色として含むものに進展したことを評価しつつ留意した。
  19. 我々は、FEALACにおいて、貿易及び投資に係る協力に高いプライオリティをおくことを決定した。これは、各国の国民の発展、繁栄、社会的包括性を促進する重要な手段であるのみならず、両地域間の関係をより一層意味のある、実質的なものにしていくための手段でもある。
  20. 我々は、貿易促進の実施とともに、企業家精神の強化や人材育成を内容とするキャパシティ・ビルディングを目的とするイニシアティブやプロジェクト、フォーラムを継続しつつ、零細・中小企業の発展が特に重要であることを再確認した。
  21. 我々は加盟国の市民社会の間でFEALACの認知度を高め、その存在感の増加を促進し、各国の行政府の各分野の関与を慫慂していくことの必要性を再確認した。
  22. 我々は、協力の優先プロジェクトの選定にあたっては、多くの加盟国をカバーし、知識を基礎とした経済の強化の目標に合致し、包括的かつ持続可能な発展を促し、貧困を削減するプロジェクトに特に注意を払うことを決定した。
  23. グロバリゼーションの良い影響が広くかつ等しく享受できるよう、かつ悪影響が、内陸の開発途上国、島嶼国開発途上国及び最貧国の社会のいかなるセクターの排斥ももたらすことのないよう、国家による努力を強化するとともに、共に取り組んでいくとの決意を表明した。
  24. 我々は加盟国の経済、教育、科学技術、社会、文化、その他の部門がプロセスに深く関与することの重要性を認識し、ワーキンググループによって実施されるプロジェクトはかかる理解を反映したものとすることを誓約した。
  25. 我々は、アジア開発銀行(ADB)と米州開発銀行(IDB)によるラテンアメリカ・カリブ海地域/アジア太平洋地域 経済・ビジネス・アソシエーション(LAEBA)イニシアティブのような、両地域間の交流を促進する国際的、地域的な金融機関の積極的な貢献の重要性を認識した。我々は、これらの国際的、地域的金融機関が、FEALACプロジェクトを進めるにあたり、より大きな役割を果たし協力を拡大することを奨励した。また、我々は、両地域の関係を強化するような地域間プロジェクトを更に促進、発展させる上での、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)と国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の間の協力を歓迎し、奨励した。我々は、この二つの委員会がFEALACにとっての恒久的なシンクタンクの役割をも果たすことへの希望を表明した。
  26. とりわけ、上述の点に基づき、以下のFEALACイニシアティブの進路を方向付け、支持することを決定した。
    • 高級実務者は政治・文化・教育、経済・社会、科学技術のワーキンググループによるイニシアティブを定期的に評価する。ワーキンググループは、それらの分野における協力を増すために、漸進的かつ現実的アプローチの下、具体的な行動を考案し実行することが慫慂される。
    • 国境を越える組織犯罪、とりわけ、薬物及び麻薬の不正取引及びテロリズムに対する闘いにおける経験を共有する。
    • イニシアティブの一つとして、両地域において、品評会や展覧会、ビジネスセミナーや会議といった貿易促進イベントを支援する。かかるイニシアティブは、ビジネスマンや企業が専門知識や経験を共有し、相互に利益をもたらすようなビジネスチャンスの開拓を可能にすることを目的とするものでなければならない。
    • ウェブサイト等を通じ、共通のプロジェクト及び活動についての情報を定期的に共有する。この点に関し、FEALAC加盟国は、韓国による共通のFEALACインターネットオフィシャルサイトの開発、維持という寛大な提案を感謝の意をもって受け入れると共に、韓国政府が可能な限り早期にウェブサイトを開設するよう奨励する。
    • 各国のユニークな面にスポットを当てた文化イベントを企画する。
    • 地方開発や農家及び農業協同組合への融資及び保険の分野で協力する。
    • 両地域の学術機関の繋がりを強化するため、両地域の学生や研究者の交換プログラムを計画する。
    • 水処理、廃棄物管理、バイオテクノロジー及びバイオ薬品に関係する専門知識を共有し、協力事業を推進する。
    • 新エネルギー源及び再生可能なエネルギー源の開発についての経験を共有し、効率的な技術の利用並びにエネルギーの生産、輸送、消費に係る持続可能なアプローチの実施を通してエネルギーを節約することを目指した研究及び経験を共有する。
    • 2015年までの第二次ミレニアム開発目標の達成を目指す中で、FEALAC加盟国間の文盲撲滅を目的とするイニシャティブを奨励する。
    • 防災、被害の減少と緩和、救援、復興に係るプロジェクトの推進における努力を強化する。この目的のため、我々は、国連を含む全ての国際的なフォーラムにおいて、また、国際防災戦略の意味合いにおいて、更には、同様の目的で設立された地域機関において、我々が力を合わせていくための方法を引き続き開拓するとの意図を共有する。この関連で、自然災害、災害の危険性の減少、エイズ、SARS、鳥インフルエンザといった感染症発生の早期警戒システムに関連する地域イニシアティブ及びプロジェクトを特に強調する。
  27. 我々は、FEALAC第3回会合の枠組みの中で外相会合と並行して、ブラジリアで行われた二つの相乗効果のある活動、すなわち、東アジアとラテンアメリカ間のビジネスセミナー及び両地域の研究機関のメンバーが集まったアカデミックセミナーの開催を歓迎するとともに、これらセミナーによる提言に留意した。これに関して、我々は、メディアやNGOによるこれらイベントへの参加は、FEALACの活動への貴重な貢献であるとして歓迎した。
  28. 討議を終えるにあたり、我々は、両地域が、最もダイナミックで、急成長を遂げており、多文化的な相互関係を形成している二つの地域であることを念頭に置きつつ、東アジア及びラテンアメリカ両地域間の協力の継続及び強化が、最も望ましくかつ最も大きな成果を生み出すものであることについて広くコンセンサスを得た。
  29. 我々は、コンセンサスで決められる日付及び場所において、再び外相レベルで集うことを決定した。
  30. 我々は、その役目を終える調整国である韓国及びブラジルに感謝の意を表明するとともに、新たな地域調整国である日本とアルゼンチンを歓迎した。

2007年8月、ブラジリア

このページのトップへ戻る
目次へ戻る