ラオス人民民主共和国

基礎データ

令和6年12月10日
ラオス人民民主共和国国旗

一般事情

1 面積

24万平方キロメートル

2 人口

744.3万人(2022年、ラオス統計局)

3 首都

首都ビエンチャン

4 民族

ラオ族(全人口の約半数以上)を含む計50民族

5 言語

ラオス語

6 宗教

仏教

7 略史

 1353年、ランサーン王国として統一。1899年、フランスのインドシナ連邦に編入される。1949年、仏連合の枠内での独立。1953年10月22日、仏・ラオス条約により完全独立。その後内戦が繰返されたが、1973年2月「ラオスにおける平和の回復及び民族和解に関する協定」が成立。インドシナ情勢急変に伴って、1975年12月、ラオス人民民主共和国成立。

政治体制・内政

1 政体

人民民主共和制

2 元首

トンルン・シースリット国家主席
(ラオス人民革命党書記長)

3 議会

国民議会

(1)議長名
サイソンポーン・ポムヴィハーン(党政治局員)
(2)一院制
(164名)
(3)国民議会幹部名簿(PDF)別ウィンドウで開く

4 政府

(1)首相名
ソーンサイ・シーパンドン(党政治局員)
(2)外相名
トンサワン・ポムヴィハーン(党中央委員)
(3)閣僚名簿(PDF)別ウィンドウで開く政府閣僚リスト(PDF)別ウィンドウで開く

5 内政

概要

  • (1)ラオスの政治制度は、人民革命党による一党指導体制で、党幹部が各国家機関の幹部を兼任。人民革命党は、党大会を5年に1度開催し、5年毎の政策方針と党書記長、政治局員、書記局員及び中央委員等の党指導部人事を決定。現在の党最高位は、トンルン・シースリット国家主席兼党書記長。
  • (2)ラオスの国家元首は国家主席で、ラオス国民議会が選出する。現職は、トンルン・シースリット国家主席兼党書記長。
  • (3)ラオスの議会は国民議会で一院制。5年に1度総選挙が行われ、年2回通常会議が開催される。立法機関としての役割の他、行政及び司法機関を監督する権限を有する。現議長はサイソンポーン・ポムヴィハーン議長(党政治局員)。
  • (4)首相及び閣僚は、国民議会の承認に基づき、国家主席が任命する。現在の首相及び外相は、それぞれソーンサイ・シーパンドン首相(党政治局員)、トンサワン・ポムヴィハーン外務大臣(党中央委員)。

最近の動き

  • (1)2021年1月13日から15日、第11回党大会(5年毎)が開催され、政治局員13名、党書記9名を含む中央委員71名が選出された。党書記長にはトンルン首相(当時)が昇格した。党大会では、前回と同様に党の指導力強化、汚職撲滅、人材育成の必要性、環境に配慮した持続的な開発などが強調された。また、経済社会開発方針について5か年計画(国家社会経済開発5か年計画)に加えて5~10年の中長期計画が承認された前回とは異なり、今次党大会では5か年計画のみが審議・承認された。
  • (2)2021年2月21日、第9回国民議会議員選挙及び第2回地方議会議員選挙を実施。3月22日~26日、国民議会初回会合を開催。同22日、国家主席にトンルン党書記長(兼任)、新首相にパンカム国家副主席、外務大臣にサルムサイ外務大臣(再任)がそれぞれ選任され、新政府指導部が発足。
  • (3)2022年12月30日、国民議会通常会議において、パンカム首相の引退及びソーンサイ副首相の首相就任が承認された。

外交・国防

1 外交

  • (1)1975年以降は、ソ連を始めとする社会主義国との関係を重視したが、1986年の改革路線の採用以降は、外資誘致と経済援助獲得のため西側諸国を含む幅広い協力関係を模索。1997年にASEANに加盟し、2004年及び2016年にASEAN議長国を務め、本2024年は3回目の議長国。2012年にASEM首脳会議を主催する等、国際場裏における存在感を高めつつある。
  • (2)基本方針は、平和5原則に基づく善隣・全方位外交。その中でも、ベトナムとは「特別な関係」にあり、党・政府ハイレベルから地方行政機関・大衆組織に至るまで活発に交流。中国とは、2000年代後半から貿易・投資が急増し、2009年に両国関係を「包括的かつ戦略的パートナーシップ」に格上げ。2019年4月の中国ラオス首脳会談で「ラオス・中国運命共同体構築マスタープラン」に署名するなど、関係が拡大。
  • (3)タイは、1975年の革命以降、国境問題で緊張関係にあったが、1990年代からは、貿易・投資面で圧倒的な存在感を示している。なおタイ東北部の人々とラオ族は同根の民族で、言語もほぼ同じ。

2 軍事力

  • (1)徴兵制
  • (2)現役総兵力:2.9万人(ミリタリーバランス2023年版)
  • (3)国防予算:非公表(同2023年版)

経済

1 産業

サービス業(GDPの約37%)、農業(約18%)、工業(約34%)、製品及び輸入に係る税(約11%)。(2022年、ラオス統計局)

2 GDP(名目)

215兆619億キープ(約150億米ドル)(2022年、ラオス統計局)

3 一人当たりGDP

2,022ドル(2022年、ラオス統計局)

4 GDP成長率

4.4%(2022年、ラオス統計局)

5 消費者物価上昇率

22.96%(2022年、ラオス統計局)

6 失業率

2.4%(2022年、ラオス統計局)

7 貿易

(1)輸出
84.2億ドル(2022年、ラオス統計局)
(2)輸入
68.6億ドル(2022年、ラオス統計局)

8 主要貿易品目

(1)輸出
電力、金、金鉱石、紙・パルプ(2021年ラオス商工業省)
(2)輸入
車両、機械類、ディーゼル(2021年ラオス商工業省)

9 主要な貿易相手国

タイ、中国、ベトナム他(2021年ラオス商工業省)

10 通貨

キープ(Kip

11 為替レート

1ドル=約20,900キープ(2024年2月、ラオス中央銀行)

12 経済概況

  • (1)1975年以来の計画経済の行き詰まりから、1986年に「新経済メカニズム」とよばれる経済改革に着手、1986年の第4回党大会にて市場経済化と経済開放を柱とする改革路線を採択。この改革路線は90年代に至り成果が出始め、1992年から1996年までは年5%~8%台の経済成長率を記録。しかし1997年のアジア通貨危機に際しては、自国通貨安とインフレ、近隣国経済の失速に直面し、1998年の経済成長率は4%台まで下落。その後、政府の財政・金融面における統制強化や外国投資・支援等の着実な流入を背景に、その後数年で成長率は概ね6%~7%まで回復。2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響を受け、実質GDP成長率-0.6%(世銀)と大きく景気が後退する見込み。
  • (2)第11回党大会(2021年)では、スローガンの一つとして引き続きLDC脱却が掲げられ、同目標を踏まえた第9次国家社会経済開発5か年計画が承認された。
  • (3)外国投資の促進による社会経済開発の加速を目指し、2008年8月、日本との間の二国間投資協定が発効。日ラオス官民合同対話を通じて、投資環境の改善に取り組んでいる。2013年にWTO加盟。

経済協力

1 日本の援助実績

(1)有償資金協力
484.36億円(2021年度まで)
(2)無償資金協力
1,735.85億円(2021年度まで)
(3)技術協力
848.72億円(2021年度まで)

2 主要援助国

  • (1)ADB
  • (2)日本
  • (3)米国
  • (4)IDA
  • (5)韓国

(2020年、OECD/DAC)

二国間関係

1 政治関係

 日ラオス間に特に懸案はなく、伝統的に良好な関係。1955年に外交関係を設立し、2020年3月に65周年を迎えた。2015年に両国関係は戦略的パートナーシップ関係に格上げされた。

2 経済関係

(1)対日貿易(2021年、ラオス商工業省)

(ア)貿易額
 日本の輸出 約8,287万ドル
 日本の輸入 約1億4,837万ドル
(イ)品目
 日本の輸出 機械類、車両、電気機器・部品、合成繊維、プラスチック原料・製品、レンズ製品、電線・電気ケーブル、ゴム・ゴム製品
 日本の輸入 靴・靴関連、電気機器・部品、衣類、香水・化粧品、動物の毛・羽、コーヒー豆、香辛料、黒炭・白炭、植物の種・果物・草、スポーツ用品

(2)日本からの投資

コンサルティング、縫製・部品製造、電力等

3 文化関係

 日本は1976年より文化無償協力案件を実施。文化遺産保存、スポーツ交流、人物交流等の文化交流も拡大中。

4 在留邦人数

578人(2023年10月現在、海外在留邦人数調査統計)

5 在日ラオス人数

3,602人(2023年6月出入国在留管理庁発表)

6 要人往来

(1)往(2000年以降)
年月 要人名
2000年1月 小渕総理大臣
2001年8月 秋篠宮殿下
2002年12月 矢野外務副大臣
2003年11月 川口外務大臣
2004年3月 荒井外務大臣政務官
2004年8月 阿部外務副大臣
2004年11月 小泉総理大臣及び町村外務大臣(ASEAN+3首脳会議等出席)
2005年1月 福島外務大臣政務官
2005年7月 逢沢外務副大臣
2006年7月 遠山外務大臣政務官
2006年12月 浅野外務副大臣
2007年12月 宇野外務大臣政務官
2008年5月 木村外務副大臣
2009年1月 中曽根外務大臣
2009年12月 西村外務大臣政務官
2010年3月 秋篠宮殿下及び眞子内親王殿下
2010年7月 岡田外務大臣
2010年9月 藤村外務副大臣
2010年11月 徳永外務大臣政務官
2012年6月 皇太子殿下
2012年11月 野田総理大臣(ASEM第9回首脳会議)
2013年11月 安倍総理大臣
2014年6月 三ツ矢外務副大臣
2014年8月 輿石参議院副議長
2015年1月 中根外務大臣政務官
2015年2月 河村建夫日・ラオス友好議連会長
2015年10月 中根外務大臣政務官
2015年11月 濵地外務大臣政務官
2016年5月 岸田外務大臣
2016年7月 岸田外務大臣(ASEAN関連外相会議)
2016年9月 安倍総理大臣(ASEAN関連首脳会議)
2017年3月 柴山総理補佐官
2017年7月 小田原外務大臣政務官
2017年9月 堀井巌外務大臣政務官
2018年2月 薗浦総理補佐官
2018年4月 河野外務大臣
2018年8月 中根外務副大臣
2018年12月 河村建夫日・ラオス友好議連会長(衆議院公式派遣)
2019年6月 阿部外務副大臣
2019年10月 若宮外務副大臣(ASCOJA総会)
2019年12月 小川参議院副議長
2020年1月 木原総理補佐官
2020年8月 茂木外務大臣
2022年12月 武井外務副大臣
2023年10月 上川外務大臣
2024年7月 上川外務大臣(ASEAN関連外相会議)
2024年10月 石破総理大臣(ASEAN関連首脳会議)
(2)来(2000年以降)
2000年6月 シーサワート首相(故小渕前総理合同葬議参列)
2001年3月 ソムサワート副首相兼外相
2002年2月 トンルン副首相兼計画協力委員長
2002年5月 ブンニャン首相
2002年8月 ソムサワート副首相兼外相(東アジア開発イニシアティブ閣僚会合)
2002年12月 トンルン副首相兼計画協力委員会委員長
2003年7月 トンルン副首相兼計画協力委員会委員長
2003年8月 ソムサワート副首相兼外相
2003年11月 トンルン副首相兼計画協力委員会委員長
2003年12月 ブンニャン首相(日・ASEAN特別首脳会議)
2004年1月 ブアソーン副首相
2005年4月 トンルン副首相兼計画投資委員会委員長
2005年5月 ソムサワート副首相兼外相(ASEM第7回外相会合)
サマーン国民議会議長(衆議院議長招待)
2005年6月 ソムサワート副首相兼外相(愛・地球博ラオス・ナショナルデー)
2006年2月 トンルン副首相兼計画投資委員会委員長
2006年12月 トンルン副首相兼外相(外務省賓客)
2007年5月 ブアソーン首相(実務訪問賓客)
2008年1月 トンルン副首相兼外相(日メコン外相会議)
2008年5月 チュンマリー国家主席兼党書記長(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2008年7月 ソムサワート常任副首相
2009年5月 ブアソーン首相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2009年11月 ブアソーン首相(第1回日本メコン地域諸国首脳会議)
2010年1月 トンルン副首相兼外相(FEALAC外相会合)
2010年3月 チュンマリー国家主席兼党書記長(公式実務訪問賓客)
2010年5月 ブアソーン首相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2010年5月 トンシン国民議会議長(参議院議長招聘)
2011年8月 トンルン副首相兼外相(外務省賓客)
2011年11月 ソムサワート副首相(投資セミナー)
2012年3月 トンシン首相(実務訪問賓客)
2012年4月 ソムサワート副首相(投資セミナー)
2012年4月 トンシン首相(第4回日本メコン地域諸国首脳会議)
2013年5月 トンルン副首相兼外相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2013年10月 ソムサワート副首相(投資セミナー)
2013年11月 パーニー国民議会議長(ASEAN議員会議議長としての参議院招待)
2013年12月 トンシン首相(日ASEAN特別首脳会議)
2015年3月 トンシン首相(公式実務訪問賓客)
2015年3月 アーサン副首相(世界防災会議)
2015年7月 トンシン首相(第7回日本メコン地域諸国首脳会議出席)
2015年8月 パーニー国民議会議長(WAW!出席)
2016年5月 トンルン首相(実務訪問賓客、G7サミット・アウトリーチ会合)
2017年3月 ソーンサイ副首相(閣僚級招へい)
2017年6月 トンルン首相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2018年3月 サルムサイ外相(OECD東南アジア地域プログラム閣僚会合)
2018年6月 トンルン首相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2018年10月 トンルン首相(第10回日本メコン地域諸国首脳会議出席)
2019年3月 パーニー国民議会議長(衆議院招待)
2019年5月 トンルン首相・サルムサイ外相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2019年6月 ソーンサイ副首相(NEDO招聘)
2019年10月 パンカム国家副主席(即位の礼)
2019年11月 パンカム国家副主席(大綬章等勲章親授式)
2022年4月 パンカム首相(第4回アジア・太平洋水サミット出席)
2022年9月 ソーンサイ副首相(安倍元総理国葬儀出席)
2023年5月 トンルン国家主席・サルムサイ副首相兼外相(日本経済新聞社主催「アジアの未来」)
2023年11月 サルムサイ副首相兼外相(外務省賓客)
2023年12月 ソーンサイ首相・サルムサイ副首相兼外相(日ASEAN特別首脳会議)
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