アジア

世界地図アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

第2回日メコン外相会議(概要)

平成21年10月3日

 10月3日、カンボジアのシアムリアップにおいて第2回日メコン外相会議が開催されたところ、概要以下のとおり。(我が国より岡田克也外務大臣が出席。各国からは、ハオ・ナムホン・カンボジア副首相兼外相(議長)、トンルン・ラオス副首相兼外相、ニャン・ウイン・ミャンマー外相、カシット・タイ外相、チュン・ベトナム外務次官(外相代理)が出席。)

 会議終了後発出された議長声明(骨子、本文(英文和文仮訳))は別添のとおり。

【ポイント】

  • メコン地域各国外相から、日本がこれまでメコン地域の発展に大きく貢献してきたことに感謝するとともに、今後も引き続き日本の役割に強く期待する旨発言。
  • 岡田大臣から、メコン地域との長年の友好関係に言及した上で、メコン地域の安定と発展がASEAN域内の格差是正につながり、ASEAN統合を促進することでアジアの平和と繁栄や将来の開かれた東アジア共同体の構築に資するとの観点から、従来以上にメコン地域の発展に貢献していくとの立場を表明。
  • 岡田大臣から、日メコン首脳会議を11月6日及び7日、東京にて開催することを正式発表。また、日メコン外相会議を今後定例化して開催することに合意。
  • 地域・国際情勢では、気候変動、国連安保理改革、北朝鮮、ミャンマー及び軍縮・不拡散について議論。

1.開会セッション

(1)メコン各国外相から、日本がこれまで、特に2007年からの「日本・メコン地域パートナーシップ・プログラム」の下で、日メコン間の関係及び協力の強化並びにメコン地域の発展に対して行った多大な貢献に感謝する、今回の外相会議、そして11月の首脳会議を通じて、日メコン間のパートナーシップを更に強化していきたい旨述べました。

(2)岡田大臣から、ベトナム、カンボジア及びラオスにおける最近の台風被害に対する見舞いの言葉を述べた上、概要以下のとおり述べました。

(イ)鳩山政権の外交は、日米関係を基軸にしながら、長期的には東アジア共同体の構築を視野に入れ、積極的に対アジア外交を推進していく方針である。

(ロ)メコン地域諸国とは長い間深く良好な関係にあり、共に協力してこれまで発展してきた、また、この地域の安定と発展は、ASEAN域内の格差是正につながり、ASEAN統合を促進することで、アジアの平和と繁栄や将来の開かれた東アジア共同体の構築に資する。

(ハ)こうした観点から、我が国として、従来以上にメコン地域の発展に積極的に貢献していくとの立場を改めて強調したい。

(3)その他、メコン各国外相から、先の総選挙での民主党の勝利及び岡田大臣の就任をお祝いする旨発言がありました。

2.地域・国際情勢

(1)環境・気候変動

(イ)岡田大臣から、先般の国連気候変動首脳会合において、鳩山総理から、2020年までに1990年比25%削減を目指すこと、「鳩山イニシアティブ」を通じた途上国支援を行っていくことを表明した、12月のCOP15に向けた国際交渉を進めるために、メコン各国と密接に協力していきたい旨述べました。

(ロ)メコン各国の外相から、COP15での合意形成を強く期待する、メコン地域において環境問題及び気候変動への対応は大変重要な問題となっており、この分野における日本からの支援に期待する旨述べました。また、多くの国の外相から、「鳩山イニシアティブ」への高い評価がなされました。

(2)国連安保理改革

(イ)岡田大臣から、鳩山政権の下で常任議席拡大を含む安保理改革実現を目指す方針である、引き続きメコン各国からの積極的な協力・支援をお願いする旨述べました。

(ロ)メコン各国の外相の多くから、日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りを支持しており、今後も支持する旨発言がありました。

(3)北朝鮮

(イ)岡田大臣から、北朝鮮による核開発及び弾道ミサイル開発は、国際社会の平和と安全への重大な脅威であり、容認できない、核問題等に関し、国際社会が、当面は安保理決議第1874号に基づく制裁措置を着実に実施しつつ、六者会合への速やかな復帰など、北朝鮮の前向きかつ具体的な対応を求めていくことが重要である、また、拉致問題を含めた北朝鮮における人権状況に関する懸念についても、北朝鮮に改善のための具体的行動を引き続き求めていく所存である等述べた上で、メコン各国の協力をお願いしたい旨述べました。

(ロ)メコン各国外相の多くから、北東アジアの平和と安全のため、六者会合は重要な枠組みであり、北朝鮮が速やかに六者会合に復帰し、会合が再開されることを期待する旨の発言がありました。

(4)ミャンマー

(イ)岡田大臣から、2010年の総選挙までに、スー・チー女史を含む政治犯を釈放し、すべての関係者を含む形で民主化プロセスが進展することを期待する、先日、政治犯100名以上を含む受刑者の釈放を行ったことは前向きな動きとして評価しており、こうした動きを一層加速して欲しい、ミャンマーへの人道支援は引き続き重視していく、また、最近の米国の対ミャンマー政策見直しやミャンマー国内での新たな動きなどを踏まえ、ミャンマー政府が、スー・チー女史との対話を含め前向きな対応を示すことを期待する、我が国としても、そうしたミャンマー政府による前向きな動きがあった場合には、前向きに反応する用意がある旨述べました。

(ロ)ニャン・ウイン・ミャンマー外相から、本件は国内問題であるが、現状として、2010年の総選挙が自由で公正な選挙となるよう努力している、関連の法律はまもなく制定する、民主化は外から押しつけるものではなく、自らの発意で行うべきものである等の説明がありました。

(5)軍縮・不拡散

(イ)岡田大臣から、NPT運用検討会議の成功とCTBTの早期批准に向けたメコン地域各国の貢献を期待する、また、メコン地域は地雷及びクラスター弾を含む不発弾による被害が依然として残っており、我が国は、地雷及びクラスター弾を含む不発弾除去分野での支援を強化していきたい、また、クラスター弾条約及び地雷禁止条約への参加を求めたい旨述べました。

(ロ)メコン各国の外相の多くから、地雷及び不発弾除去分野での日本のこれまでの支援に感謝の意が示されました。また、ラオスから、特にクラスター弾に関する条約発効後の第1回締約国会議を主催したい等この分野で積極的に取り組む姿勢が示されました。

3.日メコン協力のこれまでの進展と今後の方向性

(1)メコン各国外相から主に以下の発言がありました。

(イ)インフラ整備、特に東西・南部経済回廊にかかる日本の支援及び協力は、ASEAN域内の格差是正につながり、ASEANの統合に貢献するものである。今後の日本の支援に対する強く期待する。

(ロ)メコン地域各国自身の自助努力及びメコン地域各国間での協力もかなり進んでいる。こうした動きも踏まえながら、日本とメコン地域との間のパートナーシップを強化していくことが重要である。

(ハ)民間レベルでの経済関係の強化が必要であり、日本の民間企業からの投資の増大を期待する。

(ニ)環境問題への対処、人材育成、人的交流の拡大といった分野での協力を優先的に進めていくべきである。

(ホ)日メコン交流年の下、メコン地域各国でも関連の行事が数多く行われている、このようなイニシアティブを高く評価する。

(2)岡田大臣から概要以下のとおり述べました。

(イ)本年の日メコン交流年では、幅広い分野及びレベルで交流が活発になっており、交流年認定事業は300件を超えている。また、観光促進、文化遺産保護といった分野での協力を今後強化したい。

(ロ)「日本・メコン地域パートナーシップ・プログラム」の下でのメコン地域へのODA拡充という目標の達成に向け、支援を着実に実施している。東西・南部経済回廊物流効率化支援の案件を順次実施しており、これらの案件が円滑かつ効果的に実施されるべくメコン地域各国の側の協力をお願いしたい。

(ハ)貿易・投資の促進には、経済連携協定(EPA)や投資協定といった枠組みを円滑に運用していくことが重要。また、官民あげての取組が重要であり、官民対話の更なる拡充を図りたい。

(ニ)環境汚染など発展に伴う負の影響、感染症など国境を越える問題への対処といった分野での支援を積極的に行っていきたい。また、NGOとの連携した案件も積極的に推進していく。

(3)また、今後、日メコン関連会合を頻繁に開催すること、そのうち、外相会議を定例化して開催すること及び高級実務者会合(SOM)を毎年開催することで合意しました。

4.日メコン首脳会議の準備

 岡田大臣から、日メコン首脳会議を11月6日及び7日に東京で開催する、首脳会議では、今回の外相会議でも議論された(1)メコン地域開発、(2)環境・気候変動、感染症といった人間の安全保障上の脅威への対処、(3)日メコン間の幅広い分野及びレベルでの協力の拡大といった点について、首脳間でよく議論してもらいたい旨述べ、メコン各国外相から賛同を得ました。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る