アジア

ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)第3回運営委員会
共同プレス・リリース

平成24年10月9日

 2012年10月9日(火曜日),東京において,ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)第3回運営委員会が開催されました。日本側からは玄葉光一郎外務大臣が,インドネシア側からはハッタ・ラジャサ経済担当調整大臣が同委員会の共同議長を務めたほか,両国から関係閣僚が出席しました(日本側:枝野幸男経済産業大臣,長安豊国土交通副大臣ほか,インドネシア側:モハマッド・ヒダヤット工業大臣,マリ・エルカ・パンゲストゥ観光・創造経済大臣ほか出席)。

 また,これらの協議に先立ち,約15分間にわたり玄葉外務大臣とハッタ経済担当調整大臣との間で会談が行われ,両大臣は,和やかな雰囲気の下,その後に行われる2つの協議の意義及び内容などについて確認を行いました(日本側:鹿取駐インドネシア大使ほか,インドネシア側:ヒダヤット工業大臣,マリ観光創造経済大臣,ルトフィ駐日大使ほか同席。)。

1 ジャカルタ首都圏投資促進特別地域マスタープラン(MPAマスタープラン)

総論

  1. (1) 両共同議長は,これまでの2回の運営委員会及び6回の技術委員会での協議を踏まえ,2030年までにジャカルタ首都圏において達成すべき4つの目標((1)より良い都市環境づくり,(2)新成長回廊,(3)多極的ゲートウェイ,(4)低炭素エネルギー開発)を示したMPA開発ビジョンにのっとり,2020年までの完工を目指す45件の優先事業と,そのうち2013年末までの着工を目指す18件の早期実施事業を定めたMPAマスタープランの完成を歓迎し,これを承認しました。
  2. (2) 両共同議長は,MPAは,日本とインドネシアが両国の戦略的パートナーシップに基づき,インドネシアの更なる経済成長の達成とアジアの成長を享受する日本の取組のために一体となって協力するための指針であり,両国の互恵関係を一層高めるものであることを確認しました。また,MPAマスタープランが,インドネシアの経済開発加速化・拡大マスタープラン(MP3EI)の一部を成し,インドネシア政府による開発努力に寄与するものであり,主に,首都圏の中心であるジャカルタにおける現在の交通渋滞の悪化を抑えるための公共交通システムの改善,電力強化と安定,洪水リスクに対する耐性強化等,目に見える成果を目指すものであるとの認識で一致しました。
  3. (3) 両共同議長は,MPAマスタープランの下での早期実施事業を含む優先事業(MPA事業)の実施のために,2020年までに約410兆ルピア(約3.4兆円)規模の資金が必要となるとの事業試算総額を確認し,MPA事業実現のために両国官民の資金を活用して協力していくことを確認しました。これについて,日本側は,今後約10年間に必要な資金のうち約125兆ルピア(約1.0兆円)について日本のODAその他の外国援助による資金協力が期待されるとの本マスタープランの試算に留意しつつ,今後,個別の事業に関するインドネシア政府からの要請に応じて積極的に協力を検討する意図を表明し,インドネシア側はこれを歓迎しました。
  4. (4) 両共同議長は,MPA事業のうち,ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)建設,チラマヤ新国際港整備,スカルノ・ハッタ国際空港拡張整備,アカデミック・リサーチ・クラスター整備,ジャカルタ首都圏下水道整備事業の5件をMPAフラッグシップ・プロジェクトとすることで一致しました。また,これら事業がジャカルタ首都圏の生産性向上とイノベーションによる経済発展のために両国の官民が連携して取り組むMPAの象徴的事業であり,このために,各フラッグシップ・プロジェクトの進展状況に基づき,実施に向けた必要な作業が加速されるとの認識で一致しました

今後の取組

  1. (1) 両共同議長は,MPA事業の実現に向けて,両国官民で各事業を円滑かつ早期に実施するための協力を進めていくことで一致しました。
    • 両共同議長は,両国の協力の下,いくつかの早期実施事業が既に着手されていることを確認し,これを歓迎しました。
    • 両共同議長は,例えば,チラマヤ新国際港整備事業は,アクセス道路等の周辺インフラも含めた開発によりジャカルタへの物流の集中を緩和し,首都圏の産業クラスター整備に貢献するものであり,また,ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)建設事業は,ジャカルタの深刻な交通渋滞緩和に資するものであるとして,これらを含む多数の事業において,日本の協力によりフィージビリティ調査が実施されていることを評価しました。両共同議長は,これら2事業が遅くとも2020年までに操業を開始するよう,実施の加速化に向けた更なる協力の強化を確認しました。さらに,日本側は,チラマヤ新国際港の周辺総合開発の早期実現に向けて,包括的な調査を実施する意図があることを表明し,インドネシア側はこれを歓迎しました。
    • また,早期実施事業のうち,日本側は,MRT南北線事業,ジャワ・スマトラ連系送電線事業,インドラマユ石炭火力発電事業及びプルイット排水機場改修事業に対して既に約1,000億円のODA資金協力を実施している旨報告し,インドネシア側は,実施の加速化のためのJICAによる多大な努力を始めとする日本の協力に感謝の意を表明しました。両共同議長は,事業の実現に向けて更なる連携を図ることを確認しました。
    • さらに,日本側は,インドラマユ石炭火力発電事業,MRT南北線及び東西線事業,チラマヤ新国際港整備事業を始めとする早期実施事業実施に必要となる資金について,インドネシア政府から要請があれば,円借款供与の可能性を前向きかつ速やかに検討する意図を表明しました。
    • これに対し,インドネシア側は,MPA事業実施のため,速やかにブルーブックを改訂するとともに,外国からの援助資金の活用が期待されている事業については,円借款等の要請のための作業を加速化しつつ,JBICローン等の民間ファイナンスの活用が想定されている事業については,政府保証ファンド(IIGF)やクラッシュ・プログラム等の枠組みにより政府支援を講じる意図を表明し,日本側はこれらを歓迎しました。
  2. (2) インドネシア側は,MPA事業の実施を最大限加速化するため,MPAマスタープランに示されたリスク要因に留意し,各事業の準備促進,制度的課題の解決等,必要な対応を行うことを表明しました。
  3. (3) フォローアップ体制として,両共同議長は,MPAの協力枠組みを今後も継続させ,MPA運営委員会を最低年1回,同技術委員会を最低半年に1回開催し,マスタープラン実施の進捗を確認することで一致しました。
    • 具体的には,両共同議長は,経済開発加速化・拡大マスタープラン委員会(KP3EI)内のユニットとして,全ての関係者と意思疎通し,かつ,優先事業の実施の加速化を促進するための調整役として機能するMPA実施チーム(MPA Implementing Team)を設置し,MPA事業の実施を促進していくことで一致しました。
    • また,インドネシア側は,MPAマスタープランをKP3EIに提出し,進捗状況を定期的にKP3EI委員長であるインドネシア共和国大統領に報告すること及びKP3EI事務局はMPAマスタープランの実施に伴う制度的課題の解決を支援し,MPA実施チームと緊密に連携していくことを確認しました。

2 MPA投資促進ハイレベル協議

(1) 両共同議長は,相互主義の精神に基づき,投資関連の規制,規則及び慣行を直接投資に一層資するものとすることでインドネシアにおける直接投資を推進する方策を探求することを目的とする投資促進ハイレベル協議における進捗を評価しました。同協議は,1年間にわたり,6つの事項について4回開催され,以下の具体的な成果に留意しました。

ア 投資関連新規制の周知徹底

 インドネシア政府は,政府法令の作成手続に関する新法に関する周知徹底を進めた。インドネシア関係省庁は,本法律に基づくプロセスの透明化を確保し,関係者との協議を始めた。経済担当調整大臣府は,このプロセスを調整している。

イ 日本の投資家と主要なインドネシア機関との対話の推進

 インドネシアにおいて,移転価格税制に関するフォローアップ指針が発出され,異議申立ての手続を簡略化するため,租税通則法に係る政府規制が修正されるとともに,納税者が国税総局国際課税担当局次長と国際課税紛争に関して相談するための窓口が創設された。日本とインドネシアとのパートナーシップを強化するために,相互理解及び利益に基づき,課税問題に関する定期協議が今後も開催される。

ウ 輸入及び貿易関連手続の改善

 インドネシア経済担当調整大臣府は,JICAと協力し,貿易手続行政キャパシティ向上プロジェクトの下,貿易関連法・規則を見直し,簡素化するための一連の活動を開始した。これは,これまで1,323の貿易関連法・規則をカバーする「貿易ルールブック」の策定とその全ての英訳を含む。これらの法・規制は,現在,経済担当調整大臣府のウェブサイト(http://rulebook-jica.ekon.go.id(他のサイトヘ))に掲載されている。

エ 労働関連の慣行及び規制の改善

 インドネシア労働・移住省は,労使関係紛争の解決のための指針,労働関係規則・規制に関連する知識の向上ための能力評価制度,労働関係規則上適正な労働の監査のための指針並びに外国人労働者のための労働許可及び外国企業の経営幹部のための訪問ビザ発行手続の簡素化を準備中。

オ エネルギー分野の投資促進

 日本政府及びインドネシア政府は,二国間関係に対して積極的に貢献するために「エネルギー政策対話」を設置した。これは,特に,石油及び天然ガス,電力,石炭及び鉱物資源並びに省エネルギー及び新エネルギーの各分野における理解を促進するもの。国際協力銀行(JBIC)及び石油・天然ガス上流政策実施機関(BPMIGAS)は,インドネシアにおける天然ガスの総供給量の更なる拡大に向けたビジネスモデル構築及び日本企業向けのガス関連ビジネス機会の促進を目的とした覚書に署名した。

カ 対インドネシア直接投資へのインセンティブの促進

 所得税一時免除措置(タックス・ホリディ)が財務省により発出され,インドネシアに大きな投資を呼び込むインセンティブとなっている

(2) さらに,両共同議長は,関連の幾つかの作業が完了に向けて行われていることを認識しました。インドネシア側は,インドネシアの法令の予見可能性,透明性及び安定性を高めるための具体的措置として,パブリック・コメントに類する措置の導入を含めた大統領令を制定する意図を表明しました。日本側は,新しい規制(商業大臣令2012年第59号)に基づき,輸入ライセンス(API-U)を有する貿易業者による複数のHS大分類にわたる輸入が円滑に認められるよう要請しました。また,労働分野では,今年に入って頻発している道路封鎖等デモ隊の違法行為に対して懸念を表明するとともに,違法ストライキ予防の徹底を要請しました。課税分野においては,合理性をもった課税体制整備への更なる進捗及び現場レベルでの運用の改善を要請しました。さらに,制度適用基準の明確化,裾野産業(中小企業)への優遇制度を通じたインドネシアの産業高度化に向けた制度導入への期待を表明しました。

(3) 両共同議長は,投資促進ハイレベル協議報告書を了承しました。

(4) 同報告書に基づき,両共同議長は,投資促進ハイレベル協議の枠組みを継続し,これまでの取組に続く第2ラウンドの議論を開始することで一致しました。第2ラウンドでは,通関,課税,労働,法令の予見可能性等の諸議題について議論を継続していくことで一致し,投資促進ハイレベル協議に対して,次回運営委員会において第2ラウンドの議論の進捗を報告するよう指示しました。

3 次回MPA運営委員会

 両共同議長は,次回MPA運営委員会を2013年中に双方の都合の良い時期及び場所にて開催することで一致しました。

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第2回日・インドネシア閣僚級経済協議及びジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)第3回運営委員会(概要) | 目次へ戻る