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マンモハン・シン・インド首相の訪日
(概要)
平成20年10月21日(火曜日)~23日(木曜日)
1.概要
(1)マンモハン・シン・インド首相は、コール夫人とともに、10月21日から23日まで公式実務訪問賓客として訪日。シン首相訪日にあわせ、インド経済界のリーダー13名が訪日。
(2)22日午前、宮中にて天皇皇后両陛下が御引見になられた。
(3)シン首相は22日夕刻、麻生総理と日印首脳会談を行い、政治、安全保障、経済、経済協力、人の交流、地域的・国際的課題に関し意見交換を行い、会談後、「日印戦略的グローバル・パートナーシップの前進に関する共同声明」及び「日本とインドとの間の安全保障協力に関する共同宣言」に署名した。(下記2.参照)
(4)シン首相は、22日昼、経団連・日本商工会議所共催の昼食会に出席し、日本経済界と懇談した。また22日午前、第2回ビジネス・リーダーズ・フォーラム(日本側代表:御手洗経団連会長、インド側代表:アンバニ・リライアンス会長)が開催され、両首脳に対し、互恵的で質の高い日印経済連携協定(EPA)実現やインドのインフラ整備への協力など日印経済関係の課題やグローバルな課題に対応する日印経済界の役割についてまとめた報告書を提出した
(5)シン首相は、その他、23日に日印協会・日印友好議連共催歓迎午餐レセプションに出席した他、22日には中曽根外務大臣(下記3.参照)、二階経産大臣の表敬を受けた。また23日には、太田公明党代表、鳩山民主党幹事長他の表敬を受けた。
2.首脳会談
日印首脳会談の主要な結果は以下のとおり。
(1)日印関係全般
- 基本的価値と様々な利益を共有する日印両国が協力すれば、地域と世界の平和と安定に多大なる貢献ができるという認識を共有。同時に、日印間の協力には更に大きな潜在性があることを確認。
(2)政治・安全保障
- 2009年、両首脳の都合の良い時期に麻生総理が訪印することを確認。
- 今回署名された安全保障協力に関する共同宣言に基づき、今後の具体的な行動計画を作成し、両国間の安保協力を進めることで一致。
(3)経済・経済協力
- 麻生総理は、過去5年間で日本からインドへの投資額が10倍、企業数が2倍に増加したとの具体的数字をあげつつ、拡大しつつある日印経済関係を更に後押しすべくEPAの早期妥結を目指したい旨発言。これに対し、シン首相も質の高い、互恵的で包括的なEPAの早期妥結の重要性を指摘。
- シン首相は、日本からの長年にわたる経済協力がインドの経済・社会発展に大きく寄与してきたこと、インドが日本のODAの最大の受取国となっていることに対して謝意を表明。麻生総理は、インドの経済発展に不可欠なインフラ整備を支援すべく貨物専用鉄道建設計画(DFC)の西回廊への支援開始を決定した旨伝達。また両首脳は、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)は日本の投資拡大にも資する多大なる潜在性を有する構想であるとの点で一致するとともに、同構想実施のためのプロジェクト開発基金(PDF)に係る国際協力銀行(JBIC)及びインド関係機関との覚書への署名を歓迎。
- シン首相から日本からの投資拡大への期待が示され、インド政府として出来る限りの投資環境整備を行う用意がある旨発言。
- 麻生総理より22日のインドでの無人月周回衛星の打上げ成功への祝意を表し、両首脳は宇宙分野の協力促進につき一致。
(4)人の交流
- 「麻生プログラム」の下、これまでに約3,700人の人の交流が実現したことを確認するとともに、本年度末までに約5,000名を招へいするとの目標を達成すべく、共に協力することで一致。また、新設インド工科大学(IIT)ハイデラバード校への支援及びインド情報技術大学(IIIT)ジャバルプール校への支援継続を確認。
(5)地域的・国際的課題、その他
- 両首脳は、国連安保理改革、世界経済情勢、気候変動問題等に関する協力を確認。
- 特に気候変動問題について、シン首相は、この問題に関する日本のイニシアティブを歓迎する旨発言。
- 不拡散・軍縮に関連して麻生総理は、インドが核実験モラトリアムを含む「約束と行動」を誠実に履行することが重要である旨述べるとともに、非核兵器国としてのNPT早期加入及びCTBTの早期署名・批准等を改めて要請。
3.中曽根外務大臣による表敬
(1)22日午前、中曽根外務大臣はシン首相を表敬し、7月の洞爺湖サミット出席に続くシン首相の訪日を歓迎するとともに、麻生内閣は日印関係を極めて重視している旨発言。
(2)これに対しシン首相は、インドでは、日印関係の更なる拡大については、党派を超えた幅広い国民の支持がある旨述べるとともに、今回が首相としての2回目の訪日であり、前回訪日した際に構築した「日印戦略的グローバル・パートナーシップ」に付加価値をつけるべく訪日した旨述べた。