アイスランド

基礎データ

令和7年2月21日
アイスランド共和国国旗

一般事情

1 面積

10.3万平方キロメートル(北海道よりやや大きい)

2 人口

38万3,726人(アイスランド統計局2024年1月)

3 首都

レイキャビク(人口142,740人 アイスランド統計局2023年第3四半期)

4 言語

アイスランド語

5 宗教

人口の約8割が福音ルーテル派(国教)

6 略史

略史
870~930年頃 ヴァイキング、アイスランド植民。
930 アルシンギ(立法・司法機関)設立。
1262 ノルウェーの統治下に入る。
1397 デンマーク王の統治下に入る。
1918 独立(デンマークとの同君連合)。
1940 デンマークがナチス・ドイツに占領される状況の下、英軍に占領される。
1944 アイスランド共和国成立。
1949 NATO加盟。
1994 欧州経済領域(EEA)協定発効。

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

ハトラ・トーマスドッティル大統領(2024年8月就任、1期目(任期4年))

3 議会

一院制(1991年5月31日の憲法改正により完全一院制に移行。議員定数63、任期4年)

4 政府

(1)首相
クリストルン・フロスタドッティル(社会民主同盟党)
(2)外相
ソルゲルズル・カトリン・グンナルスドッティル(改革党)

5 内政

(1)大統領:トーマスドッティル大統領就任

 2024年1月に、ヨハネソン大統領による再選不出馬の表明を受け、ヤコブスドッティル前首相及びローガドッティル・エネルギー庁長官含め、過去最多12名の候補が出馬し、トーマスドッティル氏が第7代の次期大統領に選出された。女性の大統領はフィンボガドッティル第4代大統領に次いで、アイスランド史上二人目。

(2)内閣:与党第一党のベネディクトソン独立党党首を中心とする新連立政権が発足

 2024年11月の総選挙の結果を受け、12月21日、連立合意が成立し、クリストルン・フロスタドッティル政権が発足。与党第一党である社会民主同盟党(SDA)のフロスタドッティル党首を首相とするSDA、改革党、国民党の3党からなる連立政権となった。新政権の任期は2028年11月まで(総選挙実施から4年間)。フロスタドッティル首相はアイスランド史上最年少(36歳)の首相であり、現職の首相としては世界でも最年少。省庁再編が行われ、閣僚ポストは11に削減(1減)されて3党間で分配。首相を含む11閣僚のうち7閣僚が女性となった。

外交・国防

1 外交基本方針

(1)北欧諸国との協調継続と経済重視外交

 北欧諸国間の協調外交を柱としつつ、産業・金融政策の自主裁量権を確保すべくEU及び通貨ユーロには非加盟。同時にEEA(欧州経済領域)及びシェンゲン協定に加盟することで欧州経済圏との一体性を確保。
 また2017年、経済発展のめざましいアジア等の非欧州地域との経済関係の強化を重視する外交政策を打ち出した。

(2)得意分野を通じた国際貢献

 男女平等政策及び地熱エネルギー利用や漁業振興による開発協力において、国際機関とも連携しつつ積極的な国際貢献を実施。地熱エネルギー利用技術研修プログラム(UNU-GTP)、国連大学水産技術研究プログラム(UNU-FTP)に加え、土壌回復(UNU-LRT)及びジェンダー(UNU-GEST)に関するプロジェクト等が行われている。

(3)北極問題への取組

 1996年に創設された北極評議会の加盟国。官民を挙げての包括的な取組に尽力しており、特に気候変動、北極海航路、海洋資源問題等に大きな関心を示している。2013年から毎年10月に首都レイキャビクにおいて「北極サークル」と称する世界最大規模の北極関係国際会議を開催している。

2 軍事力

  • (1)NATO原加盟国であるが、自国の軍備はない。
  • (2)1951年米国との間に防衛協定を締結し、米軍の国内駐留(当時のケフラビーク空軍基地)を認めていたが、主として米側の事情により米軍は2006年9月をもって撤退。有事の際は米国との二国間防衛協定に基づき、アイスランドの防衛が保障されており、2017年に米国と新たな覚書を交わす等、近年の国際情勢の変動を受けて再び協力強化を指向。
  • (3)2007年以降、他のNATO加盟国がアイスランド領空の警戒監視活動を定期的に実施。また、アイスランド沿岸警備隊が参加するNATO加盟国との共同軍事演習も定期的に行われており、対潜水艦演習、重要インフラの防衛、爆弾処理に重点を置いている。

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

観光業、水産業、水産加工業、金属(アルミニウム精練)

2 GDP

310億米ドル(IMF2023年)

3 一人当たりGDP

79,998米ドル(IMF2023年)

4 経済成長率(実質)

4.1%(IMF2023年)

5 物価上昇率

8.7%(IMF2023年)

6 失業率

3.4%(IMF2023年)

7 総貿易額

(1)輸出
6,840百万米ドル
(2)輸入
9,640百万米ドル

(OECD統計2023年)

8 主要貿易品目

(1)輸出
未加工アルミ、水産物、肉・くず肉の粉等、合金鉄
(2)輸入
燃料、炭素系電子機器、自動車、酸化アルミニウム(アルミナ)

9 主要貿易相手国・地域

(1)輸出
オランダ、米国、英国、フランス、ノルウェー等
(2)輸入
ノルウェー、ドイツ、中国、オランダ、米国等

(アイスランド統計局2023年)

10 通貨

アイスランド・クローナ

11 為替レート

1アイスランド・クローナ=約0.96円(2024年9月中間値平均 アイスランド中央銀行)

12 経済概況

(1)主要産業

 水産業及び水産加工業が盛んで、水産物の輸出が経済において大きな比重を占める。また、再生可能エネルギー(地熱及び水力による電力)を用いたアルミ精錬やフェロシリコン(鉄鋼原料)生産も盛んである。また、近年では観光業が好調。

(2)経済情勢

  • ア 2008年の金融危機後はIMFや北欧諸国等からの融資を受けていたが、2011年8月の融資を最後にIMFの支援を卒業。その後、経済は回復基調にあり、成長率及び失業率いずれもEU平均より良好な数値を示している。
  • イ エネルギー分野では、再生可能エネルギーの利用が進んでおり(一次エネルギー利用の約85%)、特に、そのうちの66%を占める地熱は総電力生産の25%を担うとともに、全国の住宅の約9割に暖房を供給している。また、温室栽培や温水プール等にも活用されている。

二国間関係

1 政治関係

  • (1)1956年外交関係開設。両国関係は順調に推移している。2016年には外交関係開設60周年を迎えた。
  • (2)日本は、2001年2月に在アイスランド大使館(兼勤駐在官事務所)を開設。アイスランドは、同年10月に在京大使館を開設し、その際にはアウスグリムソン外相が訪日した。
  • (3)2005年7月、日本国際博覧会(愛・地球博)の際、博覧会賓客としてアウスグリムソン首相が訪日し、小泉総理大臣と首脳会談を行った。2006年12月には、スベリスドッティル外相が、日・アイスランド外交関係開設50周年の祝賀レセプションに合わせて訪日し、麻生外務大臣と外相会談を行った。
  • (4)2010年11月、スカルプヘイジンソン外相が訪日し、前原外務大臣と外相会談を行ったほか、大畠経産大臣、伴野外務副大臣と会談を行った。
  • (5)2013年7月、石原環境大臣がアイスランドを訪問し、ヨーハンソン環境相兼農業・漁業相、アルナドッティル産業・貿易相及びクリスチャンスドッティル内相と会談を行った。
  • (6)2014年2月、ヨーハンソン環境相兼農業・漁業相が訪日し、石原環境大臣及び林農林水産大臣と会談を行ったほか、日本アイスランド地熱発電フォーラムに出席した。同年11月、スヴェインソン外相が外務省賓客として訪日し、岸田外務大臣と外相会談を行ったほか、アイスランド投資セミナー等に出席した。
  • (7)2016年3月、日アイスランド友好議員団(団長:クリスチャンスドッティル・アイスランド国会外務委員長)が訪日し、大島衆議院議長表敬、山田外務大臣政務官による歓迎昼食会等が行われた。同年8月、日・アイスランド友好議員連盟一行はアイスランドを訪問し、ヨハネソン大統領、ヨーハンソン首相、及びグドゥフィンソン国会議長を表敬した。
  • (8)2017年7月、松野文部科学大臣がアイスランドを訪問し、トールダルソン外相、ラプンスドッティル・アイスランド大学副学長、マグヌスドッティル・教育科学文化次官、国会外交委員会議員等と意見交換を行った。同年7月、参議院国会対策委員会議員団がアイスランドを訪問し、国会外交委員会委員等と意見交換を行ったほか、地熱発電所視察等を行った。同年9月、参議院重要事項調査班がアイスランドを訪問し、社会公正相及びレイキャビク市長を表敬訪問したほか、アルナソン財務次官、レイキャビク市教育局長との意見交換、地熱発電所視察、保育園の視察等を行った。
  • (9)2018年2月、河野外務大臣は訪日したグリムソン北極サークル議長による表敬を受けた。同年5月、トールダルソン外相が訪日し、河野外務大臣と外相会談を行った。同年10月、北極サークルに出席するためにアイスランドを訪問した河野外務大臣は、トールダルソン外相と外相会談を行ったほか、ベネディクトソン財務・経済相主催の夕食会にて意見交換を行った。
  • (10)2019年5月、アルフレズドッティル教育・科学・文化相が訪日し、柴山文部科学大臣と会談した。同年10月、即位礼正殿の儀に出席するため訪日したヨハネソン大統領が安倍総理大臣と会談した。
  • (11)2020年、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本からアイスランドにアビガン錠を無償提供し、5月に茂木外務大臣とトールダルソン外相は外相電話会談を行った。
  • (12)2021年5月、日本とアイスランドが第3回北極科学大臣会合(ASM3)を共催。文部科学省とアイスランド教育科学文化省の間で、教育・科学技術・イノベーションに関する協力覚書を作成した。
  • (13)2022年12月、岸田総理大臣が、国際女性会議WAW!2022において基調講演を行うため訪日したヨハネソン大統領と会談した。
  • (14)2023年3月北極サークル日本フォーラムに出席するため訪日したトールダルソン環境・エネルギー・気候相は、西村環境大臣及び中谷経済産業副大臣と会談した。同年4月、西村経済産業大臣がアイスランドを訪問し、トールダルソン環境・エネルギー・気候相と会談を行い、地熱エネルギーに関する協力促進に向けて共同声明に署名した。同年8月、西村環境大臣がアイスランドを訪問し、トールダルソン環境・エネルギー・気候相と会談した。同年9月、参議院重要事項調査班議員団がアイスランドを訪問し、グズムンドソン環境省事務次官、ロガドッティル・エネルギー庁長官と会談したほか、ヘトリスヘイジ及びスヴァルツエンギ地熱発電所を視察した。

2 経済関係

(1)貿易関係
 アイスランドにとって日本は主要な貿易相手国であり、特に、水産物の重要な輸出先である(対日輸出の約7割が水産物、日本で流通する「めぬけ」や「ししゃも」は多くがアイスランド産)。日本からアイスランドへの主要な輸出品目は自動車、一般機械である。
ア 日・アイスランド貿易の推移
日本からアイスランドへ アイスランドから日本へ 収支
2015 61 185 -124
2016 73 174 -101
2017 96 194 -98
2018 95 203 -108
2019 60 154 -94
2020 48 97 -49
2021 61 146 -85
2022 90 259 -169
2023 139 278 -139
(単位:億円、出典:財務省貿易統計2023年)
イ 主要輸出入品目
日本からアイスランドへ 自動車(85.7%)、電気機器(8.6%)
アイスランドから日本へ 魚介類(48.1%)、合金鉄(32.1%)
(出典:財務省貿易統計2023年)

3 文化・交流関係

1981年
アイスランド・日本協会設立
1985年6月
日・アイスランド友好議連設立
1991年10月
日本アイスランド協会設立
2001年10月
日本でアイスランド・フェアを開催
2003年
アイスランド大学に日本コース開設
2005年
愛・地球博に北欧5か国と共同参加
2006年
日・アイスランド外交関係開設50周年
(アイスランドの国立劇場で能、現代舞踏などの文化行事の実施、安倍総理大臣とホルデ首相のメッセージ交換を行った。)
2016年
日・アイスランド外交関係開設60周年

 このほか、例年、アイスランド大学で日本語スピーチ・コンテストやジャパン・フェスティバルが実施されている。

4 在留邦人数

152人(外務省 海外在留邦人数調査統計2023年10月)

5 在日当該国人数

86人(法務省 在留外国人統計2023年12月)

6 要人往来(役職は全て当時のもの。)

(1)往(1999年以降)
年月 要人名
1999年6月 小渕総理大臣(第2回日・北欧首脳会談)
2001年7月 小島外務大臣政務官
2002年8月 日・アイスランド友好議員連盟
2002年9月 村田金融担当副大臣
2008年7月 日・アイスランド友好議員連盟
2013年7月 石原環境大臣
2014年7月 牧野外務大臣政務官
2016年8月 日・アイスランド友好議員連盟
2017年7月 松野文部科学大臣
2017年7月 参議院国会対策委員会議員団
2017年9月 参議院重要事項調査班議員団
2018年10月 河野外務大臣
2023年4月 西村経済産業大臣
2023年8月 西村環境大臣
2023年9月 参議院重要事項調査班議員団
(2)来(1999年以降)
年月 要人名
2001年10月 アウスグリムソン外相(外賓)
2001年11月 マティエセン漁業相
2001年12月 ピエトゥルスドッティル法相(第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議)
2002年11月 フィンボガドッティル前大統領
2003年1月 オッドソン首相(非公式)
2004年11月 ブロンダール国会議長
2005年7月 アウスグリムソン首相(博覧会賓客)
2005年9月 オッドソン外相
2006年12月 スベリスドッティル外相
2010年11月 スカルプヘイジンソン外相
2014年2月 ヨーハンソン環境相兼農業・漁業相
2014年11月 スヴェインソン外相(外務省賓客)
2015年3月 ノルダル内務相(第3回国連防災世界会議)
2016年3月 日アイスランド友好議員団(団長:クリスチャンスドッティル・アイスランド国会外務委員長・衆議院招へい)
2017年11月 スカルプヘイジンソン産業・イノベーション省次官(外務省戦略的実務者招へい)
2018年2月 グリムソン前大統領(北極サークル議長)
2018年5月 トールダルソン外相
2018年9月 ギルヴァドッティル観光・産業・イノベーション相
2019年5月 アルフレズドッティル教育・科学・文化相
2019年9月 グンナルソン北極評議会(AC)高級北極実務者(SAO)会合議長
2019年10月 ヨハネソン大統領(即位礼正殿の儀)
2022年12月 ヨハネソン大統領(国際女性会議WAW!2022)
2023年3月 トールダルソン環境・エネルギー・気候相
2023年3月 グリムソン前大統領(北極サークル議長)

7 二国間条約・取極

  • 1966年 査証及び査証料免除取極
  • 2018年 日・アイスランド租税条約
  • 2018年 ワーキング・ホリデー制度の導入

8 外交使節

  • (1)アイスランド駐箚日本国特命全権大使 竹若 敬三
  • (2)本邦駐箚アイスランド国特命全権大使 ステファン・ホイクル・ヨハネソン
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