ホンジュラス共和国

基礎データ

令和6年3月5日
ホンジュラス国旗

一般事情

1 面積

112,490平方キロメートル(日本の約3分の1)

2 人口

1,043万人(2022年 世界銀行)

3 首都

テグシガルパ

4 民族

混血91%、先住民6%、アフリカ系2%、ヨーロッパ系1%

5 言語

スペイン語

6 宗教

憲法上信教の自由を保障。伝統的には主にカトリック。

7 略史

年月 略史
1502年 コロンブスによる「発見」
1539年 スペインのグアテマラ総督領に編入
1821年 スペインから独立。メキシコに併合
1823年 メキシコから独立。中米連邦共和国結成
1838年 中米連邦共和国から分離独立
1963年 軍事政権成立
1982年 民政移管
2009年 クーデター(6月)。「暫定政府」下で大統領選挙(11月)
2010年1月 ロボ大統領就任(国民党)
2014年1月 エルナンデス大統領就任(国民党)(第1期)
2018年1月 エルナンデス大統領再任(第2期)
2022年1月 カストロ大統領就任(27日)

政治体制・内政

1 政体

立憲共和制

2 元首

イリス・シオマラ・カストロ・サルミエント大統領(任期4年)

3 議会

一院制(128名、任期4年)

4 政府

(1)首相名
首相職無し
(2)外相名
エドゥアルド・エンリケ・レイナ・ガルシア

5 内政

  • 1821年にスペインから独立。メキシコへの併合を経て、1823年にエルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ及びニカラグアと共に中米連邦共和国を結成するが、1838年に同共和国から分離独立。
  • 20世紀初頭以降、自由党と国民党の二大政党の時代となる。ホンジュラスの内政には、バナナ産業に代表される権益を有していた米国が大きな影響力を持ち、クーデターを含め軍部も関わった。
  • 1963年、当時の政権与党の自由党の軍部統制の動きに反発してクーデターが発生。1970年から2年間の民政を除き、1982年の民政移管まで軍政が続いた。
  • その後、2009年のクーデターまで、自由党(通算5期)と国民党(通算2期)の二大政党による政権運営が続いた。
  • 2009年6月、憲法(大統領再任禁止を含む)の改正等をめぐり内政が混乱する中、軍がセラヤ大統領(自由党)を拘束して国外移送し、「暫定政権」が樹立されるというクーデターが発生した。コスタリカ、次いで米州機構(OAS)及び米国の仲介もあり、セラヤ大統領側と「暫定政府」側が歩み寄り(テグシガルパ・サンホセ合意)、「暫定政府」の下で2009年11月に大統領選挙が実施され、その結果、2010年1月にロボ大統領(国民党)が就任した。
  • ロボ大統領は政変後の国内融和と国際関係の修復に尽力し、各国との関係を正常化し、2011年6月にはOAS復帰も実現した。
  • 2013年11月の大統領選挙は国民党、自由党、さらに新党リブレ党(自由党セラヤ派が分派)の候補の争いとなったが、与党国民党のエルナンデス候補が当選し、2014年1月に大統領に就任した。この頃からリブレ党を含め新興政党の躍進が見られる。
  • 2015年4月、与党国民党の国会議員の申立てを受けて、最高裁は、大統領再選を禁止する憲法条文の規定は無効であるとの判決を下した。これにより大統領再選の道が開かれた。
  • 2017年11月に大統領選挙が実施され、リブレの支持も得た反独裁同盟のナスララ候補との接戦となったが、エルナンデス大統領が僅差で再選された。その過程で開票プロセスが不透明であるとして野党を中心に疑議が呈され、外出禁止令が出されるなど事態は緊迫した。最終的に米国がホンジュラスの最高選挙裁判所による今回の選挙の問題点の精査等を求めつつもエルナンデス大統領の再選に祝意を表し、ナスララ候補が選挙戦から退くことを表明し、事態は収束した。
  • 2018年1月、エルナンデス大統領が就任した(連続2期目)。治安対策に注力するとともに、2018年10月以降「移民キャラバン」が本格化したことを受け、移民問題の根本的解決に向けて貧困削減、投資誘致、雇用創出等の課題に集中的に取り組んだ。
  • 2021年11月に大統領選挙が実施され、リブレ党とホンジュラス救済党の野党連合が勝利し、カストロ候補(リブレ党)が2022年1月に新大統領に就任。

外交・国防

1 外交基本方針

  • (1)対米関係重視。外交多角化の観点よりアジアとの関係緊密化に努力。
  • (2)中米統合の促進(関税同盟の推進等)。(注)2024年前半(1月~6月)、SICA議長国。
  • (3)2023年3月、外交関係を維持してきた台湾と断交し、中国との外交関係を樹立。

2 軍事力(2021年:ミリタリーバランス)

(1)国家安全保障費
340百万ドル (2020年)
(2)兵役
志願制(1995年に徴兵制廃止)
(3)兵力
14,950人(陸軍7,300人、海軍1,350人、空軍2,300人、軍警察4,000人)、パラ・ミリタリー8,000人(治安・防衛省)

経済

1 主要産業

主に農林水産業(コーヒー、バナナ、パーム油、養殖エビ等)、縫製産業、観光業

2 GDP(名目)

317.2億米ドル(2022年 世界銀行)

3 一人当たりGNI

2,750米ドル(2022年 世界銀行)

4 経済成長率

4.0%(2022年:世界銀行)

5 物価上昇率

9.1%(2022年 世界銀行)

6 失業率

7.0%(2022年 世界銀行)

7 総貿易額

(1)輸出(F.O.B)
11,348百万米ドル(2023年 ホンジュラス中央銀行)(含むマキラ産業)
(2)輸入(C.I.F)
19,327百万米ドル(2023年 ホンジュラス中央銀行)(含むマキラ産業)

8 主要貿易品目(2023年 ホンジュラス中央銀行)

(1)輸出
コーヒー、バナナ、パーム油
(2)輸入
鉱産物、燃料類、機械・電気部品及び関連製品

9 主要貿易相手国(2023年 ホンジュラス中央銀行)

(1)輸出
1位 米国(35.4%)、2位 グアテマラ(8.4%)、3位 エルサルバドル(7.6%)、(日本(0.9%))
(2)輸入
1位 米国(31.4%)、2位 中国(14.9%)、3位 グアテマラ(10.4 %)、(日本(1.7%))

10 通貨

レンピラ

11 為替レート

1米ドル=約24レンピラ(2023年 ホンジュラス中央銀行)

12 対外公的債務

9,371百万ドル(2023年 ホンジュラス中央銀行)

13 経済概況

  • (1)コーヒー、バナナ等の伝統産業への依存度は依然として高いが、これから脱却するため、新規産業の育成を図っており、マキラ(保税加工区)における製造業(特に繊維)や観光業が注目されている。
  • (2)在米ホンジュラス人(約100万人)からの本国送金が多く、2021年の送金額は約70億ドル(GDPの約26%に相当)。
  • (3)2006年、米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)が発効。2013年8月に中米・EU連携協定が発効。2016年10月には太平洋同盟への正式加盟を申請。2019年10月には中米・韓国FTAが発効した。
  • (4)1998年、中米を襲ったハリケーン・ミッチにより、約36億ドル(1998年名目GDPの約68%にあたる)という未曾有の被害を被ったが、我が国を含む国際社会の支援もあり復興。
  • (5)拡大重債務貧困国(HIPC)イニシアチブの対象国であり、2005年3月にIMF理事会、同年4月には世銀理事会において完了時点に到達したことが承認された。その結果、国際機関(プレッジ額は約3億ドル)、各国(予定額940百万ドル)による債務免除が実施されることとなった。日本は計約581億円の債務免除を行った。
  • (6)2020年3月、当国で初めて新型コロナウイルス感染者が確認され、全国に外出禁止令が発出された。また、同年11月、熱帯暴風雨イータ及びイオタが当国を襲い、甚大な被害をもたらした。2020年の名目GDPは前年比-9.0減の約238億ドルと大きな打撃を受けたが、2021年9月、日本は計約110億円の円借款の供与を決定し、復興を支援。

経済協力

1 日本の援助実績

  • (1)有償資金協力(2021年度まで、E/Nベース) 617.85億円
  • (2)無償資金協力(2021年度まで、E/Nベース) 832.88億円
  • (3)技術協力実績(2021年度まで、JICA経費実績ベース) 461.84億円

2 主要援助国(2020年、単位:百万ドル)(2021年OECD/DAC)

  • (1)米国(85.87)
  • (2)ドイツ(27.12)
  • (3)スペイン(25.67)
  • (4)スイス(24.07)
  • (5)カナダ(19.67)

二国間関係

1 政治関係

 1935年2月外交関係樹立。1941年12月からの外交関係中断を経て、1953年10月外交関係再開。1967年相互に大使館開設。

 1998年のハリケーン・ミッチを受けて人道援助のため日本は国際緊急援助隊として初となる自衛隊の医療部隊をホンジュラスに派遣。

2 経済関係

対日貿易
(1)貿易額(2023年 財務省貿易統計)
輸出:248.58億円
輸入:118.79億円
(2)主要品目
輸出:コーヒー、衣類、えび、メロン等
輸入:自動車、機械類、自動車部品等

3 文化関係

  • 文化無償資金協力(一般・草の根)累計28件、11億7,900万円(2019年度まで)

4 在留邦人数

126人(2023年10月現在)

5 在日ホンジュラス人数

156人(2023年6月現在 法務省)

6 要人往来

(1)日本からホンジュラスへ(1990年以降)
年月 要人名
1990年 斉藤十朗特派大使(カジェハス大統領就任式)
1991年 杉浦正健衆議院議員
渡海紀三朗衆議院議員
1992年 小渕恵三衆議院議員、杉浦正健衆議院議員
三原朝彦衆議院議員、新盛辰雄衆議院議員
木間章衆議院議員、藤原房雄衆議院議員
1994年 山下徳夫特派大使(レイナ大統領就任式)
1998年 綿貫民輔特派大使(フローレス大統領就任式)
町村外務政務次官(ハリケーン見舞い)
1999年 愛知和男衆議院議員
2002年 清水嘉与子特派大使(マドゥーロ大統領就任式)
2003年 清子内親王殿下
2005年 有馬龍夫政府代表(日本・ホンジュラス外交関係樹立70周年記念式典)
小平忠正衆議院議員
2006年 鳩山邦夫特派大使(セラヤ大統領就任式)
2007年 山際大志郎衆議院議員
2012年 加藤敏幸外務大臣政務官
2014年 石原宏高外務大臣政務官(エルナンデス大統領就任式特派大使)
2015年 宇都隆史外務大臣政務官(日本・ホンジュラス外交関係樹立80周年記念式典)
眞子内親王殿下
2017年 武井俊輔外務大臣政務官
2018年 岡本三成外務大臣政務官
西村明宏衆議院議員、土屋品子衆議院議員
小宮山泰子衆議院議員
2020年 鈴木馨祐外務副大臣
2022年 宇都隆史特派大使(カストロ大統領就任式)
堀井巌参議院議員
2024年 穂坂泰外務大臣政務官
(2)ホンジュラスから日本へ(1990年以降)
年月 要人名
1990年 イリアス国会議長
カステリャーノス厚生相
マルティネス予算企画相
カスティーリョ大統領顧問
メンブレーニョ通信・公共事業運輸相
カジェハス大統領(即位の礼)
カリアス外相(即位の礼)
1991年 メディーナ経済相
ビジャヌエバ財務相
マドゥーロ中銀総裁
ヌフィオ天然資源相
1993年 カリアス外相
チャイン経済貿易相
1994年 パス外相
1995年 ヘレサノ副大統領
1997年 レイナ大統領(実務訪問賓客)
1999年 フローレス外相
2003年 バトレス文化相
ピエレフ観光相
ロドリゲス枢機卿
パンティング環境相
2004年5月 マドゥーロ大統領(実務訪問賓客)
2005年3月 ロサ・バウティスタ外相(外務省賓客)
2005年4月 マドゥーロ大統領(IDB沖縄総会)
2005年8月 マドゥーロ大統領、ロボ副大統領、フォルティン外相(日本・中米首脳会談)
2007年10月 メサ厚生相
2010年10月 クエジャル環境相(COP10)
2011年2月 アルバレス・テグシガルパ市長(国民党党首)
2013年2月 クエジャル天然資源・環境相
2014年11月 エスコト教育相(持続可能な開発のための教育に関するユネスコ世界会議)
2015年3月 アルバラード緊急事態対処常設委員会(COPECO)長官(第3回国連防災世界会議)
2015年5月 セラト財務相
2015年7月 エルナンデス大統領(実務訪問賓客)、コラーレス外相、リベラ経済開発相、オルドニェス・インフラ公共事業相
2017年9月 ガルダメス環境相
2018年6月 ピネダ・インフラ公共事業相
2019年3月 アグエロ外相
2022年7月 レイナ外相
2022年9月 レイナ外相(安倍元総理の国葬参列)

7 二国間条約・取極

  • 1974年 査証相互免除取極
  • 1975年 青年海外協力隊派遣取極
  • 2007年 技術協力協定
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