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平成19年8月29日
8月29日、安倍総理は、日本の招待により訪日したメルケル独首相と17時00分から約1時間10分、首脳会談を行い、その後、両首脳による共同記者会見 に引き続いて、18時45分から約1時間半、総理主催夕食会を行ったところ、首脳会談及び夕食会の概要と評価は以下のとおり。
(1)二国間関係
両首脳は、来年我が国がドイツからG8議長国を引き継ぐことを踏まえ、国際的な諸課題に日独両国が一層緊密に連携して取り組むことで一致した。
(2)G8サミット
安倍総理より、(イ)ハイリゲンダム・サミットにおいては、世界経済、アフリカ、気候変動という主要議題に加え、北朝鮮情勢をはじめとする地域情勢などの国際的な重要課題に関し、有意義な意見交換を行い、重要な成果を残した、(ロ)来年の北海道洞爺湖サミットでは、ハイリゲンダムの成果を基礎に、「環境立国・日本」として環境、気候変動問題を取り上げることとなろう、(ハ)運営面でも、徹底的に環境に優しいサミットにしたいと考えており、日本の技術とノウハウのショーケースにしたい、旨述べた。これに対しメルケル首相より、日本がG8の議長国となる来年のサミットでは気候変動問題は決定的に重要なテーマとなると考える、技術展示も良い考えであり、断熱材等の温暖化関連技術で独も協力できることがあれば協力したい旨述べた。
(3)気候変動・エネルギー
(イ)安倍総理より、今般のインド訪問の成果を紹介しつつ、2013年以降の国際枠組みについては、主要排出国全てが参加する実効的なものとすることが不可欠であり、「美しい星50(Cool Earth 50)」の3提案・3原則に沿って、各国が責任と能力に応じ最大限の取組を行う柔軟かつ多様性のある枠組み作りを目指したい、来年のサミットでの成果も念頭に、ドイツと協力していきたい、12月にバリで開催される気候変動国際会議では、有意義な議論が行われ、今後の具体的成果につながる基礎が提供されることを期待する、違法伐採対策においてもドイツと協力していきたい、と述べた。
(ロ)これに対し、メルケル首相より、ハイリゲンダム・サミットの成果を来年のサミットに繋げることが重要であり、成功に向けて独は喜んで協力したい、「Cool Earth 50」の考えを大歓迎する、日独間では立場が異なる点もあるが方向性は一致している旨述べた。
(ハ)安倍総理より、気候変動問題とエネルギー問題はコインの表裏であり、先進的な省エネ技術を有する日独が協力してこの問題に取り組んでいきたい、また、中国、インド等に対し、エネルギー効率向上を慫慂するため、協力していきたいと述べた。
(ニ)これを受け、メルケル首相より、エネルギー効率の問題は重要であり、高度な技術力を有する日独が協力する余地は大きい旨述べた。
(4)アフリカ
(イ)安倍総理より、来年5月に横浜で開催される第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)では「元気なアフリカ」をテーマに、アジアの発展の経験をアフリカにも生かしていくことを考えているが、その結果をサミットにつなげたい、ドイツからの貢献にも期待したいと述べた。
(ロ)これに対し、メルケル首相より、ドイツもアフリカ問題を重要視している、今年12月にはEU・アフリカ・サミットが開催されるが、その結果も踏まえて日独で密接に協力したい旨述べた。
(5)国連安保理改革
両首脳は、安保理改革実現に向け引き続き緊密に協力していくことで一致した。
(6)アフガニスタン
(イ)安倍総理より、「テロとの闘い」は国際社会の最重要課題である、海上自衛隊による給油活動がドイツを含む各国による海上阻止活動の重要な基盤となっていると認識しており、本年11月1日で期限が切れるテロ対策特措法については是非とも延長が必要であると考えている、野党にも理解をしてもらえるように、政府としても最大限努力していきたいと述べた。
(ロ)メルケル首相より、独もOEF、ISAFへの部隊派遣とトルネード偵察機の派遣についての議会のマンデートの延長の問題があるが、貢献の形態にかかわらず、我々がテロへの闘いを継続するとの断固たる意思を示していくことが重要である、日本の給油活動を高く評価するとともに、それが今後も継続することを期待する旨述べた。
(7)その他
他にも、東アジア情勢(中国、北朝鮮、EAS)、ロシア、中央アジア、イラン、中東情勢、ダルフール、知財等について意見交換が行われた。
(1)本年のG8議長国ドイツとの間で、議長国の引き継ぎを踏まえ、来年の北海道洞爺湖サミットの重要なテーマとなる気候変動・エネルギー、アフリカ開発をはじめ、主要国際問題について有意義な意見交換を行った。
(2)本年既に3回目となる首脳会談を通じ、首脳間の個人的信頼関係を一層深めた。