ガボン共和国
ガボン共和国(Gabonese Republic)
基礎データ
一般事情
1 面積
267,667平方キロメートル(日本の約3分の2)
2 人口
239万人(2022年、世銀)
3 首都
リーブルビル(Libreville)
4 民族
ファン、プヌ、ミエネ、テケ、コタ等
5 言語
仏語(公用語)
6 宗教
キリスト教、伝統的宗教、イスラム教
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1960年8月 | 独立(旧宗主国・仏) |
1961年2月 | レオン・ムバ初代大統領就任 |
1964年2月 | クーデター未遂事件 |
1967年11月 | オマール・ボンゴ大統領就任 |
1973年2月 | 大統領選挙、オマール・ボンゴ大統領再選 |
1990年4月 | 複数政党制移行が決定し、9月同制度で初の国民議会選挙実施 |
1991年3月 | 新憲法、政党法を国民議会で採択 |
1993年12月 | 複数政党下初の大統領選挙実施、オマール・ボンゴ大統領5選 |
1997年3月 | 二院制へ移行 |
1998年12月 | 大統領選挙、オマール・ボンゴ大統領6選(任期7年) |
2001年12月 | 国民議会選挙実施、2002年1月「開かれた内閣」発足(野党入閣) |
2005年11月 | 大統領選挙、オマール・ボンゴ大統領7選(任期7年) |
2009年6月 | オマール・ボンゴ大統領死去 |
2009年8月 | 大統領選挙、アリ・ボンゴ国防大臣当選 |
2009年10月 | アリ・ボンゴ大統領就任 |
2011年12月 | 国民議会選挙実施 |
2013年12月 | 地方選挙実施 |
2016年8月 | 大統領選挙 |
2016年9月 | アリ・ボンゴ大統領再選(任期7年) |
2023年8月 | 26日に大統領選挙実施。30日、アリ・ボンゴ大統領の当選が発表されたところ、軍・治安部隊の一部の兵士が大統領選挙の無効を主張し、アリ・ボンゴ大統領を拘束したこと及び国家機能の停止を発表。 |
2023年9月 | 4日、宣誓式が行われ、オリギ・ンゲマ将軍が暫定大統領に就任。7日にはンドン・シマ暫定政府首相を任命。 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
ブリス・クロテール・オリギ・ンゲマ暫定大統領(Brice Clotaire OLIGI NGUEMA)
3 議会
二院制(国民議会(99議席)、上院議会(70議席))
4 政府
- (1)暫定政府副大統領 ジョセフ・オウォンド・ベール(Joseph OWONDAULT BERRE)
- (2)暫定政府首相 レイモン・ンドン・シマ(Raymond NDONG SIMA)
- (3)暫定政府外相 ミッシェル・レジス・オナンガ・ママドゥ・ンディアイ(Michel Régis ONANGA MAMADOU N'DIAYE)
5 内政
1960年に仏から独立して以来、内戦や紛争を経験していない。1990年に複数政党制に移行。2003年に大統領再選回数制限を撤廃。40年以上大統領を務めたオマール・ボンゴ大統領が2009年6月に逝去。前大統領子息のアリ・ボンゴ・オンディンバが平和裡に実施された大統領選挙で勝利した。2016年、大統領選挙が実施され、アリ・ボンゴ大統領が再選。僅差で敗れたジャン・ピン野党候補の支持者と治安機関が衝突し、治安が一時悪化。
アリ・ボンゴ前大統領は、2025年までに新興国の仲間入りを目指す改革計画である「台頭するガボン(Gabon Emergent)」政策を打ち出し、インフラ整備、産業多角化及び加工産業育成(「工業化のガボン」)、環境保全(「緑のガボン」)、サービス産業育成(「奉仕のガボン」)を進めてきた。また、油価の低落の影響もあり国内経済、財政状況が悪化する中、貧困層、若者、女性といった社会的弱者を支援するための「社会契約」の実行を掲げていた。
2023年8月26日に行われた大統領選挙の結果として、30日の未明に現職のアリ・ボンゴ氏の当選が発表された。その直後、軍・治安部隊の一部が国営放送局を占拠し「選挙は不正で大統領選挙結果は無効、全ての国家機能を停止し、国家機関移行再建委員会(CTRI)を発足させる」旨の声明を発表した。この蜂起を主導した大統領親衛隊長のオリギ・ンゲマ氏がCTRI議長に就任し、同議長は、8月31日~9月2日にかけて、経済界、野党を含む政界、市民社会、宗教界、メディア、外交団等の代表と対話を実施し、CTRI暫定政府への各界の理解と支持を求めた。
暫定政府は、前政権時の行政・経済・社会の一貫性・継続性を保ちつつ、9月4日、前政権の大臣等を含む各界代表者出席の下、オリギ・ンゲマ氏の暫定大統領就任式を実施した。その後、経済学者でアリ・ボンゴ政権でも首相を務めた文民のンドン・シマ氏が暫定政府の首相に任命され、暫定政府の閣僚27人(うち軍人4人)の交代式が実施された。
暫定政府は、透明性と開放性に配慮しながら、表現の自由等の基本的人権や法の支配を尊重する民主的方向での国家再建を表明している。幅広く国民の意見を聞き、国民和解に努めながら、新憲法を国民投票で採択した後に公正かつ透明性のある選挙を実施し、民政に移管するべく、具体的準備に着手している。
外交・国防
1 外交基本方針
旧宗主国である仏等欧米や中国等の伝統的なパートナーにとどまらず、シンガポール、トルコ、モロッコ、韓国等多様な経済パートナーを希求し、積極的なトップ外交を展開。中部アフリカ地域の安定勢力として、伝統的に地域の紛争解決に積極的な役割を果たす。近年は同国に本部を置く中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)を通じ、ギニア湾海賊、中央アフリカ情勢への関与も行う。
2 軍事力(ミリタリーバランス2023年版)
- (1)予算 2億8,000万米ドル
- (2)兵役 無し(志願兵制)
- (3)兵力 陸軍3,200人、海軍500人、空軍1,000人、憲兵隊2,000人
- (4)駐留仏軍350人
経済(単位 米ドル)
1 主要産業
- 鉱業
- (原油、マンガン)
- 農林業
- (木材、ヤシ油)
2 GDP
210.7億米ドル(2022年、世銀)
3 一人当たりGNI
7,530米ドル(2022年、世銀)
4 経済成長率
2.9%(2022年、世銀)
5 物価上昇率
3.84%(2023年、IMF)
6 失業率
20.4%(2023年、ILO推計)
7 総貿易額(2022年、ITC)
- (1)輸出 91.96億米ドル
- (2)輸入 27.62億米ドル
8 主要貿易品目(2021年、ITC)
- (1)輸出 原油、マンガン鉱、木材等
- (2)輸入 食用肉、掘削機械、医薬品、自動車、トラック等
9 主要貿易相手国(2022年、ITC)
- (1)輸出 中国、伊、韓国、印
- (2)輸入 中国、フランス、ベルギー、アラブ首長国連邦
10 通貨
CFAフラン(中部アフリカ諸国銀行発行)
11 為替レート
1ユーロ=655.957CFAフラン(固定レート)
12 対外債務残高
79.54億ドル(2022年、世銀)
13 経済概況
サブサハラ・アフリカ有数の産油国であり、輸出収入の68%、GDPの27%、国家収入の59%を依存する。石油に加えて、マンガン、木材で輸出収入の9割を占めることから、資源の国際価格の変動に非常に影響を受けやすく、経済構造の改革が喫緊の課題。石油生産は97年の約37万バレル/日をピークに減少に転じており、現在は、約20万バレル/日で推移。一人あたりの所得が高い一方、国連人間開発指数では112位(2021年)。ガボン政府は、経済の多様化、格差に起因する国民の不満解消のための貧困対策、多額の対外債務の返済という3つの大きな課題に取り組んでいる。
経済協力
1 日本の援助実績(単位:億円)
- (1)有償資金協力(2021年度まで、E/Nベース) ―
- (2)無償資金協力(2021年度まで、E/Nベース) 54.18
- (3)技術協力実績(2021年度まで、JICA実績ベース) 67.16
2 主要援助国(2020年-2021年、支出総額ベース、OECD/DAC、百万ドル)
- (1)フランス(67)
- (2)ノルウェー(9)
- (3)日本(4)
- (4)米国(2)
- (5)韓国(1)
二国間関係
1 政治関係
- (1)1960年8月17日、日本はガボンを承認し、1972年に在ガボン大使館開設。ガボンは、1968年在京大使館を開設。
- (2)二国間関係は一貫して良好。故オマール・ボンゴ大統領は、1984年の国賓を含め5度来日。アリ・ボンゴ大統領は、2010年10月に実務訪問賓客として訪日したほか、TICAD Vでも来日。また、2022年には、オスカ・ラポンダ首相が訪日。
2 経済関係
- (1)対日貿易額(2023年、財務省)
- 輸出 54.5億円
- 輸入 48.2億円
- (2)主要品目
- 輸出 マンガン鉱、鉄鋼、木材、アルミニウム
- 輸入 自動車、建設用・鉱山用機械、鉄鋼、船舶類、タイヤ・チューブ
3 文化関係
文化無償協力として教育機材、視聴覚機材、印刷機材、柔道機材等の供与実績あり。また、毎年、在外公館文化事業として日・ガボン杯柔道大会(ガボン柔道連盟と共催)及び日本大使杯空手大会(ガボン空手連盟と共催)を開催。
4 在留邦人数
42人(2023年10月現在)
5 在日当該国人数
31人(2022年12月現在)
6 要人往来(2004年以降)
年月 | 要人名 |
---|---|
2004年8月 | 衛藤征士郎衆議院議員、三原朝彦衆議院議員他(日AU友好議員連盟中部アフリカ訪問) |
2005年1月 | 小野寺五典外務大臣政務官 |
2006年8月 | 杉浦正健法務大臣 |
2008年3月 | 高村正彦外務大臣、小野寺五典外務副大臣 |
2009年6月 | 杉浦正健衆議院議員(オマール・ボンゴ大統領国葬参列) |
2013年2月 | 阿部俊子外務大臣政務官 |
2013年11月 | 石原外務大臣政務官(アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション) |
2018年7月 | 大串正樹経済産業大臣政務官 |
2020年1月 | 山際大志郎衆議院議員、大串正樹衆議院議員、高村正大衆議院議員(日AU友好議員連盟訪問) |
年月 | 要人名 |
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2004年5月 | ジャン・ピン外務・協力・仏語圏相(外務省賓客) |
2004年11月 | ポール・ビヨゲ・ンバ商業・産業振興・NEPAD担当相 (TICADアジア・アフリカ貿易投資会議) |
2005年7月 | ンブンブ・ミヤク副首相(愛知万博) |
2007年11月 | ドゥンバ森林経済・水利・漁業相・国立公園相 |
2008年5月 | オマール・ボンゴ大統領(TICAD IV) ゴンジュ外相(TICAD IV) |
2010年10月 | アリ・ボンゴ大統領(生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)ハイレベル・セグメント出席) |
2013年6月 | アリ・ボンゴ大統領(TICAD V) ンゴンデ外務国際協力相(TICAD V) ベカレ漁業相(TICAD V) |
2015年6月 | アカガ・ンバ鉱山・産業・観光相(第2回日アフリカ資源大臣会合) |
2015年11月 | ングア・レグア・ヌム・デジタル経済・郵政相(国際電気通信連合(ITU)世界電気通信/ICT指標シンポジウム(WTIS)) |
2019年8月 | ビリ・ビ・ンゼ外相(TICAD7) |
2019年10月 | フォスタン・ブクビ国民議会議長(即位礼正殿の儀) |
2021年7月・8月 | フランク・ンゲマ・スポーツ相(東京オリンピック・パラリンピック競技大会) |
2022年9月 | オスカ・ラポンダ首相 ニョンダ外務副大臣(故安倍晋三国葬儀) |
7 二国間条約・取極
- 2003年11月 青年海外協力隊派遣取決めを締結
- 2008年3月 技術協力協定に署名