
アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
「V4+日本」外相会合
共同プレス・ステートメント(仮訳)
ハノイ、2009年5月25日
- 「V4+日本」外相会合は、2009年5月25日にベトナム、ハノイにて開催された。この会合には、ラドスワフ・シコルスキ・ポーランド共和国外務大臣、中曽根弘文日本国外務大臣、ミロスラフ・ライチャーク・スロバキア共和国外務大臣、ヤン・コホウト・チェコ共和国副首相兼外務大臣、ラースロー・ヴァールコニ・ハンガリー共和国外務省専門次官が出席した。
- 外相は、2007年5月にハンブルクで開催された前回外相会合以降、V4と日本の間で活発で有益な対話と協力が成功裏に進展していることを満足を持って歓迎し、双方が関心を有する分野において、「V4+日本」対話・協力を継続・強化させる意向を表明した。また、外相は、地域・国際情勢について意見交換した。
- V4側は、麻生総理が2009年5月にベルリンで行った政策演説「変革期の世界と日欧のパートナーシップ」の中で、「自由と繁栄の弧」のコンセプトに基づきV4諸国との協力・支援を強化する決意を表明したことを高く評価した。日本側は、東方パートナーシップの下、EUとその東方パートナー諸国の間の政治連合を加速し経済統合を促進するために必要な条件を創設するEUの新たなイニシアティブを歓迎した。
「V4+日本」対話
- 外相は、2008年12月にワルシャワで実施された第2回「V4+日本」政策対話、東京における日本外務省欧州局長とヴィシェグラード4カ国駐日大使の間での定期会合といった「V4+日本」対話の枠組における近年の前向きな進展を歓迎した。
- 外相は、政策対話を強化するため、ASEM外相会合のような機会を活用し、隔年毎に外相会合を実施する用意があることを再確認するとともに、政策対話を強化するために、政務局長会合及び専門家レベルの議題別会合を毎年実施することを確認した。
- 外相は、貿易・投資、開発協力、観光、気候変動、エネルギー効率、科学技術、文化・教育といった互いが関心を有する分野における将来の協力を認識しつつ、このような対話の強化が経済成長及び地域協力に大きく貢献し、また、EUと日本の緊密な協力を強化するとの認識を共有した。
相互の関心分野における「V4+日本」協力
- 外相は、2007年5月のハンブルクにおける外相会合のフォローアップとして、最近の以下のような「V4+日本」協力の成果を満足を持って歓迎した。
- 「V4+日本」援助協力ワークショップ(2008年2月、東京)
- 世界観光会議へのV4諸国の共同参加(2008年9月、東京)
- 「V4+日本」中小企業振興ワークショップ(2008年10月、東京)
- セミナー「ユーロゾーンへの道-V4の展望」(2008年11月、東京)
- 外相は、日本とV4諸国の双方において双方が関心を有する分野で相互利益となる方法で協力を継続する意図を確認した。この関連で、日本側は、2009年10月頃に東京で「V4+日本」環境・気候変動ワークショップを開催することを提案し、同ワークショップにV4諸国の専門家を招待した。V4側は、日本側の提案を高く評価し、同ワークショップのフォローアップとして「グリーン・ヴィシェグラード・イニシアティブ」を活用する可能性を追求する意図を表明した。外相は、共同ワークショップやセミナーといったイニシアティブへの支援を再確認し、貿易・投資協力を一層強化する意図を確認した。
地域・国際情勢
- 外相は、経済金融危機、気候変動その他の環境問題、国連安保理改革、不拡散 アフガニスタン/パキスタン、北朝鮮、EU東方パートナーシップ、ミャンマー、スリランカといった地域・国際情勢につき掘り下げた意見交換を行った。外相はこれらの事項及び他の相互関心事項における「V4+日本」対話強化の重要性を確認した。
(経済金融危機)
- 外相は、世界経済の回復の必要性を再確認しつつ、2008年11月にワシントンDCで開催されたG20サミットにおける日本によるIMFへの最大1000億ドルの融資表明、2009年4月にロンドンで開催されたG20サミットに先立ってEUが表明した1000億ドルの融資を含む、IMFの財政基盤強化のための国際社会の努力を歓迎し、かかる努力が中・東欧における経済状況の回復に貢献することを期待した。外相はV4諸国に進出している600社以上の日系企業が、現在の厳しい世界経済状況にもかかわらず、事業継続を通じて、日本とV4諸国の経済関係強化に貢献していることを高く評価した。
この文脈で、外相は、「V4+日本」協力の枠組みにおいて、世界経済・金融問題に関するセミナーをV4諸国において開催する可能性を追求することを決定し、日本側は同セミナーへ日本人専門家の派遣の用意があることを表明した。
外相は、現在の危機的経済状況において、V4と日本の経済関係の更なる協力の基盤を強化するため、日・EU経済関係の最大限の潜在的可能性を実現することの重要性を認識した。このために、外相は、具体的な成果を出すことが期待されるいくつかの特定の非関税案件に関し、相互の利益になるように、かつ短期的で2009年5月にプラハで開催された第18回日・EU定期首脳協議においてEUと日本の首脳が強調したように、日本とEUの共同作業を推進するとのコミットメントを確認した。
(気候変動)
- 外相は、2009年のコペンハーゲンにおける第15回国連気候変動枠組条約締約国会合(UNFCCC)において、すべての主要経済国が責任ある方法で参加する2012年以降の実効的な国際的枠組みを作るために協力する必要性を認識した。外相は、気候系への危険な人為的干渉を防ぐ水準で大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるという究極の目的を達成するために、時宜を得た方法で地球全体の温室効果ガス排出量を大幅に削減する緊急性を共に強調した。外相はまた、先進各国のそれぞれの排出量削減約束は、過去の努力とセクター別分析を含む緩和ポテンシャルに関する分析などの要素に基づく努力の比較可能性を確保するような、公平な方法で設定されるべきであり、主要な途上国が、測定可能、報告可能かつ検証可能な方法で、共通に有するが差異のある責任及び各能力に応じ、有意義な国別に適切な緩和措置をとるべきであるとの意見を共有した。
中・東欧地域環境センター(REC)を通じた中・東欧における環境問題への協力に関し、外相は、日本とRECの間で現在進行している協力を評価し、更なる発展を歓迎した。外相は、気候変動分野における共通の努力を念頭に置きつつ、RECの活動への支援を継続する意図を表明した。
(国連安保理改革)
- 国連を強化し、国連がその責任を全うできるようにすることの重要性を共有しつつ、外相は、現在進んでいる国連改革プロセス、特に安保理の両カテゴリーの拡大及びその作業方法の発展を含む安保理改革に対する継続的な支持を再確認した。この文脈で、外相は、改革実現という共通の目的を達成するための政府間交渉において積極的に協力する意思を表明した。
(不拡散)
- 外相は、大量破壊兵器及びその輸送手段の不拡散分野において協力する決意を再確認し、2003年5月にクラクフにおいて開始された「拡散安全保障イニシアティブ」のようなイニシアティブが、現在の不拡散体制を補完する有益な手段となり得ることを強調した。
(アフガニスタン/パキスタン)
- 外相は、アフガニスタン及びパキスタンに対する支援が国際社会の最重要課題の一つであるとの考えを再確認し、2009年3月31日にハーグで開催されたアフガニスタンに関する国際会議及び、4月17日に東京で開催されたパキスタン・フレンズ閣僚会合/パキスタン支援国会合の成功を歓迎した。外相は、日本とハンガリーの間のバグランにおけるPRTを通じた具体的な協力を歓迎し、日本とV4諸国との間のこのような協力がアフガニスタンにおいて継続されることへの期待を表明した。パキスタンで現在進行している軍事行動に関し、外相は、国際社会が戦闘による避難民に対する必要な支援を行う緊急の必要性を強調した。
(北朝鮮)
- 外相は、北朝鮮が発表した2回目の核実験は、NPT体制に対する重大な挑戦であり、また関連の安保理決議、特に安保理決議1718号に明確に違反するものであり、これを非難した。北朝鮮に対して、北朝鮮が六者会合においてコミットしたとおり、全ての核兵器関連活動を放棄することを要求するとともに、外相は、国連安保理を通じて効果的な対応をとることの重要性を認識した。外相はまた、北朝鮮における人権状況に関する懸念を強調し、拉致問題を含む人権状況に取り組むことの重要性を強調した。
(EU東方パートナーシップ)
- 外相は、特に東欧における民主的機構及び市場経済への支援における協力へのコミットメントをさらに強調した。外相は、EU東方パートナーシップのようなイニシアティブが、この目的を達成するために活用可能であるとの考えを共有した。
(ミャンマー)
- 外相は、ミャンマー政府が、遅滞なく国内の厳しい政治的・構造的・経済的問題に取り組み、正当かつ民主的な民政政府への平和的移行を助長することへの期待を表明した。外相は、2010年に予定される選挙が、ミャンマーのすべての当時者の間の包括的な対話を基礎としたものであれば、国際的に歓迎されるであろうことを指摘した。この文脈で、外相は、ミャンマーに対し、最近の起訴について外相が深く懸念しているアウン・サン・スーチー女史を含む政治犯及び政治的収監者を釈放するよう呼びかけた。外相は、国連事務総長の周旋役割及び計画されている訪問に対する支持を再確認し、ミャンマー政府に対して、国民和解及び経済・社会開発を実現するために、全ての当事者を巻き込んだプロセスを慫慂した。外相は、ミャンマーによる実質的な政治的進展に対しては、前向きに反応する用意があることを確認した。
(スリランカ)
- 外相は、多数の国内避難民への支援及び再定住化と、スリランカにおける国民和解に向けた政治的プロセスの速やかな進展の重要性を表明した。外相は、スリランカ政府に対し、かかる課題に対処するよう呼びかけた。