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第18回日・EU定期首脳協議
(結果概要)
平成21年5月4日
5月4日午前10時30分より約2時間30分、我が国より麻生総理、EU側よりクラウス・チェコ(EU議長国)大統領及びバローゾ欧州委員長が参加し、第18回日・EU定期首脳協議がチェコ大統領府(プラハ城)にて開催された。
協議に続き、双方の首脳による共同記者会見が行われるとともに、共同プレス声明(骨子:別添)が発出された。協議概要は、以下のとおり。
(注)本件協議は、1991年より原則として年1回、日欧交互に開催。
ポイント
日・EU関係 世界が多くの困難に直面する中、日・EUが共同でリーダーシップを発揮していくことで一致。「日・EU協力のための行動計画」が2011年に終了するのを受け、次の新文書の策定に向け検討を開始することで合意。また、新たな日・EU経済関係強化の方向性を打ち出せるよう、今後1年間かけて検討していくこととなった。
グローバルな課題 世界経済・金融危機に関し、ロンドン・サミットのコミットメントを再確認。気候変動については、米中等全ての主要排出国の参加を確保した次期枠組み合意形成に向け協力していくことを議論した。新型インフルエンザ対策に向け国際社会の一致した取組が重要であり、EUとも必要に応じ情報交換等の協力を行っていくこととなった。
地域情勢 中国、北朝鮮、アフガニスタン/パキスタン、イラン、中東和平、海賊等、主要な地域情勢につき幅広く意見交換し、北朝鮮の核・ミサイル問題解決への協力、中国に対しより責任ある建設的役割を求めていくこと、イランに対する粘り強い働きかけの必要性等、幅広い問題で一致した。
1.日・EU関係
- 世界が多くの困難に直面する中、国際社会の平和と繁栄を支える意思・能力・責任感を共有する日・EUが共同でリーダーシップを発揮していく方針を確認。
- 経済面では、今後一年間かけて、新たな日・EU経済関係強化の方向性を打ち出せるよう検討を進めていくこととなった。
- 定期首脳協議を受け、幅広い日・EU協力につき記した共同プレス声明を発出。共同プレス声明には、2001年に策定された「日・EU協力のための行動計画」が2011年に終了することを受け、それ以降の新文書の策定に向け検討を開始することが明記された。
2.主なグローバルな課題
(世界経済・金融危機)
- 経済・金融危機への対応については、先般のロンドン・サミットでの合意を迅速かつ着実に実施すべく、国際社会が協調して対応する必要性を再確認した。また日本側より、90年代の教訓を踏まえた今般の経済対策を説明し、次回のG20サミットに向け、引き続きEUと緊密に協力していくことを確認した。また、ドーハラウンド交渉の早期妥結に向けて努力していくことで一致した。
(気候変動・エネルギー)
- 気候変動については、COP15において、米中等すべての主要排出国、経済国の責任ある形での参加を確保することが重要であり、公平、実効的な次期枠組み合意を形成すべく、EUとも引き続き協力していくことについて議論した。また、エネルギー効率向上の必要性につき議論し、技術開発の重要性で一致した。
(新型インフルエンザ)
- 新型インフルエンザ対策において国際社会の一致した取組が必要であり、日・EU間で必要に応じ情報交換等の協力を行っていくことで一致した。
3.地域情勢等
(中国・北朝鮮)
- 中国に関し、日本側より、中国の安定的発展は国際社会にとり好機であるが、不透明な軍事力の近代化等は地域の不安定材料にもなり得る旨述べた。中国が国際社会でより責任ある建設的な役割を果たしていくことが重要との点で日・EUで一致した。
- 4月5日の北朝鮮によるミサイル発射に対する非難、安保理議長声明の支持、北朝鮮の核放棄が重要である等の点で一致。EU側より、六者会合のプロセスを全面的に支持していると述べ、拉致問題の解決を含めた北朝鮮の人権状況の改善も重要であり、日・EUが引き続き連携して対処していくことで一致した。
(アフガニスタン/パキスタン)
- アフガニスタン・パキスタン・中央アジアといった地域を一体として捉えつつ、積極的に支援していくことで一致。EU側より、4月に東京で開催されたパキスタンに関する支援国会合を高く評価するとの発言があった。
(イラン)
- イラン核問題に関する深刻な懸念を共有し、イランに対して責任ある対応をねばり強く求めていくことで一致した。また、EU側よりEU3+3を通じたイランへの働きかけ、日本側から、中曽根外務大臣のイラン訪問による働きかけにつき紹介し、今後とも日・EUで連携していくこととなった。
(中東和平)
- 「二国家解決」の実現に向け、日・EUが協力していくことを確認した。日本側より、「平和と繁栄の回廊」の経験をふまえつつ、当事者間の信頼醸成を進めることが重要であると述べた。
(海賊)
- EU側より、海賊対策は日・EU協力の成功例であると述べ、今後とも日・EU間で情報交換を含めた協力を進めていくこととなった。