欧州連合(EU)

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第15回日・EU定期首脳協議
(概要と評価)

平成18年4月25日

I. 概要

 小泉総理は、24日(月曜日)、東京(総理公邸及び官邸)において、EU(欧州連合)議長国であるオーストリアのシュッセル首相、欧州委員会のバローゾ委員長との間で、第15回日・EU定期首脳協議(ワーキング・ディナーを含む。)を行ったところ、概要以下のとおり(我が方より、麻生外務大臣他が、EU側より、ソラナEU共通外交・安保政策上級代表、フェレーロ=ヴァルトナー対外関係欧州委員他が同席)(共同プレス・ステートメントの仮訳骨子)。

(参考)日・EU定期首脳協議は、日・EU関係の強化を目的として1991年の日・EC共同宣言において年1回の開催につき合意されたものであり、日本、欧州交互に開催。前回は昨年5月にルクセンブルクにおいて開催。

1.日・EU関係全般

(1)日・EUは基本的価値を共有し、国際社会の責任あるパートナーである旨を確認。小泉総理より日・EU関係強化のためには1)目に見える協力(原子力分野の協定への署名と、税関分野の協定の実質合意を歓迎)、2)戦略的対話の強化、3)人の交流(EUの若者を毎年4000人目標に受け入れる等、昨年の市民交流年を受けた交流促進)の3点が重要と指摘し、EU側の賛同を得た。

(2)政治面では戦略的対話の強化につき合意。今後中央アジアについても強化することとなった。また、EUの対中武器禁輸問題では総理より懸念を表明し、共同ステートメントにおいて日本の立場(解除に反対)を明記。

2.日・EU経済関係

 EU側より、「Japan is back」であるとして日本経済の力強い回復を歓迎し、日本経済の回復は世界経済にとって良いニュースであるとの言及があった。日・EUの経済関係の重要性が確認されると共に、一層の貿易・投資拡大のため双方向でビジネス環境を整備していく重要性を確認。また、加盟国と間の社会保障協定、租税条約交渉の進展を歓迎。

3.地球規模の問題

 環境・エネルギーについては、日・EUが更に協力できる分野であること、ASEMのようなフォーラムでも協力することが確認された。小泉総理より、環境を政府の最重要課題として取り組んできたことを説明した。EU側より、エネルギー効率、エネルギー安全保障、京都議定書以降の枠組みでの協力に関心が示された。

 感染症については、鳥インフルエンザをはじめ、エイズ、ポリオ、結核への対応への協力の継続が確認された。

 WTOにつき、日・EUで協力していくこと、また、知財保護は日・EU共に関心が高い分野であり、模倣品対策を含め協力していくことが確認された。

4.地域情勢

 イランのウラン濃縮技術獲得宣言は安保理議長声明に反するものであり、極めて遺憾であること、外交的解決に向け緊密に協力することで意見が一致。その他、中東和平に関する日・EU協力の意義、イラク復興の重要性についても一致したほか、日中関係、ロシアについても意見交換。

II. 評価

  1. 小泉総理にとって6度目となるEUとの定期首脳協議において、総理から提起された日・EU関係強化のための3つの方針( 1)目に見える協力(法的枠組み構築)の推進、2)戦略的対話の強化、3)人の交流の促進)がEU首脳の賛同を得た。また、この機会に小泉総理が打ち出したEU規模での日欧人的交流促進の枠組みFRIEND (Framework Initiative for Exchange Networks and Dialogues) は昨年の市民交流年のフォローアップの具体化としてEU首脳より歓迎された。
  2. 日・EU間の戦略的対話の強化の方針が確認され、新たに中央アジアに関する戦略的対話の強化が合意されたことは政治面での日・EU関係の緊密化を対外的にアピールするとともに、わが国が推進する「中央アジア+日本」対話にも国際社会の一層の関心を集めていくことが期待される。
     EUの対中武器禁輸解除問題については小泉総理からの懸念表明、共同ステートメントでの言及により日本の立場に変化はないとのメッセージがEU側に明確に伝わった。
  3. 核問題の帰趨に国際社会が注目するイラン情勢や、国民議会での大統領・首相他の選出がなされたイラク情勢等につき、日・EU首脳が共通のメッセージを発出したことは、これらの課題について日・EUは共通の認識・立場にあることを関係者、国際社会に対し明確に示すこととなった。また、急速な経済成長を遂げる中国や、本年G8サミットの議長国であるロシアとの協力関係についても率直な意見交換を行い、共通の認識を深めることができた。
  4. 力強く回復している日本経済への高い評価がEU側から示されると共に、双方向投資の重要性が確認された。エネルギー、環境、鳥インフルエンザ等のグローバルな課題に共通の関心を有することが確認され、これらの分野及びWTOや知的財産権について協力していくことが確認された。
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