欧州連合(EU)

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第14回日・EU定期首脳協議
(概要と評価)

平成17年5月3日

  • 国際社会における日・EU共通の課題につき、多くの分野で認識が一致。
  • 日・EU間で東アジアにおける安全保障環境等について共通の認識を醸成するための戦略的な対話を強化することで一致。
  • 本年が「日・EU市民交流年」であることを受け、市民レベルでの交流の促進を歓迎する旨を双方より表明。

 小泉総理は、2日(月)、ルクセンブルクにおいて、EU(欧州連合)議長国である同国のユンカー首相、欧州委員会のバローゾ委員長との間で、第14回日・EU定期首脳協議(ワーキング・ランチを含む)を行ったところ、概要以下のとおり(我が方より、山崎官房副長官他が、EU側より、ソラナ共通外交・安全保障政策上級代表他が同席)。なお、今回の定期首脳協議を受けて、共同プレス・ステートメント仮訳骨子別添)が発出された。(英文はこちら(PDF)PDF

I.定期首脳協議

1.日・EU関係等

 戦略的パートナーとしての日・EU関係を一層発展させることで双方が一致。EUの対中武器禁輸措置の解除をめぐる問題については、小泉総理より、東アジアの安全保障に及ぼしうる影響から懸念を有しているとして、解除への反対を表明。この関連で、日・EU間で東アジアの安全保障環境等につき共通の認識を醸成するために、戦略的な対話を強化することで一致。
 日・EU経済関係については、両者は互いに重要な投資先であり、両者間で更なる経済関係発展のため協力していくことで一致した。
 また、本年が「日・EU市民交流年」であることを受け、市民レベルでの交流を促進することで一致した。
 ITERに関し、サイト選定の6極による期限内合意達成のため、日・EU双方が努力することが重要であることで一致した。
 WTOに関し、12月の香港閣僚会議成功と、交渉妥結への前進が重要であること、交渉全体の取り進めについて日本とEUとが一層協力していくことで意見の一致をみた。

2.地域情勢

(1)中国
 総理より、中国が地域及び世界と利益を共有することが重要であること、個別の問題が日中関係全体の発展の支障とならぬよう、協力を強化すべきであることを説明した。EU側より、中国がアジア地域の責任ある国として成長することの重要性が表明された。

(2)朝鮮半島
 総理より、核・ミサイル問題は、日・EUを含む国際社会全体にとり深刻であるとして、日本の立場を改めて説明するとともに、日本人拉致問題について、生存者の即時帰国と安否不明者の速やかな真相究明を強く要求している旨強調し、EU側より改めて全面的な理解と支持が表明された。

(3)イラン
 EU側より、EU3のイランへの働きかけと協議の現状につき説明するとともに、EU側としてはできる限りの働きかけにより問題の早期解決に向け努力している旨述べた。総理より、EU全体の支持を得つつイランと交渉しているEU3(英仏独)の立場を支持しており、日本としても同様の立場からイランに働きかけている旨述べた。

(4)イラク
 総理より、選挙から3ヶ月かかったが、イラクの移行政府がイラク社会の多様性を反映した形で発足したことを歓迎するとするとともに、イラク復興への国際社会の支援が重要であり、EUの積極的な役割を期待する旨述べた。先方より、米欧提案によりイラク支援国際会議を検討している旨の説明があり、総理より日本としても同国際会議に最大限の協力を行う用意がある旨述べた。

(5)中東和平
 EU側より、中東和平の現状に関する見方、警察支援等について説明があった。総理より、シャロン首相とアッバース長官の訪日を招請しており、両首脳が5月から6月にかけ訪日する際、我が国として出来る支援を行うことを直接伝える考えであり、EUとも緊密に連絡を取り合いたい旨述べた。

(6)アフガニスタン
 総理より、日本のこれまでの復興に対する協力につき説明し、EU側からも、選挙支援、麻薬対策や法の支配の確立などの治安分野改革、幹線道路修復などに取組んでいる旨の説明があった。双方が復興の推進のため一層協力を強化することで一致した。

II.ワーキング・ランチ

(1)エネルギー
 総理から、70年代の石油ショック以来のわが国のエネルギー対策につき、石油備蓄、省エネルギー及び代替エネルギー等に関する努力を含めて紹介し、この分野においても日・EUで協力していくことで一致した。

(2)環境
 EU側から、環境分野においても日・EUは緊密に協力しており、EUは京都議定書の目標達成のために努力しているが、2012年以降の枠組みに関しできるだけ早く議論を開始したい旨述べた。
 小泉総理から、3Rイニシアティブ(廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用)について説明した。環境分野での技術を含め、日・EUで協力していくこと、本年のG8サミットに向けても協力していくことで双方が一致した。

(3)中国
 EU側からの質問に答えて、小泉総理から、最近の日中関係について、中国の経済発展に伴い経済分野での相互依存関係が深まっており、今後ますます関係を緊密にさせる必要があるとの認識を含めて説明した。

III.評価

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