エチオピア連邦民主共和国

基礎データ

令和6年9月18日
エチオピア連邦民主共和国国旗

一般事情

1 面積

109.7万平方キロメートル(日本の約3倍)

2 人口

約1億1,787万人(2021年:世銀)

3 首都

アディスアベバ

4 民族

オロモ人、アムハラ人、ティグライ人、ソマリ人等約80の民族

5 言語

アムハラ語、オロモ語、英語等

6 宗教

キリスト教、イスラム教他

7 国祭日

5月28日

8 略史

年月 略史
1962年 エリトリア地方併合
1974年 革命により王制廃止、社会主義国家建設宣言、臨時軍事行政評議会(メンギスツ議長)設立
1977~1978年 オガデン紛争(ソマリアと交戦)
1984年 エチオピア労働者党(メンギスツ書記長)設立
1987年 エチオピア人民民主共和国樹立
1991年5月 エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)首都侵入、メンギスツ政権崩壊
1991年7月 エチオピア暫定政府成立
1993年5月 エリトリアがエチオピアから分離・独立
1995年5~6月 第1回国会選挙(連邦下院選挙及び地方議会選挙)実施
1995年8月 暫定期間終了、エチオピア連邦民主共和国樹立、メレス新政権樹立
1998年5月 エチオピア・エリトリア国境紛争勃発
2000年5月 第2回国会選挙
2000年12月 エリトリアとの包括的和平合意成立
2002年4月 国境委員会によりエリトリアとの(地図上の)国境線確定
2005年5月 第3回国会選挙
2010年5月 第4回国会選挙
2012年8月 メレス首相逝去。同年9月、ハイレマリアム副首相兼外相が首相に就任。
2013年10月 ムラトゥ大統領就任
2015年5月 第5回国会選挙
2015年10月 ハイレマリアム首相再任
2018年4月 アビィ首相就任
2018年7月 エリトリアとの外交関係再開、相互に大使館を設置
2018年10月 ムラトゥ大統領辞職、サヘレウォルク大統領就任
2019年10月 アビィ首相のノーベル平和賞受賞が発表
2021年6月及び9月 第6回総選挙(新型コロナの影響等で延期されていた)
2021年10月 アビィ首相再任

政治体制・内政

1 政体

連邦共和制

2 元首

サヘレウォルク・ゼウデ 大統領
(H.E. Sahle-Work Zewde)(2018年10月就任、任期6年)

3 議会

二院制(人民代表議会〔下院〕と連邦議会〔上院〕)

4 政府

  • (1)首相名 アビィ・アハメド・アリ(H.E. Abiy Ahmed Ali)
  • (2)外相名 タィエ・アスケセラシエ・アムデ(Mr. Taye Atske Selassie Amde)

5 内政

 1974年に軍事革命により帝政が廃止され、社会主義政権が発足。社会情勢の混乱が続き、後に首相となるメレスらによる反政府運動により、1991年メンギスツ政権が崩壊。
 1995年第1回国会選挙が行われ、メレス首相率いる新政権発足、連邦民主共和国成立(以降原則5年毎に議会選挙が実施)。2015年5月の第5回選挙で与党が完勝、同年10月にハイレマリアム首相が再任するも、2018年2月、内外の失政により同首相は辞任。同年4月、人民代表議会(下院)はアビィ与党EPRDF新議長を首相に選出。アビィ首相は2018年7月にエリトリアを訪問し、20年ぶりに両国の外交関係を再開。同功績等により2019年ノーベル平和賞受賞。  2020年11月以降、ティグライ州他で連邦政府とティグライ民族解放戦線(TPLF)の軍事衝突が発生。2021年6月には新型コロナの影響等で延期されていた第6回総選挙により与党繁栄党が勝利し、10月にアビィ首相が再任。2021年11月にTPLFの首都接近を受け非常事態宣言が発出されたが、翌年2月に解除。3月には政府・TPLF双方が一方的に人道的停戦を宣言。

外交・国防

1 外交基本方針

  • (1)アフリカ連合(AU)や国連アフリカ経済委員会(ECA)の本部が置かれるアフリカ地域の外交の中心地の一つ。「アフリカの角」地域の大国として、ティグライ情勢前は、ソマリアや南スーダン等の難民受入れ、PKO派遣含め、地域の安定化等に積極的に関与。
  • (2)1993年エリトリアのエチオピアからの独立後、1998年5月、国境問題を巡り両国間で武力闘争が発生し、断交状態となった。2018年7月、両国首脳が平和に関する共同宣言を発表し、外交関係を再開した。
  • (3)グランド・エチオピア・ルネサンス・ダム(GERD)の完成と貯水により、ナイル川下流のスーダンとエジプトは水の流量確保等につき、当事国の合意が必要との立場であり、現在AU等による仲介努力が行われている。

2 軍事力(2021ミリタリーバランス)

  • (1)予算 472百万米ドル(2020年)
  • (2)兵力 総兵力13.8万(陸軍13.5万及び空軍0.3万)

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

農業(穀物、豆類、コーヒー、油糧種子、綿、サトウキビ、ジャガイモ、チャット〈エチオピア原産の常緑広葉樹〉、花卉、皮革〈牛、羊、山羊〉)

2 GDP

1,268億米ドル(2022年:世銀)

3 一人当たりGNI

1,020米ドル(2022年:世銀)

4 経済(GDP)成長率

6.1%(2020年:世銀)

5 物価上昇率

26.8%(2021年:世銀)

6 失業率

3.7%(2021年:世銀)

7 総貿易額(2021年:ITC)

  • (1)輸出 30.6億米ドル
  • (2)輸入 152.9億米ドル

8 主要貿易品目

  • (1)輸出 コーヒー、金、切り花、チャット
  • (2)輸入 石油製品、肥料、機械類、自動車

9 主要貿易相手国(2022年:ITC)

  • (1)輸出 米国、サウジアラビア、ソマリア、ドイツ、オランダ
  • (2)輸入 中国、インド、米国、トルコ、モロッコ

10 通貨

ブル(BIRR)

11 為替レート

1米ドル=約52ブル(2022年7月現在)

12 経済概況

 2000年代、旱魃による農業生産の落ち込みや、エリトリアやソマリアからの難民に加え、南北スーダンの軍事衝突による避難民が大量にエチオピア国内に流入し、経済に打撃を与えていた。その中で、連邦政府は2000年策定の「第2次国家開発5カ年計画」を、2005年に次期5カ年開発計画として貧困削減計画(PASDEP)を策定。
 2019年までは年間8%を超える高い経済成長率を記録していたが、2022年は新型コロナや北部紛争等の影響により約4.0%に鈍化。ただし、2023年には新型コロナ前に経済は復調すると予測されている。
 連邦政府は2015年に今後5年間の国家開発計画(GTPII)を策定し、農業を核として経済成長を図りつつ、工業にも重点を置いた経済構造へシフトさせ、2025年までに中所得国入りを目指している。一方で、一人当たりのGNIは最貧国の水準にとどまっており、慢性的な食料不足に加え、高度経済成長に伴って生じたインフレや、世界金融不安や原油等の国際価格の上昇に伴う影響が顕在化している。2018年成立したアビィ政権は、2021年に新たな「10か年開発計画」を策定し、市場経済システム導入による民間分野の参画・拡大、貿易・投資促進による貧困削減、失業率改善、人間開発の充実、生産性・競争力の強化による経済構造改革、基礎的サービスの拡大に取り組んでいる。

経済協力

1 日本の援助実績(単位 億円)

  • (1)有償資金協力(2021年度まで、E/Nベース)189
  • (2)無償資金協力(2021年度まで、E/Nベース)1,314
  • (3)技術協力実績(2021年度まで、JICAベース)552

2 主要援助国(2018~2019年平均 単位:百万ドル)

(1)米国:847、英国:393、EU:238、ドイツ:158、オランダ:88

二国間関係

1 政治関係

1930年 修好通商条約署名
1933年 在大阪エチオピア名誉領事館開設
1936年 在エチオピア日本公使館開設
1952年6月 対日平和条約批准
1955年 外交関係回復
1958年4月 双方大使館開設

2 経済関係

日本の対エチオピア貿易

(1)貿易額(2021年:財務省貿易統計)
輸出 77.9億円
輸入 97.9億円
(2)主要品目
輸出 自動車、鉄鋼製品、建機等
輸入 コーヒー、切り花、油糧種子等

3 文化関係

 首都アディスアベバの大統領宮殿内には、1956年にハイレ・セラシエ皇帝によって造られた日本庭園があり、2013年4月にはこの庭園の修復完成を記念する式典が行われ、ギルマ大統領(当時)も出席した。同庭園には、1960年に上皇上皇后両陛下が皇太子同妃両殿下時代に訪れた他、2006年に小泉総理(当時)が、2014年には安倍総理が訪れた。同庭園には、茶室とコーヒーハウスの二つの建物があり、日本の茶道及びエチオピアのコーヒー・セレモニーを行うことができる。

4 在留邦人数

180人(2023年10月現在:外務省在留邦人数統計)

5 在日当該国人数

450人(2021年12月現在:法務省在留外国人統計)

6 要人往来

(1)往(1960年以降)
年月 要人名
1960年11月 皇太子・同妃両殿下
1984年11月 安倍外務大臣
1985年3月 衆議院超党派議員団
1988年10月 佐藤郵政大臣
1990年8月 自民党経済協力特別委員会議員団
1998年9月 武見外務政務次官
2002年8月 川口外務大臣
2002年9月 自見日・エチオピア友好議員連盟会長
2003年3月 矢野外務副大臣
2004年9月 日・AU友好議連(自見庄三郎議員が団長)
2004年12月 河井外務大臣政務官
2006年2月 塩崎外務副大臣(TICAD平和の定着会議出席)
2006年4~5月 小泉総理大臣
2008年1月 森元総理大臣(第10回AU総会 政府代表)、中山外務大臣政務官
2008年9月 御法川外務大臣政務官(アフリカ貿易・投資促進合同ミッション)
2008年11月 御法川外務大臣政務官(第11回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)出席)
2009年5月 西村外務大臣政務官
2010年1月 福山外務副大臣(第16回AU閣僚執行理事会出席)
2011年1月 松本外務副大臣(第18回AU閣僚執行理事会出席)
2012年1月 山根外務副大臣(第20回AU閣僚執行理事会出席)
2012年7月 山根外務副大臣(第21回AU閣僚執行理事会出席)
2013年1月 松山外務副大臣(第22回AU閣僚執行理事会出席)
2013年3月 岸田外務大臣(TICAD V閣僚級準備会合出席)
2013年4月 阿部外務大臣政務官
2014年1月 安倍総理大臣
2014年1~2月 三ツ矢外務副大臣(第22回AU総会)
2014年8月 石原外務大臣政務官(アフリカ貿易・投資促進合同ミッション)
2015年1月 宇都外務大臣政務官(第24回AU総会出席)
2015年7月 城内外務副大臣(第3回開発資金国際会議出席)
2015年9月 中根外務大臣政務官(アフリカ-日本ビジネス投資フォーラム2015出席)
2015年12月 黄川田外務大臣政務官
2016年1月 木原外務副大臣(第28回AU閣僚執行理事会出席)
2016年1月 河井総理大臣補佐官(第26回AU総会出席)
2016年5月 星野経済産業大臣政務官
2016年8月 日・AU友好議連(団長:逢沢衆議院議員)
2017年5月 宮澤防衛政務官
2017年5月 武井外務政務官
2017年8月 河野外務大臣
2017年11月 佐藤外務副大臣
2018年8月 薗浦総理大臣補佐官
2019年5月 河野外務大臣
2020年1月 御法川国土交通副大臣(第2回 日・エチオピア官民インフラ会議出席)
2020年1月 日・AU友好議連(三原朝彦衆議院議員、大岡敏孝衆議院議員)
2020年1月 御法川国土交通副大臣、参議院ODA調査団(宇都隆史議員、太田房江議員、鈴木宗男議員)
2023年2月 髙木政務官
2023年8月 林外務大臣
2024年2月 深澤政務官
(2)来(1970年以降)
年月 要人名
1970年5月 ハイレ・セラシエ皇帝(大阪万博)(万博賓客)
1985年8月 ゴシュ外相
1988年2月 メルセー国家中央計画委員会担当相
1988年11月 アブデュルハフェジ情報相
1989年2月 フィクレ・セラシエ首相(大喪の礼参列)
1989年4月 ベルハヌ外相
1990年11月 フセハ・デスタ副大統領(即位の礼参列)
1991年2月 ギザウ保健相
1991年5月 テスファイエ・タデッセ外相(LLDC東京フォーラム出席)
1991年10月 アラガウ建設相
1992年11月 セイヨム外相(外務省賓客)
1993年10月 ドゥリ計画・経済開発相(第1回アフリカ開発会議(TICAD I)出席)
1996年9月 メレス首相(公式実務訪問賓客)
1998年10月 メレス首相(TICAD II出席)
1999年7月 上下両院議員団(アルマズ連邦議会(上院)議長他6名)
2001年12月 ムル財務経済開発担当国務相(TICAD閣僚レベル会合出席)
2003年2月 セイヨム外相(外務省賓客)
2003年9月 メレス首相(TICAD III出席)
2006年9月 ギルマ貿易産業相
2006年12月 タケダ外務担当国務相
2008年3月 メコネン財務経済開発担当国務相
2008年5月 メレス首相(TICAD IV出席)
2008年7月 メレス首相(G8北海道洞爺湖サミットアウトリーチ会合出席)
2009年3月 タデッセ貿易産業担当国務相
2009年10月 ジュネデイン科学技術相(科学技術大臣会合)
2009年10月 デゲフェ連邦議会議長等議員団(参議院賓客)
2011年5月 ヤコブ貿易国務相
2011年6月 ケセテベルハン保健国務相(MDG'sフォローアップ会合)
2011年12月 ハイレマリアム副首相兼外相(外務省賓客)
2011年12月 アーメド財務経済省国務相
2012年4月 テドロス保健相
2013年5月~6月 ハイレマリアム首相、テドロス外相他(TICAD V出席)
2013年10月 ベレテ環境・森林相(水銀に関する水俣条約外交会議出席)
2013年11月 ハイレマスカル都市開発建設省国務相
2014年5月 テフェラ農業相、フィツム投資庁長官
2014年10月 アバデュラ人民代表議会議長等議員団(衆議院賓客)
2015年4月 ベルハネ外務国務相
2015年11月~12月 デブレツィオン副首相兼通信・IT相
2015年12月 テドロス外相(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)国際会議等出席)
2016年4月 アバデュラ人民代表議会議長等議員団(国会議員会議)
2017年4月 テドロス前外相(WHO事務局長選挙支持要請)
2017年4月 アフメッド工業相(在京大及びJETRO主催セミナー)
2017年5月 タゲセ公共・人材育成相(JICA招聘)
2017年6月 デメケ副首相、ゲタフン科学技術相
2018年2月 アクリル外務国務相
2018年8月 セイヨム首相特使
2018年10月 アフェワク外務国務相(TICAD閣僚会合)
2018年11月 アルケベ首相府経済計画・評価・支援部門長官(旭日重光章受章)
2019年3月 アフェワク科学技術・高等教育国務相(徳島大学による招へい)
2019年5月 フェトレワルク貿易・産業相(UNIDOによる招へい)
2019年8月 アビィ首相、ゲドゥ外相、シレシ水・灌漑・エネルギー相、ゲタフン革新・技術相他(TICAD7出席)
2019年10月 ムラトゥ前大統領(即位の礼参列)
2024年4月 メスガヌ外務国務相
2024年4月 ブルハヌ教育相
2024年8月 メスガヌ外務国務相(TICAD閣僚会合)

7 二国間条約・取極

  • 修好通商条約(1930年11月)
  • 友好条約(1957年12月)
  • 貿易協定(1968年1月)
  • 日本青年海外協力隊派遣取極(1971年11月)
  • 日・エチオピア航空協定発効(1997年5月)(2014年1月、附属書改正)
  • 技術協力協定(2011年12月)

8 外交使節

(1)エチオピア駐箚日本国大使
柴田裕憲特命全権大使(2024年3月着任)
(2)本邦駐箚エチオピア大使
ダバ駐日大使
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