エスワティニ王国
エスワティニ王国(Kingdom of Eswatini)
(旧国名:スワジランド王国)
基礎データ


一般事情
1 面積
1.7万平方キロメートル(日本の四国よりやや小さい)
2 人口
120万人(2022年:世銀)
3 首都
ムババーネ(Mbabane)
4 民族
スワティ族、ズールー族、ツォンガ族、シャンガーン族
5 言語
英語、スワティ語
6 宗教
伝統宗教、キリスト教
7 国祭日
9月6日(独立記念日)
8 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1968年 | 英保護領より独立 |
1978年 | 新憲法制定 |
1982年 | 南ア・スワジランド不可侵条約締結 |
1982年 | 国王ソブーザ2世(1921年即位)死去 |
1986年4月 | 国王ムスワティ3世即位 |
1993年10月 | 下院総選挙実施(20年ぶり) |
1995年3月 | スワジランド労働組合(SFTU)がゼネスト(1977年以来) |
1995年7月 | 産業関係法修正によりストを禁止 |
1996年1月 | SFTUがゼネストを敢行 |
1996年7月 | 国王が憲法見直し委員会(CRC)の設置を表明 |
1998年10月 | 下院総選挙実施 |
2000年11月 | SFTU主導によるゼネスト決行 |
2003年10月 | 下院総選挙実施 |
2005年7月 | ムスワティ3世、憲法案を承認 |
2006年2月 | 新憲法採択 |
2008年9月 | 下院総選挙実施 |
2013年9月 | 下院総選挙実施 |
2018年4月19日 | 国名をエスワティニ王国に変更 |
政治体制・内政
1 政体
王制
2 元首
King MSWATI III(ムスワティ3世)
3 議会
二院制
4 政府
- (1)首相
- Russell Mmiso DLAMINI(ラッセル・ミソ・ドラミニ)
- (2)外相
- Pholile SHAKANTU(ポリレ・シャカントゥ)
5 内政
最大部族たるスワティ族を基盤として圧倒的な権限を持つ国王が君臨する王制国家。61年間にわたり王位にあったソブーザ2世が1982年に死去した直後は、王位継承をめぐり王族内で対立が見られたが、1986年4月にムスワティ3世が即位。ムスワティ3世は、国政を支配していた最高評議会を解散する等、新国王としての権力の確立を図ってきた。
2000年にはスワジランド労働組合(SFTU)主導によるゼネスト、国境封鎖デモが発生した。1993年以降、7度の総選挙を実施し、2006年には1973年以来停止されていた憲法に代わる新憲法が施行されたものの、2008年以降4度にわたり実施された総選挙では政党活動は認められておらず、王政の維持と民主化推進のバランスが内政面での主要な課題となっている。
2018年4月19日に挙行された独立50周年記念式典で、ムスワティ3世は、同国の国名を「エスワティニ王国」に変更することを宣言し、同日発効した。
近年、民主化を求める抗議行動が散発的に発生しており、2021年に行われた大規模な抗議活動では治安当局との衝突により40名以上の死者が出た。
外交・国防
1 外交基本方針
現実的な穏健外交政策。国連、AU、英連邦等に加盟。南アフリカの経済に大きく依存しているため同国との関係に細心の注意を払っている。なお、エスワティニは台湾と外交関係を有する国家のひとつ。
2 軍事力
- (1)予算
- 74.3百万米ドル(2022年:SIPRI)
- (2)兵役
- 志願制
- (3)兵力
- 3,000人程度
経済(単位 米ドル)
1 主要産業
農林業(砂糖、木材、柑橘類)、繊維産業、鉱業(石炭、アスベスト)
2 GDP
48.54億米ドル(2022年:世銀)
3 一人当たりGNI
3,800米ドル(2022年:世銀)
4 経済成長率(実質)
3.9%(2022年:世銀)
5 物価上昇率
4.8%(2022年:IMF)
6 失業率
24.4%(2022年:世銀)
7 総貿易額
- (1)輸出
- 20.68億米ドル(2021年:世銀)
- (2)輸入
- 21.23億米ドル(2021年:世銀)
8 主要貿易品目(2021年:世銀)
- (1)輸出
- 香料、砂糖、化学製品、木材、女性用衣類
- (2)輸入
- 石油、電力、電子診断装置、綿、医薬品
9 主要貿易相手国(2021年:世銀)
- (1)輸出
- 南アフリカ(67.9%)、ケニア(5.6%)、ナイジェリア(3.9%)、モザンビーク(3.4%)、ジンバブエ(2.5%)
- (2)輸入
- 南アフリカ(72.4%)、中国(9.7%)、インド(2.7%)、モザンビーク(1.6%)、米(1.5%)
10 通貨
リランゲーニ(複数形:エマランゲーニ)
11 為替レート
1米ドル=約19エマランゲーニ(2024年1月現在)
12 経済概況
肥沃な土地、温暖な気候、水・鉱物資源等の好条件に恵まれると共に、国土の三方を接する南アフリカとの密接な経済的結びつきが経済的発展の基礎となっている。また、南部アフリカ関税同盟(SACU)、南部アフリカ開発共同体(SADC)、東南部アフリカ共同市場体(COMESA)に加盟し、ナミビア、レソト等と共に南アフリカの共通通貨圏(ランド圏)に所属。
主産業は農林業と農業関連産業。近年は砂糖等の農作物を原料とした飲料産業等。米国のアフリカ成長機会法(AGOA)の恩恵を受け、アパレル産業が大きく成長した。2015年1月からAGOAの適用外となったものの、2017年12月に復帰した。
また、近年旱魃による食糧危機が断続的に発生しており、エイズの影響による生産者の減少やウクライナ紛争が状況を悪化させている。
経済協力(単位 億円)
1 日本の援助実績
- (1)有償資金協力(2021年度までの累計) 44.12億円
- (2)無償資金協力(2021年度までの累計)129.53億円
- (3)技術協力実績(2021年度までの累計) 49.70億円
2 主要援助国(2020年)(百万ドル)
- (1)米国(62.53)
- (2)日本(6.98)
- (3)カナダ(0.57)
- (4)英国(0.55)
- (5)ノルウェー(0.49)
二国間関係
1 政治関係
- 1968年9月
- 同国を承認
- 1971年5月
- 外交関係樹立(在南アフリカ日本大使館が兼轄)
(エスワティニは、日本に大使館を有さず、在マレーシア大使館が兼轄している。)
2 経済関係
- 日本の対エスワティニ貿易
-
- (1)貿易額(2022年:財務省貿易統計)
- 輸出 13.6億円
- 輸入 3.2億円
- (2)主要品目
- 輸出 黄銅、有機化合物、自動車、ファスナー
- 輸入 果実、時計
3 文化関係
なし
4 在留邦人数
13人(2022年10月:外務省)
5 在日当該国人数
3人(2022年12月:法務省)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
2002年7月 | 杉浦外務副大臣 |
2004年7月 | 日・アフリカ連合(AU)友好議員連盟一行(松下忠洋衆議院議員、森岡正宏衆議院議員、福井照衆議院議員、小渕優子衆議院議員) |
2017年6月 | 武井外務大臣政務官 |
2020年1月 | 日・アフリカ連合(AU)友好議員連盟一行(山際大志郎衆議院議員、大串正樹衆議院議員、高村正大衆議院議員) |
年月 | 要人名 |
---|---|
1969年10月 | スカティ副首相 |
1969年11月 | S.S.ヌマロ商工鉱山相 |
1974年7月 | S.S.ヌマロ商工鉱山相 |
1978年9月 | M.H.ドラミニ首相 |
1979年5月 | ヌカバ商工業観光相 |
1980年8月 | C.S.ドラミニ文相 |
1982年5月 | C.S.ドラミニ文相 |
1989年2月 | ソーチャ・ドラミニ首相(大喪の礼参列) |
1990年11月 | デヴィド・ドラミニ殿下(即位の礼参列) |
1991年11月 | デヴィド・ドラミニ殿下(初代駐日大使信任状捧呈) |
1993年2月 | ソバンドラ特使(内相) |
1993年5月 | ムロンゴ商工相 |
1993年10月 | ムコンザ経済計画・開発省次官(アフリカ開発会議出席) |
1994年9月 | マガグラ運輸通信相(ITU会議出席) |
1995年9月 | デヴィド・ドラミニ殿下(故福田元総理大臣合同葬儀参列) |
1995年12月 | デヴィド・ドラミニ殿下(新年祝賀の儀参列) |
1996年7月 | モヤス・ドラミニ国連常駐代表(オピニオン・リーダー) |
1997年8月 | マスク蔵相(経協ミッション) |
1998年10月 | ムスワティ3世国王陛下(第2回アフリカ開発会議) |
2000年6月 | コーザ副首相(故小渕総理大臣合同葬儀参列) |
2001年12月 | グドゥザ・ドラミニ経済計画開発相 ヌチャンガセ外貿相(TICAD閣僚レベル会合出席) |
2003年9月 | ムスワティ3世国王陛下 ファノウラキス外相 グドゥザ・ドラミニ経済計画開発相 マムバ資源エネルギー相(第三回アフリカ開発会議) |
2006年8月 | ロペ特使(駐マレーシア大使、故橋本元総理大臣合同葬儀参列) |
2007年8月 | ロペ特使(駐マレーシア大使、故宮澤元総理大臣合同葬儀参列) |
2008年5月 | ムスワティ3世国王陛下(第4回アフリカ開発会議) |
2013年6月 | ムスワティ3世国王陛下(第5回アフリカ開発会議) |
2013年7月 | ンガンガザ王妃殿下、マゴンゴ王妃殿下、ンテンテサ王妃殿下、ンカンブレ王妃殿下 |
2015年3月 | ムスワティ3世国王陛下(第3回国連防災世界会議) |
2017年12月 | ズワネ保健省次官(UHCフォーラム2017) |
2018年12月 | ドラミニ観光環境省次官(「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合) |
2019年8月 | ドラミニ首相他(第7回アフリカ開発会議) |
2019年10月 | ムスワティ3世国王陛下及びシフェレレ 王妃殿下(即位の礼) |
2022年9月 | マスク副首相(故安倍元総理国葬儀) |
7 二国間条約・取極
- (1)技術協力協定(2011年10月5日署名)
- (2)青年海外協力隊派遣取極(2015年6月18日署名)
8 外交使節
- (1)エスワティニ王国駐箚日本国大使
- 牛尾滋特命全権大使(兼轄、南アフリカ常駐)
- (2)日本国駐箚エスワティニ王国大使
- 未着任