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平成17年5月25日
(1)12日より18日まで、バンコクにおいて国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)の第61回総会が開催された。12日から14日まで高級事務レベル会議、16日から18日まで閣僚級会議が開催され、閣僚級会議には我が国首席代表として小野寺五典外務大臣政務官が出席した。
(2)今次総会には、域内外加盟国、準加盟国等59カ国・地域、国連機関、専門機関、国際機関、NGO等64組織より、約500名が参加した。
(3)高級事務レベル会議
3つの会合に分かれて、貧困削減、グローバリゼーションへの対策、喫緊の社会問題、後発・内陸・島嶼途上国、会議構造の見直しに関する中間レビュー、事業計画及び評価、ESCAP地域機関の活動のレビュー、ESCAPの技術協力活動及び拠出に関する報告等について議論が行われた。
(4)閣僚級会議
(イ)今次総会の主要テーマである「最近の経済社会開発の影響」、「アジア太平洋地域におけるモンテレイ・コンセンサスの実施状況」、「津波その他の自然災害への対応として生じている課題」について、各国代表より政策演説が行われた。小野寺政務官(我が国首席代表)よりは、これらのテーマへの対応を含め、我が国のESCAPへの取り組み方針について述べるとともに、我が国の貢献をアピールした。
(ロ)「津波復興支援に関するハイレベル・パネル」においては、被災国からのパネリストより復興計画、支援資金、早期警戒システムについてプレゼンテーションが行われた。自由討論において、我が国より、防災・災害復興対策につき、アジア・アフリカ地域を中心に今後5年間で25億ドル以上の支援を行う旨等地震津波被害支援への取り組みについて説明した。
(ハ)「開発資金(モンテレイ・コンセンサスの実施)に関する閣僚級ラウンド・テーブル」においては、4人のパネリストより、それぞれ「アジア太平洋地域におけるモンテレイ・コンセンサスの実施:統一性と一貫性の達成」、「同地域の開発、投資条件、資金動員に関する問題」、「国内資金の動員:民間部門の役割」、「アジア投資基金:その活動と必要性」と題するプレゼンテーションが行われ、これを受けて、開発資金に関する様々な側面につき活発な議論が行われた。その際、地域の開発資金ギャップを埋めるためとして新たな国際金融組織創設の構想が示されたが、我が国を含むいくつかの国は、既存の国際金融機関の活動との関係で効率性の問題がある等の理由から、慎重な立場を表明した。
(5)決議の採択
12本の決議が採択された。我が国からは、「ESCAP会議構造に関する中間見直し」、「アジア太平洋統計研修所規約」、「びわ湖ミレニアム・フレームワークの実施:アジア太平洋障害者10年の中間見直し」、「上海宣言のフォローアップとしての人間の安全保障の経済社会的側面の促進を通じた弱者の保護のための地域協力」の4本の決議案を提出し、いずれも全会一致で採択された。
(1)我が国はESCAPへの最大の拠出国であり、今次総会に小野寺政務官が出席して政策演説を行ったことは、ESCAPにおける我が国の存在感を示す意味でも有意義であった。
(2)「津波復興支援に関するハイレベル・パネル」において、我が国の津波復興支援への積極的な取り組みを改めて紹介することにより、我が国の国連及び国際社会への貢献姿勢を示した。
(3)今次総会で採択された我が国提出の決議「上海宣言のフォローアップとしての人間の安全保障の経済社会的側面の促進を通じた弱者の保護のための地域協力」は、「人間の安全保障」の文言を標題に盛り込んで国連関連機関で採択された最初の事例であり、我が国の外交の柱の一つである「人間の安全保障」の理念の推進に弾みを与えることが期待される。