エルサルバドル共和国
エルサルバドル共和国(Republic of El Salvador)
基礎データ

一般事情
1 面積
21,040平方キロメートル(九州の約半分)
2 人口
約603万人(2024年、国勢調査)
3 首都
サンサルバドル
4 民族
スペイン系白人と先住民の混血約84%、先住民約5.6%、ヨーロッパ系約10%
5 言語
スペイン語
6 宗教
カトリック教、プロテスタント
7 略史
| 年月 | 略史 |
|---|---|
| 1525年 | スペイン人がサンサルバドル市を建設後、グアテマラ総督領に編入 |
| 1821年 | 独立宣言 |
| 1823年 | 中米諸州連合結成 |
| 1841年 | 同連合から分離独立 |
| 1962年 | 国民協議党政権成立 |
| 1979年 | クーデターにより革命評議会発足 |
| 1989年 | クリスティアーニ大統領(ARENA)就任 |
| 1992年 | 政府とゲリラの間で和平合意調印、内戦終結 |
| 1994年 | カルデロン大統領(ARENA)就任 |
| 1999年 | フローレス大統領(ARENA)就任 |
| 2001年 | 1月及び2月に大地震が発生、死者1,259人、被災者150万人 |
| 2004年 | サカ大統領(ARENA)就任 |
| 2009年 | フネス大統領(FMLN)就任 |
| 2014年 | サンチェス・セレン大統領(FMLN)就任 |
| 2019年 | ブケレ大統領(GANA)就任 |
| 2024年 | ブケレ大統領(NI)就任(二期目) |
政治体制・内政
1 政体
立憲共和制
2 元首
ナジブ・アルマンド・ブケレ・オルテス大統領(2024年6月~2027年5月。二期目)
3 議会
一院制、議員定数60名、任期3年
4 政府
- (1)首相名 首相職無し
- (2)外相名 アレクサンドラ・ヒル
5 内政
- (1)1821年にグアテマラがスペインから独立したことに伴い、グアテマラ総督領の一部であったエルサルバドルも同時に独立した。その後、他の中米諸国と共にメキシコ帝国に併合されるが、1823年に中米連邦共和国が成立し、その後1841年に独立した。
- (2)1931年に軍事クーデターが発生し軍政となり、1982年に制憲議会選挙が行われるまで、半世紀にわたり軍事独裁体制が継続した。
- (3)1979年からは、政府と左翼ゲリラ勢力の間で激しい内戦が継続したが、1992年1月、政府と左翼ゲリラ勢力ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)による和平合意が成立し、約7万5千人の犠牲者を生んだ内戦は終結した。その後の和平プロセスは、国連の監視・検証の下で順調に進展し、国連平和維持活動の成功例として高い評価を得ている。1998年に和平合意の完全履行を宣言。
- (4)内政面では、国民共和同盟(ARENA)が、1989年から2009年まで連続4期政権を担った後、2009年にファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)が20年ぶりの政権交代を果たした。
- (5)2019年2月に実施された大統領選挙では、国民統合のための大連合(GANA)のブケレ候補が選出され(同年6月に就任)、1992年以降30年近く続いたARENA及びFMLNの二大政党制からの変化が示された。2021年2月に実施された国会議員選挙において、ブケレ大統領が新たに創設した政党である新思想党(NI)が安定多数の議席数を獲得したことにより、ブケレ政権の国会基盤が強化された。
- (6)ブケレ大統領は、国家の変革を掲げ、特に一期目(2019年6月~2024年6月)では治安対策で大きな成果を上げるなど、国民から高い支持を得ている。2024年2月に実施された大統領選挙において再選され(同年6月に就任)、第二期政権においては「経済対策」を目標に掲げ、貿易・投資の活性化や観光に注力している。2025年7月の憲法改正により、大統領の連続再選が可能となり、任期が6年(従来は5年)になるとともに、2027年2月の選挙により次の任期は同年6月1日からとなる予定。
外交・国防
1 外交基本方針
エルサルバドル人移民(ディアスポラ)が多く居住する対米関係に配慮しつつ、中米及びその他との外交においては、基本的に中立的な立場を維持している。中米統合機構(SICA)加盟国であり、SICA事務局はサンサルバドル近郊に所在している。かつては台湾と外交関係を維持してきたが、2018年8月、台湾から中国に外交関係を切り替えた。
2 軍事力
- (1)予算
- 3.14億米ドル(2025年)
- (2)兵役
- 12カ月、志願
- (3)兵力
- 26,000人(陸軍22,000人、海軍2,000人、空軍2,000人)
(2025年、ミリタリーバランス)
経済
1 主要産業
軽工業(輸出向け繊維縫製産業)、農業(コーヒー、砂糖等)
2 GDP
353億ドル(2024年、世界銀行)
3 一人当たりGNP
5,579ドル(2024年、世界銀行)
4 経済成長率
2.6%(2024年、世界銀行)
5 物価上昇率
0.9%(2024年、世界銀行)
6 失業率
3.3%(2025年、世界銀行)
7 総貿易額
- (1)輸出(FOB)
- 64.29億ドル(対前年比1.9%増)
- (2)輸入(CIF)
- 178.48億ドル(対前年比12.9%増)
(2025年、エルサルバドル中銀)
8 主要貿易品目
- (1)輸出
- 衣類、プラスチック製品、電気部品(半導体等)、砂糖
- (2)輸入
- 石油燃料、医薬品、液化石油ガス、自動車
(2025年、エルサルバドル中銀)
9 主要貿易相手国
- (1)輸出
- 米国、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ
- (2)輸入
- 米国、中国、グアテマラ、メキシコ、ホンジュラス
(2025年、エルサルバドル中銀)
10 通貨
米ドル、ビットコイン
11 外貨準備
約43.47億ドル(2025年、IMF)
12 国家予算
約96億ドル(2025年、エルサルバドル財務省)
13 対外債務残高
約138.87億ドル(2025年、エルサルバドル中銀)
14 経済概況
1992年の内戦終了後、2度の大地震やハリケーン等の自然災害に見舞われながらも経済はプラス成長を維持。2001年の通貨統合法により、国内経済のドル化が進展し、金利は低下、物価上昇率も安定。2019年以降のコロナ禍を経て、GDP成長率は改善しつつあり、2024年は2.6(世界銀行)%となっている。
約260万人といわれる在米エルサルバドル人による家族送金は第二期トランプ政権による移民政策の影響を受け、2023年は約99.87億ドル(中銀、暫定値)にのぼり、GDPの25に相当し、エルサルバドル経済の主柱の一つとなっている。
2006年に米国との自由貿易協定(DR-CAFTA)、2008年に台湾、2010年にコロンビアとの自由貿易協定、2013年にEU・中米連携協定が発効。また、2018年2月、中米・韓国自由貿易協定(FTA)署名。2026年1月、米国との相互貿易協定署名により、繊維製品等の主要輸出品を含む特定輸出品の相互関税が撤廃される。
2021年9月にビットコインを法定通貨とするビットコイン法が発効したが、2025年2月のIMF借款合意により、民間セクターによるビットコインでの支払い引受義務は任意となったほか、公的セクターではビットコインの取引・購入が制限される方向。また、2025年~2026年の国家予算案においては、公的債務率引き下げを謳い、債務持続可能とするため、緊縮政策による財政健全化を目指している。
経済協力
1 日本の援助実績
- (1)有償資金協力(2023年度まで、借款契約ベース) 637.08億円
- (2)無償資金協力(2023年度まで、ENベース) 395.23億円
- (3)技術協力実績(2023年度まで、JICA経費実績ベース) 298.31億円
2 主要援助国
- (1)米国(99.79)
- (2)日本(40.31)
- (3)スペイン(32.56)
- (4)フランス(19.81)
- (5)カナダ(7.53)
(2022年、支出総額、単位:百万ドル、OECD/DAC)
二国間関係
1 政治関係
エルサルバドルとは伝統的に友好な関係にあり、1935年の国交関係樹立以降、長きにわたり政治、経済、文化の幅広い分野で交流を行っている。また、第二次大戦後間もない時期から日本企業が進出しており、火山の多い地学的な類似性やその国民性から、1970年代頃は「中米の日本」とも呼ばれていた。
2024年のブケレ大統領就任式への穂坂泰特派大使(外務大臣政務官)出席以降、両国の対話が活発化しており、2024年10月には、日本において日エルサルバドル政策協議にかかる覚書の署名及び第1回政策協議が実施された。2025年に外交関係樹立90周年を祝した。
- 1935年2月 外交関係樹立
- 1952年5月6日 外交関係再開
(1992年5月 1980年より停止していた大使館員常駐を再開)
2 経済関係
- (1)貿易額(2025年、財務省貿易統計)
- 日本への輸出 約30.1億円
- 日本からの輸入 約263.8億円
- (2)主要品目
- 日本への輸出 衣類、コーヒー、電気機器等
- 日本からの輸入 自動車、鉄鋼製品、機械等
3 文化関係
- 一般文化無償累計(2023年度まで) 17件 7.903億円
- 草の根文化無償累計(2023年度まで) 9件 約7,326万円
4 在留邦人数
145人(2025年10月現在)
5 在日エルサルバドル人数
199人(2025年6月現在、在留外国人統計)
6 要人往来
| 年月 | 要人名 |
|---|---|
| 1994年 | 東祥三外務政務次官 山花貞夫特派大使(大統領就任式) |
| 1999年 | 自見庄三郎特派大使(大統領就任式) |
| 2000年 | 自見庄三郎議員、北橋建治議員、鈴木宗男議員、掘込征雄議員、細田博之議員(衆議院公式派遣議員団) |
| 2001年 | 山口泰明外務大臣政務官 |
| 2004年 | 大島理森特派大使(大統領就任式) |
| 2005年 | 常陸宮同妃両殿下 |
| 2006年 | 佐々木幹夫経団連中南米地域委員長(日・中米ビジネスフォーラム) |
| 2006年 | 岡田広厚生労働大臣政務官 |
| 2007年 | 横路孝弘衆議院副議長 |
| 2009年 | 原田義昭特派大使(大統領就任式) |
| 2010年 | 武正公一外務副大臣 姫井由美子議員、水戸将史議員、関口昌一議員(参議員ODA調査団) |
| 2014年 | 林幹雄特派大使(大統領就任式) 衆議院国土交通事情等調査団(梶山弘志議員、望月義夫議員、西村明宏議員、若井康彦議員、井上英孝議員、伊藤渉議員、杉本かずみ議員) |
| 2015年 | 宇都隆史外務大臣政務官(民主主義共同体閣僚会合) 眞子内親王殿下(外交関係樹立80周年、日・中米交流年) |
| 2017年 | 金子めぐみ総務大臣政務官 樋口尚也文部科学大臣政務官 |
| 2018年 | 岡本三成外務大臣政務官 |
| 2019年 | 林幹雄特派大使(大統領就任式) |
| 2024年 | 穂坂泰特派大使(大統領就任式) |
| 年月 | 要人名 |
|---|---|
| 1990年 | クリスティアーニ大統領、パカス外相(即位の礼) |
| 1991年 | リエバノ企画相(米州開発銀行(IDB)名古屋総会) |
| 1992年 | リエバノ企画相(高級実務者招聘) |
| 1993年 | パカス外相(外務省賓客、民主主義と開発のためのパートナーシップ(PDD)東京特別会合) クリスティアーニ大統領 リエバノ企画相兼外相 |
| 1994年 | ゴンサレス企画相、サンシビリーニ公共事業相 |
| 1996年 | ゴンサレス外相(第2回日・中米フォーラム) |
| 1997年 | カルデロン大統領(政府による招聘) |
| 2000年 | ブリスエラ外相(外務省賓客) キンタニージャ副大統領(小渕前総理大臣葬儀) |
| 2001年 | キンタニージャ副大統領(日・エルサルバドル友好委員会経済ミッション) ブリスエラ外相(国際協力銀行との円借款契約調印) |
| 2004年 | ブリスエラ外相 |
| 2005年 | デ・エスコバル副大統領(4月 IDB沖縄総会、8月 日本・中米首脳会談) ライーネス外相(8月 デ・エスコバル副大統領に同行) |
| 2006年 | マサ厚生相(経済協力案件の業者契約調印) ロチ観光相(観光・投資セミナー) サカ大統領(公式実務訪問賓客) ライーネス外相(サカ大統領同行) デ・ガビディア経済相(同上) ロチ観光相(同上) |
| 2007年 | ロチ観光相(世界旅行博) ニエト公共事業相(経済協力案件の業者契約調印) |
| 2010年 | マルティネス外相(FEALAC第4回外相会合出席) スアレス農牧相 マルティネス公共事業相 |
| 2012年 | セラヤンディア総務相 レジェス国家エネルギー委員会長官(FEALAC環境ビジネス会合) |
| 2014年 | バンダ・ピニャト社会統合担当大統領補佐官 |
| 2015年 | ポール環境天然資源相、マルティネス公共事業相、メレンデス大統領補佐官(第3回国連防災世界会議) |
| 2016年 | マルティネス公共事業相 マルティネス外相 |
| 2017年 | ガジェゴス国会議長 |
| 2019年 | ウジョア副大統領(即位の礼) ブケレ大統領 |
| 2022年 | ヒル外務大臣(安倍元総理国葬儀参列) |
| 2023年 | ロドリゲス公共事業大臣 |
| 2026年 | ソル住宅大臣 |
7 二国間条約・取極
- 1964年 通商協定
- 1968年 青年海外協力隊派遣取極
- 1973年 査証相互免除取極
- 2005年 技術協力協定

