9月26日(水曜日)午前10時(日本時間26日午後11時)から約20分間,国連総会出席のためニューヨークを訪問中の野田佳彦内閣総理大臣は,国連本部において,ムルスィー・エジプト大統領との間で日・エジプト首脳会談を行ったところ,概要以下のとおり(日本側同席者;長浜内閣官房副長官,長島総理大臣補佐官他,エジプト側同席者;ハッダード大統領補佐官他)。
1 二国間関係
- (1) 野田総理から,昨年の歴史的な政治変動を成し遂げたエジプト国民の 勇気と行動力に対する敬意と共に,民主的な選挙によるムルスィー大統領の就任に対する祝意を表した。ムルスィー大統領から,温かいお言葉と政変後の日本からの無条件の支援に感謝する,また,二国間関係をあらゆるレベルで強化していきたい旨述べた。
- (2) 双方は,伝統的に良好な両国関係が近年,政治,経済,科学技術等様々な分野で重層的に深化していることを歓迎し,さらなる関係の強化に向け尽力していくことで一致した。野田総理から,ムルスィー大統領の早期の訪日を招請し,ムルスィー大統領から,招待に感謝する,また,日本への訪日を重視しており,双方の都合の良い時期に訪日したい旨述べた。
- (3) 野田総理から,民主化プロセスの進展と共に,若年層の失業問題等経済・社会面での課題克服に向けたエジプトの改革努力を,日本は引き続き支えていく旨述べた。また,近年の両国間ビジネス関係の拡大を歓迎しつつ,日本の企業活動のためにもエジプトの投資環境の一層の整備を期待する旨述べた。ムルスィー大統領から,鉄道を含む交通網への支援は重要で,特にカイロ地下鉄への支援は市内の渋滞解消に有用である。また,日本からの観光客も以前のレベルに取り戻したい,また日本への留学生も増加させたい旨述べた。さらにムルスィー大統領から,日本からの更なる投資増加への後押しをお願いしたい,原子力や再生可能エネルギー分野での日本との協力も期待している旨述べた。
- (4) 野田総理から,最近,エジプト等一部の国で発生した大規模デモについて,日本としても高い関心をもって注視しており,エジプトにおいて最大限治安の維持が図られることを期待する旨述べた。
2 シリア情勢
野田総理から,シリアに関する人道状況の悪化や地域への波及等を強く懸念しており,シリア人主導の移行プロセスが早急かつ平和裡に進むよう,シリア側に求めている旨を述べた。また,地域に影響力を有するエジプトの役割の重要性につき言及しつつ,日本として,エジプトをはじめ国際社会と連携し,シリア問題解決のため,圧力強化や人道支援等に引き続き取り組む考えを述べた。ムルスィー大統領から,シリア問題への日本の支援に感謝する,また,エジプトの役割への期待に感謝する旨述べた。