11月20日(月曜日)午後,第7回東アジア首脳会議(EAS)が開催されたところ,概要以下のとおり(議長:フン・セン・カンボジア首相)。
1.EAS協力のレビューと将来の方向性
- (1)総論:野田総理より,アジア太平洋地域の情勢が大きく変化する中,この地域において首脳間で率直に戦略的な議論をすべき必要性が増していることを指摘しつつ,EASは,昨年より米露が参加し,実務分野の協力に加え,政治・安全保障分野の取組を強化するために重要な場となっており,地域の共通理念や基本的なルールを確認し,具体的協力につなげる首脳主導のフォーラムとして力強く発展させたい旨述べた。他の参加国からも政治・安全保障分野の協力強化についての発言があった。
- (2)海洋:野田総理より,昨年のEASで日本が提案し,首脳間で議論され決定されたAMF拡大会合が,本年秋に成功裡に開催され,有意義な議論が行われたことを歓迎し,信頼醸成の観点からも重要な枠組みであり,来年以降も開催されることを期待している旨発言。他の参加国からも,AMF拡大会合に対して支持があった。
- (3)連結性:野田総理より,日本は引き続きASEAN連結性の強化に貢献し,インフラ整備だけでなく「制度的連結性」及び「人と人との連結性」についても協力を進めていきたい旨,また,ASEAN域外国を含む東アジア全体の連結性につき検討を深めていきたい旨発言。多くのASEAN諸国からも連結性の強化の協力についての発言があった。
- (4)低炭素成長:野田総理より,本年4月に「第1回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話」を日本とインドネシアとの共同議長で開催し,低炭素成長実現に向けた地域協力を進める重要な機会となった。来春,カンボジアと第2回対話を共催する予定であり,各国からの協力を得たい旨述べ,参加国から支持が表明された。
- (5)その他:野田総理から,経済・貿易,エネルギー,災害管理,青少年交流,国境を越える犯罪,軍縮・不拡散,民主的価値の共有等の分野について,協力の重要性を指摘し,我が国として積極的に対応する旨発言した。
会議の中で,「EAS開発イニシアティブに関するプノンペン宣言」と「マラリア対策及び薬剤耐性マラリアへの地域的な対応に関する宣言」の二つの成果文書が採択された。
2.地域・国際情勢
我が国から,ミャンマーについて,現在の民主化・国民和解・経済改革に向けた動きの進展を歓迎し,国際社会が一体となって力強く後押しすることが重要である旨指摘し,日本は今後も引き続き幅広い支援を行っていく旨述べた。また,朝鮮半島の非核化に向けた北朝鮮の具体的行動が求められ,安保理決議を着実に履行し,一致して確固たる姿勢を明確に示すことが極めて重要であり,引き続き各国と協力したい旨述べた。南シナ海をめぐる問題については,同問題はアジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会共通の関心事項であること,国際法の遵守が重要である等,我が国の基本的立場を改めて説明した。