7月12日(木曜日)午前10時15分(現地時間)から約2時間強,カンボジア・プノンペンにおいてEAS参加国外相会議が開催され,我が国から玄葉外務大臣が出席したところ,概要以下のとおり(議長:ハオ・ナムホン・カンボジア副首相兼外相)。
1.EASのレビューと将来の方向性
- (1)EASに関する我が国の基本的な考え方として,玄葉大臣から,EASを地域の共通理念や基本的なルールを確認し,具体的協力につなげる首脳主導のフォーラムとして発展させたい旨,特に,過去の首脳宣言を踏まえ,政治・安全保障分野の協力を促進していきたい旨述べた。
- (2)その上で,玄葉大臣から,具体的な各分野の協力として,(1)海洋に関する協力(ASEAN海洋フォーラム拡大会合の開催に向けた協力等),(2)低炭素成長(東アジア低炭素成長パートナーシップ対話の開催等),(3)防災(ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)に対する支援,「世界防災閣僚会議 in 東北」の開催等),(4)東アジア包括的経済連携(RCEP)の推進,(5)EASワイドの連結性の強化,(6)政治・安保分野の協力(テロ等の国境を越える問題への対処,軍縮・不拡散体制の強化に向けた協力),(7)青少年交流(「キズナ強化プロジェクト」の実施等),(8)人権・民主主義的価値の共有,(9)科学技術分野での交流(「e-ASIA共同研究プログラム」の発足等)に関する我が国の取組及び考え方につき述べた。
- (3)その他の参加国からも,EASが政治・経済分野を含む広範な戦略的課題につき議論する場であることを確認する旨の発言や,従来からの優先5分野(防災,教育,金融,エネルギー,鳥インフルエンザ)に連結性を加えた6分野における協力を促進していきたいとの発言が多く見られ,各国の取り組みにつき紹介があった。
2.地域・国際情勢
(1)北東アジア情勢
玄葉大臣から,4月の北朝鮮によるミサイル発射は,地域と国際社会の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為であり,深刻な国連安保理決議違反であることを指摘。また,北朝鮮による更なる挑発行為を防ぐためにも,国際社会が一致して確固たる姿勢を明確に示すことが極めて重要であり,北朝鮮が核実験を含む更なる挑発行為を自制し,具体的行動をとる必要がある旨発言した。さらに,北朝鮮の人権状況を引き続き強く懸念しており,特に拉致問題は基本的な人権の侵害という国際社会全体にとっての普遍的な問題である旨述べ,各国の理解と協力を要請した。
(2)南シナ海情勢
玄葉大臣から,南シナ海の問題は,海洋で結ばれたアジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会共通の関心事項であることを指摘の上,最近の情勢にも触れつつ,問題の平和的解決を期待する旨発言した。その上で,すべての関係国が国連海洋法条約を始めとする関連国際法を遵守するとともに,対話を通じて問題を平和的に解決すべきである旨述べた。