デンマーク王国
デンマーク王国(Kingdom of Denmark)
基礎データ


一般事情
1 面積
約4.3万平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
(フェロー諸島及びグリーンランド(自治領の項参照)を除く。以下同じ。)
2 人口
約598万人(デンマーク統計局2024年10月)
3 首都
コペンハーゲン(人口約66万人、デンマーク統計局2024年10月)
4 言語
デンマーク語
5 宗教
福音ルーテル派(国教)
6 略史
年 | 略史 |
---|---|
1397年 | マルグレーテ1世の下、北欧三国によるカルマル連合成立(~1523年) |
1660年 | 絶対王政 |
1849年 | 憲法発布、二院制議会の設置 |
1864年 | 第二次シュレスヴィヒ=ホルシュタイン戦争で敗北 |
1945年 | 第二次世界大戦の終了によりドイツの占領から解放 |
1949年 | NATO加盟(原加盟国) |
1953年 | 憲法改正、一院制議会へ |
1973年 | EC加盟 |
1992年 | 国民投票でマーストリヒト条約の批准を否決 |
1993年 | 再国民投票でマーストリヒト条約の批准を可決 |
2000年 | 国民投票でユーロ参加を否決 |
2005年 | フェロー諸島自治政府権限委譲法成立 |
2009年 | グリーンランド自治政府法成立 |
2015年 | 国民投票でEU司法・内務協力分野の留保撤廃を否決 |
2022年 | 国民投票でEU防衛協力分野の留保の撤廃を決定 |
政治体制・内政
1 政体
立憲君主制
2 元首
フレデリック10世国王(2024年1月即位)
3 議会
一院制(179議席、任期4年)
4 政府
- フレデリクセン内閣
- (1)首相 メッテ・フレデリクセン(社民党)(2022年12月就任)
- (2)外相 ラース・ルッケ・ラスムセン(穏健党)(2022年12月就任)
5 内政
- (1)2022年11月の総選挙で、フレデリクセン党首率いる社民党(中道左派)が議会第一党となり、各政党と連立交渉を実施した結果、12月16日、社民党(中道左派)、自由党(中道右派)、穏健党(中道)の3党連立政権(第2次メッテ・フレデリクセン政権)が成立。
- (2)3党連立政権の基本方針「デンマークのための責任」では、インフレ対策、グリーン移行及び気候変動対策、労働力増加、減税、早期退職制度の改革、国防費の引上げ(2030年までにGDP比2%)、公的部門の自由化・人材獲得、保健制度改革等を掲げる。
外交・国防
1 外交基本方針
(1)総論
デンマークは、1973年には他の北欧諸国に先駆けて欧州共同体(EC)の加盟国となり、1993年にEU創設を定めたマーストリヒト条約を批准した。また、伝統的に、不安定地域の安定化、人道支援等国際貢献を積極的に推進し、アフガニスタンやマリに部隊を派遣してきた。
デンマークの外交政策は、ロシアによるウクライナ侵略以降大きく変化。特に安全保障面では、米国、NATOと緊密に協力しつつ、対ロ制裁、ウクライナ支援(軍事面での協力を含む)を積極的に推進。また、デンマークは環境対策先進国として地球温暖化、気候変動等地球規模問題に積極的に取り組んでおり、フレデリクセン政権は「グリーン移行」を外交上の重点課題の一つとしている。
(2)EU
- ア 1992年6月に実施された国民投票でマーストリヒト条約の批准を否決した(賛成49.3%、反対50.7%)。背景には、主権喪失への危惧、福祉水準の低下や、官僚主導の欧州統合推進の論議に対する根強い懸念等があったと見られている。
- イ これを受け、政府はEU加盟国との間でデンマークに関する特別措置の交渉を行い、1992年12月、エジンバラ合意(ユーロ、防衛協力、司法・内務協力、EU市民権の4分野での留保)が成立。同合意を受けて1993年5月に実施された再国民投票において、マーストリヒト条約の批准が承認された(賛成56.7%、反対43.3%)。
- ウ 2000年9月に実施された国民投票でユーロ参加を否決した(賛成46.9%、反対53.1%)。
- エ 2015年6月に就任したラスムセン首相(当時)は、EU司法・内務協力分野の留保の撤廃に係る国民投票を2015年12月3日に実施したが、否決された。否決の結果を受け、デンマーク政府は、EU側とユーロポール等の参加に向け協議を行い、EUと特別協定を締結し、ユーロポールへの参加の継続が可能となった。
- オ 2019年7月、マーグレーテ・ヴェステーヤー欧州委員が欧州委員会副委員長に指名された。
- カ 2022年6月、ロシアによるウクライナ侵略を受け、EUとの防衛協力の機運が高まり、国民投票によりEU防衛協力分野の留保の撤廃を決定。これによりEU主導の軍事活動への参加、防衛装備品の共同調達等が可能となった。
(3)北欧
北欧理事会(Nordic Council)や北欧防衛協力(NORDEFCO)等を通じ、アイスランド、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドとの北欧5か国間で、政治、経済、軍事、環境、紛争予防・解決等の分野で協力している。
(4)NATO
中立政策にもかかわらず独立を維持できなかった第2次大戦の経験(1940年~1945年ドイツ軍が占領)から1949年、NATOに加盟した(原加盟国)。アナス・フォー・ラスムセン・デンマーク元首相は、2009年から2014年まで、NATO事務総長を務めた。2023年5月に策定された新たな外交安全保障戦略においては、NATOはデンマークの国防・安全保障政策の基盤であり、米国を最も重要な同盟国と位置づけ、米国その他のパートナー国とともに基本的価値及び法に基づく国際秩序の維持に向け取り組むことを強調している。
(5)国連
国連の役割を重視し、開発援助及び人権分野で積極的に活動を行ってきている。2005~2006年には安保理非常任理事国として、アフリカ紛争予防・解決に積極的に取り組んだ。2013年7月、コペンハーゲンに国連都市(UN City)が設立され、UNOPSが本部を置くほか、UNDP、UNICEF、WHO等多数の国際機関が事務所を構えている。なお、2015年9月、元デンマーク国会議長であるモーエンス・リュッケトフト氏が、デンマーク人としては初めて第70回国連総会議長に就任し、2021年11月、デンマーク国連常駐代表のマーティン・ヘルマン氏が安保理改革に関する政府間交渉(IGN)共同議長に就任した。また、2024年6月、2025~2026年の安保理非常任理事国に選出された。
(6)国際平和協力
1948年以来、デンマークは国際平和協力の一環として、世界の紛争地域等に延べ6万人以上を派遣し、PKO等国連活動にも要員を派遣している。
(7)ウクライナ支援
2022年2月のロシアによるウクライナ侵略を受け、2023年5月、デンマーク外務省は新たな外交安全保障戦略を発表し、現実的理想主義(Pragmatic Idealism)を掲げ、NATO、EU、国連及び多国間協力の重要性、法に基づく世界秩序の維持の重要性を提唱。これまでに、軍事支援を約534億デンマーク・クローネ、人道支援を約52億デンマーク・クローネ、合計約586億デンマーク・クローネの支援を実施(2024年11月19日時点)。また、これまでに約50,127人のウクライナ避難民による一時滞在許可申請を受理しデンマークに受け入れている(2024年12月1日時点)。
(8)難民支援
人道主義の観点から、長年にわたって毎年数千人の難民を受け入れてきたが、2014年、2015年のいわゆる欧州難民危機を経て以来、現フレデリクセン政権を含む各政権は、難民審査のための施設をEU外に設置することを主張するなど、難民の受入れに対して厳しい姿勢を採っている。
2 軍事力
- (1)国防費
- 362億デンマーク・クローネ(2024年予算:デンマーク国防省)
- (2)兵力
- 陸軍8,000人、海軍2,250人、空軍3,000人、統合参謀2,150人(ミリタリーバランス2023)
- (3)徴兵制
- 18歳以上の男子に徴兵義務。男女ともに志願可能。通常4か月。
3 開発援助
デンマークは、(1)人道支援と開発協力により、紛争地域の状況の改善、(2)途上国の自国民の再受入れを含む移民・難民対策、(3)官民連携による、途上国の成長及び雇用の促進のための開発資金の増加、(4)男女平等及び女性や女児の権利の状況の改善を含む人権を優先分野とし、国連目標で掲げられた「ODAの対GNI比0.7%」を達成している国の一つである。
デンマークの開発援助戦略は、気候変動に対するレジリエンスを強化しつつ、貧困と不平等、紛争と移住、不規則な移住を予防することを主たる目的としている。
経済
1 主要産業
運輸業(海運等)、サービス業(行政・教育・ヘルスケア等)、製造業(医薬品・機械等)、エネルギー、農業(畜産等)
2 GDP
4,052億ドル(IMF2023年)
3 一人当たりGDP
68,300ドル(IMF2023年)
4 経済成長率
1.8%(IMF2023年)
5 物価上昇率
3.4%(IMF2023年)
6 失業率
4.9%(IMF2023年)
7 総貿易額
- (1)輸出 9,359億デンマーク・クローネ(1,358億ドル(注))
- (2)輸入 8,661億デンマーク・クローネ(1,256億ドル(注))
(注)1デンマーク・クローネ=0.145ドルで計算
(デンマーク統計局2023年)
8 主要貿易品
- (1)輸出 化学品(24.3%)、機械(18.7%、輸送用機器を除く。)、動物・食品・飲料・たばこ(17.0%)
- (2)輸入 機械(20.9%、輸送用機器を除く。)、雑製品(14.0%)、原料別製品(13.3%)
(デンマーク統計局2023年)
9 主要貿易相手国
- (1)輸出 1. ドイツ(14.7%)、2. スウェーデン(9.3%)、3. 米国(8.3%)、4. オランダ(6.4%)、5. ノルウェー(5.9%)・・14. 日本(1.7%)
- (2)輸入 1. ドイツ(20.0%)、2. スウェーデン(12.5%)、3. オランダ(9.5%)、4. 中国(6.8%)、5. ポーランド(4.9%)・・・・31. 日本(0.5%)
(デンマーク統計局2023年)
10 通貨
デンマーク・クローネ
11 為替レート
1デンマーク・クローネ≒21.51円(2023年8月平均)
12 経済概況
- (1)近年の経済情勢
- デンマークでは、世界金融危機やその後の欧州債務危機の影響を受け、2010年代前半の経済成長率は伸び悩んだが、その後は好調な輸出と国内需要により、経済は回復傾向を示し、2016年にGDP成長率は3.2%にまで上昇。2020年はコロナ禍により他国と同様にマイナス成長(ー2.1%)を記録したが、2021年には政府のコロナ対策が奏功し、通常の経済活動を早期に再開させたことで、2019年(2.1%)を大きく上回る4.1%の成長を記録した。2023年にはインフレの影響を受けつつ1.8%の成長となった。
- (2)労働力不足
- 失業率は、世界金融危機の影響で、2010年に、7%台半ばまで上昇した。その後、政府は、輸出振興や職業訓練政策を推し進め、雇用状況は改善した。近年では全体的に労働力が不足しており、2023年の失業率は4.9%(IMF統計)。
- (3)財政状況
- 財政収支は、2017年以降黒字を継続しており、2020年にはコロナ禍で大幅に縮小したものの、2021年には1,035億デンマーク・クローネと過去最高を記録。2022年の政府債務残高(国及び地方)は、GDP比29.7%(IMF)となっている。
- (4)自国通貨(デンマーク・クローネ)の維持
- 2000年9月の国民投票において、反対53.1%、賛成46.9%でユーロへの参加が否決され、デンマークはユーロに参加していない。ただし、ERMII(欧州為替相場メカニズム)参加国として、自国通貨の対ユーロ変動幅を中心交換レートから上下2.25%以内の変動に維持する政策を採っており、事実上、ユーロとの固定相場制を採っている。
二国間関係
1 政治関係(役職は全て当時のもの。)
- (1)1867年の江戸幕府による修好通商航海条約の締結に始まり、海運、貿易活動等を通じて友好関係が発展、維持されている。
- (2)欧州最古の王室と言われるデンマーク王室と日本の皇室は親密な関係を維持している。1998年5~6月に天皇皇后両陛下がデンマークを公式訪問されたほか、2004年5月には皇太子殿下が同国で行われたフレデリック皇太子殿下の結婚式に出席された。同年11月には、マルグレーテ2世女王陛下及びヘンリック王配殿下が日本を訪問された(国賓としては、1980年に続き2度目)。また、2005年4月20日の愛・地球博デンマーク・ナショナルデーに合わせ、フレデリック皇太子殿下及びメアリー同妃殿下が訪日された。2011年6月、フレデリック皇太子殿下が訪日され、東日本大震災で被災した宮城県東松島市にて、デンマーク企業の支援により改修された保育所や小学校を訪問され、子供たちとサッカーの試合をされる等被災市民を激励された。また、10~11月にはマルグレーテ2世女王陛下のアートワーク展覧会開催に合わせてヨアキム王子同妃両殿下が訪日され、関連するワークショップに招待された被災地の児童と交流された。2015年3月には、グリーンランド・プロモーション(グリーンランドの文化、海産物等の物産、資源や観光等を日本に紹介するため、グリーンランド自治政府が主催する行事)のためにフレデリック皇太子殿下及びメアリー同妃殿下が訪日された。また、2019年10月には、即位礼正殿の儀への御出席のため、フレデリック皇太子同妃両殿下が訪日された。なお、日本デンマーク協会の名誉総裁は、常陸宮正仁親王殿下が務められている。
- (3)2014年3月にはヘレ・トーニング=シュミット首相が訪日し、安倍総理と首脳会談を行い、戦略的パートナーシップの設立に関する共同声明を発表した。同年4月末から5月初旬にかけて岸田外務大臣が我が国の外務大臣として29年ぶりにデンマークを公式訪問し、リデゴー外相、イエンセン貿易・開発相、ハモン・グリーンランド自治政府首相らと会談を行った。2016年3月には、ピア・ケアスゴー国会議長が訪日し、安倍総理を表敬した。
- (4)日本とデンマークは、2017年に外交関係樹立150周年を迎え、双方の周年事業名誉総裁に我が方皇太子殿下とフレデリック皇太子殿下がそれぞれ就任された。1月18日にはデンマーク国立美術館にて日デンマーク外交関係樹立150周年記念式典が開催され、日本側代表として岸外務副大臣が出席した。2017年を通じて、日本とデンマーク両国において様々な周年行事が開催された。6月には、皇太子殿下がデンマークを御訪問され、マルグレーテ女王2世陛下、フレデリック皇太子同妃両殿下との食事会に御出席されたほか、ラスムセン首相と御接見された。また、7月には安倍総理がデンマークを訪問し、ラスムセン首相との間で首脳会談を行い、両国の戦略的パートナーシップを様々な分野において一層推進していくことで一致した。10月には、フレデリック皇太子同妃両殿下が訪日し、サムエルセン外相、ボック文化・教会相、ラーセン環境・食料相、ノアビュ保健相、ビジネス団が同行した。両殿下は、天皇皇后両陛下主催の御昼さん、そして、皇太子同妃両殿下主催の御夕さんに出席された。また、河野外務大臣とサムエルセン外相の間で外相会談が行われ、2014年の「戦略的パートナーシップ」の一層の進展、北極における協力等で一致した。
- (5)2018年10月、河野外務大臣がデンマークを訪問し、ラスムセン・デンマーク首相主催「P4Gコペンハーゲン・サミット2018(注)」に出席し、スピーチを行った。(注:環境に優しい経済成長とSDGs実現のための官民連携強化を目的として、2018年に設立されたネットワーク)また、ラスムセン首相表敬及びサムエルセン外相との外相会談を実施し、戦略的パートナーシップに基づく協力の進展を確認するとともに、今後の二国間関係を更に強化していくことで一致した。2019年11月、ラスムセン「ラスムセン・グローバル」代表(前北大西洋条約機構(NATO)事務総長、デンマーク元首相)が訪日し、茂木外務大臣と会談した。2021年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせ、8月にプレーン食料・農業・漁業相が、9月にヨーエンセン文化・教会相が訪日したほか、11月にはコフォズ外務相が訪日し、林外務大臣と会談及びワーキング・ランチを行った。
- (6)2023年10月にはフレデリクセン首相が訪日し、岸田総理と首脳会談を実施。日・デンマーク戦略的パートナーシップの深化に関する首脳共同声明及び共同戦略行動計画を発出した。同首相の訪日の機会を捉え、量子科学、デジタル、ライフサイエンスを含む科学技術イノベーションに関する協力覚書や、水素・アンモニアに関する協力覚書、また洋上風力に関する意図表明文書に署名された。
2 経済関係
- (1)貿易
- デンマークにとって、日本は米国、ドイツ、スウェーデンと並んで伝統的な市場と位置付けられている。貿易品目構造は相互補完的
- 日本から輸出:機械類及び輸送容器、雑製品、化学製品
- デンマークから輸入:化学製品、食料品及び動物、機械類及び輸送用機器
-
- 対デンマーク貿易額(単位:億円)(財務省貿易統計)
-
貿易収支 年 日本からデンマーク デンマークから日本 収支 2010 365 1,982 -1,617 2011 396 1,927 -1,531 2012 322 1,879 -1,557 2013 345 1,996 -1,651 2014 461 2,239 -1,779 2015 515 2,223 -1,708 2016 454 2,234 -1,780 2017 508 2,290 -1,782 2018 558 2,404 -1,846 2019 604 2,517 -1,913 2020 487 2,483 -1,996 2021 627 2,633 -2,006 2022 751 3,120 -2,369 2023 832 3,087 -2,255
- (2)日本の対デンマーク進出企業
- デンマークに進出している日系企業は122社(2023年在デンマーク日本国大使館調べ)で、主に、日本製品の流通・販売サービスとして、自動車、電機メーカー等の進出が中心である。近年は、医薬品、IT分野の進出が目立つ。
- (3)デンマークの対日進出企業
- 現在、日本に進出しているデンマーク企業は81社(2017年在京デンマーク大使館調べ)で、デンマークの三大製薬会社であるノボ・ノルディスク、ルンドベック、レオ・ファーマが日本に支社を置き、日系企業と戦略的な提携を結んでいる。また近年注目を集める洋上風力発電など再生可能エネルギー関連企業としては、オーステッドやベスタス、CIPが進出。その他、両国は、高齢者社会対策のため、福祉技術の分野でも協力している。
- レゴ(玩具)、ロイヤル・コペンハーゲン(陶器)、ジョージ・ジェンセン(銀器)、エコー(靴)などは、日本でもよく知られているブランドである。他、昨今では、デンマークのいわゆる「ワンコイン・ショップ」であるフライングタイガーコペンハーゲンは日本国内にも多くの店舗を展開。
3 文化関係
- (1)デンマークにゆかりの深い日本企業が200本の桜の木をコペンハーゲン市に寄贈したことをきっかけに始まったコペンハーゲン桜祭りが2008年から毎年春に開催されており、日本の武道や茶道、和太鼓などの伝統文化からコスプレに至るまで様々な催し物が行われている。また、日本語学習にも一定の人気があり、コペンハーゲン大学、オーフス大学、コペンハーゲン・ビジネス・スクールにおいて日本語を専攻することができる。1970年には東海大学ヨーロッパ学術センターがコペンハーゲン市郊外に開設され、2020年に設立50周年を迎えた。
- (2)2017年の日デンマーク外交関係樹立150周年の際には、デンマーク王立演劇場において邦楽コンサート「筝の響き」公演、アマリエンボー宮殿博物館において「王室における日本」展、デザイン博物館において「日本から学ぶ」展等、デンマーク各地で日本文化普及事業、日デンマーク文化交流事業が開催された。
- (3)両国間には、7つの姉妹都市提携及び友好都市協定があり、自治体間の交流が行われている。日本政府による青年交流事業であるMIRAIプログラム及びJETプログラムへのデンマークからの派遣等、人的交流も盛んである。1957年に和歌山県沖で日本人を助けようとし、嵐の中の海に飛び込み自らの命を落としたクヌッセン機関長の出身地であるフレデリクスハウン市及び和歌山県美浜町・日高町は、学生交流を始め友好親善を深めている(2007年にクヌッセン機関長の没後50周年を記念し、各種文化事業を実施し、2017年2月、ボック文化・協会相が日デンマーク外交関係樹立150周年を記念して訪日し、同機関長没後60周年の慰霊献花式に出席)。
- (4)2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の際には、北海道登別市、秋田県大潟村、宮城県東松島市、福島県二本松市、東京都練馬区、長野市、大津市、香川県坂出市・丸亀市がデンマーク選手団のホストタウンとなった。
4 在留邦人数
1,996名(外務省 海外在留邦人統計調査2023年10月)
5 在日当該国人数
941名(法務省 出入国在留管理庁 在留外国人統計2023年12月)
6 要人往来
年 | 要人名 |
---|---|
1998年 | 天皇皇后両陛下(公式:5~6月) |
2000年 | 丹羽厚生労働大臣 |
2002年 | 塩川財務大臣(第4回ASEM財相会合:6月) 小泉総理大臣(第4回ASEM首脳会合:9月) |
2003年 | 小池環境大臣 |
2004年 | 皇太子殿下(フレデリック皇太子殿下結婚式:5月) |
2009年 | 鳩山総理大臣(IOC総会:10月、COP15:12月) 小沢環境大臣(プレCOP、COP15) 福山外務副大臣(COP15) 増子経済産業副大臣(COP15) 大谷環境大臣政務官(COP15) 西村外務大臣政務官(5月) |
2010年 | 舟山農林水産大臣政務官(4月) 衛藤衆議院副議長(議会制度等調査:9月) |
2011年 | 笠文部科学大臣政務官(ASEM文化大臣会合:5月) |
2012年 | 室井国土交通大臣政務官(1月) |
2013年 | 松山外務副大臣(5月) 赤羽経済産業副大臣(5月) 衛藤総理補佐官(8月) 根本復興大臣(9月) 甘利経済再生担当大臣(9月) 新藤総務大臣(9月) |
2014年 | 岸田外務大臣(4~5月) 岡田内閣府副大臣(7月) 伊藤内閣府大臣政務官兼総務大臣政務官(8月) 日デンマーク友好議員連盟(9月) |
2017年 | 岸外務副大臣(1月) 河野日デンマーク・グリーンランド・フェロー諸島友好議員連盟会長(5月) 加藤内閣府特命担当大臣(5月) 高木経済産業副大臣(5月) 皇太子殿下(日デンマーク外交関係樹立150周年名誉総裁:6月) 安倍総理大臣(7月) 伊藤環境副大臣(8月) |
2018年 | 伊藤環境副大臣(8月) 河野外務大臣(10月) |
2019年 | 滝波経済産業政務官(3月) |
2022年 | 若宮国際博覧会担当大臣(5月) |
2023年 | 西村経済産業大臣(5月) 岡田国際博覧会担当大臣(5月) |
2024年 | 松本総務大臣(5月) |
年 | 要人名 |
---|---|
1998年 | 王女ベネディクテ殿下・王女ナタリー殿下、ルンゴー文化相、 ピーターセン外相(10月) |
1999年 | イエスパーセン社会相 |
2000年 | ビヤゴー農相、アナセン住宅相、ブクスティ交通相、 リュケトフト蔵相、ピーターセン外相(10月) |
2001年 | ハンセン国会議長(公式:3月)、王女エリーサベット殿下(7月)、 フェアゴ教会相 |
2002年 | ミケルセン文化相、アナス・フォー・ラスムセン首相(7月) |
2003年 | シュミット環境相、ホーダー難民・移民統合相(4月) |
2004年 | マルグレーテ2世女王陛下・ヘンリック王配殿下(国賓)、ムラー外相(国賓公式随員)(11月) |
2005年 | フレデリック皇太子同妃両殿下(博覧会賓客)、ベンセン副首相兼経済産業相(博覧会公式随員)(4月) |
2006年 | アナス・フォー・ラスムセン首相(11月) |
2009年 | ヘデゴー気候・エネルギー相(5月) |
2010年 | ラース・ルッケ・ラスムセン首相(実務訪問賓客:3月) |
2011年 | フレデリック皇太子殿下(6月)、ヨアキム王子同妃両殿下(10~11月) |
2012年 | デュア貿易・投資相(2月) バック開発協力相(アフガニスタンに関する東京会合出席:7月、IMF世銀年次総会:10月) ヴェステア経済内務相(IMF世銀年次総会:10月) ソウンダール外相(10月) リデゴー気候エネルギー建設相(10月) |
2013年 | ヘケロップ食料・農業・漁業相(11月) |
2014年 | デュア交通相(1月) ヘレ・トーニング=シュミット首相(3月) |
2015年 | ソアン・ピン・デンマーク自由党外交担当スポークスパーソン(1月・戦略的実務者招へい) フレデリック皇太子殿下及びメアリー同妃殿下(3月) |
2016年 | ピア・ケアスゴー国会議長(3月) |
2017年 | ボック文化・教会相(2月) ラーセン環境・食料相(3月) ミケルセン産業相(4月) フェロー諸島自治議会産業・漁業・農業委員会(9月) フランク高齢者相(9月) フレデリック皇太子同妃両殿下(10月) サムエルセン外相(10月) ボック文化・教会相(10月) ラーセン環境・食料相(10月) ノアビュ保健相(10月) デンマーク議会外交政策委員会(10月) |
2018年 | ミケルセン・フェロー諸島自治政府外務・貿易相(1月) ピン高等教育・研究相(4月) デンマーク議会文化委員会(8月) デンマーク議会高等教育委員会(9月) ポールセン雇用相(9月) エレマン=イエンセン環境・食料相(9月) |
2019年 | フレデリック皇太子同妃両殿下(10月) ラスムセン「ラスムセン・グローバル」代表(11月) |
2021年 | プレーン食料・農業・漁業相(8月) ハルスボー=ヨーエンセン文化・教会相(9月) コフォズ外相(11月) |
2022年 | ラナ・フェロー諸島自治政府外務・文化相(4月) ホイニケ保健相(8月) クリステンセン議会議長(9月) |
2023年 | フレデリクセン首相(10月) |
2024年 | マリー・ビエア・デジタル化大臣兼ジェンダー平等大臣(4月) ホグニ・ホイダル・フェロー諸島副首相兼外務・産業・貿易大臣(7月) |
7 二国間条約・取極
- 1867年 修好通商航海条約
- 1912年 通商航海条約
- 1936年 司法共助取極
- 1953年 航空協定
- 1956年 査証免除取極
- 1968年 租税条約(2018年改正)
- 2007年 ワーキングホリデー制度
デンマーク王国自治領
1 フェロー諸島
(1)面積
1,398平方キロメートル
(2)人口
54,668人(フェロー諸島統計局2024年9月)
(3)首都
トースハウン
(4)言語
フェロー語(公用語)、デンマーク語
(5)宗教
福音ルーテル派
(6)自治政府議会
一院制(33議席、任期4年)
(7)自治政府内政
- 首相 アクセル・ヴィルヘルムソン・ヨハンネセン(社民党)
- 副首相兼外務・産業・貿易相 ホグニ・ホイダル(共和党)
- 2022年12月に実施されたフェロー諸島自治政府議会選挙の結果、社民党のヨハンネセン党首を首班とする社民党、共和党、進歩党の3党連立政権が発足した。新政権は、デンマークへの経済的依存の減少、グリーン移行の加速等を政権公約に掲げている。
(8)外交
2005年7月、権限委譲法が施行され、デンマーク王国憲法、市民権、最高裁判所、外交・安全・防衛政策、為替・金融政策を除き、フェロー諸島自治政府が希望する分野の権限をデンマーク本国から同自治政府に委譲することが可能となった。
(9)経済
- 主要産業:
- 漁業、水産加工業、小規模造船業、手工芸品製造
- 名目GDP:
- 269.2億デンマーク・クローネ(フェロー諸島統計局2023年)
- 総貿易額:(フェロー諸島統計局2023年)
- 輸出 126億9,233万デンマーク・クローネ(主に鮭などの水産品)
- 輸入 117億5,017万デンマーク・クローネ(工業品、石油などの燃料、食品など)
- 主要貿易相手国:(フェロー諸島統計局2023年)
- 輸出 デンマーク(16.5%)、米国(13.9%)、英国(10.3%)、ロシア(9.5%)、ノルウェー(7.8%)・・ 日本(0.3%)
- 輸入 デンマーク(21.2%)、オランダ(12.2%)、ノルウェー(11.1%)、トルコ(7.3%)、ドイツ(6.7%)・・日本(0.6%)
- 政府歳入:(フェロー諸島統計局2023年)
- 130.9億デンマーク・クローネ
(10)日本との関係
- フェロー諸島から日本には鮭やオヒョウなどの水産物が主に輸出されている。
- 2014年8月に伊藤内閣府大臣政務官兼総務大臣政務官が、2017年5月に河野日デンマーク・グリーンランド・フェロー諸島友好議連会長がそれぞれフェロー諸島を訪問した。
- 2017年9月、フェロー諸島自治議会産業・漁業・農業委員会が訪日し、河野外務大臣を表敬した。
- 2018年1月、ミケルセン・フェロー諸島自治政府外務・貿易相が訪日し、河野外務大臣と会談した。
- 2022年4月、ラナ・フェロー諸島外相が訪日し、鈴木外務副大臣と会談した。
- 2024年7月、ホイダル・フェロー諸島外相が訪日し、辻外務副大臣と会談した。
- 在留邦人数は、4名(出典:外務省 海外在留邦人調査統計2023年10月)
2 グリーンランド
(1)面積
217万平方キロメートル
(2)人口
56,699人(グリーンランド統計局2024年1月)
(3)首都
ヌーク
(4)言語
グリーンランド語(公用語)、デンマーク語
(5)宗教
福音ルーテル派
(6)自治政府議会
一院制(31議席、任期4年)
(7)自治政府内政
- 首相 ムテ・ボーロップ・エーエデ(IA党)
- 外交・産業・貿易相 ヴィヴィアン・モッツフェルト(シウムート党)
- グリーンランド南部にあるレアアース鉱山(クヴァーネフェル鉱山)の開発をめぐる与党内の対立を契機として2021年4月6日に自治議会選挙が実施され、イヌイット・アタカチギット(IA)党は、同鉱山開発の副産物のウランによる環境汚染への懸念を主張して支持を拡大、議会の第一党に躍進。4月16日、IA党及びナレラック党(鉱山開発に反対の立場)は、連立合意を発表し、IA党のエーエデ党首を自治政府首相とする新自治政府が発足。
- 連立合意の主なポイントは、放射性物質を含む鉱物の採掘禁止、税制改革、ホームレス削減、貧困対策、教育、医療(特にメンタルヘルス、がん患者、妊婦等)、漁業制度改革等。
- エーエデ自治政府首相は、グリーンランド史上最年少(34歳)で自治政府首相となった。
- 2022年4月IA党はナレラック党との連立を解消し、シウムート党との連立を発表。
(8)外交・防衛
グリーンランドは、デンマーク王国憲法、市民権、最高裁判所、外交・安全・防衛政策、為替・金融政策を除き権限を有する。
2009年のグリーンランド自治政府法により、グリーンランドにのみ関わる事項やグリーンランドが権限を有する分野については、外国政府及び国際機関と交渉し合意を結ぶ権限をグリーンランド自治政府が獲得した。
(9)経済
- 主要産業:
- 水産物加工業、手工芸品・革製品製造業、小規模造船業、鉱業
- 名目GDP:
- 32億ドル(2021年世界銀行)
- 総貿易額:(2023年グリーンランド統計局)
- 輸出 60.1億デンマーク・クローネ(主にエビ、オヒョウ等の水産品)
- 輸入 62.4億デンマーク・クローネ(食品、石油製品、機械設備)
- 政府歳入:(2023年グリーンランド統計局)
- 141億デンマーク・クローネ(約41億デンマーク・クローネはデンマーク政府からの補助金)
(10)日本との関係
- 1996年に高円宮同妃両殿下がグリーンランドを御訪問された。
- 2014年5月、デンマークを公式訪問した岸田外務大臣が、リデゴー外相及びハモン自治政府首相兼外相と三者会談を行い、日グリーンランド関係、北極協力と捕鯨問題につき意見交換した。
- 2014年8月、伊藤内閣府大臣政務官兼総務大臣政務官がヌークを訪問し、ハモン自治政府首相を始めとする政府要人、企業関係者と会談した。同年9月には、日デンマーク友好議員連盟(山下雄平議連会長代理)がグリーンランドを訪問した。
- 2015年3月、キム・キールセン・グリーンランド自治政府首相らがグリーンランド・プロモーションのため訪日した。
- 2015年9月、国立極地研究所とグリーンランド天然資源研究所が、研究分野での協力に関する覚書を作成した。
- グリーンランドから日本には、エビなどの水産物が多く輸出されている。
- 2017年5月、河野日デンマーク・グリーンランド・フェロー諸島友好議連会長がヌークを訪問し、フレデリクセン自治政府独立・外交・農業相やイノクセン自治政府産業・労働・貿易・エネルギー相等をはじめとする自治政府要人と会談した。
- 在留邦人数:5名(出典:外務省 海外在留邦人調査統計2023年10月)