クロアチア共和国

基礎データ

令和7年3月24日
クロアチア共和国国旗

一般事情

1 面積

5万6,594平方キロメートル(九州の約1.5倍)

2 人口

385.5万人(2022年:クロアチア政府統計局)

3 首都

ザグレブ

4 言語

公用語はクロアチア語

5 宗教

カトリック、セルビア正教等

6 民族

クロアチア人(91.6%)、セルビア人(3.2%)等(2021年国勢調査)

7 国祭日

5月30日(建国記念日)

8 略史

年月 略史
7世紀頃 スラブ人が定住
10世紀前半 トミスラブ公がクロアチア王国建国
1527年 ハプスブルグ家の支配下に入る
1918年 セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国(後、ユーゴスラビア王国と改称)建国に参加
1941年 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの傀儡国「クロアチア独立国」樹立宣言
1945年 ユーゴスラビア連邦人民共和国(後、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国と改称)の構成共和国の一つとして発足
1991年 ユーゴスラビアより独立宣言
1992年 国連加盟
2005年 EU加盟交渉開始
2009年 NATO加盟
2013年 EU加盟
2023年 ユーロ貨導入、シェンゲン圏加盟

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

ゾラン・ミラノビッチ大統領(2020年2月就任。2025年2月再任。任期5年)

3 議会

1院制(任期4年。定員151)

4 政府

クロアチア民主同盟(HDZ)を主軸とする連立政権
(1)首相 アンドレイ・プレンコビッチ(2016年10月就任、HDZ)
(2)外務欧州相 ゴルダン・グルリッチ=ラドマン(2019年7月就任、HDZ)

5 内政

  • (1)1991年から95年にかけて、旧ユーゴスラビアからの独立を巡り武力紛争が展開された。一部旧紛争地域では、紛争時に埋設された地雷が残るものの、現在の治安は概ね安定している。紛争後、国内の民族構成が大きく変化した(クロアチア人:78%(1991年)から90%(2001年)、セルビア人:12%(1991年)から4.5%(2001年)。
  • (2)1990年代を通じ政権与党であったクロアチア民主同盟(HDZ:中道右派)と旧クロアチア共産主義者同盟の社会民主党(SDP:中道左派)が二大政党とされ、独立以来、4度の政権交代が行われた。
  • (3)2015年11月に実施された議会選挙を受けて、2016年1月、非党人で経済界出身のオレシュコビッチ氏を首相とする政権が発足したが、政権与党内の混乱により不信任案が可決され、解散総選挙が実施された。2016年9月に行われた総選挙の結果、HDZとMOSTの間で連立が合意され、10月、プレンコビッチHDZ党首を首相とする政権が発足した。
  • (4)2017年4月、クロアチア最大の民間企業集団であるアグロコル・グループの経営悪化を巡り連立与党間で対立が生じ、プレンコビッチ首相はMOST所属閣僚3名を更迭し、MOSTが連立政権を離脱した。その後、与党HDZは、人民党(HNS)と新たに連立合意を結び、同年6月、内閣改造を実施した。
  • (5)2020年1月に決選投票が行われた大統領選挙で、野党SDP候補のミラノビッチ元首相が現職で与党HDZが推すグラバル=キタロビッチ候補に約10万票の得票差で勝利。
  • (6)新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、前倒しで行われた2020年7月の議会選挙で与党HDZが勝利。HDZは、少数民族代表議員や中道政党等の協力を得て、議会過半数を確保し、第2次プレンコビッチ内閣を発足。新政権は、省庁再編により省の数を20から16に削減。また、連立しているセルビア系政党から副首相を任命した。
  • (7)2024年4月に実施された前倒し総選挙において、与党HDZが野党第一党(SPD)率いる選挙連合に勝利し第一党になった。HDZは、祖国運動党(DP)と連立合意し、また少数民族代表議員らの協力を得て議会過半数(76名)を超える議員を確保し、第3次プレンコビッチ内閣が発足し、グルリッチ=ラドマン外相も再任した。

外交・国防

1 外交基本方針

  • (1)1990年代の紛争にもかかわらず、近隣諸国との関係は概ね良好。V4(ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー)との協力や3海域(バルト海、アドリア海、黒海)イニシアティブを通じた取り組みなど、エネルギー安全保障や域内協力等との観点からも中・東欧諸国や地中海諸国との連携を強化。
  • (2)2009年4月、NATOに加盟。2013年7月にEU加盟。2020年1月から半年間、EU議長国を務めた。2023年1月からユーロ導入及びシェンゲン圏に加盟。また、OECD加盟を目標としており、2022年6月にOECD理事会はクロアチアの加盟に向けたロード・マップを採択した。
  • (3)EU、NATO、国連、中・東欧や地中海における活動、経済外交や開発協力・人道支援活動の強化、法の支配、人権保護及び持続可能な開発の促進、南東欧地域及び世界の平和・安定への貢献を重視。こうした方針に基づき、コソボ国際安全保障部隊(KFOR)の他、国連やNATOの平和維持ミッションに要員を派遣している。西バルカン諸国へのEU拡大による同地域安定化の促進を強く支持。ボスニア・ヘルツェゴビナ等に多く居住する在外クロアチア人の地位・権利保護も重要課題としている。
  • (4)ロシアによるウクライナ侵略を受け、クロアチアは、ウクライナの主権と領土一体性を支持するという方針の下、ウクライナ難民の受け入れ、人道支援物資や軍事用ヘリコプター、歩兵用装備品等の供与などを通じてウクライナを支援している。2022年10月には、首都ザグレブにおいて、クリミア・プラットフォーム議会サミットが開催された。1990年代の自らの紛争の経験を活かした地雷除去支援にも注力しており、2023年10月には、ザグレブで、クロアチア政府とウクライナ政府の共催により、「ウクライナにおける人道的地雷除去支援ドナー会合」を開催した。

2 軍事力

  • (1)国防予算:約11.7億ユーロ(2024年)
  • (2)兵力:16,700人(志願制) (ミリタリーバランス2023)

経済

1 主要経済指標

  • (1)名目GDP 826億ドル(2023年・世銀)
  • (2)1人当たりGDP 21,459ドル(2023年・世銀)
  • (3)経済成長率 3.1%(2023年・世銀)
  • (4)物価上昇率 7.9%(2023年・世銀)
  • (5)失業率 6.1%(2023年・世銀)

2 主要貿易品目

(1)輸出:
機械類及び輸送用機器、原料別製品、鉱物性燃料、化学製品等
(2)輸入:
機械類及び輸送用機器、原料別製品、化学製品、鉱物性燃料等

3 主な貿易相手国

(1)輸出:
スロベニア、イタリア、ドイツ、ハンガリー、ボスニア・ヘルツェゴビナ
(2)輸入:
ドイツ、イタリア、スロベニア、ハンガリー、オーストリア

4 通貨

ユーロ(EUR)(2023年1月1日より導入)

5 経済概況

  • (1)経済成長率は、2008年に発生した世界経済危機の影響により2009年以降マイナスとなった後、2015年から2019年まで5年連続でプラスで推移した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行等により大幅なマイナス成長となったが、2021年は観光業が好調に推移したことなどから大幅なプラス成長(前年比13.1%増)となり、2022年(6.2%増)及び2023年(2.8%増)も引き続きプラス成長となった。
  • (2)クロアチアの主要産業は、観光業、製造業、不動産業等であり、対外貿易における大幅な貿易赤字を観光業からの外貨収入が穴埋めするという経済構造となっている。現在、欧州におけるエネルギー供給のハブ機能の一翼を担うべく、2021年1月に運転開始されたクルク島LNGターミナルが拡張され、アドリア海北部のリエカ港を拠点とする港湾・鉄道・道路整備など物流網の構築に向けたインフラ・プロジェクトを進めている。
  • (3)外国からの直接投資は、2008年に発生した世界経済危機の影響により、2010~13年は年総額10億ユーロ前後と停滞気味であったが、EU加盟の効果により、2014年は前年の約3倍の23億ユーロに増加した。その後、増減を繰り返し、2022年は約35億ユーロとなった。
  • (4)2020年に2度の大規模地震を経験(3月に首都ザグレブでマグニチュード5.5、12月にシサク・モスラビナ県でマグニチュード6.6)。EU基金(2027年までの復興基金及びMFF(多年度財政枠組)は約250億ユーロ)を活用しつつ、経済活性化や震災からの復興に取り組んでいる。

開発協力

1 日本の援助実績

(1)円借款
なし
(2)無償資金協力
9.50億円(2011年度までの実績)
(3)技術協力
9.78億円(2011年度までの実績)

二国間関係

1 政治関係

  • (1)日本は1992年3月17日にクロアチアを国家承認し、1993年3月5日に外交関係を開設した。駐日クロアチア大使館は、1993年に開設。在クロアチア日本国大使館は1998年2月に開設。以来、閣僚を含めた要人の相互訪問が行われている。
  • (2)二国間関係は順調に発展。クロアチアを訪れる日本人観光客は、クロアチア政府の統計によれば、2003年には延べ約1万6千人であったが、その後増加傾向となり、平均年延べ15万人がクロアチアに滞在。世界的な新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、2020年~2022年は低い水準となったが、2023年以降は回復傾向にある。

2 経済関係

(1)日本の対クロアチア貿易(過去5年)(日本国財務省貿易統計)
  対クロアチア輸出 対クロアチア輸入
2019年 57億円 116億円
2020年 40億円 121億円
2021年 66億円 82億円
2022年 123億円 95億円
2023年 162億円 122億円
(2)主要貿易品目
輸出:自動車、鉄鋼等
輸入:まぐろ(輸入総額の6割以上)、医薬品等

3 文化関係

(1)文化無償協力
 2.59億円(2004年までの実績)
(2)姉妹都市関係(京都市とザグレブ市、川崎市(神奈川県)とリエカ市、碧南市(愛知県)とプーラ市)

4 在留邦人数

207名(2024年10月現在)

5 在日クロアチア人数

162名(2024年6月現在)

6 要人往来

(1)往
年月 要人名
1995年4~5月 河野外務大臣
1999年7月 谷垣大蔵政務次官
2000年2月 有馬政府代表
2002年10月 清子内親王殿下
2003年8月 池坊文部科学大臣政務官
2004年9月 日・クロアチア友好議員連盟代表(南野智恵子参議院議員(会長))
2005年5月 棚橋科学技術担当大臣
2005年7月 福島外務大臣政務官
2007年7月 松島外務大臣政務官
2008年7月 山東参議院副議長
2010年5月 古本財務大臣政務官(EBRD総会出席)
2013年1月 城内外務大臣政務官
2013年6月 秋篠宮同妃両殿下
2013年12月 岸外務副大臣
2014年7月 牧野外務大臣政務官
2014年7月 谷垣法務大臣
2015年7月 薗浦外務大臣政務官
2017年7月 岸外務副大臣
2018年6月 薗浦内閣総理大臣補佐官
2018年10月 山田外務大臣政務官
2019年8月 河野外務大臣
2023年7月 吉川外務大臣政務官
2023年10月 辻󠄀外務副大臣
2024年6月 深澤外務大臣政務官
(2)来
年月 要人名
1992年3月 シェパロビッチ外相
1993年11月 マテシャ経済担当無任所相
1995年8月 イバニシェビッチ議会地域院議長
1996年12月 グラニッチ副首相兼外相
1997年4月 パブレティッチ議会代議院議長
1999年11-12月 シュケグロ蔵相
2000年5月 クレレッツ外務副大臣
2000年6月 リニッチ副首相、ツルクベナツ蔵相
2001年1月 フィジュリッチ経済相
2001年11月 ジュパン=ルスコビッチ観光相
2002年6月 ツルクベナツ蔵相
2002年11月 ピツラ外相
2002年11-2月 チャチッチ公共事業・復興・建設相
2003年3月 コバチェビッチ環境保護・都市計画相
2003年6月 ツルクベナツ蔵相
2003年10月 ジュパン=ルスコビッチ観光相
2004年4月 ブーケリッチ経済相、バビッチ首相府開発戦略担当相
2005年4月 コソル副首相兼家族問題・退役軍人・世代間連帯相、グラバル=キタロビッチ外務・欧州統合相、シューケル財務相、ビシュクピッチ文化相(愛・地球博出席)
2005年10月 クロアチア・日本友好議員連盟代表(タディッチ友好議連会長他)
2006年9月 プリモラツ科学・教育・スポーツ相
2008年3月 メシッチ大統領(公式実務訪問賓客)
2010年4月 ベビッチ議会議長(参議院議長招聘)
2010年9月 ヤンドロコビッチ外務・欧州統合相(外務省賓客)
2012年7月 ミミツァ副首相(アフガニスタン支援東京会合出席)
2012年10月 リニッチ財務相(IMF・世銀総会出席)
2013年4月 クリソビッチ外務・欧州問題省次官
2014年3月 ブルドリャク経済相
2014年11月 ロレンツィン観光相
2014年11月 マラス中小企業相
2015年6月 ミラノビッチ首相(実務訪問賓客)
2017年10月 コステリッチ・スポーツ庁長官
2019年3月 ペイチノビッチ=ブリッチ副首相兼外務・欧州問題相
2019年6月 ヤンドロコビッチ議会議長(衆議院議長招請)
2019年7月 クレシッチ会計検査院長
2019年10月 ライネル議会副議長(即位礼正殿の儀参列)
2023年6月 マトゥシッチ外務欧州副大臣
2023年7月 グルリッチ=ラドマン外務欧州大臣

7 二国間条約・取極

  • (1)通商航海条約、文化協力協定、科学技術協定(旧ユーゴスラビアより承継)、租税協定、日・クロアチア航空協定
  • (2)債務繰延取極

8 外交使節

  • (1)駐クロアチア日本国大使 和田 充広 特命全権大使
  • (2)駐日クロアチア共和国大使 ドラジェン・フラスティッチ 特命全権大使
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