コートジボワール共和国

基礎データ

令和6年10月8日
コートジボワール共和国国旗

一般事情

1 面積

322,436平方キロメートル(日本の約0.9倍)

2 人口

2,887万人(2023年 世銀)

3 首都

ヤムスクロ(Yamoussoukro
(実質的首都機能はアビジャン)

4 民族

60以上の民族から構成され、東南部を中心とするアカン系(バウレ、アニ等)、西南部を中心とするクル系(ベテ、ゲレ、ティダ等)、北東部を中心とするボルタ系(セヌフォ、クランゴ、ロビ等)、北西部を中心とするマンデ系(マレンケ、ダン等)に大別される。

5 言語

フランス語(公用語)、各民族語

6 宗教

イスラム教42.5%、キリスト教39.8%、伝統宗教2.2%、その他の宗教0.7%、無宗教12.6% (2021年国勢調査、コートジボワール計画・開発省)

7 国祭日

8月7日(独立記念日)

8 略史

年月 略史
14世紀以前 グリシャボ、ベチェ、アンデニュ等の王国が混在
1893年 仏への帰属
1904年 仏領西アフリカの一部となる
1958年9月 仏共同体加盟
1960年8月 コートジボワール共和国として独立
1960年11月 初代大統領にウフェ・ボワニ選出(1990年10月再選)
1993年12月 ウフェ・ボワニ大統領逝去
1994年2月 コナン・ベディエ(暫定)大統領就任、翌年10月大統領に正式就任
1999年12月 ゲイ元参謀総長が全権を掌握(翌1月、ゲイ元参謀総長を首班とする暫定政府設置)。ベディエ大統領は国外へ。
2000年10月 ゲイ元参謀総長失脚。大統領選挙の結果、バグボ大統領就任
2001年10~12月 国民和解フォーラム開催
2002年9月 一部兵士による騒擾事件が発生し、北部及び西部掌握
2003年1月 マルクシ合意(和平合意)成立
2003年3月 国民和解政府樹立
2004年4月 国連コートジボワール活動(UNOCI)派遣開始
2007年3月 ワガドゥグ合意成立、翌4月ソロ内閣成立
2010年10月 大統領選挙を実施。第2回投票(11月)後、独立選挙委員会はウワタラ氏(野党RDR党党首)の当選を発表したが、憲法院はバグボ氏(前大統領)の当選を発表。国際社会は一致してウワタラ氏への支持を表明。
2010年12月 ウワタラ大統領及びバグボ氏ともに大統領就任宣誓式を実施。
2011年5月 憲法院はウワタラ大統領の当選を宣言。ウワタラ大統領は改めて宣誓式及び就任式を実施。
2015年10月 大統領選挙(ウワタラ大統領再選、同年11月より2期目)
2016年11月 第三共和国憲法制定
2017年7月 ゴン・クリバリ内閣成立
2017年6月 国連コートジボワール活動(UNOCI)活動期限満了に伴い撤退
2020年8月 バカヨコ内閣成立(ゴン・クリバリ首相逝去に伴う組閣)
2020年10月 大統領選挙(11月、ウワタラ大統領再選)
2021年3月 国民議会選挙実施
2021年4月 アシ内閣成立
2023年10月 マンベ内閣成立

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

アラサン・ウワタラ(Alassane OUATTARA)大統領(2020年10月の大統領選挙により再選、任期5年)

3 議会

上院(99議席、任期5年)
国民議会(255議席、任期5年)

4 政党

与党:
ウフェ派連合(RHDP)
野党:
コートジボワール民主党(PDCI)、コートジボワール・アフリカ人民党(PPA-CI)、イボワール人民戦線(FPI)等

5 政府

  • (1)副大統領 ティエモコ・メリエ・コネ(Tiémoko Meyliet KONE
  • (2)首相 ロベール・ブグレ・マンベ(Robert Beugré MAMBE
  • (3)外相 カク・ウアジャ・レオン・アドム(Kacou Houadja Léon ADOM

6 内政状況

 1960年の独立後、ウフェ・ボワニ初代大統領の下30年以上にわたる安定した政権運営と年平均8%の経済成長を達成し、その発展は「象牙の奇跡」とされた。また、クーデターのない高い政治的安定性から、西アフリカ地域での指導的役割を担った。

 しかし、1993年のウフェ・ボワニ大統領(当時)逝去後、90年代後半から社会が不安定化。99年のクーデター翌年にバグボ大統領(当時)が就任すると、2002年には政府軍と反政府勢力との対立が発生、反政府勢力が同国の北部・西部を支配下に置き、事実上国が二分される状態となった。

 2007年3月、バグボ大統領(当時)とソロ「新勢力」事務局長(当時)の間で和平プロセス合意(ワガドゥグ合意)が成立し、ソロ事務局長(当時)が首相に就任、同年4月に新内閣が発足し、国を二分する状態は解消された。

 2010年10月には10年ぶりとなる大統領選挙が実施され、第2回投票の結果、国際社会がウワタラ氏の当選を支持したものの、バグボ前大統領は権力移譲を拒否。約5か月にわたる混乱後、2011年4月、軍がバグボ氏を拘束し、事態は収束した。

 2011年5月に改めて就任したウワタラ大統領は、安全対策、復興及び国民和解を3本柱とする国家復興政策に取り組み、2011年12月には、11年ぶりとなる国民議会選挙が実施された。

 2015年10月には、大統領選挙が実施され、国民和解と経済復興の実績を訴えたウワタラ大統領が約84%の得票率で再選を果たした。ウワタラ政権は二期目の重点政策として、国民和解の推進や、経済成長の恩恵の国民への均てん、貧困削減、若者の雇用促進及び女性の処遇改善等に取り組んでいる。

 2016年11月、国民投票を経て、副大統領職の創設や上院の設置を定めた新憲法が公布された。

 2020年8月、クリバリ首相の急逝を受け、ウワタラ大統領は同年10月の大統領選挙への立候補を正式に表明。同年10月に大統領選挙が実施され、翌11月、ウワタラ大統領が再選した。2021年3月には国民議会選挙が実施され、与党が過半数を維持。同年4月、アシ内閣が成立した。

 2022年4月、2020年7月以来空席だった副大統領のポストに、ティエモコ・メリエ・コネ氏(前西アフリカ諸国中央銀行総裁)が任命された。同月の内閣改造では、アシ首相他主要閣僚が再任。

 2023年9月に州議会・市議会・上院議員選挙が実施され、与党RHDPが議席数を増やした。

 2023年10月、新たにマンベ首相が任命され、新内閣が発足。

外交・国防

1 外交方針

 1960年の独立以来、非同盟を掲げつつも、旧宗主国フランスを中心とする西側寄りの穏健かつ現実的な外交政策をとってきた。

 2011年5月に就任したウワタラ大統領は、国際社会への回帰を標榜し、2012年にはECOWAS議長を務めた他、フランスのみならず、欧米やアジア、中東諸国からの投資誘致を精力的に行っている。また、近年は国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)への派遣等を通じ地域における平和構築に貢献してきており、2018年~2019年には国連安保理非常任理事国を務めた。

2 軍事力(2022年 ミリタリーバランス)

  • (1)予算 6.1億米ドル(2022年)
  • (2)兵力 2万7,400人(陸軍23,000名、海軍1,000名、空軍1,400名、特殊部隊2,000名)
  • (3)外国人駐留:仏軍900人

経済

1 主要産業

農業(コーヒー、ココア等)、天然ゴム、石油・天然ガス

2 GDP

787.9億米ドル(2023年 世銀)

3 一人当たりGNI

2,670米ドル(2023年 世銀)

4 経済成長率

6.4%(2023年 世銀)

5 インフレ率

4.4%(2023年 世銀)

6 失業率

2.4%(2023年、世銀(ILO推計))

7 総貿易額(2023年、ITC)

  • (1)輸出 183.56億米ドル
  • (2)輸入 188.35億米ドル

8 主要貿易品目(2023年、ITC)

  • (1)輸出 カカオ、石油製品、宝石類、ゴム製品
  • (2)輸入 石油製品、機械類、船舶関係、自動車

9 主要貿易相手国(2023年、ITC)

  • (1)輸出 オランダ、スイス、マリ、マレーシア
  • (2)輸入 中国、ナイジェリア、フランス、インド

10 通貨

CFAフラン

11 為替レート

1ユーロ=655.957CFAフラン(固定レート)

12 対外債務残高

297億5,240万ドル(2021年 世銀)

13 経済状況

 同国の基幹産業は農業で、農業に従事する人口は全体の約50%を占め、GDPの約30%、輸出の大部分を占める。また、1993年より産油が開始され、近年、石油・石油製品は、コーヒーの輸出と並び主要貿易品目となっており、2023年からは、バレーヌ石油・天然ガス田で生産を開始。
 ウワタラ政権は、国民の生活水準向上および2020年までの新興国入りを目指し、2012年に「2012-2015年国家開発計画(PND)」を策定。国内インフラ整備等による復興計画に取り組み、2012年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた2020年を除き、毎年約7~9%の高い経済成長を維持している。現在、2030年までの上位中所得国移行を目指し、「PND2021-2025」の下、更なる経済社会開発に取り組んでおり、貧困対策と若年層の雇用確保、民間投資の誘致、産業の多角化にも取り組んでいる。

経済協力

1 援助実績(2022年度までの累積)

ア 有償資金協力(E/N(交換公文)ベース)
912.34億円
イ 無償資金協力(E/N(交換公文)ベース)
713.77億円
ウ 技術協力(JICAベース)
235.83億円

2 我が国の協力概要

 我が国は、1980年代以来、農業、教育、医療、インフラ等の幅広い分野にわたり経済協力を実施してきた。1999年の政変により二国間政府援助を見合わせたが、その後も国際機関を通じた援助等を実施したほか、草の根・人間の安全保障無償資金協力も継続した。2011年1月には情勢不安のため、新規の二国間協力を一時差し控えたが、同年11月に再開した。また、2004年11月の政情悪化以降、JICA事務所は一時閉鎖したが、2011年11月より再開。最近の主要案件として、ターボ・コスー・ブアケ電力網強化計画(円借款)、大アビジャン圏母子保健サービス改善のためのココディ大学病院整備計画(無償資金協力)、中部・北部紛争影響地域の公共サービス改善のための人材育成プロジェクト(技術協力)等が挙げられる。

3 主要援助国(2021年:単位百万ドル(OECD/DAC))

  • (1)フランス(361.17)
  • (2)米国(196.39)
  • (3)ドイツ(92.74)
  • (4)韓国(35.52)
  • (5)日本(34.26)

二国間関係

1 政治関係

 我が国は、同国の独立(1960年8月7日)と同時に同国を承認。以来友好的な関係にあり、1964年に在コートジボワール大使館が開館、1969年に在日大使館が開館。同国の発言力等に鑑み、西アフリカにおける重要国の1つに位置づけている。また、同国要人は機会あるごとに同国の国家建設の模範として我が国をあげる等同国は極めて親日的。2014年1月、安倍総理(当時)が日本国総理大臣として初めて同国を訪問し、ウワタラ大統領との首脳会談やECOWAS首脳との懇談会を行った。2024年4月には上川外務大臣(当時)が訪問し、ウワタラ大統領を表敬するとともに、アドム外相と会談した。

2 経済関係

  • (1)対日貿易(2023年 財務省貿易統計)
    • ア 貿易額
    • 対日輸出 20.51億円
    • 対日輸入 114.51億円
    • イ 主要品目
    • 輸出 ココア、カカオ豆、非鉄卑金属、天然ゴム等
    • 輸入 自動車、一般機械、織物用繊維、ゴム製品等
  • (2)日本からの進出企業
    •  21社(2023年10月現在)

3 文化関係

 政情悪化以前に実施した文化無償による視聴覚機材等の供与、青年招聘計画等人物交流、現地における柔道大会の開催等を通じ、国家開発の模範として「日本」は位置付けられ、日本文化に対する関心は極めて高い。2014年の安倍総理訪問時には柔道「安倍杯」が開催され、2015年以降国際交流基金による日本研究セミナーが4回開催された。2022年・2023年にはアトリエ・マンガ及び日本語弁論大会を実施。2023年には草の根・文化無償資金協力により、フェリックス・ウフエ=ボワニ大学にコートジボワール発の日本語教育・日本研究振興センター「ジャパン・コーナー」を開設。

4 コートジボワール在留邦人数

154名(2023年10月現在)

5 在日コートジボワール人数

184名(2023年6月現在)

6 要人往来

(1)往訪(1979年以降)
年月 要人名
1979年7月 園田外務大臣
1981年7月 愛知外務政務次官
1987年10月 浜野外務政務次官
1993年4月 高円宮同妃両殿下
1999年7月 藤田JICA総裁
2004年1月 田中外務大臣政務官
2012年7月 加藤外務大臣政務官
2014年1月 安倍総理大臣、加藤官房副長官、三原衆議院議員(日AU議連幹事長)、西村内閣府副大臣
2014年7月 東郷衆議院議員
2016年3月 木原外務副大臣(平成27年度アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション)
2017年11月 佐藤外務副大臣
2018年5月 薗浦総理補佐官
2018年8月 牧原秀樹厚労副大臣、牧島かれん衆議院議員
2024年4月 上川外務大臣
(2)来訪(1989年以降)
年月 要人名
1989年2月 アリアリ国務相(大喪の礼)
1990年3月 アケ外相(外務省賓客)
1991年8月 ゴーズ一次産品担当相(高級実務者レベル招聘)
1992年1月 ダンカン首相付大臣
1992年11月 ウワタラ首相他(非公式訪日)
1993年11月 ダンカン首相兼、財政・計画相(TICAD(アフリカ開発会議))
1995年1月 ドンワヒ国民議会議長
1995年3月 エシー外相(第49回国連総会議長)
1996年12月 ダンカン首相(コートジボワール経済・投資セミナー)
1997年12月 ティアパニ住宅・生活環境・環境相(COP3)
1998年10月 ダンカン首相(TICAD II(第2回アフリカ開発会議))
アウア工業開発・中小企業相(TICAD II(第2回アフリカ開発会議))
バンバ国際協力担当外相付大臣(TICAD II(第2回アフリカ開発会議))
1998年11月 クアシ環境・森林相(ITTO)
1999年6月 ベディエ大統領(公式実務)
エシー外相(随行)
ムロー経済インフラ相(随行)
ティアム計画相(随行)
1999年10月 コネ技術教育・職業訓練相
1999年11月 クアシ環境・森林相(ITTO)
2001年12月 アシ経済インフラ相
ココトレ工業・民間センター振興相(TICAD閣僚レベル会合)
2003年9月 バンバ外相(TICAD III(第3回アフリカ開発会議))
2004年11月 ボウン・ブアブレ経済・財務相(TICADアジア・アフリカ貿易投資会議)
2005年8月 ニョンソア環境相(愛・地球博)
2007年5月 バカヨコ外相
2008年5月 ボウン・ブアブレ国務相、計画開発担当相(TICAD IV(第4回アフリカ開発会議))
2012年9月 マブリ・トワケス計画・開発相(閣僚級招へい)
2012年10月 シャルル・コフィ・ディビ経済・財政相(IMF・世銀総会)
マブリ・トワケス計画・開発相(IMF・世銀総会)
2013年3月 ギヨーム・ソロ国民議会議長(衆議院議長招聘)
2013年6月 ウワタラ大統領、ディビ外相他(TICAD V)
2013年10月 クアディオ環境・都市衛生・持続的発展相(水銀に関する水俣病条約外交会議)
2015年3月 クアディオ環境・都市衛生・持続的発展相(国連防災世界会議)
2015年8月 ビオン商業相、ウロト連帯・家族・女性・児童相(WAW!2015)
2016年1月 アシ経済インフラ相(閣僚級招へい)
2016年6月 アジュマニ動物・水産資源相(JICA招へい)
2018年2月 クアク経済インフラ相(JICA招へい)
2018年10月 カバ計画・開発相(TICAD閣僚会合)
2019年8月 クリバリ首相(TICAD7)
2019年10月 ウワタラ大統領(即位礼正殿の儀)
2022年12月 トゥーレ動物・水産資源相(OFCF招へい)
2023年2月 アミシア投資促進庁長官(戦略的実務者招へい)
2024年2月 コネ運輸相(JICA招へい)
2024年5月 トゥーレ動物・水産資源相
2024年6月 トゥーレ動物・水産資源相(水棲生物資源の持続的利用会合)
2024年8月 アドム外務・アフリカ統合・在外自国民相、コナテ・デジタル移行・デジタル化相(TICAD閣僚会合)

7 二国間条約・取極(発効年)

  • 貿易取極締結(1970年5月26日)
  • 青年海外協力隊派遣取極締結(1989年12月22日)
  • 日・コートジボワール投資協定発効(2021年3月26日)
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