中東

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「平和と繁栄の回廊」構想第3回4者協議閣僚級会合の開催について
(概要)

平成20年7月2日

 7月2日(水曜日)、「平和と繁栄の回廊」構想第3回4者協議閣僚級会合が、高村外務大臣の主催により、サミール・アブダッラー・パレスチナ自治政府計画庁長官、ギデオン・エズラ・イスラエル環境保護相、サラーハッディーン・アル・バシール・ヨルダン外相の出席を得て開催された。概要は以下のとおり。

1. 高村大臣は、会合に先立ち、エズラ環境保護相、アブダッラー計画庁長官及びバシール外相とそれぞれ二国間会談を行った。いずれの会談においても、高村大臣より、我が国として、中東和平に積極的に取り組んでいく旨表明し、特に「回廊」構想の成功に向け、各者の協力を要請した。先方より、我が国の中東和平に対する貢献、特に「回廊」構想への取り組みに対する謝意が表明されるとともに、我が国の中東における更なる積極的な役割を果たすよう期待の表明があった。個別の会談における注目点は以下のとおり。

(1)エズラ環境保護相との会談において、双方は、経済、投資、観光分野を始め、二国間関係を一層強化していくことで一致した。また、中東和平については、高村大臣より、イスラエルの入植活動の停止を働きかけた。エズラ環境保護相より、ガザ情勢は厳しいが、イスラエルは今後もロードマップを遵守し、パレスチナ側と交渉を続けていくスタンスであるとの説明があった。

(2)アブダッラー計画庁長官との会談においては、先方より、我が国の対パレスチナ支援に対する深甚なる謝意表明があるとともに、ガザ情勢について、パレスチナ人の伝統である民主主義を回復し、ガザ地区を含むパレスチナ自治区全体が、一つの政府・治安機構の下におかれることが重要である旨発言した。高村大臣より、我が国は、アッバース大統領の和平努力を支持している、また、ガザの人道状況を憂慮しており、5月末に1200万ドルの人道支援の実施を決定したと述べた。

(3)バシール外相との会談においては、双方は、ヨルダン王室と我が国皇室との伝統的な友好関係を始め、二国間関係が極めて良好に推移して、引き続き発展させていくこと、また、国際場裡における協力を推進していくことで一致した。また、バシール外相より、長年に亘る日本のヨルダンに対する支援への深甚なる謝意表明があった。イラクについて、高村大臣より、イラクの安定化に向け、大きな経済的負担等困難に直面しながらも、ヨルダンが難民受け入れに努力していることを評価する、我が国としてもイラク復興に向け協力しており、7月2日及び3日にアンマンにおいて、イラク経済フォーラムを開催すると述べた。これに対し、バシール外相より、国内のイラク人難民は約60万人に達し、自国の経済状況を踏まえれば難民支援は容易ではなく、国際社会の支援が必要であると述べた。

2. 続いて、4者の代表は、総理官邸において、福田総理大臣を表敬訪問した。福田総理より、中東和平実現にはイスラエルと共存共栄するパレスチナ国家の樹立が不可欠であり、「回廊」構想の推進がかかる国家の樹立に貢献することを期待する旨述べた。また、中東地域の平和と安定は世界の平和と繁栄に直結しており、来週開催される北海道洞爺湖サミットにおいて、G8議長国としても、その実現に最大限貢献していきたいと述べた。各閣僚より、日本の「回廊」構想を高く評価するとともに、日本の貢献に対する感謝の念が示された。

3. 続いて、高村大臣の主催により、飯倉公館において、第3回となる「回廊」構想4者協議閣僚級会合が開催された。

(1)冒頭、高村大臣より、中東和平の実現のためには、イスラエルと共存共栄するパレスチナ国家の建設は不可欠であり、パレスチナ経済の開発が重要である旨発言するとともに、「平和と繁栄の回廊」構想による農産業団地の開発が経済開発に貢献する可能性を強調した。また、これまでの構想の進展を確認するとともに、今後の展望として、団地開発への民間投資誘致の重要性を指摘し、開発が進めば最大6000人の雇用を創出する可能性もある旨述べた。

(2)また、今回の閣僚級会合の成果として、これまでの進展と今後の展望について4者の共通認識をプレス・ステートメントとして発出することで合意した(別添参照)。主要な点は以下のとおり。

(イ)農産業団地の建設は、まずジェリコ市南部のA地区から開始され、将来的には隣接地区に拡大されうる。

(ロ)本年11月までに調査を終了し、可能な限り09年の早期に、団地建設関連プロジェクトの実施を開始する。

(ハ)我が国は、このプロジェクトにODAを活用し支援する用意がある。

(ニ)さらに、団地からヨルダンへのアクセスは、安全上の懸念だけでなく、経済的な効率性についても十分考慮して建設する。

(3)会合終了後、高村大臣主催によりレセプションが開催され、冒頭高村大臣より、上記プレス・ステートメントの概要について発表するとともに、各閣僚より、本構想の推進、及び中東和平実現に向けた強い決意と日本の努力に対する謝意が改めて表明された。

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