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平成20年4月17日
4月17日、高村外務大臣は、飯倉公館にて、訪日中の外交部長と、約4時間にわたり会談及び夕食会を行ったところ、概要以下のとおり。
(1)高村大臣より、胡主席訪日は、「戦略的互恵関係」という新しい関係を目指す日中双方の努力を結実させ、中長期的な日中関係の展望を示す良い機会、本年予想される首脳往来を着実に日中関係発展に繋げるためにも、胡主席訪日を成功させることは重要である旨発言。
(2)楊部長より、胡主席訪日は、国家主席として21世紀における初めての訪日であり、党大会後初めての外国訪問でもある。このことは日中関係重視の姿勢の表れ。胡主席訪日を、日中関係の発展にとって重要かつ深遠な歴史的意義のあるものとしたい旨発言。
(1)青少年交流
高村大臣より、全人代開催中に胡主席が青少年友好交流年開幕式に出席したことに謝意を表明し、両外相は、青少年交流の効果的実施のための協力で一致。
(2)外交当局間の対話
両外相は、外務報道官協議(18日開催)、アフリカ及び対外援助に関する協議に加え、メコン政策対話が近く開催されることを歓迎。
(3)安全保障分野における交流・透明性
両外相は、統幕長、防衛次官が訪中し、防衛大臣、海自艦艇の訪中が予定される等、安全保障分野の交流進展を歓迎し、青年士官相互訪問、日中安保対話の早期実施で一致。高村大臣より、交流を通じ、透明性向上に加え、相手国社会の実情への理解を深めることが重要と指摘。
(1)知財・ビジネス環境改善
高村大臣より、法制度や地方での執行強化等の協力を具体化させたい旨発言。楊部長より、中国は、知財について日本と交流し、協力を進めたい旨発言。また、両外相は、日中韓ビジネス環境改善アクションアジェンダの早期公表、日中韓投資協定の交渉促進のための協力を確認。
(2)環境・省エネ
両外相は、環境・省エネ分野における協力は「戦略的互恵関係」の重要な分野であり、着実に効果的に協力を進めていくことで一致。
(3)その他
両外相は、日本産コメの輸出条件等に関する調整の進展を歓迎し、トキの保護と野生復帰に係る協力についても促進していくことで一致。この他、楊部長より、ポジティブリスト制度、中国産生鮮家禽肉の輸入解禁、市場経済地位の承認について要請。
楊部長より、台湾問題は、中国の核心的利益にかかわる問題、警戒を緩めてはならない、両岸関係については、「一つの中国」の原則の下、平和的発展を推進する、台湾問題は日中関係の政治的基礎であり、日本側が慎重に適切に対処することを希望する旨発言。高村大臣より、新たな状況の中で、直接の対話による平和的解決を強く期待、胡主席と蕭萬長氏の会談を評価、我が国の立場には何ら変更はない旨発言。
高村大臣より、一刻も早い真相究明の重要性について強調し、両外相は、一刻も早い真相究明のため、双方で捜査と協力を更に強化していくことで一致。
両外相は、昨年末の福田総理訪中時に得られた両国首脳の新たな共通認識に基づき、事務レベルで有益な協議が行われていることを確認し、解決に向け努力を継続していくことで一致。
(1)高村大臣より、懸念をもって注視、人権の観点から国際社会の関心が高く、透明性を確保し状況の全容を明らかにしていくことが中国の利益、また、国際的な世論を見ても、現在、重要なことは、ダライ・ラマ側との対話の姿勢を明確に示すことだと思う、条件をつけずに対話してみてはいかがかと述べ、ダライ・ラマ側との対話を行うよう求めた。
(2)これに対し、楊部長より、今回の重大な暴力犯罪行為は、ダライ側が計画的に策謀し、国内外の分裂勢力が結託して行ったものであり、その目的は北京五輪を破壊すること、中国の関係部門は最大限抑制した対応をとり、在中国の外交官やメディアのラサ視察を実施する等最大限の努力を行っている、これは人権、民族、宗教の問題ではなく中国の統一か、分裂かの問題、中国の内政問題であり、外国は干渉すべきではない、対話については、扉は開かれている、チベット独立を放棄し、暴力活動を停止し、北京五輪を破壊する活動を停止すれば、接触と話し合いを行うことができる旨発言。
楊部長より、北京五輪への支持と長野での聖火リレー(26日)への協力を要請。高村大臣より、北京五輪の成功を期待、人権は国際的関心事項であり、五輪に影響が出ないよう適切な対処をして欲しい旨要請。聖火リレーについては、関係省庁と緊密に相談し、適切に対処する旨発言。
両外相は、遺棄化学兵器処理事業を加速すること、移動式処理設備による最初の廃棄事業を南京にて行い、早期導入に向け協力していくことで一致。
(1)北朝鮮
(イ)高村大臣より、核問題について、第2段階が終了するまでに課題は残されている、連携していきたい旨発言。楊部長より、関係国には義務履行の前進に意欲がある、北朝鮮の核施設の無能力化は進んでいる、第2段階を早く履行し、協議を新たな段階に引き上げたい旨発言。
(ロ)高村大臣より、日朝関係について、中国からも北朝鮮に真剣な対話を促していただきたい旨述べ、拉致問題について、引き続き中国側の理解と協力を要請。楊部長より、協議を通じて適切に処理されることを期待する旨発言。
(2)気候変動問題
高村大臣より、長期目標等について中国の更なる積極的対応を求めたのに対し、楊部長より、日本側の関心は理解、「美しい星50」に留意しており、積極的な内容を持つものと評価している旨述べつつ、「共通だが差異ある責任」を主張。
(3)日本の国連安保理常任理事国入り
高村大臣より、我が国の平和国家として歩みを説明し、中国側のより積極的な態度表明を要請。楊部長より、日本の国連における地位と役割を重視しており、日本が世界の平和と安定のためより多くの貢献を行うことを望んでいる旨発言。