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賈慶林・中国人民政治協商会議全国委員会主席の訪日(概要)
平成19年9月18日
賈慶林(カ・ケイリン)・中国人民政治協商会議全国委員会主席は9月12日から9月17日まで訪日したところ、概要は以下のとおり。
東京日程(12日~14日)
衆参両院議長との会見・夕食会、日中友好7団体主催レセプション、町村外務大臣との会見及び夕食会(甘利経産大臣、冬柴国交大臣、鴨下環境大臣他同席)、政党幹部との意見交換、経団連主催レセプション等
地方日程(14日~17日:兵庫、大阪、北海道)
世界華商大会開幕式でのスピーチ、地方自治体首長との会見、視察等
2.町村外務大臣との会談
(1)町村大臣より概要以下を発言。
(イ)訪日を心から歓迎。賈主席の今時訪日は、ハイレベル交流の継続として有意義であり、「戦略的互恵関係」構築を目指し協力したい。
(ロ)羽田・上海間のチャーター便就航(9月29日)、青少年交流(本年の中国の高校生約2000人の訪日招聘計画、中国側による今後5年間毎年1000名の訪中招聘計画)、「日中のお祭りin北京」(15日、北京)等を通じ国民交流と相互理解を増進したい。また、北京五輪時の邦人の安全確保等への配慮をお願いしたい。
(ハ)中国の発展が好機をもたらしていることを評価。中国側も戦後の日本の平和国家としての歩みを評価していると承知している。
(2)賈慶林主席より概要以下を発言。
(イ)双方の努力により日中関係は改善。両国国民・国際社会も歓迎・支持。安倍総理の貢献を高く評価。日中関係を長期安定的に発展させるとの中国政府の方針に変更なし。歴史、台湾など敏感な問題について首脳間の共通認識に基づき、「戦略的互恵関係」を構築し平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展を実現することが重要。
(ロ)日中ハイレベル経済対話を重視しており、成功させたい。また、環境保護やエネルギー分野での対話を通じ成果をあげたい。
3.日中友好7団体主催レセプションにおける賈慶林主席によるスピーチ(ポイント)
- 安倍総理訪中、温家宝総理訪日により日中関係は「戦略的互恵関係」構築という新たな段階に達した。同時に日中関係には依然としてチャンスと挑戦の双方が存在。
- 日中双方は、絶えず日中関係の3つの基礎を強固にすべき。第一に、3つの政治文書の原則と精神に基づき、重大で敏感な問題を妥当に処理し、政治的基礎を固めるべき。第二に、エネルギー、環境保護等の重点分野での協力を進め、共通利益を拡大し、経済的基礎を固めるべき。近く中国で開催される日中ハイレベル経済対話により協力は更に高いレベルに。第三に、本年の国交正常化35周年、「日中文化・スポーツ交流年」、来年の日中平和友好条約締結30周年、北京五輪、2010年の上海万博等の機会に人的・文化的交流を拡大し、社会的基礎を固めるべき。
- 日本が戦後平和発展の道を歩んできたことを高く評価し、引き続きこの道を歩むことを支持。中国が平和発展の道を歩む決意にも揺るぎはなく、また、中国の発展は他国を損なうものでも、ましてや脅威となるものでもない。
- 陳水扁当局は、国際社会の強い反対にもかかわらず、国連加盟に関する住民投票、台湾名義での国連加盟等の台湾独立分裂活動を進めており、両岸関係及び台湾海峡の平和と安定への深刻な挑戦。日本政府及び各界が台湾独立分裂勢力の本質と危険性をはっきり認識し、国際社会とともに台湾独立に明確に反対することを希望。
4.世界華商大会
(1)冬柴国土交通大臣によるスピーチ※日本政府を代表して行ったもの
- 国交正常化以来35年、日中の人的往来と経済的相互補完関係は急速に深化。中国の発展は我が国を含む国際社会に大きなチャンス。
- 日中両国にはアジア及び世界の平和、安定及び繁栄に共に建設的貢献を行う厳粛な責任あり。将来にわたりこのような協力を行うことが未来を築く我々の使命。
- 相互理解増進のため、日本から2万人・中国から1万人規模の観光交流事業、「日中のお祭りin北京」等の「日中文化・スポーツ交流年」事業、羽田・上海虹橋チャーター便開設等を展開。自分(冬柴大臣)も同チャーター便第一便に乗る予定。
(2)賈慶林主席によるスピーチ(ポイント:日中関係及び台湾部分)
- 日中両国は重要な隣国であり、アジア及び世界に重要な影響力を有する国家。
- 2000年余りの友好交流の歴史において、50年の不幸な歴史が存在し、日本軍国主義者が発動した中国侵略戦争は中国国民及び日本国民に深い災難をもたらした。
- 安倍総理の訪中、温家宝総理の訪日により「戦略的互恵関係」構築の基本的内容と枠組みが確定した現在、我々は対日友好政策を堅持し、日本側と共に努力して「歴史を鑑とし未来に向かう」精神に基づき、「日中共同声明」等3つの政治文書の原則を厳守し、両国指導者の共通認識を実現する。
- 陳水扁当局は「国連加盟に関する国民投票」、「台湾名義での国連加盟」等の台湾独立活動を推進し、台湾を中国から分裂させることを企図し、台湾海峡の平和に重大な脅威。我々は一つの中国の原則を堅持して動揺せず、平和統一の努力を決して放棄せず、台湾人に希望を託すとの方針を決して変えることなく貫徹し、台湾独立の分裂活動への反対には決して妥協せず、両岸関係の平和、安定の方向への発展を推進する。