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温家宝中国国務院総理の来日
日中ハイレベル経済対話の立ち上げ(概要)

平成19年4月12日

 4月12日午後2時45分~3時15分、温家宝中国国務院総理訪日の機会に、飯倉公館において、日中ハイレベル経済対話の立ち上げ会合が行われたところ、概要以下のとおり。

1.双方出席者

(1)日本側:安倍総理、麻生外務大臣、尾身財務大臣、甘利経済産業大臣、大田内閣府経済財政政策担当大臣等

(2)中国側:温家宝国務院総理、李肇星外交部長、馬凱国家発展改革委員会主任、薄熙来商務部長、魏礼群国務院研究室主任等

2.主な成果

  • 日中両首脳により、「日中ハイレベル経済対話」の正式な立ち上げが宣言され、本対話の構成員を以下のとおりとすることに合意した。
    • 日本側:麻生外務大臣を議長とし、尾身財務大臣、甘利経済産業大臣、大田内閣府経済財政政策担当大臣が基本メンバーとなる。
    • 中国側:曾培炎副総理を議長とし、李肇星外交部長、馬凱国家発展改革委員会主任、薄熙来商務部長、金人慶財政部長が基本メンバーとなる。
    • 議題に応じて上記以外の閣僚が本対話に参加することとなる。
  • 第1回会合を本年内に北京で開催することに合意した。
  • 第1回会合の議題等詳細については、今後外交ルートを通じて協議していく。

3.出席者の発言のポイント

(1)両首脳の冒頭発言

(イ)安倍総理

 本対話は、昨年10月の訪中の際、温家宝総理との間で合意した「戦略的互恵関係」を経済面で具体的に展開するもので、日中経済関係の新たな一歩を画するもの。
 日中経済関係は、互いの経済政策が、双方の国民生活に直接的に影響する関係になるとともに、世界経済に重要な影響を及ぼす関係となっている。
 かかる観点から、日中両国は、二国間経済関係を円滑に推進し、更に、資源・エネルギー、ミレニアム開発目標の達成に向けた開発協力、WTOドーハラウンドの推進、環境・気候変動、知的財産権保護、感染症対策等、国際的課題の解決に向けて積極的に貢献していく責務がある。
 両国の経済関係の最高責任者が、本対話を通じて、分野横断的・長期的また世界的視野に立って、胸襟を開いて対話を行い、日中間の「戦略的互恵関係」を推進し、21世紀の世界経済の持続的発展のために寄与していきたい。

(ロ)温家宝総理

 本対話の立ち上げは、両国の建設的な合意に基づくもので、両国の経済面での協力メカニズムがより高い次元に上がったことを示している。
 経済面での協力は、両国の戦略的互恵関係の重要な構成部分である。日中両国の経済面での協力は空前の広さと深さを有している。
 両国の相互依存関係は益々深化しており、地域や世界経済への影響も増大している。そうした両国の経済面での協力メカニズムを一層健全なものとし、よりマクロ的な視野で深化させることは、客観的情勢の要求である。本件メカニズムは両国関係の発展に積極的な影響を及ぼすと確信する。

(2)日本側閣僚の発言

(イ)麻生外務大臣

 本対話は、日中間の省庁別カウンターパート対話で処理しにくい課題について、政府全体として大所高所から調整・解決していくもので、次の5点の議論を提案。
 第1はマクロ経済政策、第2は貿易・投資関係(貿易上の障害除去、中国の投資・サービス分野の一層の規制緩和等)、第3はマルチの協力(日中韓や東アジア地域の協力、WTOドーハラウンド、地域・世界経済における日中経済関係のあり方)、第4は地球規模の課題(環境・気候変動、エネルギー、海洋汚染、感染症等)、第5は経済協力(わが国の対中経済協力、第三国支援)。

(ロ)甘利経済産業大臣

 本対話の活用策として、省庁間を跨る課題に焦点を当てるべきとして、第1に知財保護を含めた貿易・投資環境改善のための協力、第2に中国経済の投資過熱等、双方の経済・産業政策についての協議、の2点を提案。
 また、エネルギー・環境分野での協力が重要。

(ハ)尾身財務大臣

 中国とも協力し、チェンマイ・イニシアティブ等のアジアにおける地域金融協力を推し進めたい。また、地域金融協力や両国経済の課題等について、日中財務対話をも通じて議論を深めていきたい。人民元の柔軟性向上に向けた取組みに引き続き期待。

(ニ)大田内閣府経済財政政策担当大臣

 我が国の基本的経済政策について説明。また、内閣府と国家発展改革委員会との間で行われている経済協議も通じ、日中両国経済が安定的に成長することは両国のみならず世界経済にとっても重要。

(3)中国側閣僚の発言

(イ)李肇星外交部長

 両国指導者は、経済貿易関係の強化について合意し、その対話メカニズムを明確化した。中国外交部は、この枠組みの中で政治的な面で積極的な協調と支持を行い、両国経済貿易関係の順調な発展を推進していきたい。

(ロ)馬凱国家発展改革委員会主任

 今後本対話のプラットフォームを利用して、双方の経済面での交流と協力を一層推進していきたい。特に、マクロ経済、産業政策、エネルギー分野、中小企業協力がその重点と考える。本年9月に行われる第2回の省エネ・環境フォーラムを歓迎する。また、中小企業博覧会も重視している。

(ハ)薄煕来商務部長

 商務部が本対話の中国側窓口となったことに重大な責任を感じている。曽培炎副総理と協力しつつハイレベルの対話を順調に進め、日中経済関係のwin/winの関係を発展させていきたい。

(4)両首脳の締めくくり発言

(イ)安倍総理

 双方出席者が、両国経済の重要性を認識し、世界に向けて開かれ、国際社会の発展に寄与することを責務として感じているのを確認できた。これは「戦略的互恵関係」推進の基礎である。第1回会合を年内に北京で開催することに同意する。

(ロ)温家宝総理

 今回の会合は短時間であったが有意義であった。双方の努力で第1回会合をうまく開催し、積極的な成果を得られるよう期待している。

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