
アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
新日中友好21世紀委員会第7回会合
(概要)
平成20年1月30日
第7回会合(於:北京・釣魚台国賓館)
議題:日中関係の現状と評価
日付 |
内容 |
1月27日(日曜日) |
第7回会合(於:北京・釣魚台国賓館) |
午前 |
開幕式
第1セッション(議題:「日中関係の現状と評価」) |
午後 |
第2セッション
(議題:「戦略的互恵関係」、戦略的相互信頼及び互恵協力I
~経済・環境保護分野における協力の促進~)
第3セッション
(議題:「戦略的互恵関係」戦略的相互信頼及び互恵協力II
~相互理解の促進~) |
1月28日(月曜日) |
午前 |
総括セッション、閉幕式 |
午後 |
共同記者会見、 外交部長との会見 |
1月29日(火曜日) |
午前 |
視察 |
午後 |
李克強政治局常務委員との会見 |
2.第7回会合
(1)概要
会合では、安倍総理訪中、温家宝総理訪日、福田総理訪中を経た日中関係改善の現状を評価した上で、本年春に予定されている胡錦濤国家主席の訪日を如何に有意義なものとするか、また、「戦略的互恵関係」の構築を如何に進めていくかにつき率直な意見交換が行われた。過去6回にわたる会合を通じて、委員同士の信頼関係もあり、具体的協力や交流のあり方について建設的かつ中身のある意見が交わされ、多くの共通認識に達した。なお、冒頭、福田総理及び温家宝総理からのメッセージが紹介された。
(2)今次会合において出された主な意見
〔総論・現状認識〕
- 福田総理の年末の訪中の成果を高く評価。両国指導者の決断により、日中関係は大きく改善。
- 一方で、特定の問題や指導者の交代により両国関係が大きな影響を受ける脆弱性も存在。首脳間の交流を継続していくことは重要。その上で、共通の利益に立脚した、長期的に安定した両国関係発展のための大きな仕組み・システムを作ることが必要。特に、日中間で問題が生じた際の危機管理の体制、すなわち恒常的な対話の枠組が重要。
- 日中は二国間関係のみならず、グローバルな課題を解決し、共通の利益を拡大する「創造的パートナー」として、経済発展、環境保護等広い視野から長期的な関係を構築すべき。
- 中国の発展は既に中国、日中のみの問題でなく、世界の問題。日中で協力し、東アジアの地域協力を拡大することを共通の戦略とすべき。
〔2008年の課題〕
- 胡錦濤国家主席訪日の成功が当面の重要課題。なるべく余裕をもった滞在とし、日本の幅広い層と接触して顔の見える訪問となることを期待。新しい時代に即した日中関係の枠組を構築すべき。
- 北京オリンピック、日中平和友好条約締結30周年等を機に、日中両国の交流が一層進展することを期待。北京オリンピックを機に中国の平和的発展の姿を世界に見せるべき。
- 両国が戦略的相互信頼及互恵協力を促進するためには、両国の協力を具体化していく必要あり。特に、環境協力、人的交流の充実が重要。
〔環境協力〕
- ポストODAの時代に、ODAに代わる環境保護のための公的基金を両国の共同出資で作れないか検討すべき。
- 日中間で個別のプロジェクトのみならず、包括的な取り組みが必要。
- 両国間の協力を全体を見渡した上で進められる仕組みを作っていくべき。
- 環境の理念を両国首脳レベルから大衆レベルまで共有し、官民で連携して取り組むべき。その点から日中共同で両国国民向けに環境にかかわる小冊子を作成することは有益。将来的には教材としていくことも考えるべき。
- 中国も勇気をもって国内の環境汚染に関する情報を開示し、共に知恵を出し合うべき。また、技術的な協力を進めるには、知的財産権保護に配慮する必要がある。環境保護行政に関わる各機関間の協調も重要。
- 両国は短期的な利益のみ追求するのではなく、中長期的な利益に着目し、お互いにある程度の犠牲を払い、環境保護の取り組みを進めるべき。
〔人的交流の充実〕
- 知的交流は国家間交流と民間の交流をつなぐ意義あり。21世紀委員会のように全体を見渡す場を継続させていく必要あり。同時に、様々な分野の専門家、若手学者による知的交流を強化することが必要。
- 政治家、官僚、地方指導者、安保関係者、日中関係史、環境、メディア、学界、大学、文化、芸術、スポーツ等の関係者の交流を強化するべき。また、高校生等の青少年交流の意義は極めて大きく、継続すべき。多数の分野の中で優先順位をつけながら交流促進を行っていくべき。
- 日中共同の大学組織を立ち上げ、留学を更に拡大することも一案。
- テレビ番組等メディアの交流を強化し、お互いの生の姿を伝え合うようにすべき。
- アニメ等サブカルチャーを通じて若い世代の相互理解を促進していくことには大きな意義。文化センターなど情報発信の拠点を双方とも強化すべき。
〔その他の議論〕
- 日中両国の世界経済、マクロ経済に関する対話を強化する。この地域での自由貿易を促進するために、日中韓の協力も重要。要人往来の機会に、北東アジアの人・物の動きを活性化するため、航空の面での自由化、ビザの緩和を目指すべき。
- 中国側より「敏感な問題」として、台湾問題に言及。中国側より日本側の台湾についての姿勢を評価。更に台湾問題を引き続き慎重に処理し、台湾独立勢力に誤ったシグナルを出さないことを希望。
- 東シナ海の問題につき、中国側より共同開発の一歩を踏み出すべきである旨表明。日本側より日中関係の良い時期に、胡錦濤国家主席の訪日までに問題が解決されることを期待する旨指摘。
(3)今後の進め方
2008年末に日本で最終会合を実施し、最終報告書を作成。両国政府に具申する。今期委員会の任期満了後も、新日中友好21世紀委員会のような親委員会の下に分科会を作る可能性も含め、日中両国政府間の諮問機関を継続させることを検討すべき旨提言あり。
3.李克強政治局常務委員との会見(29日)
(1)李克強政治局常務委員より、新日中友好21世紀委員会のこれまでの実績を評価する旨表明があり、胡錦濤国家主席の訪日の意義及び中国の平和的発展につき言及があった。また、政治的相互信頼関係を強化し、実務的協力を推進し、人的交流を拡大して日中関係を新たな段階に押し上げたい旨発言。最後に台湾問題について言及。
(2)小林座長からは、胡錦濤国家主席訪日の際に直接中国の平和的発展の状況を説明することを期待する、環境協力、青少年交流等を引き続き促進していきたい旨表明。台湾問題については、日本の基本的立場は変わらない旨表明。
(3)また、小林座長が早期の訪日を希望したのに対し、李常務委員より、謝意を表明。
4.
外交部長との会見(28日)
(1)小林座長より以下のとおり表明
- 日中双方の委員の協力、信頼関係により会合は成功した。
- 首脳間の緊密な関係のみならず、首脳間の関係のみに頼らぬ長期的・安定的に両国関係を発展させるメカニズムを作るべき。
- 本委員会の任期終了後も、新たな形で本委員会は継続させるべき。
- 胡錦濤国家主席訪日の成功に向けて、委員会としても引き続き知恵を出して行きたい、個人的には、胡錦濤国家主席が訪日した際、1)中国の発展のあり方について正確な理解を得るよう説明をされると共に、2)日本が国際社会でより大きな役割を果たすことへの支持をメッセージとして出されると有意義だと考える旨表明。
(2)
外交部長より次のとおり表明。
- 日中双方の委員によるこれまでの日中関係発展のための努力に感謝。
- 本委員会から、引き続き知恵やアドバイスを頂くことを期待している。
- 胡錦濤国家主席訪日の際は、中国の発展プロセス、国内建設の状況を客観的に紹介し、また、日本とともに「戦略的互恵関係」の発展を促進し、日中が国際社会において協調していく旨を表明することになろう。また、日本側委員におかれては、中国に対する日本国民の理解深化のため、ご支援をお願いしたい。
外交部長との会見
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェアを入手してください。