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平成18年3月
新日中友好21世紀委員会(日本側座長:小林陽太郎(富士ゼロックス取締役会長)、中国側座長:鄭必堅(改革開放フォーラム理事長)。名簿別添)は、3月23日及び24日の両日に京都市にて開催され、「日中関係の進むべき方向、国内情勢の回顧」、「日中間のメディア・文化交流」、「日中関係の中長期的展望」という3つのテーマについて討議。
今次会議において、日本側より、要旨以下の「和解と協調のロードマップ」(案)を提示し、これに基づいて議論。今後、これをたたき台にしつつ、引き続き議論を深めていくことになった。
●(中国側よりは、靖国神社参拝につき、日中関係の政治的基礎にかかわる問題である等との発言があったのに対し、)靖国神社の問題を関係改善の条件とすべきではない。中国側は日本の戦後の平和的発展や中国への貢献をより積極的評価すべき。
○ 日中両国とも変革期にあり、関心が国内問題に集まりがちなことを懸念。日中間では、認識のギャップがあり、戦略的な面でコンセンサスができていない。両国の共通点、接点を見出していく必要がある。
○ 中国の80年代出生の若者は日本のアニメなどの影響を受ける一方、ネットで互いを罵り合っているのも両国のこの世代。この世代は似たような価値観を有しており、交流は可能かつ有意義。
● 日中両国の共通利益として、環境・エネルギー問題は最も重要。持続的成長を可能とする社会の構築のための方途を両国で考えていくことが重要(中国側よりも、「分担と共有」の精神で協力していくことが重要と指摘。)。
○日中双方がお互いに交流の制約を取り除くべき(例えば、中国においては日本映画の放映枠、日本においては入国査証の問題など)
● 日中両国間の若者交流は特に重要。日中両国の青年がともに社会貢献のボランティア活動に協力して従事する仕組みを作るべき(中国側より、老人へのいたわり、環境問題などが日中双方の共通事項として取り上げられる旨の発言。)。
●日米交流に比べ、日中の人的交流は不十分。特に若い時期の交流が不足。地方の若手政治家や公務員がお互いの現場で実際に働くような人的交流を積み重ねることが必要。
● 子供の教育面など、宇宙をテーマにした協力も可能性がある。また、文化財産保護における人工衛星の活用など。
○メディアの人的交流・取材協力を強化すべき。また、相互に寛容の精神が必要であり、お互いのメディアが相手の声をより反映させる工夫をすべき。
○ 両国のメディアは、政治・経済以外の「第三のコンテンツ」に目を向けるべき。中国では、日本の定年後の生活や生活の中での弱者への配慮といった視点も含め、日本を中立的、客観的に捉えようとする番組を制作している。
● 日中関係において政治・外交問題の調整能力を築いていくことが重要で、1963年の独仏エリゼ条約のような政治的な話し合いの場を具体的に作っていく努力を行う必要がある(また、日本側より、国防についても、文民も含め話し合っていく必要がある旨指摘があった。)。
○ 海洋の問題の解決には長期的な視野と政治的雰囲気が重要であり、民間専門家の間でもトラック2の交流や協議を行うべき(日本側委員より、東シナ海における環境学術調査などを提案。)。
○ 日本側と中国側がそれぞれ日中関係史の啓発になるような書籍を推薦するのも一案。
○ 中国は黄金の発展段階にあるとともに、矛盾が顕在化。中国がめざす将来像は、「三つの大国」(平和の大国、文明の大国、親しまれる大国)であり、21世紀中葉には、平和的に発展して中華文明の復興(ルネッサンス)を目指す。
● 「三つの大国」は日本も共有できる長期的なビジョン。ただし、日中両国では、違いばかりが目立ち誤解が発生するかもしれないが、なぜ違う道筋をお互いが取るのか理解を深めるべき。そのための透明性が肝要。