中華人民共和国
日中民間緑化協力委員会の設置とその活動
1 設置の経緯
(1)1999年7月の小渕総理(当時)訪中時に,1998年の大洪水を教訓として全国規模の植林緑化運動に取り組んでいる中国に対する民間団体等による協力を支援するため,100億円規模の基金の設立を小渕総理が提案。
(2)上記(1)を具体化するため,同年11月19日,日中間で「日中民間緑化協力委員会」という国際機関を設置し,この委員会が,中国に対して植林緑化協力を行おうとする日本の民間団体等に資金助成を行うとの仕組みを定める交換公文を取り交わした。日本政府は同委員会に対し,平成11年度の本予算及び補正予算から計100億円を拠出した。
2 資金助成の仕組み
(1)同委員会は日中両政府それぞれの代表者により構成され,少なくとも年一回全体会合を開催し,助成対象とする植林緑化事業の選定に資するための情報及び意見の交換等を行う。
(2)また,日本国内に委員会事務局として「日中緑化交流基金」を置いており,この事務局が資金の管理,必要な支払,資金の使途に関する委員会への年次報告,助成の対象とする植林緑化協力事業の審査・決定等を行うこととなっている。
(3)中国の民間団体等とペアになって中国で植林緑化事業を行おうとする日本の民間団体等(地方公共団体を含む。)が,助成を申請することができる。事務局は,毎年公募期間を一定期間設け,この間に応募のあった事業に対する審査を経て助成対象事業を決定し,日本側の事業主体団体(申請団体)に対し助成金を支払う。日本側団体はこれを受けて,中国側パートナー団体と共に植林緑化事業を行い,事務局に対し事業報告を提出することになっている(助成の仕組みについては日中民間緑化協力委員会による助成システムを参照(その1 / その2))。
3 助成実績
回 | 年度 | 件数(うち新規) | 助成総額(万円) |
---|---|---|---|
1 | 2000 | 23(-) | 16,800 |
2 | 2001 | 29(8) | 26,550 |
3 | 2002 | 38(9) | 35,700 |
4 | 2003 | 43(11) | 44,500 |
5 | 2004 | 48(9) | 48,060 |
6 | 2005 | 52(14) | 50,480 |
7 | 2006 | 56(22) | 50,700 |
8 | 2007 | 61(15) | 61,000 |
9 | 2008 | 74(24) | 75,100 |
10 | 2009 | 81(22) | 81,500 |
11 | 2010 | 84(17) | 84,700 |
12 | 2011 | 78(22) | 77,400 |
13 | 2012 | 79(25) | 77,920 |
14 | 2013 | 78(18) | 75,820 |
15 | 2014 | 73(21) | 60,290 |
4 日中民間緑化協力委員会の開催状況等
第1回会合(2000年3月,北京)
本助成制度による日中植林緑化協力のシンボルとして「記念の森」を造成することが話し合われ,これを受けて2000年10月,北京市郊外の昌平区南口鎮で「日中緑化協力記念林」造成記念式典を開催。
第2回会合(2001年7月,北京)
2000年度事業に対するレビュー及び2001年度助成事業の実施方針等を討議の上決定した。また,「日中緑化協力記念林」の造成状況の視察も行われた。
第3回会合(2002年7月,東京)
2001年度事業に対するレビューを行い,これを踏まえ,2002年度事業の実施方針等を決定。また,国交正常化30周年に関連した普及啓発活動の実施について了承された。
第4回会合(2003年6月,札幌)
2002年度事業に対するレビューを行い,これを踏まえ,2003年度事業の実施方針等を決定。また,札幌市近郊において,民間森林ボランティア活動を行っている「北の森21運動の会」による市民参加の植樹・育林体験活動の取組の現地視察を行った。
第5回会合(2004年7月,中国銀川)
2003年度事業に対するレビューを行い,これを踏まえ,2004年度事業の実施方針等を決定。また,寧夏回族自治区における本助成制度による植林地の視察も行われた。
第6回会合(2005年6月,東京)
2004年度事業に対するレビューを行い,これを踏まえ,2005年度事業の実施方針等を決定。
第7回会合(2006年7月,中国成都)
2005年度事業に対するレビューを行い,これを踏まえ,2006年度事業の実施方針等を決定。また,四川省都江堰市における日中緑化協力指標林造成プロジェクトの視察も行われた。
第8回会合(2007年7月,東京)
2007年度事業については,同年が日中国交正常化35周年であることや,同年4月温家宝総理訪日の際の日中首脳会談において,本委員会の活動への支持及び日本の民間団体等による中国での植林協力事業の一層の促進等が確認されたことを踏まえ,国交正常化35周年記念行事と呼応した普及啓発活動の積極的展開,また,これまで手薄であった海岸防災林や西北砂漠化地域における防砂林造成の推進等を含む実施方針を決定した。
第9回会合(2008年6月,北京)
2007年度事業のレビューを行い,これを踏まえ,2008年度事業の実施方針を決定。2008年度事業の実施方針については,当助成事業に対する日中両国の期待の高まりに応えるため,防砂林造成をはじめ,更に広汎な地域での助成事業の推進することや,天然林保護,砂漠化防止等の事業の実施,また,四川省の大地震により被災した森林への復旧造林等の方針を決定した。
第10回会合(2009年7月,東京)
2008年度事業のレビューでは,2008年1月に中国南部で発生した大雪異常低温及び同年5月に発生した四川省大地震の被災地である四川省都江堰市における日中緑化協力指標林の復旧造林等により復旧に取り組んだことなどを確認。2009年度事業の実施方針については,天然林保護,砂漠化防止等の事業の継続や四川省大地震により被災した森林への復旧造林等の方針を決定。
第11回会合(2010年7月,北京)
2009年度事業のレビューを行い,これを踏まえ,2010年度事業の実施方針を決定。この年は本委員会が活動を開始して10周年にあたることから,日中民間緑化交流基金事務局と中国国家林業局の共催で2010年秋に記念行事を開催することを決定。(この決定を受けて,同年10月,中国四川省において日中民間緑化協力委員会資金事業10周年記念行事が開催された。)
第12回会合(2011年6月,東京)
2010年度事業のレビューでは,2010年10月の10周年記念行事が成功裏に終わり,参加者から好評だったことを確認した。また,2011年度事業の実施方針については,これまで植林緑化のために推進されている天然林の保護や砂漠化の防止などが重点事業である点を決定し,引き続き事業の質を確保していくこと等で一致した。
第13回会合(2012年7月,中国内モンゴル)
2011年度事業のレビューを行い,これを踏まえ,2012年度事業の実施方針を決定。主な実施方針として,天然林の保護や砂漠化の防止などを引き続き重点事業としていくことで,日中双方が一致。
第14回会合(2013年7月,東京)
2012年度に実施した植林事業のレビュー及び本年度の植林事業の実施方針等についての意見交換が行われ,事業の成果が着実に積み重ねられていることを確認するとともに,今後,砂漠化・黄砂対策により焦点を当てることを含めて効果的にプロジェクトを実施していくことで,日中双方が一致。
第15回会合(2014年7月,中国敦煌)
2013年度に実施した植林事業のレビュー及び本年度の植林事業の実施方針等についての意見交換が行われ,事業の成果が着実に積み重ねられていることを確認するとともに,今後は,気候変動対策,砂漠化・黄砂対策により重点を置き,資金残高を念頭に効果的にプロジェクトを実施していくことで,日中双方が一致。
第16回会合(2015年7月,東京)
2014年度に実施した植林事業のレビュー及び本年度の植林事業の実施方針等についての意見交換が行われ,事業の成果が着実に積み重ねられていることを確認するとともに,引き続き,資金残高を念頭に,気候変動対策,砂漠化・黄砂対策により焦点を当て,効果的にプロジェクトを実施していくことで,日中双方が一致。