アフリカ
チャド共和国(Republic of Chad)
基礎データ

一般事情
1 面積
128.4万平方キロメートル(日本の約3.4倍)
2 人口
2,030万人(2024年、世銀)
3 首都
ウンジャメナ(N'Djamena)
4 民族
サラ、チャド・アラブ、マヨ・ケビ、カネム・ボルヌ等
5 言語
仏語、アラビア語(共に公用語)、部族語130以上
6 宗教
イスラム教(52%)、キリスト教(44%)他
7 略史
| 年月 | 略史 |
|---|---|
| 16世紀 | ボルヌー王国 |
| 1910年 | 仏領赤道アフリカ・チャド州 |
| 1960年8月 | 仏から独立 |
| 1962年4月 | トンバルバイ大統領が就任、南北対立顕在化 |
| 1975年4月 | クーデター、最高軍事評議会(議長マルーム将軍)発足 |
| 1978年8月 | マルーム将軍とハブレ反政府組織「チャド民族解放戦線(FROLINAT)」代表が統一政府樹立。マルーム大統領が就任 |
| 1979年3月 | 統一政府崩壊、ウェディ議長の暫定国家評議会発足 |
| 1979年4月 | シャワ暫定国民連合政府大統領就任 |
| 1979年11月 | ウェディ暫定国民連合政府大統領就任 |
| 1980年10月 | リビアが内戦介入(翌年、リビア軍撤退、アフリカ統一機構(OAU)平和維持軍派遣) |
| 1982年6月 | ハブレ率いる北部軍隊(FAN)が首都を制圧、臨時国家評議会発足 |
| 1982年10月 | ハブレ大統領が就任 |
| 1983年7月 | リビア地上正規軍介入(反政府勢力を支援) |
| 1987年9月 | チャド・リビア停戦協定(OAU調停) |
| 1990年12月 | デビー・イトゥノ元軍司令官首都制圧、国家評議会組織 |
| 1991年3月 | 国民憲章採択、デビー・イトゥノ大統領就任 |
| 1996年7月 | 複数政党制の下、デビー・イトゥノ大統領再任 |
| 1997年1月-2月 | 国民議会選挙 |
| 2001年5月 | 大統領選挙、デビー・イトゥノ大統領3選 |
| 2004年5月 | 憲法改正により、大統領再選回数制限を撤廃 |
| 2006年5月 | 大統領選挙、デビー・イトゥノ大統領4選 |
| 2011年2月 | 国民議会選挙 |
| 2011年4月 | 大統領選挙、デビー・イトゥノ大統領5選 |
| 2016年4月 | 大統領選挙、デビー・イトゥノ大統領6選 |
| 2018年4月 | 新憲法発布(首相職廃止、大統領任期5年、大統領再選回数1回まで) |
| 2020年12月 | 新憲法発布(副大統領職創設、上院設置) |
| 2021年4月 | 反政府武装勢力との交戦での負傷が原因でデビー・イトゥノ大統領逝去 |
| 2021年4月 | マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ中将率いる軍事移行評議会設置 |
| 2021年10月 | 国民議会を解散し、移行期間に立法府の機能を果たす国家移行評議会を設置 |
| 2022年10月 | マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ暫定大統領就任、移行期間を最大2年間延長することを決定 |
| 2024年5月 | 大統領選挙、マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ大統領就任 |
| 2024年12月 | 国民議会選挙 |
| 2025年2月 | 上院議会選挙(チャド史上初) |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ(MAHAMAT IDRISS DEBY ITNO)元帥・共和国大統領・国家元首
3 議会
国民議会(構成員155名)、上院議会(構成員69名)
4 政府
- (1)首相 アラ・マエ・アハリナ(Allah-Maye Halina)首相
- (2)外相 アブドゥライ・サーブル・ファドゥル(Abdoulaye Sabour Fadoul)外務・アフリカ統合・在外チャド人大臣
5 内政
1960年の仏からの独立後、南部キリスト教勢力中心の政府が進める政策に北部イスラム勢力が反発し、内戦に発展。その後、1980年代初頭には北部勢力が政権を取得するも、米仏の支援を受けた勢力とリビアの支援を受けた勢力間の内部抗争により、情勢が不安定化。
1982年、米仏の支援を受けハブレ元軍司令官が全権を掌握。他方、同司令官の政権運営が強権的な独裁であるとの不満が高まり、1990年、スーダン等の支援を受け、クーデターによりデビー・イトゥノ元軍司令官が暫定大統領に就任。その後、1996年にはチャド初となる多党制選挙を経て、正式に大統領に就任。
その後、デビー・イトゥノ大統領は、30年を超える長期政権を維持したものの、2021年4月、反政府武装勢力(FACT)との交戦での負傷が原因で逝去。同月、デビー・イトゥノ前大統領の子息である、マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ中将(当時)を議長とする軍事移行評議会(CMT)が設置された。
移行期間の2022年9月、CMTは包括的国民対話を実施し、同年10月、マハマト・イドリス・デビー・イトゥノ軍事移行評議会議長が、暫定大統領に就任した。その後、2024年5月の大統領選挙でマハマト・イドリス・デビー・イトゥノ氏が選出され、正式に大統領に就任。同大統領はアラ・マエ・アリナ氏を首相に指名し、新内閣が発足。同年12月、CNTはデビー・イトゥノ大統領に対して、チャド軍元帥の称号を付与。同月から翌年2月にかけ、上院・下院、州議会及び市町村議会の選挙が実施され、3月に憲法秩序が回復した。
チャドは政情不安定な国に囲まれており、こうした国々の情勢不安の影響を受けやすい。特に、2015年2月以降、チャド湖地域ではイスラム系過激派組織ボコ・ハラムの活動拡大により、治安及び人道状況の悪化が続いている。また、2023年4月のスーダンにおける衝突以降、多くの難民が流入しており、2025年9月時点で国内に140万を超える難民・国内避難民を抱えている。
外交・国防
1 外交基本方針
デビー・イトゥノ前政権は発足時より非同盟・反新植民地主義を表明する一歩上、仏等西側諸国と友好関係を増進していた。現職のマハマト・イドリス・デビー・イトゥノ大統領はこうした方針を転換し、2024年11月に仏との防衛協定を破棄した一方で、アラブ首長国連邦などアラブ諸国やイスラム諸国との関係を強化してきているが、2026年1月にマハマト大統領とマクロン仏大統領の首脳会談が実施され、関係改善の兆しが見られる。
1962年、台湾と国交樹立したが、1972年、中国と国交樹立。1997年、台湾と国交を再開するも、2006年8月、中国と国交再開。
2 軍事力(ミリタリーバランス2025年版)
- (1)予算 5.57億ドル(2024年)
- (2)兵役 徴兵制度
- (3)兵力 33,250人(陸軍27,500人、空軍350人、共和国警護隊5,400人)
経済(単位 米ドル)
1 主要産業
農業(綿花等)、牧畜業、原油生産
2 GDP
204.1億ドル(2024年、世銀)
3 一人当たりGNI
970ドル(2024年、世銀)
4 経済成長率
-1.4%(2024年、世銀)
5 物価上昇率
8.9%(2024年、世銀)
6 失業率
1.1%(2024年、世銀(ILO推計))
7 総貿易額
- (1)輸出 34.90億ドル(2024年、ITC)
- (2)輸入 12.26億ドル(2024年、ITC)
8 主要貿易品(2024年、ITC)
- (1)輸出 鉱物性燃料、種子、樹脂、綿等
- (2)輸入 電子機器、機械類、医薬品、車両等
9 主要貿易相手国(2024年、ITC推計)
- (1)輸出 ドイツ、中国、フランス、オランダ、トルコ
- (2)輸入 中国、トルコ、フランス、ニジェール、インド
10 通貨
CFAフラン(中部アフリカ諸国中央銀行発行)
11 為替レート
1ユーロ=655.957CFAフラン(固定レート)
12 経済概況
チャドの国土の約3分の2は砂漠地帯で、以前は綿花の栽培と畜産業が中心であったが、原油採掘事業を開始した2003年以降、南部の石油資源(埋蔵量約15億バレル、アフリカ第10位)の開発が進み、同年、南部と隣国カメルーンのクリビ港間の石油パイプライン(全長1,070キロメートル)が開通し石油輸出を開始した。
現在のチャド経済は、政府歳入の41%、輸出の76%、GDPの約15%を石油セクターが占めるなど、石油産業に依存した経済構造を有している。そのため、国際的な原油価格の変動を受けやすい。また、GDPの約40%を占める農業は、多くの国民の生活源となっている一方で、気候変動や紛争等への脆弱性が高い。その他、雇用の約88%がインフォーマルセクター(未登記)となっており、労働市場の脆弱性も課題となっている。加えて国内金融部門も不良債権や自己資金不足等の問題をかかえており、政府は主要公的銀行の再編と監督強化を進めている。
こうした現状を踏まえ、チャド政府は、基礎インフラ、基礎的社会サービス、経済産業開発及び投資環境の4分野17プログラムからなる「国家開発計画コネクション2030」を策定し、開発資金や投資誘致に取り組み、経済の多角化と持続可能な成長を目指している。
経済協力(単位 億円)
1 日本の援助実績
- (1)有償資金協力(2023年度まで、EN(交換公文)ベース)なし
- (2)無償資金協力(2023年度まで、EN(交換公文)ベース)85.85億円
- (3)技術協力実績(2023年度まで、JICAベース)10.68億円
2 主要援助国(2022年)(百万ドル、支出純額)(OECD/DAC)
- (1)フランス(98.57)
- (2)米国(66.71)
- (3)ドイツ(49.29)
- (4)スイス(34.31)
- (5)日本(13.19)
二国間関係
1 政治関係
1960年8月、我が国はチャドを承認。在カメルーン大使館が兼轄。在京大使館はなし(在インドチャド大使館が兼轄)。2005年、東部アベシェにスーダン難民支援のためのJICAフィールドオフィスを開設するも、治安悪化により2006年末閉鎖。2013年5月、TICAD V出席のため、デビー・イトゥノ大統領(当時)がチャド大統領として初の訪日。2016年5月、同大統領(当時)は、伊勢志摩G7サミット・アウトリーチ会合出席のため再来日し、首脳会談を実施。2018年5月、佐藤外務副大臣(当時)は、現職政務としては初めてチャドを訪問し、デビー・イトゥノ大統領(当時)を表敬、シェリフ外相と会談を実施。2024年8月、アブドゥラマン・クラマラー外相(当時)がTICAD閣僚会合出席のため来日し、上川外務大臣(当時)と会談を実施。2025年4月、アフマト経済・社会・文化・環境評議会議長が大阪・関西万博(万博)のナショナル・デー行事のために訪日し、伊東万博担当大臣と会談を実施。また同年8月、TICAD9出席のため、マハマト・アフマド・アルハボ大統領府官房長官兼国務大臣が来日し、岩屋外務大臣(当時)と会談を実施。
2 経済関係
(1)対日貿易
- (ア)貿易額(2024年 財務省貿易統計)
- 対日輸出 0.85億円
- 対日輸入 4.51億円
- (イ)主要品目
- 対日輸出 植物性原材料及び綿等
- 対日輸入 車両、ゴム及びゴム製品、消費財及び化学製品等
(2)進出日本企業
なし(2024年10月現在)
3 文化関係
なし
4 在留邦人数
3人(2024年10月現在)
5 在日当該国人数
4人(2024年12月現在)
6 要人往来
| 年月 | 要人名 |
|---|---|
| 2005年11月 | 西川公也衆議院議員、木村太郎衆議院議員、宇野治衆議院議員、松浪健太衆議院議員(日・AU友好議員連盟中部アフリカ訪問団) |
| 2018年5月 | 佐藤正久外務副大臣 |
| 年月 | 要人名 |
|---|---|
| 1976年11月 | カムーゲ外相及びドゴイ経済計画・運輸相 |
| 1981年12月 | ファショ運輸・公共相 |
| 1989年2月 | イッサ・アバス大使(在北京)(大喪の礼) |
| 1990年11月 | ドノ・ヌガルドゥム国務相(即位の礼) |
| 1993年10月 | イブニ・ウマール計画協力相(TICAD) |
| 1998年10月 | マハマト・サレー・アナディフ外相(TICAD II) |
| 2001年12月 | マハマト・サレー・アナディフ外相(TICAD閣僚会合) |
| 2003年9月 | ハッサン計画開発協力相(TICAD III) |
| 2005年7月 | ヤマスム外務アフリカ統合相(外務省賓客) |
| 2013年6月 | デビー・イトゥノ大統領(TICAD V) |
| 2016年5月 | デビー・イトゥノ大統領(伊勢志摩G7サミット・アウトリーチ会合) |
| 2018年10月 | イッセイヌ・タイール・スグイミ経済・開発計画副大臣(TICAD閣僚会合) |
| 2019年8月 | イッサ・ドゥブラニュ経済・開発計画相(TICAD7) |
| 2019年10月 | アシュタ・サレー・ダマヌ外務・アフリカ統合・国際協力・在外国民副大臣(即位礼正殿の儀) |
| 2021年7月 | ルトゥアン・モハメド・ンドンガ・クリスチャン青年・スポーツ・企業促進大臣(2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会) |
| 2024年8月 | アブドゥラマン・クラマラー外務・アフリカ統合・在外チャド人・国際協力大臣(TICAD閣僚会合) |
| 2025年4月 | アフマト・ンボドゥ・マハマト経済・社会・文化・環境評議会議長(大阪・関西万博のナショナル・デー行事) |
| 2025年8月 | マハマト・アフマド・アルハボ大統領府官房長官兼国務大臣(TICAD 9) |
7 二国間条約・取極
- 1964年11月24日 貿易取極(1965年1月1日発効)

