カメルーン共和国
カメルーン共和国(Republic of Cameroon)
基礎データ
一般事情
1 面積
475,440平方キロメートル(日本の約1.3倍)
2 人口
2,791万人(2022年 世銀)
3 首都
ヤウンデ(Yaoundé)
4 民族
バミレケ族、ファン族、ドゥアラ族、フルベ族等約250部族
5 言語
フランス語、英語(共に公用語)、その他各部族語
6 宗教
カトリック、プロテスタント、イスラム教、その他のキリスト教等
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1884年 | 独保護領 |
1922年 | ベルサイユ条約による英・仏の委任統治領 |
1960年1月 | 仏領カメルーン独立(国名:カメルーン共和国) |
1960年5月 | アヒジョ初代大統領就任 |
1961年2月 | 英領カメルーン南部は西カメルーンとして独立、英領カメルーン北部はナイジェリアへ合流 |
1961年10月 | カメルーン共和国と西カメルーンが合併し連邦国へ。アヒジョ大統領就任 |
1972年5月 | 連邦制廃止。国名をカメルーン連合共和国に変更 |
1982年11月 | アヒジョ大統領辞任によりビヤ大統領就任 |
1984年1月 | 大統領選挙、ビヤ大統領当選 |
1984年2月 | 国名をカメルーン共和国に変更 |
1988年4月 | 大統領選挙、ビヤ大統領再選 |
1990年12月 | 複数政党制移行(同月国民議会で決定) |
1992年3月 | 複数政党制下初の国民議会選挙実施 |
1992年10月 | 大統領選挙、ビヤ大統領3選 |
1997年5月 | 国民議会選挙 |
1997年10月 | 大統領選挙、ビヤ大統領4選 |
2002年6月 | 国民議会選挙 |
2004年10月 | 大統領選挙、ビヤ大統領5選 |
2011年10月 | 大統領選挙、ビヤ大統領6選 |
2013年4月 | 初の上院選挙 |
2013年9月 | 国民議会選挙 |
2018年3月 | 上院選挙 |
2018年10月 | 大統領選挙、ビヤ大統領7選(任期7年)(再選回数無制限) |
2020年2~3月 | 国民議会選挙 |
2020年12月 | 初の州議会選挙 |
2023年3月 | 上院選挙 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
ポール・ビヤ大統領(Paul BIYA)
3 議会
二院制(国民議会(180議席、任期5年)、上院(100議席、任期5年))
4 政府
- (1)首相 ジョゼフ・ディオン・ングテ(Joseph DION NGUTE)
- (2)外相 ルジューヌ・ンベラ・ンベラ(Lejeune MBELLA MBELLA)
5 内政
1982年、前大統領辞任で就任したビヤ大統領は長期政権を継続しており、2022年11月に大統領就任40周年を迎えた。1990年に複数政党制移行後、国民議会・大統領・地方選挙等で民主化プロセスを進展。主要野党がボイコットした1997年の大統領選挙後、ビヤ大統領は政治的緊張緩和のため、与党カメルーン人民民主連合(RDPC)と有力野党(UNDP)との連立政権を発足。2018年10月の大統領選挙でも有力な対立候補は無く再選。2018年に予定されていた国民議会選挙は2年延期したものの、2020年2月から3月に実施された。また、1996年制定の憲法により設置が決定された州議会選挙が、初めて2020年12月に実施された。2023年3月に実施された上院選挙では、与党RDPCが100議席中94議席を獲得した。
2013年以降、極北州及び北部州ではイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」による誘拐や暴力事件が発生している。また、2016年以降、英語圏地域(北西州、南西州)では、独立分離派と治安部隊の衝突が継続。両地域の治安・人道状況の悪化、難民・国内避難民の発生が懸念される。2019年9月、ディオン・ングテ首相の議長の下、英語圏地域の状況に関する国民対話が開催された。また、同対話を踏まえ、2020年4月にカメルーン首相府は「カメルーンの北西州及び南西州の再建及び開発に係る大統領計画」を作成した。
外交・国防
1 外交
冷戦中も東西いずれの国の影響力も受けず独自の立場を貫くとの理念の下に非同盟路線を維持してきたが、旧宗主国フランスとの結びつきは依然として強い。旧宗主国イギリスとの関係から英連邦に加盟している。
2 軍事力(2023年版ミリタリーバランス)
- (1)予算 4.19億ドル(2022年)
- (2)兵役 志願制
- (3)兵力 総兵力25,400人(陸軍23,500人、海軍1,500人、空軍400人(憲兵隊9,000人))
経済
1 主要産業
- 農業(カカオ、フルーツ・ナッツ類)
- 鉱工業(鉱物性燃料、アルミニウム)
2 GDP
443億米ドル(2022年、世銀)
3 一人当たりGNI
1,660米ドル(2022年、世銀)
4 経済成長率
3.5%(2022年、世銀)
5 物価上昇率
6.2%(2022年、世銀)
6 失業率
4.0%(2022年、世銀(ILO推計))
7 総貿易額(2022年、ITC推計)
- (1)輸出 72.6億ドル
- (2)輸入 79.7億ドル
8 主要貿易品(2022年、ITC推計)
- (1)輸出 鉱物性燃料、カカオ、木材、果物・ナッツ、アルミニウム等
- (2)輸入 機械器具、鉱物燃料、穀物、電子機器類等
9 主要貿易相手国(2022年、ITC推計)
- (1)輸出 オランダ、フランス、インド、スペイン、中国
- (2)輸入 中国、フランス、インド、ベルギー、韓国
10 通貨
CFAフラン(中部アフリカ諸国中央銀行発行)
11 為替レート
1ユーロ=655.957CFA(固定レート)
12 経済概況
カメルーンは、中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC)内では経済の多様化が進んでおり、経済の牽引役。中長期成長目標である「長期成長戦略(vision 2035)」の第2フェーズにおける「国家開発戦略2020-2030(SND30)」を発表し、1国内経済の構造の転換、2人的資源の開発及び幸福の追求、3雇用の促進及び経済統合、4国家のガバナンス、地方分権化及び戦略的なマネジメントの4本柱のもと、経済社会構造の変革を目指す。
2014年以降、原油価格下落の影響を受けるも経済は比較的安定。経済成長率は2019年には4.0%だったものの、新型コロナウイルスの影響等により2020年には0.5%まで落ち込んだ。2022年には3.5%まで回復。
鉱物性燃料、カカオ、木材、フルーツ・ナッツ類等の第一次産業に依存。農林水産物はGDPの17%であり周辺国にも輸出する。2018年3月以降は、液化天然ガスの生産を開始。依然として輸出の大半一次産品に依存しており、更なる経済の多様化が課題。
2021年7月、IMFによる「拡大クレジット・ファシリティ(ECF)」が承認され、IMFはカメルーンに対し3年間で6.9億ドルの融資を決定し、同プログラムの下で財政健全化を進める。
経済協力
1 日本の援助実績(単位:億円)
- (1)有償資金協力(2021年度まで、借款契約ベース) 292.25
- (2)無償資金協力(2021年度まで、EN(交換公文)ベース) 313.78
- (3)技術協力実績(2021年度まで、JICAベース) 131.19
2 主要援助国(2020年)(百万ドル 支出総額)(OECD/DAC)
(1)米国(202.09) (2)フランス(163.18) (3)ドイツ(119.3) (4)日本(25.52) (5)英国(19.37)
二国間関係
1 政治関係
1960年1月に日本がカメルーン(同月独立)を承認。カメルーンは1988年1月に日本に大使館を開設し、日本は1991年1月に在カメルーン大使館を開設した。
要人往来も定期的に行われており、日本からは2014年5月、TICADV閣僚会合出席のため岸田外務大臣(当時)が、2018年5月、佐藤外務副大臣(当時)がカメルーンを訪問。カメルーンからは2019年8月、TICAD7閣僚会合出席のためルジューヌ・ンベラ・ンベラ外相ほか4名の閣僚が、2019年10月、即位礼正殿の儀出席のためジョゼフ・ディオン・ングテ首相が来日。2022年8月にチュニジアで開催されたTICAD8には、ルジューヌ・ンベラ・ンベラ外相が参加。
2 経済関係
- (1)対日貿易
-
- ア 貿易額貿易額(2022年)(日本財務省貿易統計)
- 対日輸出 11.15億円
- 対日輸入 48.74億円
- イ 主要品目(2022年)(日本財務省貿易統計)
- 対日輸出 アルミニウム及び同合金、木材、ココア等
- 対日輸入 機械類・輸送機器、自動車、繊維、医薬品、一般機械等
- (2)進出日本企業
- 11社(2022年10月現在)
3 文化関係
(1)体育機材、L.L.機材、放送用ソフトを供与(2007年 文化無償)。
(2)日韓共催サッカーW杯の同国代表キャンプ地大分中津江村は2003年、大統領出身地メヨメサラ市と友好親善協定締結。2017年8月、大分カメルーン共和国友好協会が発足。2021年7月、中津江村が事前合宿地としてカメルーン・オリンピック代表団を受入。
4 在留邦人数
73人(2023年8月現在)
5 在日当該国人数
1,096人(2022年12月現在)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1985年7月 | 森山眞弓外務政務次官 |
1987年7月 | 二階俊博衆議院議員 |
1995年11月 | 葉梨信行衆議院議員、釜本邦茂参議院議員 |
1996年5月 | 衛藤征士郎衆議院議員 |
2002年1月 | 山口泰明総理大臣特使 |
2004年8月 | 桜井新参議院議員、高橋千秋参議院議員、長浜博行衆議院議員、能勢和子衆議院議員(国際人口問題議員懇) |
2004年8月 | 衛藤征士郎衆議院議員、三原朝彦衆議院議員、山口泰明衆議院議員、西村明宏衆議院議員(日AU友好議連中部アフリカ訪問) |
2005年1月 | 小野寺五典外務大臣政務官 |
2006年8月 | 杉浦正健法務大臣 |
2010年8月 | 鈴木宗男衆議院外務委員長 |
2013年8月 | 阿部俊子外務大臣政務官 |
2014年2月 | 鶴保庸介参議院議員(自民党捕鯨議連幹事長代理) |
2014年5月 | 岸田文雄外務大臣、江藤拓農水省副大臣(TICAD閣僚会合) |
2018年5月 | 佐藤正久外務副大臣 |
2018年7月 | 大串正樹経済産業大臣政務官 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1973年4月 | アヒジョ大統領(非公式) |
1978年6月 | ダウダ経済計画相 |
1986年12月 | ムプマ郵政・電気通信相(非公式) |
1989年2月 | シアン国民議会議長(大喪の礼) |
1989年11月 | ボーボー対外関係相(外務省賓客) |
1990年11月 | ビヤ大統領(即位の礼) |
1991年10月 | ング農業相、チュタ・ムーサ計画・国土整備相 |
1992年2月 | オウオナ商工業開発相 |
1992年3月 | イトエ観光相(ワシントン条約締結国会議) |
1993年10月 | コドック計画・国土整備担当国務相(TICAD) |
1994年3月 | コドック計画・国土整備担当国務相 |
1996年4月 | ベロ鉱業・エネルギー・水資源相、チロマ運輸相 |
1998年10月 | ンディオロ公共投資・国土開発相(TICAD II) |
2000年2月 | エトゥンディ国民教育相 |
2000年5月 | ビドゥング・ムクパット青年・スポーツ相(サッカー・コンフェデレーションズ・カップ) |
2001年12月 | イエンベ公共投資・国土開発担当相(TICAD閣僚会合) |
2001年12月 | オゥオナ国民教育相 |
2002年5月 | ビドゥング・ムクパット青年・スポーツ相(ワールドカップ・サッカー大会) |
2002年6月 | ンビオ工業・商業開発副大臣(「経済フォーラム」開催) |
2003年9月 | ビヤ大統領(TICAD III) |
2003年11月 | オウォナ国民教育相 |
2004年2月 | マラファ国土行政・地方分権化相(与党RDPC政治局員)(オピニオンリーダー) |
2005年4月 | ングデ外務・英連邦担当副大臣 |
2005年6月 | ムバルカ商業相(愛・地球博賓客) |
2005年12月 | アダマ初等教育相 |
2006年4月 | ビヤ大統領(公式実務訪問賓客) |
2006年8月 | バカン・ンボック社会問題相 |
2006年11月 | ンゴレ・ンゴレ森林・野生動物相(ITTO理事会) |
2007年1月 | アダマ初等教育相 |
2007年8月 | エジョア・スポーツ体育相 |
2008年5月 | モタゼ経済・計画・国土整備相(TICAD IV) |
2009年10月 | ユスフ・アディジャ・アリム初等教育相(無償資金協力案件入札) |
2010年4月 | カヴァイェ・イェギエ国民議会議長 |
2011年3月 | ンダンガ・ンディンガ産業・鉱山・技術開発相(ICEP) |
2012年9月 | ベロ・ブーバ・マイガリ観光・余暇相 |
2013年6月 | ンガヌ・ジュメシ経済・計画・国土整備相/ムココ・ンボンジョ外相(TICAD V) |
2014年10月 | エシメ・メニェ・ラザル農業・農村開発相 |
2015年3月 | レネ・エマニュエル・サディ国土管理・地方分権相 |
2016年7月 | エイエベ・アイシー・アンリ農業・農村開発相 |
2019年8月 | ルジューヌ・ンベラ・ンベラ外相(TICAD 7) ムバイロベ・ガブリエル農業・農村開発相(TICAD 7) チュアンテ・マドレーヌ科学研究・革新相(TICAD 7) アラミン・ウスマン・メイ経済・計画・国土整備相(TICAD 7) ナロバ・リヨンガ・ポリーヌ・エグベ中等教育相(TICAD 7) |
2019年10月 | ディオン・ングテ・ジョゼフ首相(即位礼正殿の儀) |
2019年12月 | タイガ牧畜・漁業・畜産相 |
7 二国間条約・取極
- 1962年9月25日 貿易取極締結
- 2005年1月17日 技術協力協定締結