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日本・ブルガリア共同プレス・リリース(仮訳)

平成21年1月26日
東京

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 ゲオルギ・パルヴァノフ・ブルガリア共和国大統領は、日本国政府の招待により2009年1月25日から29日までの日程で訪日している。1月26日、麻生総理大臣とパルヴァノフ大統領は首脳会談を行った。また同日、天皇皇后両陛下がパルヴァノフ大統領夫妻と御会見され午餐を催された。訪日中のパルヴァノフ大統領は、この他、河野衆議院議長及び江田参議院議長との会談を行い、日本経団連を含む経済界との会談を行う予定である。

 麻生総理とパルヴァノフ大統領は、本年日本・ブルガリア外交関係再開50周年を迎える両国間で、相互理解と協力関係、そして民主主義や市場経済という共通の価値観を基に、政治、経済、文化交流、人的交流等多岐にわたる分野で活発な交流が行われてきたことを確認した。両首脳は伝統的に良好な二国間関係が、2007年に行われた両国外務大臣の相互訪問により新たなモメンタムを得たことにつき満足の意を表した。双方は、2004年12月に東京において両国首脳間で署名された「日本国とブルガリア共和国のパートナーシップに関する共同声明」及びブルガリアが2007年1月にEU加盟国となってから国際社会において一層重要な役割を果たしている事実を想起し、両国関係のこれまでの成果を振り返り、日本とブルガリアの伝統的友好関係及びパートナーシップの将来の方向性について意見交換を行った。双方は、両国のパートナーシップを戦略的観点から更に強化するため、次の諸点につき意見を共有した。

二国間関係全般

1.双方は、幅広い分野における協力関係の強化、交流の拡大、要人往来の更なる活発化を通じて、両国の友好な関係の更なる発展を図り、更に高い段階へ引き上げる意志を確認した。双方は、2009年の両国の外交関係再開50周年記念が、二国間の協力関係に更なる弾みを与えるとの見方を共有した。

2.双方は、2009年が日本・ブルガリア関係にとり、重要な年であることを認識し、この記念すべき年に、秋篠宮殿下及びパルヴァノフ大統領が交流年の名誉総裁に就任されたことを歓迎した。また、本年5月に予定される秋篠宮同妃両殿下のブルガリア共和国御訪問の成功へ向けて緊密に協力することで一致した。

3.双方は、二国間政務協議の実施及び外交官交流の開始をできるだけ早期に実現することを決定した。

経済関係

4.ブルガリア側は、同国の移行期における日本からの市場経済化のための支援に対し、深い謝意を表明した。日本側は、ブルガリア側が、自己の経験を基に、開発協力分野における積極的貢献に努めていることを高く評価し、日本の有する知識と経験を共有することを通じてブルガリアの努力を支援する意志を表明した。双方は、今後、相互の関心を有する第三国に対する開発協力における二国間協力の可能性を追求する意思を確認した。

5.双方は、強固な経済的結びつきが二国間関係全体を発展させていくために重要であるとの認識の下、両国間の貿易及び投資を強化するために努力する意向を表明した。日本側は、ブルガリア側によるビジネス環境の継続的な改善努力の重要性を確認した。ブルガリア側は、ブルガリア共和国における日系企業の活動を評価し、今後も日本からの投資拡大による両国のビジネス関係の更なる強化に対する期待を表明した。

文化交流及び人物交流

6.ブルガリア側は、同国の文化発展及び文化遺産保存のためのこれまでの日本側からの支援、特に、「東ロドピ山トラキヤ美術博物館センター建設計画」に対して深い感謝の意を表明した。双方は、現在の両国間の緊密な文化交流を歓迎し、相互理解の促進及び良好な二国間関係強化の重要性を確認した。双方は、外交関係再開50周年、「日本・ブルガリア交流年2009」及び「日本・ドナウ交流年2009」の機会を捉えて、今後将来に亘って更に二国間の文化交流、人的交流、地方自治体間交流の活発化を図る意向を確認した。日本側は、現在日本で行われているブルガリアのトラキヤ黄金展の成功を歓迎した。

7.双方は、両国国民の相互理解を深めるための重要な要素として、日本及びブルガリアそれぞれにおける、両国の言語及び文化教育の促進及び更なる発展の重要性を強調した。双方は、本年1月の日本文化発信ボランティアのブルガリアへの派遣を歓迎し、同プログラムがブルガリアにおける日本語の普及及び二国間の文化交流を促進することへの期待を表明した。

国際的諸課題における協力

8.双方は、国連諸機関及びその他国際機関において、相互支持を含め緊密な協力への期待を表明した。両首脳は、衡平な代表性に基づく常任及び非常任双方のカテゴリーの拡大を含む国連安全保障理事会改革の早期実現のため、共に積極的に取り組んでいく決意を表明した。これに関し、ブルガリア側は、日本の安全保障理事会常任理事国入りを支持する旨を表明した。

9.双方は、気候変動問題がグローバルな最優先課題の一つであることを認識し、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量の少なくとも50%削減という長期目標を共有した。双方は、先進国の公平な国別排出削減目標の設定及び発展途上国への技術移転を通じた世界全体の削減の促進にあたってはセクター別アプローチを活用することが有用であることを強調した。双方は、途上国の行動を定めるに当たっては、それぞれの発展段階、国毎の適切な緩和行動を実施する能力、気候変動の悪影響に対応する能力及び全世界に占める排出割合に応じて途上国を適切な区分に差異化することが必要であると確認した。双方は、後発発展途上国や小島嶼後発途上国といった気候変動に対し最も脆弱な国々との団結の必要性を認識するとともに、気候変動が国際安全保障に及ぼす影響についても考慮する必要性を認識した。双方は、2009年にコペンハーゲンで開かれる第15回国連気候変動枠組条約締約国会議において全ての主要経済国が責任ある形で参加する実効性のある2013年以降の枠組みを構築することについて協力する必要性を共有した。双方は、2005年12月に両国間で署名された「国連気候変動枠組条約の京都議定書の下での協力に関する覚書」の下でのJIプロジェクトを含む協力の推進に努力する旨を表明した。

10.双方は、アジア及び欧州における情勢等双方が関心を有する国際・地域情勢につき意見交換を行った。双方は、西バルカン地域の安定と発展は南東欧全体の安定と繁栄の鍵となるとの西バルカン地域情勢に関する両国の立場の一致に満足の意を表した。ブルガリア側は、日本の黒海地域への関心を歓迎し、特に、エネルギー、運輸、そして環境保護等の優先的分野における協力の用意があることを表明した。

 ブルガリア側は、黒海シナジーや黒海経済協力機構(BSEC)等の枠組みを通じた黒海沿岸諸国との協力推進の重要性を強調した。日本側は、BSEC加盟国との対話と協力を推進する意向を表明した。北朝鮮に関し、日本側は、拉致、核、ミサイルを含む諸懸案を包括的に解決し不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するとの立場を表明し、ブルガリア側は、これに対する最大限の支持を表明した。

 双方は、国家間、市民社会組織間、NGO間、地方自治体間等における積極的なパートナーシップを通じて、世界レベル、地域レベル、そして地方レベルにおける文化間の対話強化の必要性を強調した。双方は、文明間の対話や国連の文明間の同盟のような国際的なイニシアチブは、分極化及び過激主義を克服し、世界の平和と安全、そして人権の尊重の強化を実現しやすい国際的環境作りのめの、国際社会全体の努力に、確実に貢献するものであることを指摘した。

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