アフリカ
ブルンジ共和国(Republic of Burundi)
基礎データ
令和6年10月30日


一般事情
1 面積
2.78万平方キロメートル
2 人口
1,324万人(2023年、世銀)
3 首都
ギテガ(経済の中心はブジュンブラ)
4 民族
フツ、ツチ、トゥワ
5 言語
仏語(公用語)、キルンジ語(公用語)
6 宗教
カトリック、プロテスタント
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
17世紀頃 | 王国成立 |
1889年 | ドイツ保護領 |
1922年 | ベルギー委任統治 |
1946年 | ベルギー信託統治 |
1962年7月 | ベルギーよりブルンジ王国として独立 |
1966年 | ミコンベロ首相によるクーデター、王政廃止 |
1976年 | バガザ大佐による無血クーデター |
1984年 | 大統領選挙(バガザ選出) |
1987年 | 無血クーデターによりバガザ大統領失脚、ブヨヤ大佐が国民救済軍事委員会樹立、大統領に就任 |
1992年3月 | 複数政党制を含む新憲法採択 |
1993年6月 | 複数政党制下で初の大統領選挙(ンダダイエ大統領選出) |
1993年10月 | ンダダイエ大統領暗殺 |
1994年1月 | 国民議会は新大統領としてンタリャミラを選出 |
1994年4月 | ンタリャミラ大統領事故死 |
1994年10月 | ンティバントゥンガニャ大統領選出 |
1996年7月 | 軍部クーデターによりブヨヤ元大統領が大統領代行に就任 |
1998年 | ブヨヤ暫定大統領就任 |
2000年8月 | アルーシャ和平合意 |
2001年11月 | 暫定政府の成立(ブヨヤ前期大統領就任) |
2003年5月 | ンダイゼイエ後期大統領就任 |
2003年11月 | 暫定政府と反政府勢力民主防衛戦線(FDD)間の和平合意署名 |
2005年2月 | 新憲法を国民投票により採択 |
2005年7月 | 上下院選挙実施 |
2005年8月 | 大統領選挙実施、ンクルンジザ大統領就任 |
2006年9月 | 国民解放勢力(FNL)ルワサ派との包括的停戦合意 |
2010年6月 | 大統領選挙、ンクルンジザ大統領再選 |
2015年5月 | 国軍によるクーデター未遂事件発生 |
2015年8月 | 大統領選挙、ンクルンジザ大統領再選(三期目) |
2018年5月 | 憲法改正、大統領の任期が5年から7年に変更 |
2020年5月 | 大統領選挙、ンダイシミエ候補を新大統領に選出 |
2020年6月 | ンクルンジザ大統領急逝、ンダイシミエ大統領就任 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
エヴァリスト・ンダイシミエ大統領(H.E. General Évariste NDAYISHIMIYE)
3 議会
国民議会(106議席、任期5年)および上院(41議席、任期5年)の二院制
4 政府
- (1)首相 ジェルベ・ンディラコブチャ(H.E. CPG Gervais NDIRAKOBUCA)
- (2)外相 アルベール・シンギロ(H.E. Amb. Albert SHINGIRO)
5 内政
- (1)1962年のベルギーからの独立後、多数派フツ(全人口比約9割)と少数派ツチ(全人口比約1割)の間で権力闘争が繰り返されてきた。独立後1993年まではツチが政権(全てクーデターによる軍事政権)を維持していたが、1993年6月の同国初となる大統領選挙でフツ系のンダダイエが勝利し、同国初のフツ系大統領が誕生すると、両部族間の対立が激化。同年10月、ツチ主導の軍部によりンダダイエ大統領が暗殺された。さらに、1994年4月、同年1月に国民議会により選出されたンタリャミラ大統領(フツ)が搭乗していた航空機がルワンダで撃墜され、同乗していたハビャリマナ・ルワンダ大統領とともに殺害される事件が発生し、情勢の混乱が続いた。
- (2)1996年7月、ブヨヤ大統領(ツチ)のクーデターにより第二次ブヨヤ政権が誕生し、1998年6月には一部の当事者の間で暫定的な停戦合意が成立、和平プロセスが開始された。2000年8月には、マンデラ前南ア大統領等の仲介努力により、フツ系反政府武装勢力を除く交渉当事者の間でアルーシャ和平合意が成立し、2001年11月に3年間の暫定政権が発足した。暫定政権は、前期と後期に分かれ、前期の大統領には2001年11月に、ブヨヤが、後期の大統領には前期で副大統領を務めたンダイゼイエ(フツ)が、2003年4月にそれぞれ就任した。
- (3)こうした和平プロセスが進むなか、フツ系反政府武装勢力はアルーシャ合意に署名せず、戦闘を継続していたが、2003年11月、暫定政府は、最大のフツ系武装勢力である民主防衛国民会議・民主防衛戦線(CNDD-FDD)との停戦合意を締結し、同合意を受け、ンクルンジザCNDD-FDD代表が、良き統治大臣として入閣した。
- (4)2005年6-8月、暫定政権は一連の選挙プロセス(地方議会選挙、下院議会選挙、上院議会選挙、大統領選挙)を国際社会の支援を得つつ成功裡に実施し、政党となった旧反政府勢力のCNDD-FDDが勝利を収め、ンクルンジザ良き統治大臣が大統領に選出された。
- (5)2006年9月、唯一武力闘争を継続していたフツ系反政府勢力FNLルワサ派との包括的停戦合意が成立。その後合意実施が停滞していたが、2009年に入り、FNLの政党化承認及びブルンジ国軍・警察への統合等を経て和平プロセスが完了した。
- (6)2015年5月、ニヨンバレ少将を首謀者とする国軍の一部によるクーデター未遂事件が発生。国内が混乱する中で同年8月に大統領選挙を実施し、ンクルンジザ大統領が再選(三期目)を果たすも、以降国内では人権・治安状況の悪化が続き、国連、AU、東アフリカ共同体等が状況改善に向けてブルンジ政府との協議、専門家の派遣等を行った。国連安保理は3本の決議を経て、警察ミッションの派遣を決定したが、ブルンジ政府の強固な反対により実現しなかった。
- (7)2018年5月、国民投票によって憲法改正が行われ、大統領の任期が5年から7年に変更となった。
- (8)2020年5月、ンクルンジザ大統領が後継者として指名したンダイシミエCNDD-FDD幹事長が大統領選挙で当選を果たした後、ンクルンジザ大統領が急逝。大統領就任の時期を前倒しし、6月にンダイシミエ大統領が就任した。
外交・国防
1 外交基本方針
非同盟を基調とする。従来は社会主義諸国寄りであったが、現在は近隣諸国との善隣友好、先進諸国との経済協力を重視した現実的全方位外交をとっている。中央アフリカに展開する国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)に部隊を派遣する等、周辺地域の平和協力に積極的である。
2 軍事力
- (1)予算 6,500万ドル(2019年)
- (2)兵役 志願制
- (3)兵力 陸軍30,000名、予備役 21,000名
経済
1 主要産業
農業(コーヒー、茶等)
2 GDP
約26.4億米ドル(2023年、世銀)
3 一人当たりGNI
230米ドル(2023年、世銀)
4 経済成長率
2.7%(2023年、世銀)
5 物価上昇率
26.9%(2023年、世銀)
6 総貿易額
- (1)輸出
- 208百万米ドル(2022年、世銀)
- (2)輸入
- 1,260百万米ドル(2022年、世銀)
7 主要貿易品目(2019年、世銀)
- (1)輸出
- コーヒー、金、紅茶、タバコ等
- (2)輸入
- 石油、肥料、医薬品、小麦、セメント等
8 主要貿易相手国(2019年、世銀)
- (1)輸出
- 1.UAE(28%)、2.コンゴ(民)(18.6%)、3.スウェーデン(9.5%)、4.ベルギー(8%)、5.パキスタン(4.9%)
- (2)輸入
- 1.サウジアラビア(14.7%)、2.中国(14.1%)、3.UAE(13.9%)、4.タンザニア(9.1%)、5.インド(8.5%)
9 通貨
ブルンジ・フラン
10 為替レート
1米ドル=2,903ブルンジ・フラン(2024年10月、ブルンジ中央銀行)
11 経済概況
- (1)1993年までは食糧の自給が行われていたが、内戦勃発以降は食糧援助に頼っている。資源の乏しい国土に高密度の人口(1平方キロメートル当たり435人、サブサハラ・アフリカの平均値は51人、2018年)を抱える内陸国という地理的制約もある。主要な輸出産品は金及びコーヒー(殆どが高品質のアラビカ)であり、それぞれ輸出総額の26%及び24%を占めている(2018年)。
- (2)一次産品市況の低迷等により経済開発が進まず、経済成長は伸び悩んでいる。1980年代後半には構造調整計画を実施し、農業生産力の強化を中心に産業基盤及び運輸施設の整備を推進した結果、GDP実質成長率は向上したが、1990年代の政情不安による構造調整計画の放棄、1996年の近隣諸国による経済制裁、及び2015年以降の国内情勢等のため欧米諸国による援助停止、再びマイナス成長に陥り、その後も低迷している。近年は外貨不足を原因とする慢性的なガソリン不足や輸入品価格の高騰にも悩まされており、一次産品の輸出に頼らない多角的な経済の実現が急務となっている。
経済協力
1 我が国の援助実績(2022年度までの累計)
- (1)有償資金協力(ENベース) 33.00億円
- (2)無償資金協力(ENベース) 319.78億円
- (3)技術協力実績(JICAベース) 53.06億円
2 主要援助国(2021年、単位:百万米ドル)
- (1)米国(61.8)
- (2)オランダ(37.7)
- (3)ベルギー(36.4)
- (4)ドイツ(30.9)
- (5)日本(11.2)
二国間関係
1 政治関係
1989年8月在京ブルンジ大使館が開設されたが、1997年4月閉鎖された(現在は在中国ブルンジ大使館が兼轄)。我が方実館はなく、2014年11月から在ルワンダ大使館が兼轄。
2 経済関係
- (1)対日貿易(2023年、財務省)
-
- (ア)貿易額
- 輸出 2.1億円
- 輸入 17.7億円
- (イ)主要品目
- 輸出 コーヒー、紅茶
- 輸入 中古自動車
3 在留邦人数
15人(2023年10月 外務省海外在留邦人数調査統計)
4 在日当該国人数
42人(2023年12月 法務省在留外国人統計)
5 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
2006年12月 | 浜田昌良外務大臣政務官 |
2013年8月 | 黄川田仁志議員(日AU友好議連) |
年月 | 要人名 |
---|---|
1985年3月 | ニゼイマナ外相(非公式) |
1985年10月 | ンゲジ蔵相(非公式) |
1988年6月 | ニビギラ計画相(非公式) |
1988年11月 | フセイン農業・畜産相(非公式) |
1989年2月 | ブヨヤ大統領(大喪の礼) |
1989年12月 | ムボニンパ外務協力相(非公式) |
1990年11月 | ムボニンパ外務協力相(即位の礼) |
1992年3月 | ハツンギマナ協力相(非公式) |
1993年10月 | チザ副首相(アフリカ開発会議) |
1995年5月 | ンゲンダハヨ外務協力相(外賓) |
1995年10月 | ブヨヤ元大統領(紛争シンポジウム) |
2001年12月 | シヌングルザ外務協力相(TICAD閣僚レベル会合) |
2001年12月 | ンドゥウィマナ女性の地位向上相(児童の商業的性的搾取反対世界会議) |
2003年9月 | シヌングルザ外務協力相(TICAD III) |
2006年11月 | バトゥムブウィラ外務協力相(外務省賓客) |
2008年1月 | カマナ内務・地方開発相(平和構築シンポジウム) |
2008年5月 | ンティセゼラナ第二副大統領(TICAD IV) |
2012年10月 | マニラキザ財務・経済開発相(IMF・世銀東京総会) |
2013年6月 | ンクルンジザ大統領、カヴァクレ外務・国際協力相(TICAD V) |
2015年3月 | バゾムバンザ第一副大統領(国連防災会議) |
2019年8月 | ブトレ第二副大統領、ニビギラ外務・国際協力相(TICAD7) |
2019年10月 | ニビギラ外務・国際協力相(即位の礼) |
2022年9月 | シンギロ外務・開発協力相(故安倍晋三国葬儀) |
2024年8月 | シンギロ外務・開発協力相(TICAD閣僚会合) |
2024年9月 | ウィゼェ水・エネルギー・鉱物相(ブルンジ投資セミナー) |
6 二国間条約・取極
- 1992年3月 青年海外協力隊派遣取極