ベルギー王国
ベルギー王国(Kingdom of Belgium)
基礎データ


一般事情
1 面積
30,528平方キロメートル(日本の約12分の1)
2 人口
1,170万人(2023年1月、ベルギー統計局)
3 首都
ブリュッセル
4 言語
オランダ語(フラマン語)、フランス語、ドイツ語
5 宗教
伝統的にはカトリックだが、近年はムスリム移民が増加。
6 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1814年~1815年 | ウィーン会議でオランダに編入される |
1830年 | 独立宣言(フランスの7月革命の影響) |
1839年 | オランダによるベルギー独立承認 |
1914年 | 第一次世界大戦の対独戦により占領を受ける(~18年) |
1940年 | 第二次世界大戦の対独戦により占領を受ける(~44年) |
1993年 | 正式に連邦国家に移行 |
政治体制・内政
1 政体
立憲君主制
2 元首
フィリップ国王(2013年7月21日即位)
3 議会
二院制(下院:150名、上院:60名)
下院の構成は次のとおり。
政党名 | 議席数 |
---|---|
下院 | |
新フランダース同盟(N-VA) | 24 |
フラームス・ベラング(VB) | 18 |
蘭語系キリスト教政党(CD&V) | 12 |
蘭語系自由党(Open VLD) | 12 |
蘭語系社会党(Vooruit) | 9 |
蘭語系環境政党(Groen!) | 8 |
蘭語系計 | 83 |
仏語系社会党(PS) | 19 |
仏語系自由党(MR) | 14 |
仏語系環境政党(Ecolo) | 13 |
仏語系キリスト教政党(Les Engages) | 5 |
独立民主連邦主義(DeFI) | 2 |
仏語系計 | 53 |
労働党(PTB-PDVA) | 12 |
(無所属) | 2 |
合計 | 下院(150) |
(2022年12月現在)
上院については、直接選挙ではなく、地域及び共同体議会により指名された議員50人とこれらの議員に指名された10人により構成される。
4 政府
- (1)首相 アレクサンダー・ドゥ=クロー(蘭語系自由党(Open VLD))
- (2)外相 ハジャ・ラビブ(仏語系自由党(MR))(欧州問題・対外貿易・連邦文化施設相を兼務)
5 内政
- (1)2019年5月の総選挙では、様々な課題に十分に対応できない既存の政治への長年の不満から、伝統的政党(社会党、自由党、キリスト教政党)が票を失い、また、それまで蘭語圏で高い支持を得ていた地域主義政党の新フランダース同盟(N-VA)もかつての勢いを失った。他方、蘭語圏では極右政党のフラームス・ベラング(VB)が大躍進したのに加え、蘭・仏語圏で環境政党及び極左の労働党(PTB-PVDA)がそれぞれ党勢を拡大した。
- (2)総選挙後、地域レベルでは、蘭語圏で右派主導、仏語圏で左派主導の政権がそれぞれ発足するなど「ねじれ」状態となった。連邦レベルでは、総選挙前から少数与党の状態が続き、議会多数派に基づく早急な組閣が喫緊の課題とされていた。しかし、この「ねじれ」状態ゆえ、連邦での連立形成に向けた政党間協議は、何度も頓挫するなど進展しなかった。
- (3)喫緊の新型コロナウイルス拡大のため、再選挙を回避すべく協議が継続した結果、連立形成に向けて最終的に、蘭語系・仏語系の社会、自由、環境政党及び蘭語系キリスト教政党の7党間で合意が成立し、2020年10月1日、ドゥ=クロー新内閣が発足した。2019年5月の総選挙後、組閣までに493日を要した。外相にはソフィー・ウィルメス前首相が就任したが、2022年7月、夫君の看病のため辞職を表明し、アルジェリア系移民でジャーナリスト出身のハジャ・ラビブ外相が後任に任命された。
- (4)シリア・イラク等からの移民・難民の流入及び社会統合とベルギー出身の外国人戦闘員の帰還、並びに近年の国内及び近隣国でのテロ発生(例えば、2016年3月に発生したブリュッセル同時多発テロでは32名が死亡)を受けた治安対策及びテロ脅威への対応は引き続き重要な課題。2020年3月以降は、新型コロナウイルス感染症対策として社会経済活動を制限する施策が行われたが、2022年春から制限は撤廃。エネルギー転換・脱炭素化などの経済社会政策への取組も重視されるなか、ロシアによるウクライナ侵略に起因するエネルギー価格の高騰への対応として、原子力発電所2基の運用を延長する政策転換を行った。
外交・国防
1 外交基本方針
- (1)欧州統合推進と北大西洋条約機構(NATO)を通じた安全保障の確保に重点を置く。近年は日本やアジア新興国との関係も重視。
- (2)国連PKOに参加しているほか、アフガニスタンの確固たる支援任務(RSM)やマリ等、積極的に兵力を派遣。
- (3)旧植民地であるコンゴ(民)への経済協力を重視。
2 軍事力
- (1)予算 59.9億ユーロ(2023年)
- (2)兵力 総兵力23,200人(予備役5,900人)
(陸上8,500人、海上1,400人、航空4,900人、医療1,450人、統合軍6,950人)
(2023年ミリタリーバランス)
経済
1 主要産業
化学工業、機械工業、金属工業、食品加工業
2 GDP(名目)
5,818億ドル(2021年、IMF)
3 一人当たりGDP
50,413ドル(2021年、IMF)
4 経済成長率
6.1%(2021年、IMF)
5 物価上昇率
2.3%(2021年、IMF)
6 失業率
6.3%(2021年、IMF)
7 総貿易額
- 輸出:6.044億ユーロ
- 輸入:5,925億ユーロ
(2022年 ベルギー連邦対外貿易庁)
8 主要貿易品
- (1)輸出 化学製品(27.7%)、鉱物(18.3%)、機械類(8.4%)等
- (2)輸入 化学製品(24.5%)、鉱物(23.2%)、機械類(10.8%)等
(2022年 ベルギー連邦対外貿易庁)
9 主要貿易相手国
- (1)輸出 ドイツ、オランダ、フランス、米国、英国
- (2)輸入 オランダ、ドイツ、フランス、中国、米国
(2022年 ベルギー連邦対外貿易庁)
10 通貨
ユーロ
11 経済概況
- (1)バイオテクノロジー、医薬、石油化学、宇宙・航空、ナノテク等、世界最先端の科学技術産業を擁する貿易立国。ファイザー社等のワクチン開発・生産拠点が所在。
- (2)新型コロナの影響を受け、2020年のGDP成長率は前年比5.4%減少であったが、2021年のGDP成長率は6.1%となり、経済は急回復。その後、ウクライナ情勢を受けた原材料・エネルギー価格の高騰や人手不足の影響などにより、景気回復の動きは鈍化。2022年のGDP成長率は2.6%に減速し、2023年は0.6%を予測(統計出典:ベルギー国立銀行)。
二国間関係
1 政治関係
伝統的に友好関係を維持。皇室・王室関係は極めて親密。1866年に外交関係を樹立し、2016年に150周年を迎えた。同年は「日本・ベルギー友好150周年」として盛大に祝賀され、その日本側名誉総裁に天皇陛下(当時。現上皇陛下)が、ベルギー側名誉総裁にフィリップ国王陛下が各々御就任された。
同年10月には、フィリップ国王・王妃両陛下が国賓として訪日されたほか、2019年10月にも両陛下は即位礼正殿の儀御参列のため訪日された。さらに、2022年12月には、アストリッド王女殿下が率いる対日経済ミッションが訪日した。
日本からは2022年、2023年と2年連続で岸田総理大臣及び林外務大臣いずれもがベルギーを訪問する等、ハイレベルでの交流が活発に行われている。
2 経済関係
- (1)日・ベルギー貿易(単位:億円、出典:財務省貿易統計)
-
- (ア)貿易額
-
日本からベルギーへ ベルギーから日本へ 2016年 6,211 2,710 2017年 6,611 3,085 2018年 7,526 3,387 2019年 8,119 3,511 2020年 6,992 3,484 2021年 7,897 7,003 - (イ)主要品目(2021年)
- 日本からベルギーへ 自動車を始めとする輸送用機器、機械類、化学製品等
- ベルギーから日本へ 医薬品を始めとする化学製品、食料品、輸送用機器等
- (2)進出企業数
- 日本からベルギーへ 237社(2021年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)
- ベルギーから日本へ 約80社(2022年、駐日ベルギー大使館)
3 文化関係
日・ベルギー文化協定(1974年10月23日発効)
4 在留邦人数
5,827人(2021年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)
5 在日ベルギー人数
824人(2021年12月、法務省在留外国人統計)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年 | 河野外務大臣、深谷通商産業大臣、玉澤農林水産大臣ほか(日・EU閣僚会議) |
2001年 | 小泉総理大臣(日・EU定期首脳協議) |
2002年 | 遠山文部科学大臣、川口外務大臣(EU要人との会談) |
2005年 | 小野寺外務大臣政務官、町村外務大臣(イラク支援国際会議)、伊藤外務大臣政務官 |
2006年 | 麻生外務大臣、中馬内閣府特命担当大臣、岩屋外務副大臣(OSCE外相会合) |
2007年 | 安倍総理大臣(首脳会談、NATO訪問等)、久間防衛大臣 |
2008年 | 西村外務大臣政務官(グルジア支援国会合) |
2009年 | 西村外務大臣政務官 |
2010年 | 菅総理大臣(第8回ASEM首脳会合) |
2011年 | 自見郵政改革・金融問題担当大臣、松本外務大臣、菅総理大臣(日EU定期首脳協議) |
2013年 | 松山外務副大臣 |
2014年 | 安倍総理大臣(日EU定期首脳協議、G7サミット)、皇后陛下(ファビオラ王妃陛下国葬) |
2015年 | 岸田外務大臣 |
2016年 | 武藤外務副大臣、安倍総理大臣 |
2017年 | 安倍総理大臣(日EU定期首脳協議) |
2018年 | 林文部科学大臣 |
2022年 | 岸田総理大臣(G7首脳会合) 林外務大臣(G7外相会合・NATO外相会合) |
2023年 | 河野デジタル大臣、林外務大臣(外相会談、NATO外相会合)、西村経済産業大臣、高木外務大臣政務官、山田外務副大臣、岸田総理大臣(首脳会談、日EU定期首脳協議) |
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年 | フィリップ皇太子同妃両殿下 |
2001年 | ヴェルホフスタット首相 |
2002年 | レンデルス財相、フィリップ皇太子同妃両殿下、ネイツ外相付国務長官 |
2003年 | ロラン王子殿下、ヴェルホフスタット首相 |
2005年 | フィリップ皇太子殿下(博覧会賓客)、デ=グフト外相、ヴェルホフスタット首相、レンデルス財相 |
2006年 | ヴァン=ダール統合参謀長 |
2008年 | ヴァン=クィッケンボルネ経済・行政改革相 |
2010年 | レテルメ首相、ファンアッケレ外相 |
2011年 | ペーテルス・フランダース政府首相 |
2012年 | フィリップ皇太子同妃両殿下、レンデルス副首相兼外相、ドゥモット・ワロン地域政府首相、ファンアッケレ財相 |
2013年 | アストリッド王女殿下 |
2014年 | マリア=ローラ王女殿下 |
2015年 | ミシェル首相、ペーテルス副首相兼経済・対外貿易担当相、ジョドーニュ・ブリュッセル首都圏地域政府対外貿易担当国務長官 |
2016年 | フィリップ国王同妃両陛下(国賓)、ドゥ=クレム対外貿易担当国務長官、ヴェルヴォールト・ブリュッセル首都圏地域政府首相、ブルジョワ・フランダース政府首相、ドゥモット・仏語共同体政府首相、マニェット・ワロン地域政府首相、ジョドーニュ・ブリュッセル首都圏地域政府対外貿易担当国務長官 |
2017年 | ブラッケ下院議長 |
2018年 | レンデルス副首相兼外相 |
2019年 | フィリップ国王同妃両陛下(即位の礼へ御参列) |
2022年 | ドーズ上院議長(安倍元総理の国葬儀へ参列)、アストリッド王女殿下、ラビブ外務・欧州問題・対外貿易・連邦文化施設相、ミシェル・デジタル化担当国務長官、ヤンボン・フランダース政府首相、スメット・ブリュッセル首都圏地域政府対外貿易担当国務長官 |
7 二国間条約・取極
- 査証免除取極(1956年)
- 査証料免除取極(1956年)
- 航空協定(1959年)
- ベネルクス通商協定(1960年)
- 租税条約(1968年(改正議定書(1988年、2010年)、2019年(新条約発効))
- 外交・公用査証免除取極(1972年)
- 文化協定(1973年)
- 社会保障協定(2005年)
8 外交使節
- (1)ベルギー駐箚日本国大使 三上 正裕 特命全権大使
- (2)本邦駐箚ベルギー大使 アントワン・エヴラー 次期大使