ベルギー王国

基礎データ

令和6年8月14日
ベルギー王国国旗

一般事情

1 面積

30,528平方キロメートル(日本の約12分の1)

2 人口

1,170万人(2023年1月、ベルギー統計局)

3 首都

ブリュッセル

4 言語

オランダ語(フラマン語)、フランス語、ドイツ語

5 宗教

伝統的にはカトリックだが、近年はムスリム移民が増加。

6 略史

年月 略史
1814年~1815年 ウィーン会議でオランダに編入される
1830年 独立宣言(フランスの7月革命の影響)
1839年 オランダによるベルギー独立承認
1914年 第一次世界大戦の対独戦により領土の大半が占領される(~18年)
1940年 第二次世界大戦の対独戦により全土が占領される(~44年)
1993年 正式に連邦国家に移行

政治体制・内政

1 政体

立憲君主制

2 元首

フィリップ国王(2013年7月21日即位)

3 議会

二院制(下院:150名、上院:60名)
 下院の構成は次のとおり。

(蘭語系)
政党名 議席数
下院
新フランダース同盟(N-VA)(蘭語圏地域主義政党) 24
フラームス・ベラング(VB)(蘭語圏「極右」政党) 20
蘭語系社会党(Vooruit 13
蘭語系キリスト教政党(CD&V) 11
蘭語系自由党(Open VLD) 8
蘭語系環境政党(Groen 6
蘭語系計 81
(仏語系)
仏語系自由党(MR) 19
仏語系社会党(PS) 16
仏語系キリスト教政党(Les Engagés 14
仏語系環境政党(Ecolo 3
独立民主連邦主義(DéFI 1
仏語系計 54
(蘭・仏語系合同)
労働党(PTB-PVDA) 15
合計 下院(150)

(2024年8月現在)

 上院については、直接選挙ではなく、地域及び共同体議会により指名された議員50人とこれらの議員に指名された10人により構成される。

4 政府

  • (1)首相 アレクサンダー・ドゥ=クロー(蘭語系自由党(Open VLD))
  • (2)外相 ハジャ・ラビブ(仏語系自由党(MR))(欧州問題・対外貿易・連邦文化施設相を兼務)

5 内政

  • (1)2020年10月、2019年の総選挙後493日を経て蘭語系・仏語系の七党間で合意に至り、中道のドゥ=クロー内閣が発足した。同内閣は発足時から新型コロナウイルス感染症対策に追われてきたが、並行して税制、労働市場、社会保障の改革、デジタル化、エネルギー転換・脱炭素化等の経済社会政策にも取り組んだ。他方で、七党連立政権内での意見の不一致が表面化し、困難な政権運営を強いられた。
  • (2)2024年6月の総選挙では、蘭語圏地域主義政党の新フランダース同盟(N-VA)が第一党を維持した。蘭語圏では「極右」政党フラームス・ベラング(VB)が第二党に、仏語圏では中道右派の自由党(MR)が躍進し、仏語圏での第一党となった。
  • (3)ドゥ=クロー首相は、所属する蘭語系自由党(Open VLD)の大敗を受け、首相辞任を表明した(ただし、次期政権の組閣までの間、暫定内閣を維持する)。7月現在、第一党のN-VAが中心となり組閣に向けた交渉が行われているが、連立政権の成立までには時間を要する見通し。

外交・国防

1 外交基本方針

  • (1)多国間主義に基づく外交を最重視。民主主義、人権、法の支配を守るべき価値として標榜。
  • (2)EUを利益と価値を世界規模で守るための最上のツール、NATOを防衛の要と位置付け。国連PKOにも参加。
  • (3)旧植民地であるコンゴ民主共和国との関係構築に積極的に関与。

2 軍事力

  • (1)予算 59.9億ユーロ(2023年)
  • (2)兵力 総兵力23,200人(予備役5,900人)
    (陸上8,500人、海上1,400人、航空4,900人、医療1,450人、統合軍6,950人)

(2023年ミリタリーバランス)

経済

1 主要産業

化学工業、機械工業、金属工業、食品加工業

2 GDP(名目)

5,818億ドル(2022年、IMF)

3 一人当たりGDP

50,413ドル(2022年、IMF)

4 経済成長率

1.5%(2023年、ベルギー国立銀行)

5 物価上昇率

2.3%(2023年、ベルギー国立銀行)

6 失業率

5.6%(2023年、ベルギー国立銀行)

7 総貿易額

  • 輸出:6.044億ユーロ
  • 輸入:5,925億ユーロ

(2022年 ベルギー連邦対外貿易庁)

8 主要貿易品

  • (1)輸出 化学製品(27.7%)、鉱物(18.3%)、機械類(8.4%)等
  • (2)輸入 化学製品(24.5%)、鉱物(23.2%)、機械類(10.8%)等

(2022年 ベルギー連邦対外貿易庁)

9 主要貿易相手国

  • (1)輸出 ドイツ、オランダ、フランス、米国、英国
  • (2)輸入 オランダ、ドイツ、フランス、中国、米国

(2022年 ベルギー連邦対外貿易庁)

10 通貨

ユーロ

11 経済概況

  • (1)バイオテクノロジー、医薬、石油化学、宇宙・航空、ナノテク等、世界最先端の科学技術産業を擁する貿易立国。ファイザー社等のワクチン開発・生産拠点が所在。
  • (2)ウクライナ情勢を受けた原材料・エネルギー価格の高騰や人手不足の影響などにより、2022年GDP成長率は3%、2023年は1.5%(暫定値)に減速。2024年は1.3%を予測(統計出典:ベルギー国立銀行)。

二国間関係

1 政治関係

 伝統的に友好関係を維持。皇室・王室関係は極めて親密。1866年に外交関係を樹立し、2016年に150周年を迎えた。同年は「日本・ベルギー友好150周年」として盛大に祝賀され、その日本側名誉総裁に天皇陛下(当時。現上皇陛下)が、ベルギー側名誉総裁にフィリップ国王陛下が各々御就任された。
 同年10月には、フィリップ国王・王妃両陛下が国賓として訪日されたほか、2019年10月にも両陛下は即位礼正殿の儀御参列のため訪日された。さらに、2022年12月には、アストリッド王女殿下が率いる対日経済ミッションが訪日した。
 日本からは2022年、2023年と2年連続で岸田総理大臣及び林外務大臣(当時)いずれもがベルギーを訪問する等、ハイレベルでの交流が活発に行われている。

2 経済関係

(1)日・ベルギー貿易(単位:億円、出典:財務省貿易統計)
ア 貿易額
日本からベルギーへ ベルギーから日本へ
2016 6,211 2,710
2017 6,611 3,085
2018 7,526 3,387
2019 8,119 3,511
2020 6,992 3,484
2021 7,897 7,003
2022 9,190 9,225
イ 主要品目(2022年)
日本からベルギーへ 自動車を始めとする輸送用機器、機械類、化学製品等
ベルギーから日本へ 医薬品を始めとする化学製品、食料品、輸送用機器等
(2)進出企業数
日本からベルギーへ 254社(2023年10月、外務省海外進出日系企業拠点数調査)
ベルギーから日本へ 約80社(2022年、駐日ベルギー大使館)

3 文化関係

日・ベルギー文化協定(1974年10月23日発効)

4 在留邦人数

5,383人(2023年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)

5 在日ベルギー人数

1,097人(2022年12月、法務省在留外国人統計)

6 要人往来

(1)往(2000年以降)
年月 要人名
2000年 河野外務大臣、深谷通商産業大臣、玉澤農林水産大臣ほか(日・EU閣僚会議)
2001年 小泉総理大臣(日・EU定期首脳協議)
2002年 遠山文部科学大臣、川口外務大臣(EU要人との会談)
2005年 小野寺外務大臣政務官、町村外務大臣(イラク支援国際会議)、伊藤外務大臣政務官
2006年 麻生外務大臣、中馬内閣府特命担当大臣、岩屋外務副大臣(OSCE外相会合)
2007年 安倍総理大臣(首脳会談、NATO訪問等)、久間防衛大臣
2008年 西村外務大臣政務官(グルジア支援国会合)
2009年 西村外務大臣政務官
2010年 菅総理大臣(第8回ASEM首脳会合)
2011年 自見郵政改革・金融問題担当大臣、松本外務大臣、菅総理大臣(日EU定期首脳協議)
2013年 松山外務副大臣
2014年 安倍総理大臣(日EU定期首脳協議、G7サミット)、皇后陛下(ファビオラ王妃陛下国葬)
2015年 岸田外務大臣
2016年 武藤外務副大臣、安倍総理大臣
2017年 安倍総理大臣(日EU定期首脳協議)
2018年 林文部科学大臣
2022年 岸田総理大臣(G7首脳会合)
林外務大臣(G7外相会合・NATO外相会合)
2023年 河野デジタル大臣、林外務大臣(外相会談、NATO外相会合)、西村経済産業大臣、高木外務大臣政務官、山田外務副大臣、岸田総理大臣(首脳会談、日EU定期首脳協議)、辻󠄀外務副大臣
2024年 河野デジタル大臣、柘植外務副大臣、高村外務大臣政務官、辻󠄀外務副大臣(NATO外相会合)、松本総務大臣
(2)来(2000年以降)
年月 要人名
2000年 フィリップ皇太子同妃両殿下
2001年 ヴェルホフスタット首相
2002年 レンデルス財相、フィリップ皇太子同妃両殿下、ネイツ外相付国務長官
2003年 ロラン王子殿下、ヴェルホフスタット首相
2005年 フィリップ皇太子殿下(博覧会賓客)、デ=グフト外相、ヴェルホフスタット首相、レンデルス財相
2006年 ヴァン=ダール統合参謀長
2008年 ヴァン=クィッケンボルネ経済・行政改革相
2010年 レテルメ首相、ファンアッケレ外相
2011年 ペーテルス・フランダース政府首相
2012年 フィリップ皇太子同妃両殿下、レンデルス副首相兼外相、ドゥモット・ワロン地域政府首相、ファンアッケレ財相
2013年 アストリッド王女殿下
2014年 マリア=ローラ王女殿下
2015年 ミシェル首相、ペーテルス副首相兼経済・対外貿易担当相、ジョドーニュ・ブリュッセル首都圏地域政府対外貿易担当国務長官
2016年 フィリップ国王同妃両陛下(国賓)、ドゥ=クレム対外貿易担当国務長官、ヴェルヴォールト・ブリュッセル首都圏地域政府首相、ブルジョワ・フランダース政府首相、ドゥモット・仏語共同体政府首相、マニェット・ワロン地域政府首相、ジョドーニュ・ブリュッセル首都圏地域政府対外貿易担当国務長官
2017年 ブラッケ下院議長
2018年 レンデルス副首相兼外相
2019年 フィリップ国王同妃両陛下(即位の礼へ御参列)
2022年 ドーズ上院議長(安倍元総理の国葬儀へ参列)、アストリッド王女殿下、ラビブ外務・欧州問題・対外貿易・連邦文化施設相、ミシェル・デジタル化担当国務長官、ヤンボン・フランダース政府首相、スメット・ブリュッセル首都圏地域政府対外貿易担当国務長官

7 二国間条約・取極

  • 査証免除取極(1956年)
  • 査証料免除取極(1956年)
  • 航空協定(1959年)
  • ベネルクス通商協定(1960年)
  • 租税条約(1968年(改正議定書(1988年、2010年)、2019年(新条約発効))
  • 外交・公用査証免除取極(1972年)
  • 文化協定(1973年)
  • 社会保障協定(2005年)

8 外交使節

  • (1)ベルギー駐箚日本国大使 三上 正裕 特命全権大使
  • (2)本邦駐箚ベルギー大使 アントワン・エヴラー 特命全権大使
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