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(仮訳)
日本国とバーレーン王国との間の共同声明
平成20年2月
(骨子)(英文)
シェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アール・ハリーファ・バーレーン王国外務大臣閣下は、2008年2月5日から10日まで、高村正彦日本国外務大臣閣下の招待により日本国を訪問している。両外相は、会談において、今後の両国間関係の強化につき議論した。また、ハーリド外相には皇太子殿下が御接見になったほか、同外相は河野洋平衆議院議長及び福田康夫内閣総理大臣に表敬し、その他日本の要人と会談した。
ハーリド外相は、訪日招待と滞在中の歓待に対する謝意を表明した。高村外相は、ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ・バーレーン国王陛下の優れた指導力の下、バーレーンにおいてなされている民主化の努力を賞賛した。双方は、会談を特徴づけた温かく協力的で友好的な精神を歓迎し、以下の共同声明を発出した。
- 双方は、共有された多くの価値、展望及び利益を強調し、幅広くかつより広がっている多くの分野での緊密な協力を評価し、留意した。双方は、両国間の協力拡大が、両国国民に資するものであり、日本と湾岸協力理事会(GCC)との協力をさらに進めるものであり、それらは地域と世界の利益になるものであると確信した。
- 双方は、両国間で要人の相互訪問が最近増加していることにつき、大いなる満足をもって確認した。また双方は、日本・バーレーン友好議員連盟及びバーレーン・日本友好議員グループの設立を歓迎した。双方は、議員の訪問団による相互訪問が、両国間の往来の推進力となるとの期待を表明した。
- 安全保障問題に関し、双方は、中東及び湾岸地域の安定は両国及び国際社会にとり極めて重要であるとの見解を共有した。双方は、インド洋における日本の海上自衛隊の艦船による補給活動の再開と、両国間での継続的な協力に主として代表される、テロとの闘いに対する双方の重要な貢献につき評価を強調した。双方は、この協力が地域と世界の利益のため続けられることに希望を表明した。
- 日本とGCC諸国の民間部門をはじめとする双方にとっての利益となることを認識しつつ、双方は、日本とGCC間のFTAの早期かつ成功裡の締結実現に対する強い決意を再確認した。
- 双方は、最近の油価の高騰が世界経済に与える悪影響につき懸念を表明した。この点に関し、双方は、産出国による石油及び天然ガスの安定供給の重要性を強調した。
- 経済問題に関する協議において、バーレーン側は、バーレーンの人的資源開発、インフラ、エネルギー及び産業化において日本が果たしてきた積極的な役割を評価し、留意した。日本側は、GCCの共通市場戦略の進展を歓迎した。双方は、金融及び観光産業を含む両国の民間部門の間での協力関係を促進させる意図を共有した。
- 日本側は、湾岸地域における金融その他サービス、不動産、小売及び製造業が空前の成長を見せていることを認識した。さらに、バーレーン側はバーレーンが世界中から記録的な対内投資を引き付けていることを説明した。この文脈で、バーレーン側は日本側に対し、バーレーンは、ビジネスに優しい環境と法制度を有し、操業コストが低く、質の高い労働力があり、法人税及び所得税がかからないことから、日本企業が湾岸地域及び広く中東・北アフリカ市場におけるプレゼンスを開拓する際の理想的な基盤であることを保証した。
- 双方は、より多くの経済・ビジネス関係を発展させ、促進することの重要性を強調した。この文脈で、バーレーン側はこうした関係の促進に貢献するJETRO(日本貿易振興機構)やJCCME(財団法人中東協力センター)などの日本の組織との間で、バーレーンのビジネス環境と日本投資家への機会を促進するために在京大使館に置かれたバーレーンの専門家顧問団を通じて協力を深めることを提案した。
- 双方は、中東の平和と安定に向けた協力と協調に対する決意を再確認した。中東和平プロセスの重要性を強調しつつ、バーレーン側は、平和と繁栄の回廊構想実現のための日本の努力を評価した。
- イラクに関し、双方は、特に周辺諸国を関与させたプロセス及びイラク・コンパクトを通じ、イラクの安定のために国際社会と協力していくとの決意を再確認した。バーレーン側は、イラク復興への日本の重要な貢献に対する評価の意を表明した。
- 双方は、イラン核問題の平和的・外交的解決の重要性を再確認し、イランに対し、国際社会の共通の要求に応え、関連の国連安保理決議を履行するよう強く求めた。
- 六者会合に関し、双方は、2007年10月3日に合意された非核化措置の完全な履行を求め、北朝鮮に対して、2005年9月19日の共同声明の完全な実施に向けた具体的かつ効果的な手段を講ずることを求めた。また双方は、拉致問題を含む国際社会の人道的な関心事項に北朝鮮が応ずる必要性を強調した。
- バーレーン側は、国際社会において日本が果たしている積極的な役割を認識し、日本がその貢献に見合う立場に立つことへの希望を表明した。この関連で、双方は、国連安保理改革の早期実現の重要性を強調した。バーレーン側は、拡大された国連安保理における日本の常任理事国入りと、2008年安保理非常任理事国選挙における日本への支持を再度表明した。日本側はバーレーンの支持を評価した。
- バーレーン側は、世界的に障壁を克服し、協力と信頼を構築するための手段として、文明、文化、国民間の開かれた友好的な対話の重要性を強調し、こうした対話を引き続き主導する意図を重ねて表明した。これに関し、双方は「日本とイスラム世界との文明間対話」を極めて重視した。双方は、こうした基盤が、両国間及び国民間に深く根ざした絆を発展させるために不可欠であり、そうした絆は安全保障や貿易、文化に至る全ての問題における意味のある協力にとっての基礎を提供するものであることを強調した。
- 気候変動に関し、双方は、世界のすべての主要排出国の参加を確保した気候変動のための効果的な国際的枠組を構築するとの決意を再度表明した。これに関し、バーレーン側は、日本が議長となるG8北海道洞爺湖サミット会合に向けての強い期待を表明し、日本のイニシアティブである「美しい星50」及び「美しい星推進構想」を高く評価した。
- 双方は、両国外相が2001年に得た共通認識に基づき、定期的に協議を行う意向であることを改めて確認した。
- シェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アール・ハリーファ閣下は、高村正彦閣下並びに日本国政府及び同国民に対して、その歓待への謝意を再度表明し、高村大臣にバーレーンを訪問するよう招待した。双方は今後、今次訪問の成功を基に関係を築いていくことへの期待を表明した。
(署名)
ハーリド・ビン・アハマド・ビン・ムハンマド・アール・ハリーファ
バーレーン王国外務大臣