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第7回日豪会議:共同議長声明
平成23年11月
(英語版)
第7回日豪会議は,2011年11月4日,豪州ブリスベンに於いて,サー・ロッド・エディントン豪日経済委員会議長および三村明夫日豪経済委員会議長の共同議長で開催された。
日豪両国の政治,経済,学界,シンクタンク及びメディアの著名人が日豪会議に出席。ケビン・ラッド外務大臣が基調演説を行った。中野譲外務大臣政務官,ジェリー・ビショップ野党保守連合副党首兼影の外務・貿易大臣,マーク・ファーナー上院議員(豪日友好議連及び外交・防衛・貿易合同委員会のメンバー)が日豪会議に出席した。
日豪会議では,政治・戦略・防衛協力,改革に力点をおいて貿易・経済協力,人と人とのつながり等,3月11日の東日本大震災後の日豪関係を進展させる機会を中心に議論がなされた。
日本側出席者は,3月の大震災後に豪州政府,経済界及び市民から提供された支援に対して心からの感謝の意を表明するとともに,外国首脳による初めての被災地訪問となった4月のギラード首相来日が有意義であったとの認識を示した。両国出席者は,豪州による支援の規模や性質は,日豪間の強い友好関係に光を当てただけではなく,両国関係を更に強固なものとしたことに意見の一致をみた。
日豪会議での議論の概要は以下の通り。
政治・戦略・防衛協力
- 日豪間の包括的な戦略・安全保障・経済パートナーシップが,経済及び戦略面で重みを増しているアジア太平洋地域の安定と繁栄にとり,両国の米国との同盟関係と併せて,ますます重要な柱となっていることに留意しつつ,両国のパートナーシップが引き続き強化されていることを歓迎。
- 3月の大震災後に軍による救援活動を行ったのが豪州と米国だけであったことに示されているように,日本にとり,豪州との安全保障関係が米国との同盟関係に次ぐものであることに留意。
- 平和維持及び災害救援分野におけるこれまでの日豪協力がより広い安全保障協力の基盤であることに留意し,物品役務相互提供協定(ACSA)の署名及び日豪が参加する共同軍事演習の実施を歓迎するとともに,両国政府に対して,防衛関係に関するアレンジメントの進展を検討するよう要請。
- 戦略的対話や安全保障協力が二国間関係上で重要性を増している分野であることについて一般市民の理解が高まるような取り組みを,両国政府のみならず両国の学界及びメディアが実施することを要請。
- 日豪安全保障協力を深化させる上で,防衛技術及び軍需品分野の交流が潜在力のあることを認識。
- サイバー分野でのより幅広い関係者との協力の重要性を認識。
- 定期的な外務・防衛「2+2」協議及び日豪米三カ国戦略対話の開催の重要性を強調し,早い時期の次回会合開催を希望。
- 地域的及びグローバルな枠組みの改善に向けた協力をG20,APEC,EAS等を通じて継続するとともに,核不拡散・軍縮といったグローバルな課題に対応する協力のモメンタムを維持するよう,両国政府に要請。
- 両国政府に対して,若手政治家交流を再活性化し,相互理解および次世代の政治指導者のつながりを促進するよう要請。
貿易・経済協力
- 双方向の貿易及び投資が近年増大するなど,引き続き日豪経済関係が両国の繁栄の礎となっていることに留意。
- 両国の経済的パートナーシップの潜在的可能性を解き放つ,日豪EPA/FTA交渉を妥結させるよう両国政府に要請。
- 市場を開放し生産性を高める経済改革が,これまでも,また,今後とも両国の利益であることを強調するとともに,農業部門を含む日本の野心的な構造・貿易改革が,包括的な日豪EPA/FTAならびに日本の地域経済統合に資するであろうことに留意
- 互いの国の農業部門並びに農業の近代化・改革についての相互理解を促進するべく,女性や若者を含む日豪双方向の交流を強化するよう要請。
- 豪州のLNG部門への日本からの投資に支えられた液化天然ガス(LNG)供給急増を含め,エネルギー資源の安定的かつ信頼できる供給を通じた,豪州の日本のエネルギー安全保障への貢献を歓迎。
- 日豪協力が,二国間のパートナーシップを超え,インフラ分野を含め互いの得意分野で手を組んで,成長するアジア太平洋地域の第三国で拡大していることを歓迎。
人と人とのつながり
- 人と人との強いつながりが日豪間の安全保障や経済パートナーシップに不可欠の基盤となっていることに意見の一致をみた。
- 日本語を含むアジアの言語を学ぶ豪州人や日本経済・政治・文化を専門とする豪州人学者の数が減少していることを懸念するとともに,両国政府及び民間部門に対して,日本専門家のインセンティブ向上,財政的支援,キャリアパス提示を要請。
- 第6回日豪会議でエンドースされた,リファレンスグループの提案を含む日本語教育及び人的交流に関する日本語作業部会の勧告を想起するとともに,豪州政府が,作業部会が勧告した「逆JET」プログラムのフィージビリティ研究を実施していることに留意。
- 日本政府が支援しているJENESYプログラム等,若手ビジネスマン,大学生及び高校生の訪問プログラムについての日本側の努力を歓迎。