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復旧・復興のためのパキスタン政府主催主要ドナー・国際機関会議
(結果概要)
平成17年11月19日
【ポイント】
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10月8日のパキスタン等大地震の発生を受けて、19日、イスラマバードにおいて、復旧・復興のためのパキスタン政府主催主要ドナー・国際機関会議が開催された(53ヶ国、20の国際機関等が参加(NGOがオブザーバー)。ムシャラフ大統領が議長を務め、アナン国連事務総長、黒田ADB総裁、ナツィオス米国開発庁長官、ブラジー仏外務大臣、トーマス英国開発副大臣、ヴァルトナー欧州委員等が参加。我が国からは塩崎外務副大臣が出席した。
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会議では、アナン国連事務総長が挨拶に立ち、国際社会に対する支援を要請。続いてパキスタン政府を代表してムシャラフ大統領が挨拶に立ち、これまでの各国・国際機関による支援に謝意を表明するとともに、約52億ドルの支援ニーズに対して更なる支援要請を行った。続いて参加各国・国際機関が夫々これまで実施してきた緊急支援実績紹介と新たな追加支援を表明。
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最後にアジーズ首相より、今回の会議における支援表明を総計した結果約54億ドル(後刻、同首相は58億ドルに上方修正)となった旨の総括がなされ、ムシャラフ大統領より寛大な支援に対する謝意が述べられた。これにより、世銀・ADB等のニーズアセスメントで明らかとなった総額約52億ドルの復旧・復興ニーズ(救済・初期復旧経費含む)が充たされる見通しとなった。
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日本からは、塩崎外務副大臣より、復興のための資金需要に対応する円借款1億ドルの支援を含む我が国の支援につき発言を行った。
復興会議の模様:塩崎外務副大臣は中央
塩崎外務副大臣とカスーリ・
パキスタン外務副大臣:会談前の握手
1.復旧・復興会議出席者の発言要旨
(1)コフィ・アナン国連事務総長挨拶要旨
今般の大地震及びその被害は最大規模。今後は1)緊急支援(救済)、2)中期的支援(初期復旧)、3)長期的支援(復興)を同時並行的に進めることが必要。我々は迅速な対応と十分な調整を行う必要がある。自分は国際社会に対し、これら3つのレベルの支援を呼びかける。
(2)ムシャラフ大統領の基調演説要旨
アナン事務総長及び全てのドナーの支援に対し謝意を表明する。しかし、今後来年に向けて努力を継続せねばならず、緊急支援活動、復興の双方ともパキスタンのみで達成することはできない。緊急局面及び復興局面のそれぞれについて、総額52億ドルの支援ニーズがあり、各ドナーからの支援に期待。
(3)主要ドナー諸国・国際機関の支援表明(主なもの)
- 米:5.1億ドル(緊急支援と復興支援の総計で表明済みの支援を含む。資金協力、軍事支援、民間協力を含む。)
- 英:約1.2億ドル(新規。復興支援のため。二国間、国際機関経由の総額。)
- 仏:9400万ドル(追加的支援。譲許ローン。)
- EU:新規追加的支援額の表明はなし(教育、住宅等に1.1億ドルを表明済み)。
- 中国:3億ドル(譲許ローン)
- 印:具体的な新規追加的支援額の表明はなし
- トルコ:計1.5億ドル(新規は6300万ドル。)
- イラン:2億ドル
- 世銀:10億ドル(表明済み支援を含む。中期的な復興支援のため。)
- IMF:3.75億ドル
- ADB:10億ドル(表明済み支援を含む。譲許ローン。復興支援(インフラ等))
- 地震の犠牲者に対する哀悼の意、被災者へのお見舞い、地震国として特別な同情と連帯意識の表明。
- これまでの我が国官民の緊急支援につき説明。併せてバタグラム地域周辺における自衛隊、国際緊急援助隊、日本のNGO、日本の資金支援を受けた国際機関、パキスタン政府等の間の協力・連携による支援の実施を緊急支援モデルの一つとして紹介。
◆我が国のこれまでの取組
- 国際緊急援助隊(救助チーム、医療チーム、6機の自衛隊ヘリコプター)、物資支援(約2500万円相当)、2000万ドルの無償資金協力
- 日本NGOによる活動、それに対する政府の資金的協力(約4億円)
- 国民、企業からの寄付(日赤に約10億円、在京大使館にも寄付・物資)
- 与党によるチャーター便での援助物資(約20トン)の輸送
◆塩崎副大臣が表明した追加的支援
- 緊急な復興のための資金需要に対応するための円借款による1億ドルの支援
- インフラ整備等に円借款や無償資金協力を活用
- 速やかに再建事業に着手できるよう、開発調査の実施
- 耐震住宅建設等の防災技術向上のための専門家の派遣
- 我が国が国交樹立以来パキスタンと共にあり、今後も官民双方の知恵を絞り支援していく旨表明。
3.二国間会談
(1)塩崎副大臣は、会議の合間にナツィオス米国開発庁長官、ヴァルトナー欧州委員との間で二国間会談を行い、それぞれ日米援助協調、日EU関係の強化等について意見交換を行った。
(2)また、会議後にカスーリ・パキスタン外相、シェルパオ・同内相とそれぞれ今般の大地震への対応を中心に意見交換を行った。塩崎副大臣より、パキスタンのこれまでの努力を評価している旨述べたところ、先方より、我が国の支援に対し重ねて謝意が述べられた。