欧州(NIS諸国を含む)

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(仮訳)

アジア欧州会合第9回首脳会合(ASEM9)
議長声明
(平成24年11月5日~6日 於ビエンチャン)

骨子)(英文(PDF)


  1. アジア欧州会合第9回首脳会合(ASEM9)は,2012年11月5日及び6日にビエンチャンにおいてラオス人民民主共和国主催により開催され,アジア及び欧州の49か国の首脳,欧州理事会議長,欧州委員長並びにASEAN事務総長が参加した。チュンマリー・サイニャソーン・ラオス国家主席がASEM9の開会式において開会の辞を述べた。今次首脳会合においては,トンシン・タムマヴォン・ラオス首相が議長を務めた。
  2. 首脳は,今次首脳会合に初めて参加したASEM新規参加国,すなわち,バングラデシュ,ノルウェー及びスイスの首脳を温かく歓迎した。
  3. アジア欧州会合第9回首脳会合の全体のテーマである「平和のための友,繁栄のためのパートナー」の下で,ASEM参加国の首脳は,率直で詳細な議論を行い,共通の関心事項である重要な地域情勢及び国際問題に関し,意見交換を行い,政治,経済及び社会文化の分野という3つの柱におけるアジアと欧州との間の協力について検討し,並びにASEMの将来の方向性を示した。
  4. 首脳は,国連憲章及び国際法に従い,政治的制度を自由に選択し,経済的,社会的及び文化的発展を自由に追求するとのASEM参加国国民の権利を尊重する決意を再確認した。
  5. 首脳は,第8回首脳会合以降に開催された外務大臣会合,教育大臣会合,環境大臣会合,交通大臣会合,文化大臣会合,労働・雇用大臣会合,財務大臣会合及び市長・知事会合の結果を評価しつつ,これに留意した。

経済的パートナーシップの強化

 経済及び金融の再編成及び回復

  1. 首脳は,ASEM参加国における力強く持続的な経済成長が世界経済の長期的で力強く持続可能な均衡のとれた成長に貢献することを強調した。首脳は,世界の成長が減速し,ASEM参加国に対する著しい不確実性及び下方リスクが残っていることに留意した。首脳は,欧州経済が漸進的に回復することに期待し,状況に対処するためにEU及びEU加盟国がとった行動を歓迎した。首脳は,現在の地球規模の危機に対処し,より力強く持続可能な均衡のとれた世界の成長を作り出す道筋を作ることにおいて,一層強力でダイナミックなパートナーシップに向けて,アジアと欧州がより密接な関与を促進する必要性を強調した。首脳は,様々な成長に優しい政策,財政健全化及び構造改革の完全な実施を支持した。首脳は,また,アジアと欧州が更なる経済再編成を促進し,金融・債務危機の影響に耐えるための経済的協力及び金融協力(能力の開発を含む。)をさらに強化する必要性を強調した。首脳は,成長の社会的側面及び雇用政策の重要性を改めて表明した。
  2. 首脳は,2012年10月15日にバンコクにおいて,「ダイナミックなパートナーシップの強化,ダイナミックな成長の共有」のテーマの下で行われた第10回ASEM財務大臣会合の結果を評価しつつ,これに留意した。首脳は,欧州経済の漸進的回復を期待し,アジアの新興経済国の堅固なパフォーマンスを歓迎した。金融市場及び商品市場がいまだ不安定であるため,首脳は,国際機関に対し,この問題の詳細な分析を継続し,その潜在的影響を軽減し得る方法を提案するよう求めるとの財務大臣会合の決定を支持した。首脳は,アジアと欧州における主要な地域的危機管理アレンジメントの最近の進展,すなわち,チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)及び欧州安定化メカニズム(EMS)を確認し,これらの実施に係る情報及び経験の交換を奨励した。首脳は,また,欧州及びアジアの企業及び民間部門(中小企業を含む。)に対し,投資及び貿易のフローを拡大するため,相互に協力を前進させるよう奨励するとの財務大臣会合の決定を支持した。

 国際金融機関の改革及び世界経済ガバナンス

  1. 首脳は,力強く持続可能な均衡のとれた,かつ,包摂的な成長を促進し,雇用(若者の雇用を含む。)に焦点を当て,市場の信頼を回復し,金融制度の回復力及び透明性を強化し,金融部門を改革し,国際金融機関の改革に貢献し,並びにASEM参加国において投資に資する環境を確保する経済成長を促すことを目的として,アジアと欧州との間の協力に新たなモメンタムを与えることを決意した。
  2. 首脳は,アジアと欧州との間の地域間金融協力をさらに強化する必要性を確認した。金融の部門の監督,地域的金融アレンジメントに関する経験の交換及び多国間のサーベイランスの役割は,この協力を促進するための主要な対処策とみなされた。首脳は,国際機関に対し,両地域の経済統合から学んだ教訓に関する研究を行うよう求めた。
  3. 首脳は,地域的金融アレンジメントの強化がIMFの役割と共に,危機の予防及び解決において重要な役割を果たすことに留意した。首脳は,IMFと地域的金融アレンジメントとの間の協力の拡大を通じ,世界の金融セーフティ・ネットをさらに強化するためにIMFが行った努力を歓迎した。首脳は,また,IMFが利用可能な資金を4610億ドルまで増額するとの国際的コミットメントを歓迎し,IMFの監督フレームワークの強化の公平かつ効果的な実施に期待した。首脳は,2010年IMFクォータ・ガバナンス改革を完了させることの重要性を再確認し,これをまだ行っていないIMF加盟国に対しそのために必要な措置を講ずるよう求めた。
  4. 首脳は,成長及び雇用を促進するとの2012年6月のG20ロスカボス・サミットの決意並びに回復を強化し,金融市場の緊張に対処するために共に行動するとのコミットメントを支持した。首脳は,現在の状況における多国間主義の重要性の増大を認めるとともに,G20が行った活動及びイニシアティブであって国際通貨金融制度の安定及び一体性を強化することに貢献したものを支持し,将来の危機の予防を支援することをコミットした。

 多角的貿易体制及びドーハ・ラウンド

  1. 首脳は,世界貿易機関(WTO)の下での開放的で公正で透明性があり,ルールに基づく多角的貿易体制へのコミットメントを再確認し,WTTOに関連する問題に関するASEM各国間の協力及び調整をさらに強化することに同意した。このこととの関連において,ドーハのマンデートに基づく透明性及び包摂性の原則を尊重しつつ,新たな信頼し得る交渉アプローチを十分に探求することによりDDAを妥結させるとの昨年12月の第8回WTO閣僚会議におけるコミットメントを支持した。首脳は,第8回WTO閣僚会議により定められた貿易円滑化及び他の開発に関連した問題に関してジュネーブにおいて積極的に行われている技術的議論を前進させるとのコミットメントを表明した。首脳は,様々な結果を提供し,ドーハ・ラウンドの妥結のために信頼し得る方法を達成するため,2013年のバリの第9回WTO閣僚会議に期待した。首脳は,また,WTOにおける交渉を前進させる他の努力(WTO情報技術協定(ITA)の対象産品及び締約国を拡大するために現在進められている活動を通じたものを含む。)を歓迎した。首脳は,WTOへのロシアの加入及びラオスの加盟承認を歓迎した。
  2. 首脳は,投資又は物品及びサービスの貿易に対する新たな障害を引き上げ,新たな輸出規制を課し,又は,2015年末まで輸出を促進させる分野を含めた全ての分野においてWTOに適合しない措置を実施することを差し控えることにコミットした。首脳は,また,危機の発生時以来導入されている貿易を歪めるような,又は保護主義的な措置を終了させることとした。首脳は,保護主義的な事例の増大に対処することに関する2012年6月のG20ロスカボス・サミットにおける決意を支持した。首脳は,世界的な生産チェーンへの途上国の参加を円滑化し,及び促進する世界的なバリューチェーンに関する現在進められている国際的議論を奨励した。

 貿易及び投資の円滑化及び自由化

  1. 首脳は,市場経済,開かれた多角的貿易体制,非差別的な自由化及び開かれた地域主義を通じた地域間の投資及び貿易のフローを強化するコミットメントを再確認した。首脳は,アジア欧州間の投資フローを強化すること(投資促進行動計画(IPAP)の実施を通じるものを含む。)の重要性を強調した。首脳は,また,特に,拡大貿易及び質の高い投資を通じて経済成長に貢献することにおける民間部門の役割を認めた。首脳は,ASEMビジネスフォーラムが定期的に行われるよう奨励し,2012年11月4日から5日までビエンチャンにおいて開催された第13回アジア欧州ビジネスフォーラム(AEBF13)の結果を歓迎した。
  2. 首脳は,2011年のタイにおける第9回ASEM関税局長・長官会合の結果(関税に関する貿易円滑化行動計画(TFAP)を含む。)を歓迎した。このこととの関連において,首脳は,関税の分野における世界税関機構(WCO)の手段及び手法の重要性を認めた。

 域内連結性

  1. 首脳は,アジアと欧州の各地域内の発展格差を縮小し,及びこれら地域における持続可能な発展を推進するための経済統合を支援するため,地域的連結性を強化すること(地域的なイニシアティブ及び枠組を通じたものを含む。)の重要性を強調した。首脳は,2011年に中国において開催されたASEM交通大臣会合の結果を歓迎した。首脳は,基盤プロジェクトにおける官民連携パートナーシップ(PPP)の実施への強く継続的な支持を改めて表明し,PPP投融資のための環境の改善が発展のペース及び両地域における域内連結性の促進に資することに留意した。

政治対話の促進

  1. 首脳は,政治対話を強化し,及び両地域の持続可能な発展及び繁栄のために不可欠な条件である平和及び安定を維持することへのコミットメントを再確認した。首脳は,アジア及び欧州における永続的な平和及び持続可能な発展の促進を目的とする平和と開発のためのパートナーシップの強化に関するビエンチャン宣言を採択した。
  2. 首脳は,アジア及び欧州の情勢を含む現下の地域情勢及び地球規模課題に関する詳細な意見交換を行った。首脳は,我々の利益が一層密接に絡み合い,常に変化し,相互依存が増大する世界においては,二国間,地域的及び多国間並びに地球規模の枠組における機会及び課題により一層対応できるような相互協力を強化すべきとの見解で一致した。

地球規模の課題

 ミレニアム開発目標(MDGs)及び持続可能な開発

  1. 首脳は,貧困と闘い,国際的に合意された開発目標を達成し,並びに貧困撲滅,公平で持続可能な開発及び包摂的な成長を確保するためにMDGs目標を達成することにコミットした。首脳は,デービッド・キャメロン英首相,スシロ・バンバン・ユドヨノ・インドネシア大統領及びエレン・ジョンソン・サーリーフ・リベリア大統領が共同議長を務めたポスト2015年開発目標に関する国連ハイレベルパネルの作業及び他の関連する情報を考慮に入れつつ,ポスト2015年開発目標の早期の妥結のための透明性のある,かつ,包摂的な政府間プロセスに期待する。
  2. 首脳は,持続可能な開発,すなわち,持続可能な経済成長,社会的発展及び環境保護を達成するためのコミットメントを再確認した。首脳は,国連持続可能な開発会議(リオ+20)の結果に沿う形で,現在国連総会により設置されている透明性がある,かつ,包摂的な政府間プロセスを通じて国連持続可能な開発目標を確定させることの重要性を強調した。これらの目標は,2015年以降の国連開発アジェンダに整合的なものとして統合すべきである。このこととの関連において,首脳は,SDGsに関する政府間オープンエンド作業部会設置の緊急性を強調した。
  3. 首脳は,グリーン経済の重要性に留意し,リオ+20の結果を歓迎した。首脳は,2011年にベトナムにおいて開催されたASEMグリーン成長フォーラムの結果を歓迎した。首脳は,緑の気候基金(GCF)の事務局の韓国における設置を歓迎し,2012年10月のグローバル・グリーン経済研究所(GGGI)の国際機関への移行に留意した。
  4. 首脳は,社会的セーフティネットが危機の場合に単なる福祉又は再分配の仕組みとしてのみならず,経済の安定装置としていかに機能したかを想起した。社会的セーフティネットは,平等な機会を促進し,社会的流動性に対する障壁を除去するとともに,社会的包摂を促進し,適切な所得支援を確保し,並びに資源の配分,持続可能な経済成長,貧困の軽減及び全体的なマクロ経済の安定に関する有益な影響を作り出すことができる。社会的セーフティネットは,各国の事情及び資源を考慮に入れるため,国ごとに定めなければならない。
  5. 首脳は,2012年6月20日から22日までブダペストで開催されたASEM持続可能な開発対話の第1回会合において紹介されたブダペスト・イニシアティブの提言を想起しつつ,ASEM参加国がリオ+20の成果文書に基づいて持続可能な開発目標に関連する問題を定期的に議論できるようにするため,AECF2000のパラ25に従い,ASEM高級実務者の承認に基づき,アジアと欧州とで交互に開催する一連のセミナーを設置しつつ,持続可能な開発対話というASEMイニシアティブを立ち上げることを決定した。

 気候変動

  1. 首脳は,気候変動への取組において協力を強化することの重要性を強調し,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第17回締約国会議(COP17)によって定められたとおり,議定書,法的文書又は法的効力を有する合意成果を作成するために協調することの重要性を改めて表明した。首脳は,バリ行動計画,カンクン合意及びダーバン合意を十分に実施するためのコミットメントを確認した。首脳は,緩和,適用,資金及び技術の移転を含む分野において協調するようコミットする。

 不拡散及び軍縮

  1. 首脳は,大量破壊兵器とその運搬手段の拡散は国際の平和と安全に対する脅威であることを強調した。首脳は,核軍縮と核不拡散という相互に補完し合う目標を進展させることの重要性を認め,核兵器及び他の大量破壊兵器のない世界という目標へのコミットメントを再確認した。首脳は,テロリスト及び他の非国家主体が大量破壊兵器並びにその関連技術及び物資を取得することを防止するとの決意を確認した。
  2. 首脳は,核兵器不拡散条約(NPT)の締約国に対し,2010年のNPT運用検討会議において採択された行動計画を実施するよう要請した。首脳は,2012年4月30日から5月11日までウィーンにおいて開催された2015年運用検討会議の準備委員会における第1セッションにおいて行われた議論を歓迎した。首脳は,核兵器その他の大量破壊兵器のない中東地域の達成に関する国際会議の開催のための準備に向けた努力に対する支持を表明した。
  3. 首脳は,多国間の軍縮機関の作業,特に軍縮会議の議題に関する問題に関する作業を再活性化させるための国際的及び各国の努力をさらに強化し,核兵器及び他の大量破壊兵器並びにその運搬手段の拡散に対抗するために多国間の軍縮交渉を進展させる必要性を強調した。首脳は,国連安保理の全ての関連する決議を完全に実施することの必要性を強調した。首脳は,また,軍縮会議に参加している全ての国に対し,その合意された,包括的で均衡のとれた作業計画において,核兵器その他の核爆発装置のための分裂性物質の生産を禁止する条約(兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT))の交渉を速やかに開始するよう求めた。
  4. 首脳は,包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効のための長期にわたる支持を表明し,附属書2の国であるインドネシアを含む最近のCTBT署名及び締結を歓迎した。首脳は,また,ロシア連邦と米国の間の新START条約の発効を歓迎した。首脳は,更なるCTBTの締結に向けた持続可能な政治的モメンタムを期待した。
  5. 首脳は,さらに,不発弾(UXO)を含む爆発性戦争残存物に起因する懸念に対処するための協力を強化すると決意した。

 原子力安全保障,原子力保障措置及び原子力の平和的利用

  1. 首脳は,国際的な核不拡散体制の確認及び原子力の平和的利用の検証における国際原子力機関(IAEA)及びその保障措置の重要な役割を認め,そのマンデートの範囲内のすべての問題に関して十分に協力するよう求めた。首脳は,特に,関係国による包括的保障措置協定の追加議定書の普遍的な遵守及び可能な限り早期の締結に向けた動きを支持した。この点に関し,首脳は,2012年5月26日及び27日のソウルにおける第2回核セキュリティ・サミットの成功に留意した。首脳は,また,核保有国(NWSs)の東南アジア非核兵器地帯条約(SEANWFZ)の議定書への加入を可能にするための未解決の問題に取り組み,もって同議定書の実効性を強化するためにASEANとNWSsとの間で現在行われている努力を歓迎した。

 原子力の安全

  1. 首脳は,原子力安全に関するIAEA行動計画の実施における進展を強調した。首脳は,国際的な原子力安全に関する法的枠組を強化することの重要性を認めた。首脳は,2012年6月13日から15日までシンガポールにおいて開催されたASEM原子力安全セミナー及びASEM原子力安全フォローアップ・セミナーを主催するとのリトアニアによる申し出を歓迎し,また,2012年12月に日本において開催予定の原子力安全に関する福島閣僚会議を歓迎した。首脳は,また,ASEANにおける原子力安全,核セキュリティ及び保障措置の強化のための原子力規制機関に係るASEANネットワーク(ASEANTOM)又は関係する機関を設立するためのイニシアティブを歓迎した。このネットワークは,東南アジア非核兵器地帯条約(SEANWFZ)の目的を支援し,これに貢献することとなる。首脳は,また,ASEANと原子力規制問題に係る全ての関係者との間の協力に期待する。

 テロ対策

  1. 首脳は,テロが依然として国際の平和及び安全に対する最も重大な挑戦の一つであることを再確認した。首脳は,いかなるテロリズムの行為についても正当化はあり得ないことを強調した。首脳は,テロのまん延につながる根本的原因及び条件に対処し,あらゆる形態のテロに対処し,及びこれを防止するための包括的な取組方法の必要性並びにテロの被害者に対し支援を与える必要性を強調した。
  2. 首脳は,2011年12月12日及び13日にインドネシアにおいて開催されたASEMテロ対策会議の結果に留意した。首脳は,テロとの闘いにおける国連の主導的役割を確認し,並びにテロとの闘いのために,国連憲章及び国際法を十分に尊重し,国連グローバル・テロ対策戦略及び関連する国連安保理決議に従い,実際的な措置をとることへのコミットメントを強調した。首脳は,全ての国連加盟国に対し,包括テロ防止条約の採択に向けて行動することを促した。

 海賊

  1. 首脳は,抑止の努力を越えて行動し,その努力が陸上での措置を含め包括的なアプローチの一部として実施されることを確保する必要性を強調した。首脳は,利害関係者間の海賊対処協力をさらに促進し,海賊多発地域に所在する国を能力の開発の点で支援し,並びに情報の共有及び報告について支援する必要性がある点で合意した。首脳は,ASEM参加国が海賊及び海上武装強盗を各国国内法において犯罪とし,海賊の訴追を支持し,並びに司法制度を強化するよう求めることを目的として,アジア欧州間の貿易に極めて重要である海洋の自由及び安全を引き続き確保するため,船舶への海賊及び武装強盗との闘いにおける協力の強化にコミットした。そのような協力の実効性は,国連海洋法条約(UNCLOS1982)及び関連する国連安保理決議を含む,関連する普遍的に合意された国際法の原則の全ての国による十分な尊重を必要とする。首脳は,さらに海賊行為への資金提供を可能とする資金フローの手段を追跡し,遮断するための情報の共有をASEM参加国間でさらに促進するよう求めた。首脳は,EUNAVFORアタランタ作戦並びに豪州,中国,デンマーク,インド,インドネシア,日本,マレーシア,ニュージーランド,韓国,パキスタン,ロシア,シンガポール,タイ等を含む他のASEM参加国及び他のASEM地域の海軍の作戦を含む海賊対策におけるASEM参加国の卓越した協力を称賛し,ASEM参加国に対し,ソマリア及び周辺国を海賊の訴追及び処罰措置に関連する活動について支援するよう求めた。

 食料安全保障,エネルギー安全保障及び水資源管理

  1. 首脳は,入手可能性,機会提供,多様性及び利用の見地から,持続可能な食料安全保障を推進し,さらなる森林破壊を防止するとのコミットメントを再確認した。首脳は,食料安全保障が気候変動によって深刻な影響を受けていることを認めた。首脳は,また,公平で持続可能な水及び土地へのアクセス及びその利用並びに水の希少な地域における水の生産性の改善の促進の必要性を認めた。首脳は,現在,世界食料安全保障委員会において議論がなされている責任ある農業投資原則(PRAI)及び「土地所有,漁業,森林の責任あるガバナンスのための任意ガイドライン」並びに農業部門における能力の開発,研究並びに技術の開発及び移転における支援の強化を考慮し,留意しつつ,責任ある方法での投資の促進を通じた生産及び生産性の向上を奨励した。首脳は,政府,民間部門その他の国際機関を含む全ての関係者に係るこれらの措置を実施するため,共に努力するよう求めた。首脳は,将来の協力のための多くの分野が特定された,2011年にタイのチェンマイにおいて開催された食料安全保障に関するASEMハイレベル会合の結果を歓迎した。
  2. 首脳は,また,代替エネルギー,新エネルギー及び再生可能エネルギーの開発に関する情報及び経験の交換並びに研究を通じたエネルギー・アクセス及びエネルギーの多様化並びにエネルギー効率及び省エネを推進し,特に途上国にとり入手可能で環境に優しい技術の利用を促進することにより,両地域のエネルギー安全保障を確保するとのコミットメントを再確認した。首脳は,全ての利害関係者(政府,民間部門並びに他の地域機関及び国際機関を含む。)が再生可能エネルギー及びその他の非化石エネルギーの資源及び技術の利用の強化に貢献することの重要性を認めた。
  3. 首脳は,ガバナンス,財政及び協力の枠組みにおける全ての経済的,社会的,及び環境的側面での水協力において,安全な飲料水及び衛生,十分な政策の整合性並びに十分に機能的する水に関連した生態系へのアクセスの権利を確保するため,水資源の持続可能な利用及び管理(水資源の開発及びより良い利用,洪水管理,洪水リスク,調査,水質,質の監視,湿地及び水に関する生息地の保全,都市部における飲料水及び排水の供給計画及び管理,統合された河川地域の管理計画並びに他の国境を越えた水の問題を含む。)を推進するための集団的努力を強化することに合意した。首脳は,生命,生態系,地球規模の循環及び経済に必要不可欠な要素としての持続可能な開発目標における水のドナウ川とメコン地域における持続可能な水の管理に関する重要な役割に主として焦点を当て,水資源の開発及びより良い利用に関する経験及び良い実例の共有を目的とした,2012年6月21日から22日にハンガリーのブダペストにおいて開催された第1回ASEM持続可能な開発セミナーを歓迎した。首脳は,また,2011年の中国の湖南省におけるASEM水資源研究・開発センターの設立を歓迎した。首脳は,さらに,2012年6月にブラジルのリオデジャネイロにおいて開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)のための考え及び提言を作成するために重要な機会を提供した2012年5月22日から23日にモンゴルのウランバートルにおいて「持続可能な水及び森林管理」のテーマの下で開催された第4回ASEM環境大臣会合の結果を歓迎した。

 防災,被害抑止及び緊急対応

  1. 両地域において生じている先例のない災害の行方を見守りつつ,災害が持続可能な開発及び貧困削減に及ぼす重大な影響に留意しつつ,首脳は,災害への共同の措置を強化し,人災及び天災によって引き起こされる損失を削減する必要性を強調した。首脳は,防災及び緊急対応の分野における協力(状況認識,早期警戒及び海上における捜索救難を含む。)を強化する必要性を強調した。首脳は,2013年のベトナムにおける気候変動に対応した防災及び災害救助に関する第1回ASEMハイレベル会合の開催に関するイニシアティブを歓迎した。首脳は,災害への対応及びリスク軽減の全体的な調整における国連人道問題調整部(UN-OCHA)及び国連国際防災戦略事務局(UNISDR)並びに両地域における防災に関する地域的施設,とりわけ,ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター),アジア防災センター(ADRC),アジア災害予防センター(ADPC),EC合同情報センター(MIC),EU危機管理室及びニシュ市に所在するロシア・セルビア緊急人道センターの役割を特に強調した。
  2. この点に関して,首脳は,特に,災害リスクの軽減,状況認識,イノベーション及び知識の交換,情報及び教育制度の公表,潜在的リスク要因の軽減,効果的な対応及び復興のための防災,災害救助のための資金並びにその他の関連活動に関し,特にリスク・マネージメント,自然災害及び人災,健康への脅威,伝染病,産業上のリスク,原子力のリスク並びに農業上のリスクを含む種々の問題と共に,これらセンター間及び国連機関との間での協力が強化されるよう奨励した。首脳は,これまで特に災害が起こりやすい国において行われた人的能力強化のイニシアティブの継続を奨励した。

 国際組織犯罪(人身取引及び麻薬の不正取引を含む。

  1. 首脳は,国際の平和及び安全に対する重大な脅威となる国際組織犯罪(薬物の不正取引,特に女性及び子供の人身取引並びに移民を密入国させることを含む。)の防止及びこれとの闘いにおける協力を強化するとのコミットメントを表明した。この目的のため,首脳は,ASEAN首脳によるドラッグ・フリー・エリア設立宣言及び南東アジアにおける人身取引を防止するための協力の強化に関する2011年のASEAN首脳共同宣言を歓迎した。

 人権

  1. 首脳は,人権の保護及び促進において,国際人権機関,各国の人権機関,地域機関及び市民社会が果たす役割の重要性を強調した。首脳は,2011年11月にチェコのプラハにおいて開催された第11回非公式人権セミナー及び2012年6月に韓国のソウルにおいて開催された第12回非公式人権セミナーの結果を歓迎した。首脳は,また,ASEANにおける人権の促進及び保護に向けた重要な一歩としてASEAN人権宣言の起草に関する進展に留意した。首脳は,世界的規模の人権の促進及び保護における国連人権理事会,人権に関するASEAN政府間委員会,女性及び子供の権利の促進及び保護に関するASEAN委員会等のフォーラムにおける協力の拡大に関する意志を強調した。
  2. 首脳は,より安全な世界への地球規模の努力を強調し,平和,安全及び開発のために集団殺人罪の防止及び処罰に関する条約の締約国による完全な実施の必要性を強調した。

 信仰間対話

  1. 首脳は,アジア及び欧州における社会的相互依存関係並びに宗教的及び文化的多様性を増大させることとの関係において,信仰間対話の関連性並びに社会的一体性,平和及び開発の促進への同対話の貢献を再確認した。首脳は,異なる宗教及び他の信条の人々の間の対話を設定するためのあらゆるレベルでの努力の増大を歓迎した。首脳は,異宗教間の対話を設定するための努力を支持し,その実効性を高めるために,このプロセスにより多くの参加者を関与させる必要性を強調した。首脳は,信仰,宗教,言語及び文化の多様性の中の人類が調和の中で共存し,並びに平等な権利及び相互尊重を享受する世界の構築に向けて活動することにおいてグローバルなリーダーシップをとりつつ,相互理解,寛容及び交流を一層促進するために共同の行動をとることを決意した。首脳は,2011年にフィリピンにおいて開催された,信仰間及び異文化間の対話を通じて移民の利益を活用し,及びその課題に対処するための第7回信仰間対話の結果並びに2012年にカンボジアにおいて開催された第20回ASEAN首脳会合における「穏健派によるグローバルな運動(GMM)」に関するASEANコンセプトペーパーの採択を歓迎した。首脳は,国連文明の同盟への支持を表明し,カタールにおいて2011年12月に行われた第4回フォーラムの結果を歓迎した。首脳は,UNESCO,平和のための信仰間協力に関する第3者フォーラム,信仰間の対話及び平和のための協力に関する閣僚級会合等のフォーラムによる信仰間及び文化間の理解への貢献を認めた。

 国連改革

  1. 首脳は,国連が今日の地球規模の課題に最も効率的に対処するとともに,その加盟国から最も広い支援を確保し,特に途上国のニーズに対応するためには,国連の包括的な改革が依然として優先課題であるとの見解で一致した。首脳は,国連システム全体の一貫性及び国際社会の主体性を強化するために,より代表する,より効率的かつ効果的な国連安保理,国連総会及びECOSOCの活性化,事務局の管理能力強化並びに専門機関の実効性の強化及び合理化を達成するために,現在進められている改革プロセスを追求する重要性を強調した。このこととの関連において,首脳は,『「Delivering as One」のプロセス』及び「国連開発システム四か年包括政策レビュー(QCPR)」に係る現行の作業に留意した。首脳は,また,国連の財源が財政規律と一貫性の原則に従い,最も高い国際基準に合致する形で,効率的及び効果的に管理されていることを確保する重要性を強調した。

 地域情勢

  1. 首脳は,対等なパートナーシップ,相互尊敬,相互互恵に基づき,アジア及び欧州における近年の動きについて意見交換した。首脳は,ASEM各国の平和,安全,安定を維持し,国連憲章及び国際法に従い平和的に紛争を解決する努力を認めた。
  2. 首脳は,2015年までにASEAN共同体を実現するための法的・制度的枠組みを提供するASEAN憲章の実施における,ASEANによる進展と成果を歓迎した。首脳は,また,ASEANの連結性についてのマスター・プラン及び発展格差の縮小,ASEAN共同体に向けたロードマップ(2009-2015)やASEAN統合ワーク・プランⅡ(2009-2015)のためのイニシアティブの実施における著しい進展を歓迎した。首脳は,ASEAN+1,ASEAN+3,東アジアサミット(EAS),ASEAN地域フォーラム(ARF),拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)などのASEAN主導の様々な協力枠組みにおけるASEANの中心的役割を強調しつつ,他のパートナーとの関係を深化しているASEANの努力を評価した。首脳は,プノンペンにて2012年7月12日に締結された東南アジア友好協力条約(TAC)へのEU及び英国の参加をさらに歓迎した。

 朝鮮半島

  1. 首脳は,朝鮮半島の平和と安定が,北東アジアにおいて最も重要であるとの認識を共有した。
    首脳は,2005年の共同声明の目標を包括的に達成することを目的とする,六者会合における外交的努力への支持を再確認した。
    首脳は,北朝鮮の全ての現存する核計画及びミサイル計画に関する懸念を表明した。この文脈において首脳は,関連する全ての国連安保理決議を完全に履行することの重要性を強調した。
    首脳はまた,人道上の懸念に対応することの重要性を強調した。

 中東・北アフリカ

  1. 首脳は,北アフリカ・中東諸国における近年の動きについて意見交換し,国連憲章および国際法に則った,当事国の人々の熱望を反映した包括的対話を通じての平和的解決及び和解への支持を表明した。
  2. 首脳は,安全で安定したイスラエルと,主権を有し,独立し,民主的で,自立可能な,地理的連続性を持つパレスチナとが平和で安全に共存するような二国家解決へのコミットメントについて再確認した。この文脈において,首脳は,この地域に永続的な平和,安定,反映をもたらすことになる二国家解決を実現するために,関係者間での直接交渉の速やかな再開を求めた。首脳は,入植地建設は国際法上違法であることを想起し,関係者に対して,イスラエルの入植地建設やガザ地区からのロケット攻撃を含む,二国家解決への努力を阻害するような行動を控えるように求めた。また,首脳は,パレスチナ自治政府の現在の財政上の困難に対する深い懸念を表明し,パレスチナ自治政府及びその市民がこのような問題を克服するための支援を国際社会へ緊急に求め,イスラエルに対し,エリアCやガザ地区を含むパレスチナの領域における持続的な経済発展を可能にするために更に取り組んでいくことを求めた。

 イラン

  1. 首脳は,イランの核計画に関するIAEA理事会及び国連安保理の関連決議に対するイランの継続的な公然たる無視について,懸念を表明した。首脳は,また,主要なチャンネルであるE3/EU+3との交渉を含め,イランの核計画の完全な平和的性質に係る国際的信頼を回復するために,互恵的かつステップ・バイ・ステップ・アプローチの原則を基礎とし,NPTに則った形での,建設的な外交プロセスを通じて達成されるべき,国際社会の懸念に対処するための平和的解決を支持した。首脳は,イランに対し,関連する安保理決議下の全ての義務を完全かつ遅滞なく遵守することを求め,IAEA理事会の要求に応え,IAEAに全面的に協力することを求めた。

 アフガニスタン

  1. 首脳は,人権を十分に尊重し,平和で安定し,主権を有し,独立し,統一された民主的なアフガニスタンの重要性,及びテロリズムや違法ドラッグの生産・取引の脅威に対抗する協調的な取組みの重要性を強調し,アフガニスタンにおける近年の動きについて意見交換した。2011年12月にボンで確認したように,首脳は,国内で行われている暴力に終止符を打ち,恒久的な平和を取り戻すために,アフガニスタンの平和と国民和解プロセスを支持する意図を表明した。同時に,このプロセスがアフガニスタンの人々の正当な利益を代表する一方で,アフガニスタン主導で,アフガニスタンによるものであり,包括的でなくてはならないことを強調した。この対話は,暴力を認めず,人権特に女性の権利の規定を含むアフガニスタン憲法を尊重し,アル・カイーダやその他のテロリスト集団との関係を断つ全ての人々となされなければならない。首脳は,2014年におけるアフガニスタン主導の治安への移行後における自立への道を含む,アフガニスタンにおける再建への取組,国民和解,民主政府への平和的移行に対する変わらぬ支持を表明した。首脳は,2012年7月のアフガニスタンに関する東京会合で採択された宣言を想起しつつ,地域社会の福祉を改善し,人的資源を育成するため,特にプログラムやその他の技術支援など能力構築の分野において,アフガニスタンにおける経済発展を進める必要性を強調した。首脳は,2014年の大統領選挙の見通しを歓迎し,アフガニスタンに対し,大統領選挙及び2015年の議会選挙の双方が,透明で信頼でき,民主的なものとなることを保証するよう奨励した。

ASEMパートナーシップの更なる強化

 人と人との交流

  1. 首脳は,社会的及び文化的な協力を強化するとともに,文化及び教育分野の交流,青年交流,スポーツ及び学術の分野の交流を増大させ,議員,報道関係者,市民社会,学術関係者及びトラック2の機関の接触の拡大を促進することにより,人的交流の増大を推進するコミットメントを再確認した。首脳は,2012年10月3日から5日までビエンチャンにおいて開催された第7回アジア欧州議員会議(ASEP)及び2012年10月16日から19日までビエンチャンにおいて開催された第9回アジア欧州市民フォーラムの結果の成功を歓迎した。首脳は,これらの会合によって提案された提言に留意し,2012年10月18日から19日までベルリンにおいて開催された第2回ASEM知事・市長会合の結果を歓迎した。首脳は,また,2013年5月12日から24日まで熱帯の生態系における生物の多様性の保全への課題に関するワークショップを主催するとのブルネイの申出を歓迎した。
  2. 首脳は,トランス・ユーラシア情報ネットワークスター(TEIN*)協力の設定及びTEINプロジェクトの第4段階の成功裡の立ち上げに,アジアにおける研究及び教育のコミュニティの間並びにアジアと欧州との間の交流及び協力を強化するためにTEINが果たしている重要な役割を認識しつつ,留意した。

 人的資源開発及び教育

  1. 首脳は,人的資源開発が貧困削減並びに社会的及び経済的発展において主要な要素であることを認めた。首脳は,人的資源開発,能力の開発並びに初等教育,中等教育,高等教育,職業訓練及び生涯学習における持続的な対話及び交流における協力を一層強化するとのコミットメントを新たにした。首脳は,労働市場及び雇用への移行の向上のための魅力的な職業訓練及び教育制度の価値を認め,このこととの関連において,効果的な発展を支援するための定期的及び緊密な協力の重要性を強調した。首脳は,ASEM-DUOフェローシップ・プログラムを含むASEM教育プロセスにおける協力の深化及び協力活動の増加に満足の意をもって留意した。首脳は,2011年にデンマークにおいて開催された第3回ASEM教育大臣会合,2011年にベルギーにおいて開催された高等教育の質の強化に関するASEM教育セミナー,2011年に中国において開催された技術教育及び職業教育に関するASEMシンポジウム,2012年にタイにおいて開催された均衡のとれた流動性の強化に関するアジア欧州国際会議,2012年にドイツにおいて開催された技術的及び職業的な教育及び訓練に関するASEMシンポジウム並びにキプロス(2010年),ドイツ(2011年)及びフランス(2012年)において開催された品質保証セミナーを歓迎した。首脳は,2013年に第14回ASEM教育大臣会合を主催するとのマレーシアの申出を歓迎した。

 雇用及び社会政策

  1. 首脳は,雇用及び社会政策に関するASEM対話の成果並びに万人のためのグローバルな雇用及びディーセント・ワークの創出並びに世界的な規模における社会の発展の強化に対するASEMの貢献を認め,奨励した。首脳は,持続可能な開発の2つの主要な柱である社会的一体性の確保及び経済成長の促進における雇用及び社会的保護の重要性を強調した,2012年10月にベトナムにおいて開催された第4回ASEM雇用・労働大臣会合の結果を歓迎した。首脳は,特に,各国ごとの社会保護政策を定め,及び実施する際の国際機関との協力を強化する必要性を支持した。首脳は,2012年5月にメキシコのグアダラハラにおいて開催されたG20労働・雇用大臣会合の結果を歓迎し,並びに労働権,社会保障及びディーセントな賃金を備えた労働がより安定した成長に貢献し,社会的包摂を強化し,並びに貧困を削減することを強調した2012年6月にメキシコのロスカボスにおいて定められた質の高い雇用へのG20首脳によるコミットメントを支持した。

 文化協力

  1. 首脳は,文化多様性が人類の共通の遺産であるとの確信を強調し,文化多様性及び全ての文化の平等な尊厳を尊重し,保護し,及び推進するとの決意を再確認した。このこととの関連において,首脳は,さらに,ASEM参加国間の文化交流を推進し,各種分野(ユネスコ条約の枠組みにおける有形及び無形文化遺産を含む。)における協力を強化することにコミットした。
  2. 首脳は,文化多様性の地球規模での認識の必要性を強調した。首脳は,文化遺産都市の持続可能な開発の重要性を強調し,及びアジア欧州クリエイティブ都市ネットワークを提案した2012年9月にインドネシアにおいて開催されたASEM第5回文化大臣会合及びASEM第1回言語多様性フォーラムの結果に満足の意をもって留意した。首脳は,また,文化的表現の多様性の保護及び推進に関して現在進められている取組の支持をコミットし,2005年に採択された関連するUNESCO条約を締結することへの奨励に留意した。

 観光

  1. 首脳は,両地域の国民の間の一層の理解の促進,連結性の強化並びに雇用の創出,経済成長及び経済発展に貢献する観光の重要性を強調し,この分野における協力をさらに強化することに合意した。

 移住

  1. 首脳は,移民の受入社会及び彼らの所在していた社会への文化的及び経済的貢献を認めた。首脳は,開発の利益を最大化し,並びに特に,金融及び経済の危機の影響に照らし,移民が所在していた国,通過する国及び目的地である国にもたらす課題に対応する適切な方法を特定する必要性を強調した。首脳は,移民及びその家族(特に,経済的な困難に直面している移民労働者を含む。)の人権保護を確保し,並びに受入国の国内法令及び政策の適用を損なうことなく,国際協力のためのメカニズムを強化することにコミットした。首脳は,また,開発と移住との関連性を認めつつ,不法移民に対処する際の地域協力の重要性を認め,不法移民への取組に関する協力を強化し,及び既存の再入国に関する合意を適切に実施するための方法を探求するとのコミットメントを再確認した。首脳は,ASEM参加国間で相互利益,相互責任及び相互支援の原則に従い文化及び教育に関する協力並びに労働分野の活動を促進することを含め,合法的移民に考慮が払われるべきことに同意した。これら事業及び活動は,第三国に対する労働市場アクセスに関する現行法に合致していなければならない。開発と移住との関連性を認めつつ,首脳は,移民の開発に及ぼす肯定的な影響を最大にし,及び潜在的な悪影響を減少させるため,最良の実例を共有し,包括的な取組方法を探求するよう求めた。首脳は,2013年に国連総会において開催される第2回国連ハイレベル対話における移住及び開発の全ての側面の検討を強調した。首脳は,2011年にモンゴルにおいて開催されたASEM第10回移民管理局長級会合及び2012年10月30日から31日までキプロスにおいて開催されたASEM第11回移民管理局長級会合の結果を歓迎した。

 アジア欧州財団(ASEF)

  1. 首脳は,過去15年間の知的,文化的及び人的交流を通じたアジア欧州間の相互理解の促進におけるアジア欧州財団(ASEF)の成果を歓迎した。首脳は,アジア欧州間の対話及び協力を促進し,優先事項の効果的な実施を通じてASEMのヴィジビリティを強化することにおけるASEFの積極的な役割を認めた。首脳は,また,ASEM議長国サポートグループ(ACSG)へのASEFの参加及びASEM協力におけるASEFの役割を称賛した。首脳は,ASEM参加国が定期的な拠出を通じて,ASEFの財政面での持続可能性を強化するよう求め,新たなASEM参加国のこの点における積極的参加を奨励した。
  2. 首脳は,ASEFにより実施された様々な教育,文化及び人的交流に関するプロジェクトにより示されたASEMの第3の柱の成功を歓迎した。中国は,印,ラオス,ポーランド及びASEFと共に2013年に中国において,「アジアと欧州における平和と繁栄に向けて:ダイナミックなASEMの必要性」に関するシンポジウムを主催する予定である。デンマーク,仏,フィリピン,スウェーデン及びASEFは,ASEM参加国と共に第13回非公式人権セミナーを主催する。

ASEMの将来

  1. 首脳は,2012年3月のコペンハーゲンにおけるASEM高級実務者会合による暫定的第3カテゴリーの廃止に関する解決策を歓迎した。首脳は,豪州,ニュージーランド及びロシアをアジア地域グループの参加国として歓迎し,また,ASEM新規参加国,すなわち,バングラデシュをアジア地域グループの参加国として,ノルウェー及びスイスを欧州地域グループの新たな参加国として受け入れた。
  2. ブリュッセルにおけるASEM8の結果に注意を払い,首脳は,ASEM作業方法改善におけるASEMの外相及び高級実務者の活動を称賛した。首脳は,ASEMの活動の効率性,一貫性,継続性及びヴィジビリティの向上においてASEM参加国を支援し,並びにAECF2000により提起された課題をベースにした作業方法の探求を継続するためのASEM議長サポートグループ(ACSG)の設置を歓迎した。
  3. 首脳は,ASEMに関する啓発及びヴィジビリティの著しい向上に満足の意をもって留意した。首脳は,ASEMのヴィジビリティは参加国自身のイニシアティブ,活動及びコミュニケーション政策によって決まることを認めた。したがって,首脳は,全てのASEM参加国及びASEFに対し,マスメディアを含む様々な活動及び対象となる人々指向の情報の提供を通じて,ASEMに対する啓発及びヴィジビリティを促進するための努力を強化するよう求めた。

 新たなイニシアティブ及び作業計画

  1. 首脳は,ASEMの過去の成果を踏まえて,別添1及び別添2にそれぞれ示した新たなイニシアティブのリスト並びに2012年から2014年までのASEM作業計画を承認した。

 ASEM第11回外相会合(FMM11)

  1. 首脳は,ASEM第11回外相会合を2013年11月14日から15日までニュー・デリーでホストするとのインドの申し出を歓迎した。

 ASEM第10回首脳会合(ASEM10)

  1. 首脳は,主催国であるラオス人民民主共和国に対し,第9回首脳会合の成功のために同国が行った温かいもてなし及び素晴らしい準備について心から謝意を表するとともに,ASEM10をホストするとのEUの申し出を感謝をもって受け入れ,2014年後半にブリュッセルにおいて再会することを期待した。

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