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議長声明(仮訳)
第7回アジア欧州会合
平成20年10月24~25日 於:北京
(骨子)(英文(PDF)
)
- 第7回アジア欧州会合(ASEM7)は、2008年10月24日及び25日に北京において開催された。首脳会合には、アジアの16か国及び欧州の27か国の首脳、欧州委員会委員長及びASEAN事務総長が出席した。胡錦濤中華人民共和国国家主席が開会式で演説を行った。温家宝中華人民共和国国務院総理がこの会合の議長を務めた。
- 今回の会合では、2回目の拡大後初めてASEM参加45メンバーの首脳が会した。これら45のメンバーは、世界のGDPの約50%、世界の人口の約58%及び世界貿易量の約60%を占めている。首脳会合に初めて参加したブルガリア、インド、モンゴル、パキスタン、ルーマニアの首脳及びASEAN事務総長に対し、温かい歓迎の意が示された。
- ASEM参加国は、「ビジョンと行動:双方に利益をもたらす解決に向けて」との全体テーマの下、共通の懸念と利益に係る重要な国際問題及び地域問題について、掘り下げた議論を行った。
- 首脳は、ASEMの戦略的重要性を再確認するとともに、アジアと欧州が地理的、歴史的及び文化的に緊密に関係し、多くの共通の理想を共有し、経済・社会開発について補完的であり、文化の多様性に富んでいることを認識した。首脳は、ASEMに対する参加国国民の高い期待を認識し、発展の機会と目に見える利益を両地域にもたらし、平和、安定及び発展に貢献するように、相異に固執せず、互いから学びつつ、共通の基盤を追求しながら、平等なパートナーシップ、相互尊重、相互利益に基づくアジア欧州間の対話と協力をさらに強化することの必要性を強調した。
- 首脳は、昨年、アジアにおいて発生した自然災害により生じた深刻な人的犠牲及び財産の損失に対して衷心からのお悔みと哀悼の意を表し、被災国への支援を継続するコミットメントを確認した。首脳は、自然災害の際に効率的かつ迅速な人道支援を実施すること及び専門知識が重要となる点を強調した。首脳は、自然災害を含む地球規模の諸課題において適時に対応するために共同で地球規模の努力をする必要性を強調した。また、災害への準備と管理に関する地域及び各国のキャパシティ・ビルディングを促進する観点から、インフラ、農業、保健、水、環境、教育、科学技術の諸分野における実用的な災害準備、管理及び復興協力を実施することを約束した。
- 首脳は、国連憲章と国際法の原則に従い、平和及び安全、持続可能な開発及び人権を促進するとのコミットメントを再確認した。首脳は、世界人権宣言の60周年に留意し、この宣言に含まれる原則に対するコミットメントを再確認した。
政治対話の促進
- 首脳は、国際法に基づき、多国間主義と国際連合をその中核とする多国間国際システムを強化するコミットメントを再確認した。首脳は、国際機関が協力の手段と変化をもたらすメカニズムを提供すること、また、世界の安全を確保し、世界の繁栄に貢献することを通じ、地球規模の諸課題に適切に対処すべきであることを強調した。国連及びその他の国際機関の改革について、首脳は、新たな課題を前に、より民主的で、より説明責任を果たしうる、より効率的で、より効果的な国際機関を実現するために連携して作業する必要性を認識した。首脳はまた、政治的及び外交的努力を通じた国際紛争の平和的解決への支持を改めて表明した。
- 首脳は、あらゆる形態のテロを非難し、国連グローバル・テロ対策戦略を踏まえ、テロを防止し対処するための具体的な措置をとることへのコミットメントを再確認しつつ、地球規模でのテロとの闘いにおいて、テロ対策に関する主要な国連条約及び議定書を導守し、国連憲章、人権法、難民法及び国際人道法を含む国際法を尊重することの必要性を強調した。首脳は、国連における包括テロ防止条約案の迅速な交渉妥結を求めつつ、2008年9月4日及び5日にニューヨークで開催された国連グローバル・テロ対策戦略実施に関するレビュー会合の成果及びASEMにおける既存のテロ対策対話及び協力への感謝の意を表明し、東京(2007年)及びマドリッド(2008年)において開催されたASEMテロ対策会議の成果を歓迎した。、また、2009年に第7回ASEMテロ対策会議を主催するとのフィリピンの申し出を歓迎した。
- 首脳は、国際情勢及び地域情勢について掘り下げた意見交換を行った。首脳は、アジアと欧州の現在の情勢の進展について議論と評価を行い、アジアと欧州の人々の大きな希望が平和、発展及び協力を促進していることについて合意した。アジアと欧州の人々は、戦略的な相互信頼を高め、地域的な安全保障を可能とする環境を作り、在来型及び非在来型の安全保障上の脅威に共同で対処するために、対話と協力に積極的に取り組んでいる。首脳は東アジア、ASEAN、及び南アジアの統合プロセスの進展を支持し、提案されたASEAN人権機構の創設を含むASEAN憲章の署名及びASEAN経済共同体のための青写真の採択を歓迎した。首脳は、欧州連合の統合プロセスの進展について議論し、発足以来、このプロセスが欧州において平和、安定及び発展を促進してきたことを認識した。
- 首脳は、最近の朝鮮半島情勢の進展について意見を交換した。首脳は、六者会合を前向きに確認及び支持し、2005年9月19日に全会一致で採択された六者会合に関する共同声明の完全かつバランスのとれた実施のための第2段階の措置における進展を歓迎した。首脳は、これらの進展が北東アジアの平和と安定に貢献することについて合意した。首脳は、関係当時者に対し、早期にかつ検証可能な朝鮮半島の非核化を平和的に達成することを目指して、六者会合を前進させるための積極的な措置を引き続きとるよう求めた。首脳はまた、人道上の懸念に対処することの重要性を強調した。
- 首脳は、アフガニスタンにおける平和、安定及び発展へのコミットメントを強調し、アフガニスタンの国民和解、一体性及び領土保全に対する支持を強調した。首脳は、これまでに達成された復興の進展、本年6月にパリにおいて開催されたアフガニスタン支援国際会合の結果及び発出された共同議長声明を歓迎した。首脳は、アフガニスタン・コンパクトとアフガニスタン国家開発戦略の完全な実施への支持を表明した。首脳は、法の支配と人権の尊重を促進するために、機構、良い統治、及び腐敗の防止のための努力を強化する合意の目的の達成に貢献することを誓った。首脳は、国際社会がこれらについてアフガニスタンを支援し、アフガニスタンとその近隣国における麻薬栽培及び薬物の密輸と闘うことを支援すべきであることを表明した。首脳は、復興プロセスにおいて国連が果たしている鍵となる役割を歓迎し、アフガニスタン問題についての地域協力及び対話を深めることへの支持を強調した。首脳はまた、アフガニスタンにおけるテロとの闘いにかかる国際的な努力に感謝の意を表した。
- 首脳は、ミャンマー情勢の進展について意見を交換した。首脳は国連事務総長による周旋活動を全会一致で支持することを表明した。首脳は、ミャンマー、国連及びASEANから成る三者コア・グループ会合(TCG)によるサイクロン・ナルギス被害救済活動支援における進展を認識し、国際社会が被災者を支援したことを認識した。首脳は、国連が引き続き建設的役割を果たし、またASEAN主導のメカニズムが引き続きミャンマーにおける現下の救済と復興のための努力の調整における良好なパフォーマンスを示していることに支持を表明した。首脳は、ミャンマーが最近の進展と見通しについて説明したことに留意した。首脳は、本年8月に、イブラヒム・ガンバリ国連事務総長特別顧問がミャンマーを訪問したことに留意し、国連が引き続き周旋の努力を行うことを支持し、ミャンマー政府が、国連と一層緊密な協力を行うことを促した。首脳は、ミャンマー政府に対し、すべての関係者を国民和解と経済・社会発展の達成のための包括的政治プロセスに関与させるよう求めた。この点で、首脳は、政党に対して課された制限を解除し、拘束中の人々の早期の更なる解放を求めた。
- 首脳は、イランの核計画に関する深刻な懸念をについて議論し、イランの核問題の交渉による解決を追求するとのコミットメントを確認した。首脳は、イランが国連安全保障理事会の決議を完全に遵守し、IAEA理事会決議の要求事項を完全に、遅滞なく満たすよう要請した。首脳は、2008年6月に、中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国及び米国により提案された、交渉の再開に関するロード・マップの提示を歓迎し、関係国に対し、交渉再開のため、この機会を捉えるよう要請した。
経済協力の進展
- 首脳は、現在の国際経済及び金融の情勢について議論し、現在の世界金融危機が、国際金融制度と世界経済に深刻な衝撃を与えていることを認識した。国際社会はより緊密な協力を通じて、この金融危機を共に克服すべきである。首脳は、国際金融情勢についての声明を発出することに合意した。
- 首脳は、経済・開発協力及び協調を強化し、様々なリスクや課題に取り組み、また、公正で、バランスのとれた、すべての人々が裨益する経済のグローバル化の進展を促進する能力を高めることに関するコミットメントを改めて表明した。後発開発途上国の開発について懸念し、首脳は債務救済と債務持続可能性の重要性を強調した。
- 首脳は、経済成長と発展を達成し、地球規模の格差と貿易不均衡を縮小するために、世界貿易機関(WTO)下での、開かれ公正でルールに基づく安定した多角的貿易体制の重要性を再確認した。また、そのような体制が、貿易自由化を促進し、貿易関係を拡大、多様化させ、また、ASEMパートナー間の経済的機会を増進するため、最も効果的な方法であることを認識した。
- 首脳は、WTOドーハ・ラウンド交渉の現状について懸念し、ドーハ開発アジェンダの早期の成功裡の妥結がすべての加盟国・地域、特に、途上国及び後発開発途上国に利益をもたらすとの確信を表明した。首脳は、ラウンド交渉の開発的側面が極めて重要であることを認識し、包括的で、野心的な、均衡のとれたドーハ・ラウンド交渉の成功裡の妥結に向け、取り組むことにつき引き続き強くコミットする。首脳は、すべてのASEM参加国がWTOに加盟すること、従って、ラオスの早期WTO加盟を全面的に支持することを再確認した。
- 首脳は、各国がそれぞれ自国の開発に一義的な責任を有することを認識し、また各国の開発はそれを可能とする国際経済環境により後押しされる必要があることを強調した。首脳は、ミレニアム開発目標(MDGs)を含む国際的に合意された開発目標を積極的に実施することをすべての国に呼びかけるとともに、2008年11月末にドーハにて開催予定の開発資金国際会議フォローアップ会合の内容のある結果に期待し、2008年9月にアクラにおいて開催された第3回援助効果向上にかかるハイレベル・フォーラムのアクラ行動計画の重要性に留意した。首脳は、MDGsの達成に向け、政府開発援助(ODA)の増額や適当な場合での債務救済、革新的資金調達メカニズム等の措置を通じた追加的な開発資金の動員に対するコミットメントを強調した。首脳は、地域開発に貢献しているアジア開発基金に対し、最近の増資が成功裡に行われたことを歓迎した。また、2009年にフィリピンにおいて開発協力会議が開催されることを歓迎した。
- 首脳は、一次産品、特に石油と食料の世界的な価格の変動が安定成長に対して深刻な課題を呈し、多くの国の人々、特に最も脆弱な人々の生活に多大な困難をもたらすものとして、懸念を表明した。首脳は、食糧援助及び社会保護事業を含む努力を強化すること、高騰している食料価格の早急に安定化させ、影響を緩和し、影響を受ける開発途上国、特に後発開発途上国がこの試練の時を乗り越えられるよう支援するための貿易円滑化を求めた。首脳は、食料の供給を確保するため、中・長期的に、政策協調及び協力の強化、農業生産における持続可能な投入の拡大、農業生産性の向上を含む、危機に対処するための共同かつ包括的な措置をとるとのコミットメントを表明した。これらの取組を効果的に調整し、実施するため、首脳は、政府、民間部門、市民社会、及びその他の国際組織を含むすべての関係者が関与する世界的なのパートナーシップの構築を呼びかけた。これに関連し、首脳は、2009年に第1回ASEM食料安全保障フォーラムを開催するとのベトナムのイニシアティブを高く評価した。首脳は、この問題について、国連が主導的かつ調整的な役割を果たしていることに対する支持を確認し、ローマにおける国連食糧農業機関(FAO)の世界食料安全保障に関するハイレベル会合の成果に対する支持を表明した。首脳はまた、今年末にマドリッドにおいて開催予定のハイレベル会合のフォローアップ会合に期待する。さらに、首脳は農業技術の研究及び開発を推進することの重要性、特に農業生産性の向上の重要性を確認した。
- 首脳は、より緊密なASEM経済パートナーシップに関するハノイ宣言(CEP)を想起し、ASEMパートナーが経済パートナーシップを深め、開かれた貿易を促進し、双方向の投資を増大し、ビジネスに資する環境をさらに開発し、持続可能な貿易機会をすべてのASEMパートナー、特に開発途上国及び後発開発途上国に対し提供することについて、協力を強化し、また共に手を携えるべきであることを改めて表明した。これに関し、首脳は、CEPのこれまでの活動と実施状況をレビューし、今後の実際的かつ効果的な協力のための具体的分野と活動を特定するために、経済大臣会合を可能な限り早期に開催することを促した。そして、貿易円滑化行動計画(TFAP)及び投資促進行動計画(IPAP)の枠組みにおいて活動を実施することの重要性、特にアジア欧州ビジネス・フォ-ラムを通じてビジネス関係者をASEMプロセスに更に関与させることの重要性を強調した。さらに、より実質的及び包括的な方法で経済の柱を推進するために、ASEMの投資の主要関係者間の連繋を再活性化することの必要を強調した。首脳はまた、WTOのルールとコミットメントに整合的な二国間及び地域的貿易取り決めの価値を認識し、ASEMパートナー間の交渉の進展に留意した。
- 首脳は、構造改革と健全なマクロ経済政策が、欧州とアジアの双方の世界金融混乱、世界経済不況、及び継続する一次産品価格の高騰に対する回復力を増加させたが、両地域は悪化している世界経済の状況からますます影響を受けるようになっていることを認識した。首脳は、世界及び地域の金融市場の長期的な安定が、両地域の持続的な経済成長にとって鍵となることについて合意した。首脳は、2008年6月に韓国の済州において開催された第8回ASEM財務大臣会合において、最近の経済問題への強力で整合性のとれた政策対応の必要性、及び情報と知識の共有、キャパシティ・ビルディングの形での、経済統合、インフラ金融および小規模金融の分野におけるASEMパートナー間の相互協力についてコンセンサスに至ったことを歓迎した。
- 首脳は、デジタル・デバイドを縮小し、持続可能な開発を確保するために、ASEMパートナー間で技術革新、科学及び技術の分野での協力を強化する必要性につき合意した。そして、知的財産権を保護しその執行を確保するための努力の強化を求めた。首脳は知的財産権の保護と執行が開発途上国への技術の移転と普及における技術革新の促進において、また開発途上国への技術の移転と普及そのものに貢献することに留意し、また、このことが持続可能な開発にとって極めて重要であることに留意した。首脳はまた、経済統合を容易にするICTの推進及び開かれたアクセスを可能とする関税障壁の削減と国際標準の促進に関する国際協力に関する政府、ビジネス界、及び国際機関の間でのより緊密な協力を支持した。
- 首脳は、経済開発と雇用の創出のために中小企業間で緊密な協力を行うことの重要性について改めて表明し、2007年10月に北京において開催された第1回ASEM中小企業大臣会合における合意と採択された行動計画を歓迎した。首脳はまた、2007年10月に青島において開催されたASEM中小企業貿易投資フェアにおいてビジネス界により提出された中小企業成長促進に関する提言を歓迎した。
- 首脳は、アジア・欧州間の貿易投資促進に関する第11回アジア欧州ビジネス・フォーラムによる提言を歓迎した。
- 首脳は、ASEMパートナーの間での交通問題に関する対話を立ち上げる場として2009年10月19日及び20日に開催される第1回ASEM交通大臣会合を主催するとのリトアニアのイニシアティブ、及びこの重要な問題についての対話を深化させる2009年の第1回ASEM移民に関する閣僚会合を主催するとのルーマニアのイニシアティブを歓迎した。
持続可能な開発の推進
- 首脳は、ヨハネスブルグにおいて合意された持続可能な開発目標及びミレニアム開発目標(MDGs)を実現すること、エネルギー安全保障についての協力を強化すること、気候変動の課題に共同で対処すること、並びに水資源、森林、大気を含む環境の保護、及び持続可能な開発の枠組みの下で社会的結束を改善することについて、広範かつ掘り下げた議論を行った。
- 首脳は、MDGsの中間レビューの重要性を強調し、ASEM参加国が国際的に合意された開発目標(IADGs)、特にMDGsを適時に達成するために国際開発協力をさらに深化させることの必要性を強調した。
- 首脳は、影響及び脆弱性の評価を支援し、適応能力を構築し、及び適応行動を支援する気候変動に関する強化された国際協力に対する支持を表明した。首脳は、気候変動に関するASEM6宣言を想起し、2007年4月にコペンハーゲンで開催された第3回ASEM環境大臣会合及び2008年10月に日本において開催されたASEM気候変動に対する適応に関するセミナーでの成果を満足の意をもって留意した。このこととの関連において、首脳は2007年12月のインドネシアのバリにおける気候変動会議において実質的な進展があったことを歓迎した。首脳は、バリ・ロードマップを基礎として、2009年末までに、現在、2012年まで及び2013年以降に関する野心的、実効的かつ包括的な合意された結果を得ることへのコミットメントを確認し、ポズナンにおける気候変動会議及びコペンハーゲンにおける気候変動会議において決意と緊急性をもって行動する必要性を強調した。
- 首脳は、森林と海洋、及びその他の陸地、海岸および海洋の生態系の持続可能な管理の必要性を強調した。この点に関し、首脳はまた、2009年に熱帯雨林の生物多様性に対する気候変動の衝撃を理解するためのワークショップを主催するとのブルネイの申し出を勧迎した。ASEM首脳は、生物多様性、氷河融解、生命維持に必要な水資源の保護に特化した研究を必要とする協力事業、及び専門知識と技術の普及を通じた大衆の意識を向上させる協力事業を、地域及びサブリージョンの機関が開発することを奨励し、支援することに合意した。
- 首脳は、エネルギー分野における開発ニーズと環境的持続可能性に焦点を当てる必要性を強調した。首脳は、経済成長を支えるために、合理的な価格で、環境面で健全なエネルギーの入手できるようにするためのアジア欧州協力の必要性、及び最新技術がエネルギー効率を増進させることに向けられるべきであることを強調した。首脳は、ASEMパートナー間で低炭素経済を促進するための地域及びサブリージョンの事業を開発する必要性を認識した。首脳は、第6回アジア欧州環境フォーラムからの持続可能なエネルギーに関する主要なメッセージを認識した。
- 首脳は、グローバリゼーションの影響がASEM参加国の国民にますます実感されていることを認識した。また首脳は、グローバリゼーションの社会的側面を強化し、社会的一体性を改善することに共通の利益を有する。首脳は、今月初めにバリにおいて開催された第2回雇用労働大臣会合において発出された同会合の成果である宣言を歓迎し、働きがいのある人間らしい仕事と良い統治の重要性を強調した。
- この目的のため、首脳は持続可能な開発に関する北京宣言を発出することにつき全会一致で合意した。
社会・文化交流の促進
- 首脳は、文化多様性の尊重及び文化遺産の保護の必要性を再確認し、異なる社会制度、開発経路及び文化の間での相互理解、寛容、尊重及び平和的共存を提唱した。首脳は、前回の首脳会合以降の文化と文明間の相違を埋める貴重な貢献を歓迎した。首脳は、信仰、文化及び人々の間の理解の促進のために、多国間の枠組みを各国の努力と結びつけることの重要性を強調した。首脳は、2008年1月にマドリッドにおいて開催された第1回文明間の同盟フォーラム(AoC)の結果を歓迎し、また、この国連のイニシアティブの強化、及びフレンズ・グループに加わるASEMパートナーの数が増加していることを歓迎した。国連及びAoCがメディアや若者の雇用の分野で具体的案件を実施していること、及び国家行動計画が作成されたことは、市民社会を関与させた形での世界的な理解の促進のための前途を示している。
- 首脳は、貧困削減、社会の平和の実現、地域紛争の予防、環境の保護及び、持続された経済成長の促進、社会開発及び共栄の促進における文化と文明間の対話の積極的役割を再確認した。首脳は、異なる文化と文明が、調和し、平等で、相互に尊重する形で共存する世界の構築に向け作業する世界的なリーダーシップをとりつつ、異なる信仰間の理解と交流を一層促進する協調して行動することを決意した。
- 首脳は、中国、フランス及びマレーシアにおいて開催されたASEM文化大臣会合(CMM)の成果を満足の意をもって留意した。首脳は、ハノイで開催された第5回ASEM首脳会合において採択された文化と文明の対話に関するASEM宣言をもとに、アジアと欧州の間の文化交流と協力の拡大に向けて達成された進展を歓迎し、CMMを定期的に開催するという決定及び中国によって提案された文化・芸術フェスティバルがASEM首脳会合あるいはASEM CMMと関連して開催されるべきとする勧告を歓迎した。首脳は、2010年のポーランドにおける次回文化大臣会合において、より結果指向の議論を行うことに対する希望を表明した。首脳は、文化多様性とすべての文化の平等な尊厳を、尊重し、保護し、促進する決意を再確認し、そのため、すべてのASEM参加国がユネスコの文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約を迅速に批准し、実施することを奨励した。首脳はまた、観光が相互理解と文化多様性の尊重に貢献しうることに留意した。この関連で、本年、ベトナムで開催されたASEM観光フォーラムの成果を歓迎した。
- 首脳は、ASEM異なる信仰間の対話の良いモメンタムを維持することの重要性を強調し、ASEM異なる信仰間の対話(2007年南京、2008年アムステルダム)の成果を歓迎し、また、各国政府が、信仰間及び文化間の対話を積極的に円滑化するよう促した。特に地域及び地域間レベルの対話を、アジアと欧州の間のより幅広い対話の一部としておこなうことを促した。この観点から、首脳は、地域及び世界レベルで異なる信仰間の対話を一層制度化することについて、ASEMパートナー間及び他の地域機関や議論の場との議論を強化する必要性を強調した。
- 首脳は、文化間及び文明間の対話、並びにアジアと欧州の人々の間の相互理解を促進することにおける議会、NGO及び市民社会の建設的な役割を歓迎した。
- 首脳は、人的資源開発は貧困削減及び経済・社会開発の鍵となる要素をなしていることを認識した。首脳は、人的資源開発、キャパシティ・ビルディングに関する協力及び初等教育及びより高等な教育、職業訓練、生涯学習についての継続的対話と交流を一層強化するとのコミットメントを改めて確認した。首脳は、ドイツにおいて開催された第1回ASEM教育大臣会合の成果を承認し、2009年にベトナムにおいて開催される第2回ASEM教育大臣会合が内容のある成果を生むことに期待した。首脳は、すべてのASEMパートナーの間で研究協力を促進した点で、ユーラシア大陸横断情報ネットワーク(TEIN)の成功を認識し、TEIN3の立ち上げを歓迎し、そのTEINが長期的な持続可能性を有するものであることについてコミットメントを改めて確認した。
- 首脳は、1998年以来、毎年開催されている人権に関するASEM非公式セミナーを通じてASEMパートナーによって実現された対話について謝意を表明した。首脳は、平等と相互の尊重を基礎として、人権の促進と保護に関して協力するコミットメントを強調した。
- 首脳は、開発途上国における公衆衛生の改善のためのヘルス・ケア制度や地方のインフラの開発を含む地球規模での健康安全保障を促進するコミットメントを確認し、HIV/エイズや鳥インフルエンザのような保健の脅威と闘う決意を改めて表明した。首脳は、中国が主催した鳥インフルエンザの鎮圧に関するASEMワークショップ及び日本が経費を負担したインフルエンザの大流行を早期に封じ込めるためのASEMイニシアティブを歓迎し、2009年にベトナムで開催される地球規模での気候変動と出現しつつある疾病に対応するための準備に関する経験の共有に関するワークショップの成功に期待する。
- 首脳は、アジア欧州間の文化、知的及び人的交流の促進に積極的に貢献しているアジア欧州財団を賞讃した。首脳は、ASEMの優先課題を促進し、そのビジビリティを強化するASEFの中心的なプログラムの価値を認識した。首脳はまた、ASEM参加国間で芸術及び文化交流を強化するためのアジア欧州文化のポータル・サイトであるカルチャー360事業の開発を先導しているASEFを賞讃した。
ASEMの将来
- 首脳は、多面的な対話促進者としてのASEMの役割、及びASEMの次の10年の将来に関するヘルシンキ宣言により特定された主要協力分野を再確認した。首脳は、パートナーによって提出された各種の協力イニシアティブ(附属書 I)及び2008年~2010年のASEM作業計画(附属書 II)を採択した。
- ASEMにおいて様々なレベルでイニシアティブや会合が増加していることを踏まえ、首脳は、近い将来、ASEMの協力を支持するためにASEM加盟国間の効果的な通信手段を開発する必要性について確認した。
- 首脳は、課題毎のリーダーシップ・イニシアティブ(附属書 III)及び第6回ASEM首脳会合で合意されたASEM参加国大使館・代表部間の緊密な調整を含む、ASEMの組織の構築に関する進展を賞賛した。
- 首脳は、高級実務者に対し、ASEMのビジビリティを高めるための方法をさらに探究するよう指示し、この点に関する欧州委員会の努力、及び「ASEMビジビリティ強化のための文化活動の調整」に関する第1回高級実務者会合を開催するベトナムのイニシアティブを歓迎した。
- 首脳は、外務大臣に対し、今後の外務大臣会合において拡大問題について議論するよう指示した。
- 首脳は、第8回ASEM首脳会合を主催するとのベルギーの申し出を感謝の意をもって受け入れ、2010年に再び会合することを期待した。
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